Fate/Grand Order operation Ark   作:山川山

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イベント周回が終わったので投稿です。



第9話 女子会/竜の聖女

黒ジャンヌ達から、助けに来てくれたサーヴァント…マリーとアマデウスの力を借りて、なんとか逃げきった後。霊脈の反応があった森で、召喚サークルを設置した。そして、物資を補給すると同時に連れていくサーヴァントを変更した。アークが敵となった可能性がほぼ確実となった今、私達に必要なのは圧倒的火力だ。というわけで、小次郎と入れ替わりで新しくパーティーに入ったのが…

 

「カルデアでジャンクフードを食べるのにもちょうど飽きてきたところだった。存分に暴れさせてもらおう」

 

前回の特異点では敵だった騎士王、アルトリア・オルタだ。防御が意味をなさないアークにとって、攻撃こそが最大の防御だ。その点では、アルトリアは接近を許さない攻撃範囲、宝具の威力も充分という現時点で最もアークに対抗可能なサーヴァントである。

 

「あの…、立香さん?この方が本当に?」

「うん。反転してるし、性別も違うけど間違いなくあの騎士王だよ」

 

まあ、驚くのも仕方がないよね。あの騎士王が女性だなんて誰も思ってないだろうし、いざ目の前に現れたら誰だって自分の目を疑うに決まっている。

 

「ではそこの赤い弓兵。早速だが、ジャンクな品を所望する」

「……確か先程、飽きたと言っていなかったかね?」

「カルデアでは、だ。外で食べるジャンクフードは別腹だ」

「はぁ…、おかわりは3つまでだ」

 

いきなりか、と思ったけど夕食にはちょうど良い時間だ。私達もアルトリアに便乗してバーガーを食べよう。

 

──食事中

 

「ふー、食べた食べた」

「フォウフォウ」

 

バーガーなんて久しぶりに食べた気がする。カルデアに来る前はよく食べたなあ。というか、フォウくんってバーガー食べれたんだ。雑食なのかな?

 

「なかなかいいバーガーだった。あとは量があれば完璧だったが…」

「今のカルデアにそこまでの余裕はない。それよりも、これから君、アマデウス、私の3人で見回りだ」

「えー、僕は非戦闘系なんだけど…」

「何も敵が居たら戦えとは言っていない。敵を察知ないし発見したら、魔術なり何なりで報告を行えばいい。それでは、行くとしよう」

 

エミヤ、アルトリア、アマデウスの3人が立ち上がってそれぞれの持ち場へ歩いて行く。さてと、この後することはないけど眠るにはまだ早いし、どうしようかな。

 

「そうだわ!女子会!女子会やりましょう!」

「じ、女子会…ですか?」

「ええ、そう!ここには男性はいないしちょうどいいと思うのだけれど、どうかしら?」

 

マリーが女子会の提案をする。女子会…女子会か。うん、いいかも!

 

「うん、やろう!女子会!」

「先輩がそう言うならば、わたしは構いませんが…ジャンヌさんは?」

「えっと…、女子会というのはその…、恋の話等をするんですよね?私は恋をしたことがないので…」

「それはもったいないわ!人生の十割を損していると断言します!」

 

ジャンヌの言葉に少し大袈裟なぐらいマリーが反応する。まあ、それを言うならば、私も。

 

「大丈夫だよ、ジャンヌ。私も恋とかしたことないから。マシュは?」

「わたしも、恋をしたことはありませんね」

「あら。立香さんにマシュさんも?うーん、仕方ないわね。わたしから話をしますから、その後に何か思いついたらお話しになっていただける?それじゃあ、始めます!あれは、わたしが7歳の時のこと──」

 

マリーが話し出す。7歳の初恋はアマデウスと、そして14歳の時に結婚した王に恋をしたことを語ってくれた。14歳で結婚かぁ。昔は凄かったんだなぁ。

 

「14……!改めて聞くと、凄いですね。その頃の私は…男女関係なく、畑で働いたり、遊んでいたような」

「それだって楽しい、羨ましい生き方ですわ。ひとまず、わたしの話はこれで終わり。じゃあ、次は…立香さん!」

「え!?私!?さっきも言ったけど、恋とかしたことないし…」

「別に恋についてでなくても、例えば周りの異性についてとか、そういうことでかまいませんわよ?ほら、マシュさんとも相談してもいいですし」

「そ、そうですね…。わたしもある程度関わりのある異性といえば、ドクターぐらいですが…。ああ、でも最近は…」

「アーク…かなぁ」

 

冬木でもいろいろ助けられたし、カルデアでも一番交流があるサーヴァントだし。

 

「そういえば、あの時もう1人の私にも聞いていましたね。立香さんやマシュさんにとってアークさんという方はどういった人物なのですか?」

 

ジャンヌが聞いてくる。どういう人かって言うと…、うーん。

 

「私に、マスターとしての心構えを教えてくれた人かな?」

「わたしもアークさんに道を示してもらいました」

「あと、何気に家事とか得意そうだよね!」

「はい。以前、菓子類をお届けした時に、せっかくだからと淹れてくださったお茶も大変美味しかったです」

「まあ。素敵な方なのね!2人とも、そのアークという方をどう思っているの?」

 

マリーに質問される。どうって今言った通りなんだけど…?

