Fate/spring blade (仮名) 《Fate×SAO》 作:クロス・アラベル
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「和人、アズリカ先生呼んでたわよ」
「アズリカ先生が呼んでた?」
「うん。あなた、何かやらかしたんじゃないでしょうね?」
「いや、そんな事は_____ない」
「和人、何故返事するのに間が空いたのかな。それ自信ないんじゃ…」
「……やっぱり、今日の小テストについてか…?」
「有り得そうだけど、先生日直のあなたに頼みたいって言ってたわ。早めに行ってきたら?」
「あー……そだな。行ってくるか。ユージオ、ありがとな。この続きはまた明日にでも」
「うん、わかった。待ってるね」
「いや、待たなくていいよ。先に帰っておいてくれ。多分時間かかるだろうからさ………多分、俺がこの前日直の仕事完全に忘れてたこと根に持ってるんだよ」
その日の放課後。
アリスは帰り際、担任のアズリカ先生に「日直の桐ヶ谷さんを呼んできて下さい」と頼まれ、教室にいるであろう和人の元へ向かった。
アリスの予想通り、彼は教室でユージオと一緒だった。
和人はユージオに勉強を教えて貰っていたらしい。
教室を出る和人。
「…じゃあ、帰りましょ。随分と遅くまで残ってたのね、二人とも」
「まぁね、和人が珍しく勉強を教えて欲しいって言ってきてさ。ならいい機会だと思って、みっちり教えてたんだ。和人も別に馬鹿な訳じゃない、どちらかというと頭良い方だし、あとはやる気の問題だからね」
「ふぅん……和人が勉強を、ねぇ」
珍しいものもあるものだ、とアリスは思った。
外はもう日が落ちようとしている。
夕日に照らされた教室で席に座り、外を眺めるユージオはいつもより、儚く格好いいとアリスは感じた。
少し、顔が熱くなっているのに気付いてブンブンと首を振る。
時たま、今のようにユージオは言葉では言い表せないほどに格好良く見える瞬間がある。
アリス自身、幼馴染でいつも一緒だったからなんとも思わなかったが、ふとした時に気づく。
____ああ、彼はとんでもなく格好いいんだな。
と。
「_____さ、早く帰りましょう!早くしないと日が落ちちゃうわ」
「_____あ、そうだね。そうしよう」
二人は教室を出ていった。
「〜♪」
商店街でアリスは一人、エコバックを片手に鼻歌を歌いながら魚屋さんへ。
『今夜の夕飯の買い出しですか、マスター』
「うん、今日は何にしようかしら………うーん…」
念話で話しかけてきたキャスターに周りにおかしく思われない程度に返事をするアリス。
「あ、姉さん!」
「?」
魚屋で何を買おうか悩んでいると、後ろから声をかけられた。
「あ、セルカじゃない。今から帰り?」
「うん!もしかしたら姉さんここで買い物してるかなって思ったら、ドンピシャだったわ!」
声をかけたのはセルカだった。同じく学校帰りらしい。
「そう、買い物終わったらすぐ家に帰るから。先に帰ってる?」
「一緒に買い物いきましょ、姉さん!」
「そうしてくれるとありがたいわ、セルカも一緒なら悩まずに済むかも………ね、キャスター?」
最後にアリスがそっと小声で言うと、セルカは「あっ」と口を塞いで同じく小声で聞いてくる。
「あ、キャスターもいるの?」
「ええ、念話はマスターとしか出来ないから」
「そっか、じゃあ早めに買い物済ませましょ、姉さん」
「勿論、早く帰って夕飯の支度をしましょう」
そのまま二人で商店街を周り、買い物を済ませた。
「________それでね、珪子と一緒に勉強してたの。図書館に居残って長く続けてたからちょっと遅くなっちゃった」
「受験勉強は順調みたいね、セルカ。まぁ、焦らずに頑張りなさい」
「うん!」
帰り道。
日も暮れて、辺りは暗くなってしまった。
二人でセルカは1つ、アリスは2つの買い物袋を持って坂道を行く。
アリスや和人、ユージオ達の家は坂道を登った上_____丘の上の住宅地にある。
この道はもう慣れたものだ。
登りもそこまで辛い訳ではなかった。
二人で楽しく談笑しながら坂道を登っていた時_______キャスターが二人に声をかけた。
「_____マスター、セルカ。魔力反応を感知しました。恐らくは、昨日の魔力の残滓と同じです」
「____!!」
「えっ…!?」
霊体化を解き、実体化するキャスター。周りに誰も居ないことを確認してのことだった。
いきなりの警告に驚く二人。
「_____セルカ、先に帰って。重いだろうけれど、荷物をお願い。私、行くわ」
「うん……姉様…あの、…」
「大丈夫よ、私にはキャスターがいるから。さあ、早く!」
「___はいっ!」
セルカに荷物を任せて、アリスは坂道のガードレールへと歩く。
「キャスター、お願いね」
「はい、失礼します」
短く言葉を交わして、キャスターはアリスをお姫様抱っこした状態で、街へと跳んだ。