名バ列伝『グレートエスケープ』【完結】   作:伊良部ビガロ

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※ちなみに実在の団体・人物と関係は一切ありませんぞ!


第21話 踏み出す恐怖

 騎手というものは基本的に先約優先となっている。

 確かに実力がある騎手には期待馬や素質馬の依頼が多くかけられ、結果として勝利もしやすくなる。

 だがしかし、実力があればいいというものではない。いくら腕があろうと、馬の力が足りなければ勝つのは難しい。

 そんな世界で実力はあっても横暴とか、馬主や調教師との人間関係を軽視した振る舞いをしていればいい馬はいずれ回ってこなくなる。

 結果として、毎年全国リーディングジョッキーランキングのトップ10に入る梶田健二も例に漏れず、俺より先約の馬に乗ることになった。

 

「むぅぅぅ……わかっている。わかっているが、ケンちゃんはなんで俺を選んでくれないんだ」

「仕方ないよエッちゃん。ずっと同じ人が乗ってる方が珍しいくらいだし」

 

 馬房でむっしゃむしゃとご飯を食べながら愚痴るとダンスパートナーさんは慰めてくれた。

 GIではなく、ケンちゃんが乗る予定のシルクジャスティスも、俺も先のGIを見据えたGIIなのだから先約を優先するのはわかる。

 とはいえ、だ。

 仮にも日本ダービーやジャパンカップといった大きなレースをコンビで勝利したのだから、それを差し置いて優先してくれてもいいじゃないか。

 

「今回だけは……」

 

 とか言ってくれたってバチは当たらなかったんじゃないか。

 やっぱり若いからか? 若い子の方がいいのか?

 将来性があるから若い子の方を今のうちに乗っておこうってことなのか?

 

「納得いかない……」

「エッちゃんなんだか子供みたい……可愛い……」

「大人気ないのはわかってるんですけど! デビューからずっと乗ってきた戦友ですよ。その戦友が1歳年下のどこの馬の骨ともわからん奴を優先するんですよ! これが怒らずにいられますか!」

 

 むっしゃむっしゃ飼葉を食べきると、ご馳走様でしたとばかりに桶を叩く。

 厩舎スタッフの白村が「美味しかったか?」と撫でてくれたのでお礼のつもりでぶるるっと嘶いた。

 すると、隣の馬房がダンスパートナーさんの場所だが、もう反対側の隣の馬房から返事があった。

 

「エスケープ先輩ッ、エスケープ先輩! エスケープ先輩次は京都大賞典で復帰するんですよね! 僕すっげえ楽しみです!」

「スペシャルはどうしたんだ急に」

「え? いや、なんか元気づけようと思ったんです、僕!」

「元気か。怒りで一周回って元気だよ、俺は」

「そうだったんですか!? 僕気づかなかったっす! すげえっ、こうやって周りを欺いていくんだなぁ……てっきり僕、エスケープ先輩は怖がってると思ってました!」

 

 ぴく、と耳が動く。

 少し離れた馬房でやり取りを聞いていたらしい1歳下や同い年、年上の僚馬たちがぶつぶつと語り合っていた。

 

「オイオイオイ、死んだわアイツ」

「ほう、厩舎の看板にしてボスのグレートエスケープさんに煽りですか……大したものですね」

「死んだわアイツ……」

 

 俺のことそんなに怖がってるの?

 ただ2歳で入厩した時にいた先輩はダンスパートナーさんを除くとかなり減ってしまった。

 よく考えたら2年くらいしか経っていないのにな。

 時が経つのは早いと言うべきか、厩舎にいる競走馬の入れ替わりが早いと思うべきか。

 とにかく周囲の先輩からスペシャルに対するこいつやったわみたいな雰囲気が出ていた。

 

「で……誰が怖がってるって?」

「エスケープ先輩ですよ。やっぱり怪我をして本調子じゃないのに、元々乗ってくれていた騎手も乗らないから不安なのかと思ったんです」

 

 アホっぽく見えて中々鋭いらしい。

 あんまりにも明け透けな言い様と、自分でも無意識に無視していた感情をぴたりと言い当てられて、恥ずかしい思いに駆られた。

 俺は誤魔化すようにそっぽを向いた。

 

「別にそんなんじゃない」

「そうですよね! エスケープ先輩がそんなことで怖がらないですよね!」

 

 まともだと思ってはいたがこいつも大概……と思ったが俺は何も言わずにいた。

 そんなこんなで脚の調子も問題ないため、追い切りが始まったが、夏競馬のこのシーズン、騎手たちは東北や北海道にいる。

 そのため厩舎に所属する調教助手の白村が跨って走るのだ。

 最初こそ騎手に比べて重いし動きづらいしで好きではなかったがここまで来ると慣れたもの。

 今日はウッドチップコースで馬なりに走るよう指示が出ていた。

 

「よっし行くぞ!」

 

 馬なりというのはジョッキーが追ったりムチを叩いたりせずに走ることだが、俺が勝手に速度を出せばその分早くなる。

 とりあえず今日は徐々にスピードをあげられるように脚に力を込めた。

 ウッドチップ、つまり木片を踏みしめる音が心地いい。

 すっかり競走馬として走るのが好きになってしまった自分に違和感がなくて、久々に人を乗せて走る感覚を素直に楽しんでいた。

 栗東のウッドチップのコース、通称CWコースは6Fと結構な距離がある。元気になり、馬なりとはいえ病み上がりだと中々スタミナにくるコースだ。

 脚に痛みがないことを確認するとスピードを徐々に上げていく。

 なにもベストタイムを出すつもりはないが、遅いタイムを出しても仕方ない。しっかりと力を込めて6Fを走り切った。

 だいぶ良い感触だ。再入厩後の1本目の追い切りかつ馬なりと考えると良く走ったほうじゃないだろうか。

 コースから引き上げ、白村が俺から降りて黒井先生と話す。

 俺の感触とは裏腹になんともいえない表情を白村は浮かべており、黒井先生も腕を組んで難しい顔をしていた。

 

「イマイチですね」

「イマイチやな」

 

 あるぇー?

