Fate/Grand Order operation Ark   作:山川山

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頑張ってこのペースを保ちたい…


第4話 信頼/感謝

「ごめん!アーク!」

「いや、構わない。気にするな、マスター」

 

俺は許すよ。マスターの立香にすら誰?って言われたのは悲しかったけど。俺は許すよ。待って、やっぱ泣きそう。

 

「うっし、全員揃ったところではじめるか!」

 

キャスニキの言葉を聞いて全員が外に出る。決戦前の模擬戦、つまりマシュの宝具の訓練だ。

 

「最初は厄寄せのルーンでも使おうと思ったんだがよ、やめだやめ。せっかくこんだけサーヴァントがいるんだ、使わなけりゃ損だろ?」

 

ふーん、そういう方向にシフトしたのか。なるほどね。

 

「それは、私とお前がマシュ・キリエライトの相手を務めるということか?」

「そういうこった。ハンデとして、そこのマスター適性だけない(呪いにかかった)女を味方につけてもいいぜ」

「呪いっていうなぁ!頭きたわ。マシュ、藤丸やるわよ!」

「先輩、所長が今までにないほど本気です」

「あれだけ煽られたら当然だと思うの私だけかな」

 

立香、大丈夫。俺も思ってる。まあ、そんな茶番は置いといて。

 

「では、はじめようか」

 

そういって、俺は左手に持った太刀を抜刀する。

 

「なんだよ、あれつけねえのか?」

「私のスキルで大幅に魔力消費を抑えているとはいえ、あれは、私の宝具のひとつだ。それなりに魔力を消費する。戦闘となればなおのことだ。そんなものを使って、決戦前にマスターの魔力を無駄に消費させるつもりか?」

 

まあ、実際はただのこの状態でどこまで動けるか知りたいだけなんだけど。

 

「くらいなさい!」

 

所長が石のようなものを投げてくる。マシュと立香が盾の後ろに隠れていて、所長が手で目もとを隠しているということは…

 

「キャスター。目眩ましだ」

「わかってるってーの!」

 

キャスターが杖の石突で地面を突くと樹木が生えて壁を形成し、閃光を遮る。頭上でパリンッと何かが割れる音が聞こえると、キラキラ光る粉が降ってきて、体の動きがやや鈍る。これは?

 

「拘束の魔術を付与したものよ。サーヴァントにどこまで効果があるかわからないけど今のうち。マシュ!」

「了解、突撃します」

 

マシュが樹木の壁を飛び越えて、攻撃を仕掛けてくる。それを太刀で防ぐ。重っ!

 

「キャスター!」

「こっちもとりこみ中だ!」

 

キャスニキを見ると、所長と魔術の撃ち合いをしている。割と本気のキャスニキと撃ち合うとか所長どんだけ!?

 

「瞬間強化!」

「ッ!ふんっ!」

 

立香のサポートによって強化されたマシュの力をどうにか受け流す。次はこっちの番だ。

 

「ハァ!」

 

鞘もまじえた擬似的な二刀流で連撃を行う。が、盾に阻まれて有効な攻撃をあたえられない。

 

「緊急回避!」

 

ヤバッ!これ、アサシンのときの確殺コンボじゃん!

 

「くっ…」

 

やや無様だが倒れるようにして攻撃を回避する。予測やその他機能を使っていないとはいえ…、いや、これは言い訳か。だとしても、殺意高くないですかね?

 

「…凄まじい成長だな。マスター。マシュ・キリエライト」

「そうかな?えへへ、やった!」

「ありがとうございます。先輩やアークさんのおかげです」

 

うん、美少女たちが喜んでる姿を見れてお兄さんは嬉しいよ。というか、あっちは魔術の撃ち合いをしてる割には静かだな。

 

「キャアアア!」

「所長!?」

「いやー、やっぱキャスターは性に合わないわ。近づいてやり合う方がいい」

 

キャスターが投げ飛ばしたらしい所長を、マシュがキャッチする。これで仕切り直し…、いや、この感じは大詰めかな?

 

「さて、盾の嬢ちゃん。全力で守れよ?じゃねーと、治療すらできねーからな」

「え?」

 

キャスニキの魔力がぐんと高まる。

 

「焼き尽くせ、木々の巨人『焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!!」

『うわわっ!宝具だ!アーク!早く助けに…!』

「いいや、助けない」

『えぇ!?』

 

ここで助けたら意味がない。これを乗り越えることに意味がある。

 

『君は、君のマスターや仲間を見捨てるのかい!?』

「いいや、見捨てるわけではない。私はただ…」

 

そう、俺はただ…

 

「私はただ、彼女達を信じているだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───『焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!!」

 

キャスターが宝具を使用すると、木でできた炎を纏った巨人が現れる。

 

「アツ!」

「先輩!所長!早くわたしの後ろに!」

 

マシュの言う通りに私達が移動すると、盾と魔力による防御で私達を守ってくれた。それでも熱を感じるということは、本来はどれだけ熱いことだろうか。

 

「オラオラ!そんなんじゃセイバーの攻撃を防げねぇぞ!」

「くっ…うぅ…!」

「マシュ!応急手当!」

 

炎の巨人がマシュの盾に触れると、何かが焦げるような匂いがして、マシュに礼装の回復機能を発動する。でもそれは、ただ事態を先送りにしているだけだ。助けを求めようとアークをみると、アークはただこちらをじっとみつめていた。それは、何かを期待しているみたいで。

 

───私達が信じられないか?

 

ああ、そうか。たった今、あの言葉の意味がわかった。アークはきっと、信じているんだ。私を、私達を。ならば、応えなくちゃいけない。アークの仲間として、そして、マスターとして!

