Fate/spring blade (仮名) 《Fate×SAO》   作:クロス・アラベル

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prologue ラストです。


prologue ⑦

 

 

「どう?キャスター!」

「___ダメです、気配遮断スキルを使っているようです。微かな魔力の残滓を辿っていましたが、もうとっくにそれも見えなくなりました___」

 

その後。

キャスターとアリスによる捜索は2時間程続いた。

しかし、一向に見つからない。

あの数分足らずで完全にまかれた。

「____っ」

悔しげに唇を噛むアリス。

 

「マスター、このまま探し続けても見つからない。一度撤退を___」

「____そう、ね」

2時間探し回っても見つからなかった。

これ以上探しても無駄足なのではないか。キャスターはそう言いたいらしい。

客観的に考えればそうだ。

いつものアリスなら確かに、捜索30分で撤退を選んだだろう。

 

だが____被害者が自分の幼馴染と来れば、耐えられなかった。

 

「後、一周。あと一周回ったら帰りましょう。セルカも心配してるだろうし、和人のことも心配よ。」

「___彼の治療は、成功したのでしょう?マスター」

「ええ。けど、無事に家に帰れてるか分からないし、あんなことに遭ったばっかりだから動揺しているでしょう?」

「…そうですね、流石の彼でもそうなる」

 

しかし、キャスターの言葉で冷静になれたアリスは条件を付けて撤退することを決めた。

 

 

「____ダメ、か」

「仕方がありません。悔しいですが、予定通り撤退します。いいですね?マスター」

「ええ。けど、一度学校に戻ってくれない?和人、まだ起きていないなら彼を運んであげて欲しいの」

「分かりました」

その十分後、街の捜索も虚しくアサシンを見つけることは叶わなかった。

ならば、一度学校で今も倒れたままかもしれない和人の様子を見に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

「_______いない」

「意識を取り戻して、家へと帰ったのでは?」

「うん、そうだと思うけど…でも、サーヴァント同士の戦いを見てしまったから、暗示をかけようと思ってたの。あのことを忘れるように……って。暗示は完全に忘れさせることが出来ないから、一時的に思い出させないように仕向ける程度だし、記憶消去の魔術を習得するまでその暗示で我慢しようって思ってたけど…」

夜の学校。

和人が倒れていたはずの廊下には、血だまりの跡が出来ていたが、和人の姿はなかった。

 

魔術は秘匿されるべきものであり、この聖杯戦争は秘密裏になされる予定だったのだが、予想外の一般人の介入の為に彼を殺すか、記憶を消すかの二択を迫られている。アリスは勿論、後者を選んだが、彼女自身記憶消去の魔術は会得していない。故にそれまでの応急処置としての暗示を選んだ。

 

「キャスター、帰りましょう。多分和人も家に帰っているようだし、一度引いて……ちょっと和人には悪いけど、家に忍び込んで和人に暗示をかけましょう」

「はい、では跳びます」

ええ、とアリスは返事をしてキャスターにお姫様だっこされて学校を去った。

 

 

 

 

 

「_____」

キャスターがアリスを抱えて街を跳ぶ中、アリスは物思いにふける。

無関係の和人が殺されるような目にあった。

確かに、どんな理由であれ学校にあんな時間まで残っていた和人は悪くは無い。しかし、アリスとて悪い訳では無い。

ただの偶然。

ただ、偶然彼が居合わせてしまっただけ。

運が悪かった、で済ませられる事。

だが____

「___ごめんなさい、和人」

言葉では言い表せないほど、自責の念にかられていた。

 

と、その時。

 

『______っ、マスター!!』

「な、なに?」

いきなり念話_____頭の中に大きな声でキャスターに呼ばれてアリスは自分の世界から帰ってきた。

『サーヴァントの反応ありです!!それも先程と同じ魔力!』

「_____行って!!もう次は逃がさない……決着をつけるわよ!」

先程_____即ちアサシンがいるという事だ。

アリスはアサシン打倒を即決。

キャスターは全速力で魔力反応へと向かって跳んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「____あと、200メートル!!」

その数分後。

アサシンを追って跳んで来た。

あと少し。

キャスターは道路に降り立ち、全速力で走り出した。

「____、相手がアサシンだった場合は遠慮なく叩き斬って!!」

「勿論___!!」

霊体化を解き、走る。

『何処にいるか分かる!?』

『少し開けた場所____公園でしょうか』

アサシンの拠点がそんな所にある訳が無い。

アリス自身がマスターならばもっと人目に付きにくい場所に陣取るだろう。

故に_____

『____どうして、公園なんかに…?』

純粋に疑問だった。

 

 

 

その時、キャスターの足が止まる。

その件の公園へ辿り着いた。

その公園にはアサシンらしき魔力の反応があった。

「さぁ___ここで決着を___」

 

すると_____公園が、何かによって、白く染った。

光だ。

何かの強烈すぎるヒカリ。

まるで、その場に太陽が降りてきたかのような。

「______」

「____これ、は…」

アサシンらしき魔力が____別の魔力に打ち負ける。

アサシンという力が、別の何かに消されていく。

 

「まさ、か____」

アリスの頭によぎる、可能性。

サーヴァントが人間に負けることは無い。故にアサシンというサーヴァントに勝てるものなど______ひとつしか有り得ない。

可能性ではない。

これは紛れもない事実だ。

 

『チィッ_____!!』

舌打ちをしながら公園の垣根を飛び越えて何処かへと消えていくアサシン。

まるで_______何かから逃げるように。

「____キャスター、これって___」

「___六騎目のサーヴァント、のようです」

 

