Fate/Grand Order operation Ark   作:山川山

3 / 18
タグを変更しました。なぜか前まで仮面ライダーアークゼロと仮面ライダーアークワンって書くとエラーが出てたんですよね。


第3話 英雄/素顔

───ということでして』

「なるほどな、つまりお前さん達はこの状況をどうにかしたいってわけだ」

 

アークが新しいサーヴァント、キャスターを連れて帰って来てからしばらく。私達はちょっとした休憩の傍ら、キャスターからこの特異点の情報を聞き、こちらの事情を話した。キャスターの話から、この冬木と呼ばれる場所ではかつて聖杯戦争と呼ばれるサーヴァント同士の戦いが行われ、それが今もなお、歪んだ形で続行されているとの事だった。

 

「予想の域を出ねえが、こんな状況に成った原因は聖杯戦争だ。それを終わらせなけりゃ、何をしたって意味ねえんじゃねえの?」

「じゃあ、さっさと聖杯戦争を終わらせちゃいましょう。こっちにはサーヴァントが3騎もいるのよ?楽勝じゃない。キャスター、サーヴァントはあとどれくらい残っているの?」

「…ライダーは召喚に不備があったのか自壊、ランサーとアサシンは今しがた嬢ちゃん達が倒した。残っているのは、キャスターの俺、そしてセイバー、アーチャー、バーサーカーの4騎だ。居場所もわかっている」

 

所長は新たな戦力を得てやる気満々だ。今すぐにでも出発しそうな勢いがある。休憩ももう終わりかな。

 

「マスター。何か不調はないか?」

 

アークが私に声をかける。うっ、そ、それは…

 

「大丈夫だよ。今すぐにでも「嘘だというのはわかっている。正直に話せ」

 

どうやら隠し事はできないみたいだ。観念して正直に話す。

 

「うん…。実はさっきの戦闘から体がずっと痛くて」

 

動くのに支障が出るほどじゃないけど、針を刺されているような痛みと異物感が全身にある。

 

「わかっているんだろう?ロマニ・アーキマン。一応こちらでも解析を行なったが、マスターは今どうなっている?」

『召喚と戦闘時のサーヴァントへの魔力供給、礼装の使用によって使われたことのない魔術回路がいきなり稼働したことによる負荷だね。可能なら仮眠程度でいいから休んで欲しい』

「こちらも同意見だ。今マスターに必要なのは前進ではなく休息だ。」

「ねえ。そろそろ残りのサーヴァントの討伐に向かおうと思うのだけれど」

「いや、予定変更だ。オルガマリー・アニムスフィア。マスターを休ませる。マシュ・キリエライト。マスターを抱えて運んでくれ。キャスター。何処かいい場所はないか?」

「わかりました。アークさん」

「いい場所ってほどじゃないが、ここよりはマシな場所があるぜ。ついてきな」

「もう、仕方ないわね」

「あ、あの…」

 

一瞬で私が休む方向に話が進んでいく。私は完璧に蚊帳の外だ。早く特異点をどうにかしないといけないのに…

 

「早くどうにかしないといけないのに…などと考えているのではないか?」

「っ…う、ううん。そんなこと、ないよ?」

 

アークは数瞬こちらをみつめると、今にもため息をはきそうな雰囲気で話し出す。

 

「いいか、マスター?私達、サーヴァントにとっての燃料はなんだ?」

「えーと、魔力?」

「そうだ。いくらカルデアからの魔力供給があるとはいえ、それだけでは効率が悪く、戦闘となれば、少なからずマスターの魔力も必要だ。そして、体調や気分は魔力の生成や魔術の行使にも影響する。あとは、わかるな?」

「…うん」

 

アークが休まなかったときのデメリットを述べる。一見、アークが自分のために言っているように聞こえるが、きっとなんとしても私を休ませるために言っているんだろう。

 

「ならばいい。マシュ・キリエライト。頼んだ。」

「はい。失礼します、先輩」

「うわわっ」

 

ちょっ、マシュっ!お姫様抱っこって!

