Fate/Grand Order operation Ark 作:山川山
アーク様再登場だとぉ!?
というわけでメンタルが回復したので急いで仕上げました。
見渡すかぎりの大草原を全力疾走する。全力疾走を始めてから既に数分経過しているが、呼吸が乱れるどころか汗1つかかずに走り続けられている。普通だったら血反吐を吐きながら這々の体になっているのだろうが、サーヴァントの体って便利だな。
「ん…」
前方の空にワイバーンの群れを目視で確認した。その中にシャルの姿を認識して、そのまま接近、ある程度近づいてから跳躍し、その背に飛び乗った。
「あら、思ったより早かったですね」
「まあな」
飛び乗ってすぐに邪ンヌから声をかけられた。それに返事をしながら変身を解除しようとドライバーへ手を伸ばした。
「宝具は解除しなくていいですよ。もうすぐ、次の場所に着きますから」
「そうか。了解した」
ドライバーから手を離す。確かに事前に見た地図と現在位置を照らし合わせるともうすぐだな。
「それで、どうでした?」
「どうとは?」
「魂ですよ、魂。どんな味でした?」
「そう言われても表現が難しいな…。食べたことがない味、という表現が1番しっくりくるな」
実際食べてないしね。
「なぁんだ。つまらないですね」
「マスターは私に何を求めているんだ?」
いや、食べたとしても魂の食レポとか絶対やりたくないよ、俺。
「ああ、そうそう。例のもの出来ましたよ。これです」
「ほう…、これが」
手渡されたのは1枚の布。見た目はなんの変哲もないが、解析をかけると…。
「凄まじい呪いだな、これは」
「当たり前じゃないですか、複数の英霊が協力して作ったものですよ?」
総合的にみて、少なくともAランク以上。これならば…。
「…そろそろみたいですよ」
邪ンヌがシャルの背の前方に移動する。それについて俺も前に出ると街がもうすでに見えていた。
「手っ取り早く済ませましょう、ライダー!」
「了解した」
オールエクスティンクション
さーて、今回の住民はどのくらい……ッ!?
「マスター、今すぐここから離れろ。シャル、マスターを頼んだぞ」
「Gya!」
「ちょっ、ライダー!?いきなり何──!」
シャルの背から飛び降りる。シャルをはじめとするワイバーン達がこの場から離れて行くのをはばたく音で確認しながら、すぐさま宝具のチャージを開始する。早く溜めきらないと
「来るか」
空へと立ち昇り、雲を貫く魔力の奔流が現れる。今にも振り下ろされようとしているそれに合わせてこちらもチャージの終わった宝具を振り下ろした。
オールエクスティンクション
上空でそれらがぶつかり合い爆発が発生する。ギリギリなんとか相殺は出来た様だ。
(ライダー!無事ですか!?)
(問題無い。無傷だ。ところで、マスター)
ほぼ確定だが一応確認しておこう。
(この町の名は?)
(リヨンです。それが何か?)
(いや、確認したかっただけだ)
やっぱジークフリートさんかぁ…。念の為、援軍を頼んでおくか。
(マスター、援軍を頼みたいのだが…)
(ええ、相手はなかなかの宝具を持っているようでしたからね。そういうと思ってもうすでに送りました)
マジで?それは、ありがたい。そう思っていると近くでサーヴァントの反応を感知した。早いのはすごいが、随分反応が薄いな。アサシンか?宝具のぶつかり合いで発生した土煙でよく見えないが…。
「そこのお前。出てこい」
「………」
ファントム・オブ・ジ・オペラ?そういえば、邪ンヌ陣営か。このタイミングで召喚されていたんだ。
(驚いたな、マスター。新しいサーヴァントを召喚していたとは)
(え?してませんよ?)
「何?」
思わず声が出る。じゃあ、何でここに───ッ!