 

「えーと、わからなかったかしら?じゃあ、言い方を変えますわね?好きなの?そのアークという方が」

「好ッ!?」

 

え、いや、あの、その…それは…。ッ!?

 

「この音は!」

「アマデウスの魔術、何かあったみたいね。残念だけど、女子会はここで終わり。早く行きましょう」

 

コホン。よし、切り替えて行こう。音の方に走って行くと、ドクターから通信が入る。

 

『サーヴァント反応が出たよ。黒ジャンヌといっしょに居た狂化を付与されたサーヴァントの内の一体、あの大きな十字架を持っていたサーヴァントと同じ反応だ。見回りに行っている他の2人も向かっているけど、立香ちゃん達の方が早い。アマデウス1人だけだとどこまで持つかわからないし、早く助けに行こう!』

「わかった!」

 

森の中を走る。見えた!

 

「やあ、遅かったじゃないか。そちらの方が待っていてくれなかったら、僕はここに立っていなかったよ」

「やっと来ましたか。まったく、こっちにとっては1秒ですら惜しいのに」

「何者ですか、貴女は」

「何者……?そうね私は何者なのかしら」

 

ジャンヌが相手のサーヴァントに尋ねると、きわめて理性的な返答が帰ってくる。あれ?狂化しているんじゃ?

 

「もしかして…狂化が解けた?」

「……そうだったらどれだけよかったか。残念なことに、今も狂化で理性消しとんでるわ。気合いでなんとか耐えてるけど、仲間になってくれるなんて期待を持ってんなら、今すぐその期待を捨てなさい」

「ならば、何故出てきたのですか?」

「私にも意地があるの。これは、私という英霊のささやかな反抗。私を、いえ、私達を倒せなければあの究極の竜種に騎乗する竜の魔女を倒せなんかしない。だから、今ここで貴方達を試す!」

 

相手のサーヴァントを中心に強い風が起きる。マシュが支えてくれなければ、吹き飛んでたかも。

 

『敵サーヴァントの魔力増大!召喚系の宝具みたいだけど、この反応は…』

「我が真名()はマルタ。さあ出番よ、大鉄甲竜タラスク!」

『マルタ…聖女マルタか!?じゃあ、さっきの反応は間違いじゃなかったか!気を付けろ、みんな!彼女はかつて祈りだけで竜種を屈服させた聖女だ!彼女がサーヴァントということは、つまり彼女はドラゴンライダーだ!』

 

サーヴァント…、マルタの背後に巨大な亀のようなものが現れる。

 

「GuOOOOOO───!!!」

「さあ、私の屍を越えていきなさい!」

 

マルタがそう言うと、タラスクと呼ばれた竜が飛びかかってくる。口の端からは僅かではあるが炎が見えている。

 

「ブレスが来ます!みなさん、私の後ろに!」

 

口の端にちらつくだけだった炎は今にも溢れ出そうとしている。だが、それよりも早くジャンヌが宝具を使用する。

 

「我が旗よ、我が同胞を守り給え!『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!!」

 

ジャンヌの宝具が発動し旗が光を纏ったと思うと、タラスクからワイバーンのブレスとは比較にならない量の炎が放たれる。炎は周囲の木を焼き尽くし、地面を融解させるがジャンヌの後ろにいる私達には何の影響もない。

 

「くっ…!まだ保ちますが、このままでは……!」

 

まずい。現状の戦力だとタラスクの攻撃を中断できるほどの火力が…。

 

「『卑王鉄槌(ヴォーティガーン)』!」

 

黒い暴風が吹き荒れ、タラスクの攻撃が中断される。今の攻撃は!

 

「初戦闘が真なる竜種か。なかなかいいではないか、マスター」

「アルトリア!」

「タラスク!一端戻って…っ!?」

 

タラスクに指示を出そうとするマルタだが何かを感じ取ったのか横に飛んで避ける。そこには数本の矢が突き刺さっていた。

 

(マスター、聞こえるか?)

(エミヤ?)

(私は少し離れた位置から援護を行う。隙ができてもカバーするから安心して戦え)

(うん。わかった)

 

よし!これならあのタラスクも倒せるかもしれない!

