Fate/Grand Order operation Ark 作:山川山
まさか、宝具化するという意見がここまで多いのは驚きでした。
いやー、ストレスで精神が虚無虚無プリンだったんですけど蓮君のカラミティストライク見たらテンション上がって書ききっちゃいました。
上を見れば空。
前を見ても空。
左右を見ても空。
後ろを見ても、もちろん空。
少し移動して下を見ると、草原や小さな丘が⋯ちょっと怖いな、これ。
「おかわり」
声に反応して振り返ると、オルレアンの城で見つけたイスに腰掛け、テーブルに肘をつき、これまた城で見つけた菓子類をつまみながら空になったティーカップをぷらぷらと振っている現時点での俺のマスター、竜の魔女ジャンヌ・ダルクがそこにいた。
「飲み過ぎではないか、マスター?これで十杯目だぞ?」
「いいのよ!さっさと新しい紅茶を注ぎなさい!」
⋯⋯怒られた。ティーカップを受け取ってティーポットから紅茶を注ぐ。
「そうそう、それでいいのよ。にしても、まさか貴方が紅茶を淹れるのも得意だとは驚きですよ、ライダー」
そりゃ、どうも。まさか、立香達がお菓子を持ってきてくれた時にラーニングした内容がこんなところで役に立つとはなー。
「⋯ふぅ、次の村まであとどれくらいだったかしら?」
「もうまもなくだろう。これだけのスピードで移動しているのだしな」
そう言って俺は自らに与えられ、そしてたった今俺達がその背に乗っている、他とと比べても一際大きなワイバーンを撫でた。
────数日前
「では、私が城を案内してあげます。存分に感謝してくださいね?」
何故か邪ンヌのサーヴァントとして呼ばれてしまったその数分後軽く自己紹介を済ませると、今いる城の案内をしてもらう事になった。
「ジャンヌ。城の案内であればこのジル・ド・レェが行いますが⋯」
「ジルはここに残って、他のバーサーク・サーヴァント達が戻って来た時のまとめ役を命じます。いいですね?」
「貴女がそうおっしゃるのであれば、従いましょう。どうか、お気を付けて…」
「任せました。では、行きましょう」
「ああ、了解した」
だ、大丈夫だよな?召喚されてしまったのは仕方ないとして少なくとも他のサーヴァント達との軋轢を生みたくないんだが…。邪ンヌと2人きりとか、あのジルが黙っているわけないだろうし、こちらを恨まないかが心p…
「コノヒップメガァァァァ!!」
「ん?何か言いましたか?」
「⋯⋯⋯いいや?」
うん。聞かなかったことにしよう。その後は割と普通に案内してくれた。俺が召喚されたのは残念ながらオルレアンが占拠された後だったため、オルレアンの被害をなくす事はできなかった。そのためこれからはどうやって邪ンヌによるフランスへの被害を抑えるかという話になってくるのだが⋯、ん?
「この部屋は?」
「ああ⋯、その部屋ですか。その部屋には、とある
「駄竜?」
案内の途中、魔術によって何重にも封印を掛けられている扉を見つけた。随分厳重な⋯、複数の封印術式に補強用の強化魔術、ついでにこれは魔力吸収の魔術に…空間拡張?他にも細かい魔術がひーふーみー…、少なくとも十や二十じゃ足りないな。にしても駄竜?
「私の戦力の殆どは竜で構成されています。その中でも特に強力な個体がいます。邪竜ファヴニールというのですが知っていますよね?」
「もちろんだ」
ファヴニールの名前が出てくるってことはそれ関連か?
「ファヴニールを召喚したとき思ったのです。一体でこれだけ強力ならばもう一体いれば最強なのでは⋯と。そんなわけで、二体目の召喚を私は試みたのです。触媒も贄となる魔力源も大量にあったわけですし」
「は?」
は?
「結果出てきたのは、出来損ないのワイバーン。それでもかなり強力な個体でしたし図体もデカかったので私に従えばそのまま使ってやったのに、あろう事か私に歯向かってきたんですよ!?その場で処分してやろうと思ったのですが、なまじ強力な分そういうわけにもいかず、こうして封印して少しずつ力を削ぎ、最後に処分しようというわけです」
「なるほど⋯」
失敗してくれててよかったよ、ホント。ファヴニールニ体とかなんつー悪夢だ。でも、邪ンヌに歯向かった?強力と言えど、たかがワイバーンが?