「……お前」
振るわれた爪を紙一重で避け、距離をとった。邪ンヌが召喚したのではないとするとコイツ…。
「土地に召喚されたサーヴァントか」
「おお…この地にクリスティーヌの声は無く、醜き唸りが満ちている。故に私は唄おう。君のあるべき
ゴッ!という音を立てて巨大な十字架がファントムを打ち据え、吹き飛ばす。
「最後まで言わせてやっても良かったのではないか?」
「戦場で隙を晒す方が悪いってー…、んん。殴りやすそうだったので」
「………」
ねえ、酷くなってない?言い直した方が酷くなってない?これが狂化か…。いや、でも援軍がマルタだったのはラッキーだ。
「とりあえず、そちらは任せても構わないな?」
「ええ、そっちのとは
ようやく土煙がはれると、そこには剣を構えたジークフリートが立っていた。
「決まりだ。最後に1ついいか?」
「何よ?」
うん、上手くいくかはわからんがパッと思いついた…というか元々あった配役の見方を変えるだけだけど…。
「殺すな」
「はい?それは、構わないけど…」
頼みました。狂化で気分がハイになって殺さない事を祈っておこう。
「それじゃ、私は行くわね」
「待て───ッ!」
「お前の相手は私だ」
ファントムを追いかけに行ったマルタを止めようとしたジークフリートを重荷電粒子砲で牽制する。
「セイバーとお見受けするが?」
「いかにも、貴様は…アーチャー?」
「ハズレだ。今回はライダーとして現界している」
事前予測のための時間稼ぎに少し会話をする。アーチャーも行けると思うけどね。弓も銃も持ってるし。まあ、それは置いといて、バルムンクとは幾らアークの装甲が硬いからといって素手では打ち合いたくないな。
サウザンドジャッカー
「無駄話をしたな」
「いや、構わない。だが、疑問がある」
「何だ?」
「魔力の乱れからしてもう1人はおそらくクラスとは関係無く狂化しているのだろう。だが、貴様は魔力の乱れも無く、会話でも狂化や精神を操作されたような気配は無い」
「つまり?」
「何故竜の魔女に与する?」
話しても良いんだけどね。それは、今じゃないから。
「それに足る理由があるとだけ言っておこう」
「そうか」
互いに得物を構え直す。
「行くぞ」
「来い」
剣と槍が衝突する。
「行くぞ」
「来い」
先に動いたのはライダーだった。一瞬で距離を詰めてから手にした槍のような武器での振り払いをバルムンクで受け止める。
「ッ…!」
重い、鍔迫り合いのような状態になるが、押し返せない。単純な膂力ではあちらが上か!
「ガハッ…!」
いつの間にか槍から離していた片腕で腹部に一撃を叩き込まれる。剛腕の一撃は
「─────ッ!」
自身の技術、周囲の状況、全てを利用して勢いを殺す。剣を地面に突き刺してどうにか止まったときには、街の外では無く、街の防壁を突き破って街の内部に入っていた。
「硬いな、その鎧は」
壊れた防壁の瓦礫の向こう、発生した土煙の中から声が聞こえた。瓦礫を踏み越えライダーが姿を現す。
「現界してから、2番目に硬いものだ」
「光栄だ」
嘘偽りの感じられないその言葉に、素直な感想を述べる。これ程の力を持つ存在にとっての2番目ならば、かなりの評価だ。
「続きと行こうか」
ライダーが足元の人一人分の大きさはある瓦礫を複数蹴り飛ばす。先程の一撃から
「なっ─!?」
回避不可の瓦礫を破壊した瞬間、視界が閃光に覆い尽くされる。何が起きたかは明白だ。魔術による目眩まし、単純だが効果的なそれに思わず目を瞑る。
「──ッ!」
何とか視力が回復するまで聴力に意識を傾ける。布のようなものが落ちる音、そして何が硬いものが地面に突き立てられる音が聞こえる。
JACKRISE!