つい先日。

キャスターを召喚した直後、アリスは聖杯戦争の監督役である教会___そこで修道女を務めているとある女に連絡を入れた。その時、その修道女は言った。

 

『_____そう、これで五人目ね』

 

と。

という事は、まだ正式には聖杯戦争は始まっていない。

アリスのキャスターが五騎目のサーヴァント。ならば____後、二騎はまだ召喚されていない。

聖杯戦争においてサーヴァントは必ず七騎召喚される。この数を超えることは絶対にない。

 

という事は、今____その眼前の公園で六騎目のサーヴァントが召喚されたということだ。

 

直後、キャスターがアリスを庇って左腰の剣の柄を手に取る。

 

「マスター、下がって下さい!!」

「____え?」

 

暗闇。

月が雲に隠れる。

街の街灯だけが辺りを照らす中。

公園の____2mほどの垣根を飛び越えて、何かが襲いかかって来た。

 

「_____ッ!!」

 

『_______!!』

 

キャスターが抜剣し、その何かの攻撃をギリギリで弾く。

銀色の、まるで流れ星のような輝き。

それが剣閃だということにアリスは気が付かなかった。

 

「_____はァッ!!」

『_____やァッ!!』

 

キャスターは現れたそのナニカ_____敵サーヴァントの速さに恐怖した。

 

そのサーヴァントの剣筋は、目で追うことすら叶わない。

キャスターは騎士としての勘だけで斬り結んでいた。

まさに、神速。

速さだけならば______サーヴァントのトップレベルだ。

光を捻じ曲げるほどのその刺突はキャスターに焦りを生み出させた。

 

「ッ、_____!!」

『ッ、はァッ!!』

直後、キャスターの斬撃を間を縫って____流星のように、刺突が繰り出される。

剣では防げない。

故に_____

 

「____っ!!」

鎧の篭手で防ぐ。

『____!?』

 

通常のサーヴァントの攻撃を防具で正面から防ごうものなら防具ごと破壊されて攻撃を受けるだろう。

しかし、その速さが功を奏したか。

純粋なパワーが、足りていなかった。一撃は、比較的軽い。速さに重きを置きすぎて、一撃の重さが足りていない。

それ故に、篭手で防ぐことが出来た。

 

「はァァァッ!!!!」

『っ___!!』

止まったその剣撃。

キャスターはその隙を逃さず、斬り払う。

敵サーヴァントは後ろへ跳んで躱し、5mほど距離をとった。

睨み合うキャスターと敵サーヴァント。

 

雲に隠れていた月が顔を出し、辺りが微かに照らされる。

 

甘栗色の長い髪。

白とピンクを基調としたドレスと、それを控えめに守るように添えられた鎧。

そして、右手に携えるは細剣(レイピア)

可憐な顔立ち、そして美しいその髪と同じ色の瞳。

 

「______《最優の剣士(セイバー)》のサーヴァント___」

零れたのは、嘆息か。

彼女の美貌への嫉妬か。

それとも_____圧倒的過ぎるその存在感への恐怖か。

 

「______凄まじい腕だ、セイバーのサーヴァント」

 

純粋に敵サーヴァント___セイバーに賛辞を送るキャスター。

 

『____どうもありがとう、キャスター。けれど私が欲しいのは賛辞の言葉じゃないわ』

「召喚された直後に敵将の首を欲しがりますか。これはこれは、随分と野蛮ですね」

『そちらも、サーヴァント同士の戦いに入ってこようとしていたようだけど』

「それは偶然です。私達が用があるのは___貴方が相手をしていたアサシンです」

 

剣を構えたまま、言葉を交わす二騎のサーヴァント。

会話からは察せない、闘志が2人から滲み出ている。

 

「_____ 」

相手にするのは完全に初見のサーヴァント。

それは向こうも同じだが、やはりここは体勢を立て直して___

と、アリスは考えを巡らせていた。

その時。

 

「お、おい!待ってくれよアンタ!!」

 

公園から誰かが出てきた。

アリスと同じブレザーの制服___血が滲み、赤く染った___を着た黒髪の少年。

「お、お前何やってんだよ!あんな奴に近付いたら殺されるんだぞ!」

大きな声で、サーヴァントの肩を掴む。

『__敵サーヴァントの前です。油断はしないでください、マスター』

「はぁ?さーばん…?それより、そんな物騒なものは下ろしてくれ。俺は全く話が呑み込めないんだよ…!」

『……マスター?』

「だから____」

二人で噛み合わない会話を始めた。

それを聞いてアリスは察した。

いや___その声を聞いて何となく、完全に理解出来た。

誰がセイバーのサーヴァントのマスターなのか。

何故この状況を理解出来ていないのか。

 

「_____俺には名前があるんだ、それで呼んでくれよ!()()()()()って!」

 

彼の名前は桐々谷和人。

アリスの幼馴染にして_____つい2時間前、アサシンに殺されかけ、アリスが命を救った相手だった。

 

「___待って、キャスター。一旦剣を下ろして」

「ま、マスター。しかし……」

「いいの。和人、全然状況理解出来ていないもの。だから___」

 

 

「危険です、マスター!お願いですから下がって___」

「___あーもう!!だから何が何だか俺にはてんで理解出来ないんだよ!」

 

「なら___私が説明してあげるわ、和人」

 

「え?」

未だ言い合っている二人に声をかける。

いきなりの声に驚いて振り向く和人。

 

「こんばんは、和人。まったく____こんな時間に何してるのよ」

 

アリスは溜息を零しながら和人にジト目でいつものように声をかけたのだった。

 

 

 




次回からは視点変わります。
あと、書き貯めしてた話なので次回からペースが亀さんになります。
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