「少しも制御出来なかったのか?」
「ええ、全く。特殊な個体だった事が理由でしょうけど。効率を良くするために術式を改良したというのにおかしいですよね」
「⋯⋯⋯」
十中八九ソレのせいじゃね?えーっと、術式の変更による失敗の可能性は⋯⋯、96.8%か⋯。言わぬが花かな。そんでだ。
「特殊、というのは?」
「ワイバーンのくせしてデカくて強い。あと、ファヴニールの一部を触媒に利用したからか同じように紋章ができてるんですよ。だから、私は『ファヴニールの子供』とそいつを呼んでます」
へぇ、『ファヴニールの子供』⋯ね。
「そんなに興味が?何なら、挑戦してみますか?『ファヴニールの子供』に」
「ああ、そうさせてもらおう」
「ええ、ええ、そうでしょうとも。私が従わせられなかったのですし、貴方が怖気付くのも当ぜ……、今なんて?」
扉に触れて封印を全て解除する。聖杯のアレに比べたら簡単だな。完全に封印が解けたのと同時に扉を開け放つ。魔術によって拡張された部屋の奥、薄暗いそこにソレはいた。
「Gyaa⋯」
「はじめまして、『ファヴニールの子供』。私の
アークドライバー
───私の乗騎になってもらう」
「GURUAAAAA!!!」
向こうは準備が終わったらしい。では、こちらも⋯。
「変身」
アークライズ オール・ゼロ⋯
「GYAoOO!!!」
いきなり突っ込んでくるとか、動きが単調だ…なっ!
「ふんッ!」
「GAッ!?」
突っ込んだ勢いで、そのまま俺を吹っ飛ばそうとしたその鼻っ面に強めの蹴りを叩き込んで逆に吹っ飛ばす。硬ッ!
「Gaaa………」
『ファヴニールの子供』が距離をとってこちらの様子を見る。これってワイバーンにしてはかなり知能が高いのでは?
「いきなり何をしているのですか、ライダー!?」
「『ファヴニールの子供』への挑戦だが?」
「だが?じゃないわよ!私はまだ許可してないんだけど!?」
あー…、言われて見ればそうだな。でも、"ライダー"なのに乗騎がいないのはかなり辛いんだよ。多分、俺のスキル的には"他人を乗っ取る"という意味でライダー何だろうけど、ラーニング中にそれの疑似体験をした時は、こう…説明できない不快感がこみ上げて来たから極力やりたくはない。だからといってバイクとかを作っても、何だったら走った方が速いし、スキルを思う存分扱えている気がしないし、なんというか某NEVERのメタルの人みたいに"俺の乗騎ィィィィィ!"みたいなのを求めてたんだよ。そんな中で『ファヴニールの子供』とかいう自分の能力が許す限りで最上級の存在が出てきたら、そりゃあ、飛びつきたくなっちゃうよね。
「それについては謝罪しよう。だが、始まってしまったものは止められない。マスター、アレはワイバーンの行動としては普通か?」
「貴方、本当に…!…ハァ、もう!普通のワイバーンなら逆上して、こちらにもう一度突っ込んで来るはずです!そうでなく、こちらの様子を見る行為は少なくとも通常の個体よりは知能が高いと言えます!以上!」
「そうか。情報提供に感謝する」
やっぱりね。となると、俄然やる気が湧くな!って、あ?
「そもそも、アレはサーヴァント1体で倒せるものじゃn「GUOOO!!!」───ッ!?」
クソッ!壁壊して逃げやがった!今は空を飛ぶ手段がない。となると、これしか無いか。
アタッシュアロー アローライズ!
「撃ち落とす」
フルチャージ! カバンシュート!