視力が回復して最初に見えたのは、黒い魔力を迸らせたライダーの槍だった。何かしらの呪いが付与されているようだが、その程度の呪いならば───
「少し足りないか?」
一瞬、槍のまわりの空間が陽炎のように歪む。次の瞬間、溢れ出した黒い魔力は先程のそれとは桁違いだった。
「ッ!『
「遅い」
良くて相殺、悪くても相討ちを狙って宝具を起動するが、既に番えられた矢と、これから番えようとする矢ではやはり前者のほうが早かった。槍を突き立てられた腹部に、鋭い痛みが走る。そして───
JACKING BREAK
全身に異質な魔力が駆け巡る。凄まじい激痛が走り、体が呪いに侵されたことがわかる。そこで俺の意識は途絶えた。
いや、やばいねジークフリート。ノーガードのところに攻撃叩き込んでも怯まない程防御硬い上に、攻撃も強いとか…、武器を作成して挑んだのは正解だな。じゃなきゃ、腕の一本は持ってかれてたかもしれない。にしても、んー…、反応ではこの辺なんだけど…。あ、見つけた。
「随分と飛んだな」
ジャッキングブレイクの威力で城まで飛んでいってしまったジークフリートを瓦礫を退かしながら探して数分。ひょっこりと出てきた腕を引っ張って、瓦礫の山からジークフリートを回収する。呪いは…、うん、正常に…いや、やり過ぎたな。効力を弱めたいが…今は無理か。とりあえず、それは後で考えよう。そろそろ、マルタのほうも…。
「待たせたかしら?」
「いや、今終わったところだ」
ファントムを肩に担いたマルタが現れた。ナイスタイミングだぜ!
「では、もう少し奥に…」
「待ちなさい」
ゴンッ!という鈍い音を立てて俺の横に巨大な十字架が叩きつけられる。
手に持った十字架をこのアークとかいうやつの横に叩きつける。私の放つ殺気を気にも止めないといった感じで平然と言葉を発した。
「何のつもりだ?」
「こっちのセリフよ。アンタ、何するつもりなの?コイツを殺すななんて変な事も言って。まさか…」
「まさか…、何だと言うんだ?」
ッ…あー、まわりくどいわね!
「いい?わかってんの?それをやろうとしてもあの竜が相手なら勝てるはずが無い。そもそも、私が竜の魔女に報告すれば…!」
「だから、これらのサーヴァント達を殺さずに生かしておいているのだろう?それに、報告だのと言っているがそれはお互い様だ。お前がオルレアンでコソコソ住民を逃していたのを私が知らないとでも?」
「な、何でそれを…」
「私の感知機能を嘗めないでもらおうか」
ルーラーでも無いのにそのレベルってもう反則じゃない!いや、でも知ってて報告しなかったってことは…
「目的は同じって事?」
「そういう事だ」
ハァ…コイツ…
「狂化されて無いって聞いてたからどんな殺人狂かと思ったら、とんだタヌキじゃない…」
「お前の狂化したふり…いや、実際に狂化されてはいるのだろうがそれに耐え続けたのも素晴らしいと思うぞ?先程は遂に狂化に耐えかねたかと排除も考えた程だ」
「オルレアン以外はアンタが担当したから、自分を抑えつけることに集中できたしね。それに、こっちは仮にも聖女って呼ばれてるのよ。何としても耐えなきゃ、その名が廃るわ」
お互い、考えてる事は同じって事でとりあえず一安心ね。
「で、どうするの?あの竜、ファブニールに勝つ見込みは?」
「私が自滅覚悟で戦闘することも考えたのだがな。幸い、この男がいる」
そういうと肩に担いたサーヴァントを一瞥する。
「誰なの?そのサーヴァント。確かにタラスクが怖がってたし竜殺しの英霊なんでしょうけど…」
「戦闘で宝具の真名を聞いたのだがな。ファブニールと言えば、という英霊だ」
ハァ!?そんな、都合よく…いや、あり得るわね。ファブニールなんてのが召喚されてるんだもの。当然と言えば当然ね。
「奥に進むって事はここに匿うってことでしょう?竜の魔女からはサーヴァントの気配は丸わかりだと思うけど」