 

「?どうかしましたか?先輩?」

「な、なんでもない…」

「準備はできたか?んじゃ、行きますかね」

 

もう、どうにでもなれ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、ん」

 

目が覚めた。いつの間にか寝てしまったようだ。カーテンが閉じられていて薄暗いからよくわからないけどここはベッドの上?確か、マシュに抱っこされて…

 

「起きたか。マスター」

 

アークの声が聞こえてそちらを見ると閉じられていたカーテンが開かれる。黒い髪、赤い瞳、左手に鞘に収められた太刀を持った人がそこには立っていた。……………誰?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発してから、しばらくして、ちらりとマシュに抱えられている立香を見ると、すぅすぅ寝息をたてていた。にしても、さっきの立香はわかりやすかったな。思わずマジかと固まってしまった。だが、こちらの戦闘におけるパフォーマンスの低下は、即、死につながる。立香にはしっかり休んで英気を養ってもらわねば。

 

「ついたぜ。ここだここ。」

 

見えてきたのは半分ほど崩れた学校跡だ。

 

「一時期拠点に使ってた場所でな。見た目はちとボロいが、ルーンで補強してある。ここらだと一番の場所だ。ま、ケツから数えても一番だがな。」

 

かなりボロいと思うが、雨風がしのげるだけでもありがたい。早速中に入って、元は保健室だと思われる部屋のベッドに立香を寝かせて、近くにあったソファに座る。

 

「ロマニ・アーキマン。マスターの様子に変化があれば教えてくれ」

『もちろん。しっかりこっちでモニターしておくよ』

「ねえ、ここのお手洗いって機能してるのかしら?安心したら、ちょっと…、その…」

「ああ、それなら部屋を出て右に真っ直ぐだ。どういうわけか水は流れるから安心しな」

「所長、いかに、キャスターさんの拠点内とはいえ単独行動は危険です。わたしも、同行させていただきます」

「ええ、お願いねマシュ」

 

所長とマシュが部屋を出ていき、部屋の中には寝ている立香、俺、キャスニキの3人になる。

 

「さてと、これからどうするよ?」

「まずは、マスターが目覚めるのを待つ。その後、様子をみて戦いに挑むのというのが私のプランだが、その前に…」

 

キャスニキの質問に自らの意見を提示する。そして、これが一番重要だ。

 

「マシュ・キリエライトの宝具を使用可能にする」

 

残酷だが、これが出来なきゃセイバーになんか勝てはしない。

 

「なんだよ。あの盾の嬢ちゃん、宝具使えないのか?」

「いや、そうと決まったわけではない。もし既に使用可能ならば本番前の試運転ということにすればいい。だが、使えないのならば、テコ入れの必要がある」

 

あー知ってるのに、召喚されてからの判断材料がないから断言出来ないのつらい。

 

「確かにな。いざというときの宝具(きりふだ)がなけりゃ、こっからの道のりはきついか。よし、わかった。こっちでも何かうまい方法を考えておく」

「ああ、そうしてくれ」

 

多分スパルタかな。スパルタだろうなぁ。

 

「ただ今戻りました。キャスターさん、所長が何やらお話があるそうですよ」

「キャスター。ここに来るまでにいくつかルーンが摩耗しているのが見つかったわ。その修復と他の場所の点検を頼みたいのだけれど」

「げっ…、マジかよ。案内してくれ」

 

キャスニキとマシュが入れ替わる。何か面接みたいだ。そこからしばらく無言の時間が流れる。先に話を切り出したのはマシュだ。

 

「その、アークさんの予想通りです」

「…聞こえていたか」

「はい」

 

立香が起きてから話そうと思ったんだけどな。

 

「わたしは、宝具が使えません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたしは、宝具が使えません」

「やはりな」

 

アークさんに自身の欠陥を打ち明ける。デミ・サーヴァントとして覚醒してから十分な戦闘を経験した。死を…覚悟するほどの経験もした。それでも、宝具は、わたしの中の英霊は答えてくれない。わたしは…

 

「わたしは、先輩のサーヴァント失格です…!」

 

人として、未熟。英霊として、半端。胸が張り裂けそうで、それを耐えるために強く手を握る。わたしは…!