「GYA!?」
翼を目標としたアタッシュアローによる狙撃は確実に命中した。
よし!アークの予測様様だ!後は最後の一撃だが…予測によると少し面倒なことになりそうだな。
「マスター、一緒に来てもらうぞ」
「は?ちょっと、待っ…!」
抵抗する邪ンヌを小脇に抱えて壁の穴から飛び出す。嫌がっている邪ンヌには悪いがこれが一番安全で確実なんだ。諦めてくれ。
「Guooo………」
『ファヴニールの子供』が口に魔力をどんどん溜める。確実にドラゴンブレスだ。さて、邪ンヌの出番だ。
「マスター、宝具の準備をしろ」
「はあ!?マスターに宝具を強要するサーヴァントがどこにいますか!?」
ここにいますが。
「そら、ブレスが来るぞ?一緒に焼け焦げたいのか?私はそれでも構わんが…」
「なっ…!じ、冗談じゃないわよ!だあああ、もう!これは、憎悪によって磨かれた、我が魂の咆哮!『
邪ンヌの宝具である旗には通常のジャンヌと同じく防御効果がある。1つ違う点は受けたダメージを複数の槍という形で物理攻撃に変換、数倍の威力にして相手に返すという点だ。つまりは…
「お返しよ!!」
アイツは串刺しになる。
「GUOAAAAA!!!」
ブレスの終了と同時に大量の槍が出現し、『ファヴニールの子供』を地面に縫い付ける。それでももがいて、突き刺さった槍を破壊しようとする。だが、これで…
「終わりだ」
オールエクスティンクション
宝具を発動して
オールエクスティンクション
エネルギー球が着弾すると家屋の5、6個は消せそうな爆発が巻き起こる。その爆風を利用して爆発の中心から逃れる。
「あれ、生きてます?乗騎にするのではないのですか?」
「問題無い。その程度の加減はした」
「加減してあれですか…」
いや、蹴ったり射ったりして翼膜以外はかなり硬い事はわかってるからね。邪ンヌの宝具も翼膜以外には浅くしか刺さって無かったし、あの位の爆発じゃ戦闘不能になりはしても治療すれば大丈夫だって。よし!回収しに行くか!
「では、マスター。アレの回収に行ってくる」
スッと私を地面に降ろして一方的にそう告げた後、それ以外眼中にないと言わんばかりに『ファヴニールの子供』へと向かって行った。
「はは…、アイツ本当に…」
離れて行くその背中を見ながら思わず呟く。まさか、本当に1人だけでどうにかしてしまうとは思わなかった。私がアレを封印した時だって、ジルの宝具に聖杯で魔力を供給した大量の海魔による物量作戦であの封印部屋に押し込んだのだ。もちろん火力に秀でる存在がその時いなかったというのもあるが、そんな存在をたった一騎でどうにかしてしまうというのはどれだけ規格外かは言うまでもないだろう。
「よっ…と」
立ち上がり、鎧についた土埃を軽く払ってライダーのもとへ向かう。ライダーは仰向けに倒れてピクリとも動かない『ファヴニールの子供』の頭付近に近い立っていた。
「どうかしましたか?まさか、殺してしまっていました?」
「いや、生きている。これは、死んだふりだ」
「はぁ?死んだふり?」
『ファヴニールの子供』から感じられる気配は死んでいるといっても過言でない程薄いが、ライダー曰くあくまでふりらしい。亜種とはいえ仮にも
「アサシンの気配遮断に近いな。まあ、私のスキルで看破出来るが」
そういうと、ライダーが片手で『ファヴニールの子供』の目の辺りに触れる。
「さて、我々はこれ以上危害を加えるつもりは無い。こちらの言っていることが理解出来るなら何らかの反応を示せ」
少しの間その状態が続く。こんな事に意味は無いと言おうとした時開かれたままだった瞳がパチリと瞬きをした。
「うわっ…、本当に生きてるじゃない」
「マスターはコイツを何だと思っているんだ?」
そうね…、飼い主の手を噛む駄竜だと思ってるわ。
「まあいい…。立てるか?」
ライダーが、そう問うと『ファヴニールの子供』が立ち上がった。
「なんだ。結構素直じゃないですか」
「もともとは、こうだったらしいな。先程とは呼吸や脈拍が段違いに穏やかだ。死んだふりという行動からして争いを好まない性格で、何らかの影響で暴走状態にあったらしい。ところで、マスター?コイツの召喚の際に術式を改良したと聞いたが、もしかしてサーヴァント召喚に使った術式を流用しなかったか?」
「ええ、使いましたが…。それが何か?」
「…いや、いいんだ。忘れてくれ」
「?」
何よ、気になるわね。
「では、治療を始めよう」
瞬間。『ファヴニールの子供』に対して魔術が発動し、みるみる内に傷や破れた翼が再生していった。
「驚きました。封印を解いたときもそうですが、キャスターでも無いのにそのレベルの魔術が使えるなんて」
「そうでも無い。特に今回はコイツの再生力にかなり依存した治療魔術だ。骨折や指の欠損程度なら治せるが、ここまでの傷となるともっと大掛かりな儀式や、今回のように相手側の能力に頼らざるを得ない」
ライダーが傷が治ったことを伝えるように『ファヴニールの子供』を撫でると、傷が治った『ファヴニールの子供』は嬉しそうに翼を広げ、撫で続けるライダーを受け入れた。
「随分と懐かれましたね」
「私が傷つけて癒やすというマッチポンプだと言うのにな。賢いやつだが、何処か抜けているのかもしれん」
もっと撫でろと言うようにライダーに頭を近づける姿は、体の大きさに反してまるで小型犬の様だ。私には噛み付いた癖にぽっと出の、しかもライダーに擦り寄るとは…、ちょっと燃やして…!