 

「うっ…ぐぅ!」

「先輩!?」

 

マシュと一緒に盾を支える。盾が炎に熱せられていて、盾に触れている手は確実に火傷をしているだろう。でも、今はそんな事関係ない!

 

「マシュ、頑張って!私も、アークも、所長も、ドクターも、皆、マシュを信じているから!」

「っ!はい!先輩!やああぁあ!!!」

 

マシュと私で巨人の手を押し返す。手の火傷はいつの間にか治っていた。ちらりと後ろを見ると所長が手のひらをこちらに向けて何かを繰り返し唱えている。そして、火傷による痺れがなくなった今、さらに盾を押し出す。

 

「「はああああああ!!!」」

 

私とマシュの声が重なり、私の右手が赤く、マシュの盾が青く光る。そして、私の赤い光が消えると同時にマシュの盾の光が強くなり、盾の前に青く光る結界のようなものが浮かび上がる。結界に押し出された炎の巨人は、仰向けに倒れると炎に焼かれて消えていった。

 

「やり…ましたよ。せん…ぱい…。わたし、宝具を…」

「うん…、みてたよ…マシュ。すごく…綺麗だった」

 

宝具と宝具のぶつかり合いに参加したせいか、それとも緊張が途切れたせいか、私も、マシュも意識が遠のいて地面に倒れる…前に誰かが私達を支えてくれた。アークだ。そして、どんどん意識が薄れるなかで、その言葉はやけにハッキリ聞こえた。

 

「見事だ。素晴らしい宝具だったぞ。立香、マシュ。」

 

あ……名前………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マシュの宝具が発現したあの戦いから少しして、気絶した立香をもう一度ベッドに寝かせ、そのとなりのベッドに同じく気絶したマシュを寝かせた後、俺は、ことの原因に説教をしていた。

 

「キャスター、あれはやりすぎだと本当に理解しているのか?」

「フォウ、フォーウ!」

「いや本当に悪かったって。魔術を撃ち合ってたらだんだん滾ってきちまって、それで…な?」

「…わかった。もういい」

 

本当に反省してるのか?まあ、かれこれ1時間ぐらいやったからもういいか。さて、今はそれよりも…

 

「そろそろ頭の上から降りてくれないか?」

「フォーウフォ(特別意訳:やーだね)」

 

今、俺の頭の上で、ぐてーっとしているのはカルデアのマスコット兼霊長の殺人者(プライミッツ・マーダー)。ビーストⅣのフォウ君だ。彼(?)は、俺が召喚されてから一度も俺の前に現れたことはなかったが、立香とマシュを運んでいるときに突如現れ今の位置に落ち着いた。そして、彼の特徴として、人間の競争と成長、妬みや悔しさを糧とすることで獣として覚醒するのだが彼はそれを望んていない。だけど、大丈夫?今の俺の体多分そういうものの塊だよ?

 

「フォウフォウ、キャーウ!フォフォウフォウ、フォウフォウフォ(特別意訳:最初出てきたときは、いろいろ垂れ流しのなんかヤベー奴が来た!と思ってマシュの盾の中に隠れてたけど、さっきピカッとしてからそういうの一切なくなったんだよなー)」

「ふむ。全然わからん」

 

原因としてはマシュの宝具か?あれは、将来的に対悪宝具になるものだ。何をもって対悪なのかはわからないが、"悪"に"対"する宝具なのだから、真名開放されていないとはいえマシュの盾を通して召喚されている俺の中にある悪意を封じ込めることぐらいはできるのでは?

 

「はっ!あ、あれ?私、生きてる?」

「ああ、ここはあの世ではない。オルガマリー・アニムスフィア」

 

さすが、所長。魔力欠乏からの回復も早い。立香とマシュを寝かせた後、いきなりぶっ倒れたのは驚いたが、しっかりキャッチしてベッドがないからソファに寝かせた。診断の結果は大量に魔術を使ったことによる魔力欠乏でしっかり休ませれば大丈夫とのことだったので余っていた枕を置いたりや布団をかけてあげた。あのとき所長が立香に回復をかけ続けてくれなければ、立香は死んでたかもしれないからね。その恩返しだ。

 

「感謝する。オルガマリー・アニムスフィア」

「え?いきなりなんのこと?」

「マスターだ。助けてくれただろう?」

 

しっかりと声にして伝える。多分所長ってこういうことが少なかったから変にこじらせてるのでは?

 

「…そんな事いちいち気にしなくていいわ。藤丸が死んだら私が生き残れないから助けた、それだけよ」

「それでもだ。お前がマスターを助けたことは変わらない。もう一度言う、感謝する。オルガマリー・アニムスフィア」

「っ〜〜〜!わかった!わかったわよ!」

 

所長がかかっている布団を払って、立ち上がる。

 

「………跪いて」

「何?」

「いいから早く!」

 

なんでいきなり…。あっ身長か。俺が片膝をつくとまるで騎士とその主のような構図になる。

 

「アニムスフィア家当主の名において、その感謝の意を受け取ります。魔術に疎い貴方にはわからないでしょうけどこれはとても光栄なことなのよ?」

「ああ、重ねて感謝しよう」

 

ちょうどその時、部屋の扉が開かれた。

 

「おう!………何やってんだ?ま、いいや。偵察終わったぜ。バーサーカーの姿が見えなかったのが気にかかるが、他は変わらねぇ。嬢ちゃん達の目が覚めたら行くとしようや」

 

あの説教の後、偵察に行っていたキャスニキが帰って来た。こっちも早いな。そして、バーサーカーがいない?魔力消費が多すぎて自壊したのかな?とにもかくにも、いよいよこの特異点での最終決戦だ。気を引き締めていこう。




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