Fate/spring blade (仮名) 《Fate×SAO》   作:クロス・アラベル

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日常が崩れ落ちる音(The sound of everyday collapse)

和人視点です。
時間軸的には、アリス視点の3日目…prologue ④の日の話になります。



The sound of everyday collapse ①

 

 

「この命は君のものだ。君を守るために使う」

 

これは夢の中。

どこかも分からないし、その場所は複雑ではあるけれど懐かしく思えた。

 

誰かを抱きしめる。

その誰かが愛しくて、その震える身体を包み込む。

その誰かは____

そんな俺を見て、儚げに微笑んだ。

顔は見えない。

名前も知らない。

でも彼女は確かに、俺の愛した人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じりりりりりりりり____という癇に障る騒音で現実に引っ張られた。

 

「______んぁ」

 

煩いなと思いながら瞼を開ける。

その音は俺が自分のスマホに設定しておいたアラーム音だった。

「…もうそんな時間か」

 

重い瞼を擦りながらスマホのアラームをオフにする。

珍しく変な夢を見た。内容は、イマイチ覚えていないけど。

不味い。昨日ゲームに没頭していたからか、すごい眠気だ。確か、2時過ぎに寝たはずだから、5時間は寝たことになる。

いやまぁ、充分だろと思う俺がいる。

 

多分、妹の直葉は既に剣道部の朝練へ行っているはずだ。何せ高校1年にして大会レギュラー入りが確定している、我が校きっての実力者だ。今年の夏の大会では優秀な成績を納めてくれるだろう。兄として鼻が高い。

なので朝はいつも一人。母さんも昨日は泊まりがけで仕事だと言っていた。

朝食は…どちらかと言うと、今日は和食な気分なので白ご飯を食べたい所存。

 

と考えながら時計を見る。

その時計は_____8時半を示していた。

 

「____はぁ!?」

なぜだ____俺はいつもアラームを7時にセットしている。だからついさっきアラームが鳴ったので今は7時の筈なのだが。

パッとスマホを見る。そこにはスヌーズ、と表示されていた。

もしかすると俺はアラームを止めるのでなく、スヌーズにして何度も寝ていたと思われる。

___我ながら恥ずかしい。

 

アラームがなっているのにろくに起きずに二度寝三度寝を繰り返していたのか___?

高校のホームルームが8時50分から。その時間に席に居ないと遅刻扱いになってしまう。出来るだけそれは避けたい。何せ俺の成績は良いとはお世辞にも言えない。中の下と言ったところだが、油断すれば落ちるところまで堕ちてしまう。

 

「不味い不味い不味い!!」

ベッドから飛び起きて寝間着から制服へ着替えてカバンを手に、急いで自室から出てリビングへ。朝食をゆっくりとる暇など無く、本当に食パンをかじりながら家を出る羽目になった。

 

学校まで歩けば30分、走れば20分を切るか否かと言ったところだ。家を出る寸前に時計を見ると35分だったので、たった五分で家を出たらしい。

「むぅ、ゅっばい___!」

 

トーストをかじりながら走る。いつもなら絶対に間に合わないが、全力疾走すればもしかするかもしれない。

全く、朝から全力疾走とは運が悪い。

 

いつも一緒に登校している筈の幼なじみ二人とその妹はもう既に登校したようだ。スマホにはそれらしいメッセージが届いていた。パッと見ただけではあるが。

俺は心の中でうおおおおお、と雄叫びを上げながら全力で歩道を駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、ぜー、ぜー、ぜー______し、死ぬぅ…」

 

14分という新記録をたたき出した俺は足早に教室へ。

俺の教室は2階、2年3組だ。

ようやく階段上りきり、本当にギリギリ辿り着いた。

 

「「あ、和人!!」」

 

と、聞きなれた幼なじみの声を聞いた。

「何やってるんだよ和人!僕らいつもの時間より10分も待ったのに全然来ないじゃないか!」

「そうよ!まさかまた夜中までゲームしてたんじゃないでしょうね?」

「うげ……なんで、わかる、んだよぉ…」

 

俺の幼馴染、ユージオとアリス。

物心ついた頃からの腐れ縁である。まぁ、いつもはこの二人と一緒に学校まで来てるのだが、俺が寝坊してしまったので2人とアリスの妹であるセルカと一緒に登校したらしい。

「なんでって、当たり前でしょう?10年以上幼馴染やってれば普通にわかるわよ」

「和人の事だ。どうせ限定クエストがどうとかって言ってたんだろう?」

「ヴッ…」

 

流石幼馴染。なんでもお見通しという訳だ。この2人には嘘をつこうと無駄なのは分かっているので否定はしなかった。

「だってさ…昨日はクライン____もといゲーム仲間と限定クエスト言ってたんだよ。何せ月一の奴だったから、ミスれないし…あと、アイツ社会人だから…」

クラインは少し前にゲーム内で知り合ったゲーム友達だ。社会人らしく、こうやってマルチクエストに誘える機会も限られてくる。

「それは別の日にでもできるでしょう?特に今日は小テストがあるんだから…!」

「いや、今日までだったからs____え?今なんて?」

「?」

「いや、今小テストって…」

「…まさか和人、小テストのこと忘れて勉強してきてない、なんて言わないよね?」

「……」

ダラダラと汗が出る。小テストのことを完全に忘れていた。

 

「…確か、あれ3限目だったよな?なら一、二限目使えば…!」

「一、二限目潰す気なのかい君は…」

「…出来なくもないわ」

「アリス…?」

「よし、そうと決まれば早速___」

 

『ホームルームを始めます。皆さん、着席してください』

「…ほ、ホームルームの後にな」

丁度担任のアズリカ先生が教室に入ってきた。

仕方が無い、ホームルームの後に一夜漬け____いや、2時間漬けを敢行するとしよう。

 

 

 

 




彼にとっての日常は穏やかそのものだった。
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