「……ター。…マスター?マスター!」
「えっ!?」
「大丈夫か?先程から反応が無かったが…」
「問題ありません!そ、それで何の話でしたっけ?」
「名前をつける?」
「ああ」
いや、いつまでも『ファヴニールの子供』だとなんか…、なんかじゃない?なんかこう言いやすい名前の方がいいでしょ?
「それは構いませんが…、なにか案はあるんですか?」
「それを考えてもらおうと、先程は声をかけたんだが…」
なんかいいの無いですかね?
「嫌ですよ、面倒くさい。自分で考えて下さい」
「むぅ…」
うーん、自分で言っておいてなんだけど…名前…名前かぁ。というかそもそも。
「お前、
「Ga?」
「どちら…。ああ、竜種に性別を問うのは無意味ですよ。単体で増えますし。精神的に…はわかりませんが」
マジで?あー、なら。
「精神的に…、いや、この際どっちでもいいんだが、雄であれば右、雌であれば左に首を降ってくれ」
雄か雌かだけでも結構名前は絞れるしな。まあ、こんだけゴツいなら流石に雄……、お前雌かよ!?
「ふむ、ならば…」
なにがいいかな…。ここフランスだし、フランスの女性名…。
「シャルロット、というのは「は?」…、どうした、マスター?」
あ、駄目でした?じゃあ別の「フフッ、アハハハハハハハハ!!!」!?
「アハハ!アハ…ケホッケホッ!あー、フフッ、私を笑い殺すつもりですか、貴方。それにしても…"シャルロット"ですか…。いいですね、センスありますよ。私達の軍勢にその名を持つものが居るなんて最高の皮肉です。ついでに、
は?7…あー、なるほど。合点がいった。
「では、今日よりお前の名前はシャルロットだ。略してシャルとでも呼ばせてもらおう。いいな?」
そう言うと『ファヴニールの子供』改めシャルは、言葉の代わりに頷くことで賛同の意を示した。
「終わりましたか?では、城に戻りましょう」
「ああ、了解した」
邪ンヌの後ろについて城に向かって歩いていくと、何かを思い出したように「あっ」と声を上げた。
「そうでした。
アレ?アレっていったい何…あっ。邪ンヌが指差す先にはポッカリと穴が空いていた。
「いいですね?」
「…了解した」
俺は修復のために進む方向を変えた。それと…。
「どこへ行くんだ?」
「GYO!?」
関係ないような顔をして邪ンヌと城に戻ろうとしていた
「お前も手伝うんだ。そら、行くぞ」
「KUuuN………」
犬か、お前は。シャルを連れて壊れた箇所へと向かう。修復が終わるまでにどうやって被害を減らすか考えるとしようか。
時系列的には
1,特異点発生&邪ンヌ、アーク様以外の召喚を行う
2,狂化鯖がオルレアン占拠
3,アーク様、事故によって邪ンヌの鯖に
4,アーク様、邪ンヌと共にフランスの侵攻()へ出発(今回のちょっと後)
5,カルデア組、フランスにレイシフト完了
といった具合となっております。
最後に少しだけ人物(?)紹介を
シャルロット(通称:シャル)
アーク様の乗騎。実際にはファヴニールの子供ではなく、触媒とか関係なく召喚された通常より巨大で強力なワイバーン。ただし、召喚の際に邪ンヌの改良した術式のせいで触媒(血と抜けた牙)との悪魔合体が発生してしまい、『悪竜現象』の条件が整いかけている…のだが、性格が圧倒的に邪竜に向いていないため発生する可能性限りなく0。もともと強力だったが、現在はさらに強力になっており。ランクは魔獣でありながら、実力的には幻獣クラスに届いている。人の言葉を話す事は出来ないが理解することはできる。
ちなみに、シャルロットが暴走していた理由はサーヴァント召喚の術式を流用した影響で中途半端に狂化がかかっていたからです。それがアーク様の宝具を食らって解除されました。ゲーム的に言うとゲージブレイクによって解除不可のバフが解除された感じです。