 

「ふむ…。ならば、心して聞くといい。マシュ・キリエライト」

 

顔を上げて、アークさんをみる。赤い目の仮面(かぶと)に遮られて、表情はわからないが、重要なことを言わんとしているのはわかる。その目をしっかりとみる。

 

「お前は、英雄ではない」

 

その一言を聞いた途端、崖から突き落とされたような感覚がした。暗い水底へ、自分が沈んでいく姿を幻視して、息をするのがひどく難しく感じる。

 

「いや、()()英雄ではない、か。お前は、お前の中にいる英霊の体現ではなく、あくまでその力を扱う者だ。それは、不安定で不完全だが、だからこそ前に進み、成長することができる。お前は英雄ではない。その英霊のことを理解し、その意志を尊ぶことは重要だが、お前が至るべきはお前の中の英霊ではない。盾の英雄(シールダー)、"マシュ・キリエライト"。良いも悪いものみこんだそれこそが、お前の至るべき姿(えいゆう)だ」

 

藁にもすがる思いで伸ばした手を掴まれ、水面に引き上げられる。もちろんそれはただのイメージに過ぎないが、先程の息苦しさはなくなった。それと同時にアークさんがドクターや先輩と同じなのだと気付く。わたしをヒトと英霊の融合体(デミ・サーヴァント)ではなく、しっかり"わたし"としてみてくれている。ドクターのときは少しずつ理解したから、先輩のときはすぐその後にいろいろありすぎたから、でもこれはだめだ。さっきとは別の意味で胸が張り裂けそうだ。

 

「まて。マシュ・キリエライト。何故泣く?」

「い、いえ、なんでも、ありません。」

『ただいま。今ちょっとコーヒーを取りに行っててって、マシュ!?なんで泣いてるんだい!?まさか、君のせいかいアーク!例え英霊だとしてもマシュを泣かせるのは僕がゆるさないぞ!』

「違う。落ち着け、ロマニ・アーキマン。確かに私にも多少非はある。だが、私はただアドバイスを…」

『問答無用!』

「ふふっ」

 

いかにもできる上司のような風格を持っているアークさんがドクターに何も言い返せない姿に思わず笑みがこぼれる。ああ、わたしは、本当にいい人たちに出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから誤解を解くのに、というか説教が終わるのにしばらく時間がかかった。結局何も言い返せなかったぞ。マシュに助けを求める視線を送ったけどいつの間にか泣き止んでてニコニコしてるだけだったし…はぁ。

 

「今、戻ったぜ。いやー出るわ出るわ。思ってた以上にダメになってたぜ。………なんかあったか?」

「つ、疲れた。あら?マシュ雰囲気変わった?」

「おお、言われてみれば…いい面構えになったな盾の嬢ちゃん」

 

わかる。なんかスッキリした顔してるよね。

 

「そんな事ありませんよ。少しいい事はありましたけど」

「ふぅん、いい事ねぇ。てか、顔といえばよ、お前さんいつまでそれつけてるつもりなんだ?」

「…私か?」

「お前以外誰がいるんだよ…」

 

変身解除できるのか?これ。あー待てよ。確か、ラーニングした内容の中に、体が作ってあるだのなんだのってあったような…。

思い出した。あったね、そんなの。

 

「いいだろう。少し待て」

 

座っていたソファから立ち上がって、腰についたアークドライバーを外す。アーマーがどろりと溶けてそのほとんどはアークドライバーに吸収されるが、一部は残留して服の形に形成される。和洋折衷のなんかかっこいい服装だ。何故か左手に太刀も形成されている。ガラスで顔を確認すると、瞳が赤いという相違点はあるが、男性主人公のイケメンフェイスがそこには映っていた。

 

「なかなかいいだろう?」

「ケッ、自分でいうことかよ」

「なんだか変な服装ね。一瞬、誰だかわからなかったわ」

「わたしは個性的でいいとおもいますよ?」

 

痛い、マシュの優しさが心に刺さる。おのれアークゥ!!お前のせいで俺の評価が微妙になってしまった!!あ、いや今はアークって名乗ってるから微妙な評価なのはアークか?でも、アークは俺で、俺がアークで…うーむ。

 

『アーク。立香ちゃんが起きるみたいだよ』

「う、ん」

 

どうやら立香が起きたらしい。というか、結構騒いたのによく寝れたな。

 

「起きたか。マスター」

 

さあ、その寝ぼけた瞳になにを映す?俺だぁ。感想を述べよ。ハリー!ハリー!

 

「……………誰?」

 

───立香(ブルータス)、お前もか




変身解除後の主人公は、ゼロワン最終回の滅の衣装を着た、赤い瞳のぐだお(cv速水奨)をイメージしてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。