 

「みんな、ここから反撃だよ!」

「よかろう。蹂躙してやる」

「僕とマリアはサポートに徹するとしよう。僕が味方に強化(バフ)をかける。マリアも手伝ってくれるかい?」

「もちろん!」

 

さあ!反撃開始だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背後から聞こえる音楽と歌声により自身が強化されるのを感じる。手を握って感覚を確かめたあと、目の前にいる竜種に向かって魔力を放出して威圧を行う。この程度で怯むのならば竜種とは言えないが、もちろん、怯むことなど無く、むしろこちらの無言の威圧に咆哮をあげることで対抗して来た。

 

「GuRuAAAA!!!」

「ほう。威勢がいい、な!」

 

大地を蹴り、魔力放出を最大にして亀のような竜種に肉薄する。まずは一撃。

 

「ッ!」

 

ガチンッ!と音を立てて手に持った聖剣が甲羅に弾かれる。本当に亀のような竜種だ。首や足を引っ込められるとはな。だが、聖剣の一撃を受けたならば、例え防御の硬い竜種であろうと無事では済まない。肉には届いていないだろうが、甲羅には確かに一筋の傷をつけてやった。そして、直感に従って後ろに飛び退る。

 

「回転までするとは…。芸達者な竜だ」

 

だが、ただの回転とあなどる訳にはいかない。仮にも聖剣の一撃を受け止めた甲羅であり、何よりデカイ。あの回転をくらってけろりとしている者など、そうはいないだろう。まさに、攻防一体だ。

 

「とはいえ、やり方はある。いささか乱暴だがな。マスター!」

「何!」

「魔力…令呪をよこせ!向こうの聖女諸共、この竜を消し飛ばす!」

「わかった!マシュ、ジャンヌ!戻って来て!」

「了解です!」

「わかりました!」

「逃がすとでも…ッ!あー、もう!鬱陶しいわね、この矢!」

 

撤退を阻止しようとした竜の聖女だが、弓兵の矢に妨害される。

 

「令呪を以て命ずる!アルトリア!宝具を撃って!」

「承った!消え去れ!『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

「こうなったらやるしかない!宝具開放、流星となれ!『愛知らぬ悲しき竜よ(タラスク)』!」

 

いまだに回転を続けていたタラスクを竜の聖女は杖でぶっ叩いて飛ばす。黒き極光と回転する竜がぶつかり合うが、この程度で止められる聖剣ではない。

 

「なめるな!」

 

聖剣に込める魔力を増やす。それにしたがって極光が勢いを増し、竜を聖女ごと飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見るのは2回目だけどやっぱり凄い威力だ。土煙でよく見えないけど、この威力ならばきっと倒せただろう。

 

「ドクター、どう?」

『反応はまだあるけど微弱だ。もう、戦う力は残っていないだろう』

 

土煙が晴れるとそこには満身創痍という言葉がふさわしい姿でマルタが立っていた。

 

「負け、か。ここまでね…」

「マルタ、貴女は…」

「手を抜いた?んな訳ないでしょ。本気じゃないと貴方達を試せないじゃない。…もうすぐ消滅するだろうし伝えておくべきことを伝えるわ。まず1つ目、リヨンという都市に行きなさい。そこには竜殺しがいるわ。そっちの黒い騎士がもつ聖剣ならば、竜の魔女が操る竜に届くかもしれないけど、念の為にね。そしてもう一つ…」

 

マルタが私を見て微笑む。

 

「安心しなさい。あいつは貴女を裏切ってなんかいないわ。それじゃ、お別れね」

「え?ちょ、ちょっと待って!」

 

それって一体どういうこと?と聞く前にマルタは消えてしまった。

 

『あいつ……。裏切っていないという言葉から、こちら側の人物のことだろうし、それはきっとアークのことだ。つまり、アークは味方であるということだけど…。ならば、なんでアークは竜の魔女と一緒に行動しているんだ?』

「それは…、わかりません。でも、何かしらの理由があるのだと思います」

『そうだね。とりあえず、リヨンに竜殺しがいるという情報が今回一番の収穫だ。逆にそうまでしないと倒せない相手がいるということでもあるけど…』

「そうだね、ドクター。じゃあ、早速……ふわぁ…」

 

リヨンに行こうという言葉は欠伸にかき消されてしまった。緊張がとけたら眠気が…。

 

「旅は急げというが、僕らと違って立香はただの人間だからね。夜明けまで時間はあるし、少し休んでからリヨンには行こう」

「ごめん…アマデウス…」

「なに、気にしなくていいさ。旅は気ままにするのが一番だよ。さて、僕もキャンプに戻ってゆっくりと…」

「済まないが、アマデウス。君にはまだ見回りの仕事が残っている」

「そんな!ひどい!僕のことも少しぐらい休ませてくれたって…あー…」

 

いつの間にか、戻って来たエミヤにアマデウスが引きずられて行く。あ、止めてあげればよかったな…。

 

「さあ、先輩。こちらです。肩をお貸ししましょうか?」

「ううん。大丈夫、歩けるよ」

 

キャンプまでしっかりと歩いて戻った後、眠気にしたがって私は目を閉じた。




卑王鉄槌(ヴォーティガーン)はオルタ版の風王鉄槌だと思ってください。
今更ながら説明しますが、立香とサーヴァントが念話するにはある程度距離が近くである必要があります。(目安としては200〜300mほど)
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