「呪いで弱体化させ、サーヴァントとしての気配は希釈している。加えて、気配遮断用の結界を張る事で更に隠蔽を強化する。これで、気取られる事は無い」
「…アンタ、
「普通にライダーだが?」
本当に異常ね…。
「じゃあ、ちゃっちゃと済ませましょう。どこに運ぶの?」
「それは、これから見繕う。ついてきてくれ」
マルタさんが最初っから抵抗してたのは知ってたから、あまり心配は無かったけど、流石に少しビックリした。とりあえず、丁度いい部屋を見つけるとしよう。
「ふむ…、ここで良いだろう」
しばらく、城内を探索すると少し大きめの部屋を見つけた。元はこの城の主の私室だったのか他の部屋よりも作りがしっかりしていて、何よりその部屋を守るように結界が張られていたのがその部屋に決めた理由だった。この結界を少し改造すれば十分にサーヴァントを隠しきることができるだろう。
「っ…と、ここに降ろして置くけどいい?」
「ああ、協力に感謝する。先に戻っていてくれ」
「わかったわ。…任せたわよ」
「承知した」
それじゃ、始めましょうかね。掌握開始、お、割と完成度高い術式だな。んと、こことここを弄りまして、んで、あれとそれをくっつけて、新しく術式を書き足して…こんなもんか?起動…、問題無いな。後は、ファントムとジークフリートに申し訳程度の治療魔術をかけて、ファントムの側にジークフリートを守ってくれだとか立香についてとかを書いた手紙を置いておいて…良し!
「仕上げだ」
部屋から出てそこから離れるよう歩く。
「このあたりでいいか」
オールエクスティンクション
程よく離れたところで、宝具を発動する。威力は5割程、魔力を収束させて放つものではなく、全方位への衝撃波による無差別攻撃。ジークフリートのような高耐久のサーヴァントを仕留めようとした際には火力不足だが、今回の狙いそこじゃない。
「離脱、だな」
ガラリガラリと大規模な破壊をもたらされた城が崩れ落ちる。先程の部屋も本来ならば崩れるのだろうが、魔術で補強しているから問題ないだろう。
「…………」
タックルで積もった瓦礫をぶち破って外に出ると城が半壊しているのが見えた。
「…戻るとするか」
「ここからは別行動を取らせてもらう」
戻ってきて早々、正確には戦闘の顛末を報告したあとにライダーはこう言った。
「駄目です。どうして貴方は言うことなすことそんなに突然なのですか」
間髪入れずに答える。まったく…、何を考えているんだか…。
「それに関しては謝罪するが、別行動はマスターに対しても悪く無い話だと思うぞ?」
「はぁ?」
どういうこと?
「マスターの目的はフランスを物理的に破壊すること。村や街を潰すのは私一人でも可能だ。だが、それだとせっかくのサーヴァントとファブニールが宝の持ち腐れだ。ならば、ここで二手に別れるのが得策だと思うが?」
なるほど。確かにライダーの言うとおりだ。せっかく召喚したサーヴァントを横に侍らせておくだけというのもおかしな話だ。
「…わかりました。先程の発言を取り消します。ライダー、ティエールへと向かいなさい。あそこはまだ攻め落していなかったはずです」
「了解した。となると、マスターは…ラ・シャリテか?」
「ええ、そうなります。移動時間は…お互い一日程ですか。吉報を待っていますよ?」
「…ああ、善処しよう」
シャルへと騎乗したライダーが少しづつ離れて行く。さあ、私も出発しよう。復讐を果たす為に。
なんかあっさりジークフリートさんがやられちゃってますけどこれには理由があります。
ジークフリートさんはいわゆるはぐれサーヴァントなのでしばらく活動できるだけの魔力の他は食事による自家発電しか無いのでかなり力が制限されています。対して主人公は聖杯からの魔力供給を受けているのでそりゃあもう強いです。なのでジークフリートさんはあっさり負けました。
ちなみに、主人公が現界してから1番硬いと思ったものはマシュの盾です。
作者の感想としては、目に見えて文の質落ちてるぅ…てことですかね。