 とはいえ、半年以上調教から離れていたことはなく、初めての体験をしている。

 白村も、黒井先生もそこまで深刻そうな顔はしていなかった。

 

「まぁ、怪我明けて最初やしな」

「馬も気持ちがまだ入ってないんでしょう。反応にずぶさもあります」

「せやな。また少しずつ強くして、2週間前にはダンスパートナーと併せるで。あくまで京都大賞典は叩き台やし、レース感覚を取り戻してもらえばそれでええ」

 

 気持ちが入ってない、感覚をとりもどせばそれでいい……なんだか二人がまるで俺がそこまでやる気を出していないような口調で、少し引っかかる。

 とはいえタイムに出ていないのなら口で言っても仕方ない。

 今日のところは馬房に戻ると、ダンスパートナーさんが嬉しそうに話しかけてきた。

 

「ねぇエッちゃん聞いた? 京都大賞典が復帰戦らしいけど、私も出走することになったんだよ! 去年のジャパンカップ以来だよ!」

「去年はダンスパートナーさんは結構レース間隔も狭くて大変そうでしたからね。今回はお互いに疲れなく挑めますよ」

「その通りその通り! 本当はGⅠレースで一緒に走りたかったけど……」

 

 本当は今年の宝塚記念で一緒に走る予定があった。

 しかし俺が骨折したことでそれは叶わず、ダンスパートナーさんはマーベラスサンデーとバブルガムフェローに遅れて3着という結果だった。

 次の京都大賞典では真剣勝負が出来る。それが楽しみだった。

 

「エッちゃんの復帰戦だけど容赦しないからね~?」

「もちろん。負けても惚れないでくださいね」

「えぇー……もう、惚れてるけどな……」

「そうなんですか?」

「ごめん今の無し!! 無し!! 冗談だからね!! ち……がくはないけど、そういうわけじゃないからねっ!!」

 

 隣の馬房からスペシャルウィークの「ダンスパートナーさんってエスケープ先輩のこと好きなんですね! すげえっ、ダービー馬の先輩すげぇっ! オークス馬も惚れさせてる!」と空気を読まずに褒めて? 煽って? とにかくヤジがとんできた。

 ダンスパートナーさんは恥ずかしそうに馬房の中に引っ込んでしまったので、俺は寝藁を噛んでスペシャルウィークに投げつけた。

 

「それ食ってろ」

「ふぁい」

 

 もぐもぐと本当に食べだしたが俺は突っ込まなかった。

 とにかく、ダンスパートナーさんとのレースだ。GⅡとはいえ万全の状態で戦いたい。

 そして、ケンちゃんが乗るシルクジャスティスとかいう年下の奴にも簡単に負けていられない。俺は闘志を燃やした。

 そんな俺の熱意とは裏腹に、調教タイムは中々良化しなかった。

 今回はCWを単走で一杯に追われながら6Fを走った。自分の中ではかなり力を込めて走り切ったはずだったが、実際の調教タイムは平凡……もちろん、GⅠレースに出走するだけのタイムは出せているが、勝ち負けしていたこれまでと比べると明らかに遅い。

 最初こそ杞憂だろうという雰囲気だった白村と黒井先生も流石に難しい表情をしはじめた。

 

「リズムはいいんですけどね。反応はしてくれているし、あくまで乗り手の合図で動いてますから」

「純粋に速度が出えへんな。筋肉の戻りも今年の春とまではいわんが去年の勝っとった時期くらいはあるんやが」

「あと3週間で京都大賞典ですね……」

「まぁ、レース使えば変化はあるやろ。あくまで大目標はジャパンカップ連覇、京都大賞典と天皇賞で態勢を立て直すつもりでいくんや」

「大目標はジャパンカップなんですね、有馬記念じゃなくて」

「凱旋門賞に挑むはずだったダービー馬が力を見せるならジャパンカップしかないやろ」

 

 次の週からはダンスパートナーさんと併せ馬をすることになった。

 栗東トレセンの坂路を駆けあがっていく。

 普段のほわほわとしたダンスパートナーさんは真剣な表情で俺を追走し、しっかりと先着している。

 何度も併せ馬をしたことはあるが、ダンスパートナーさんはこんなに速かっただろうか。

 

「ふっ……ふうっ……はぁー……息の入りはいいはずなんだけどな」

「……エッちゃん、まだ脚が良くないの?」

 

 引き上げる途中でダンスパートナーさんは不安げに尋ねてきた。

 

「そんなことはないですよ」

「……きっと不安だと思うけど、大丈夫だよ! 何かあったら私に言ってね!」

「……ええ」

 

 彼女の励ましに取り繕い切れずに、ぽつりと答えた。

 脚に痛みはない。ただ、繰り返しの追い切りで感じたのは前ほど動きが良くないという感覚だった。怪我というものは、アスリートにとって非常に厄介なもので、競技に参加できなくなるだけではなく、その後のパフォーマンスにも関わるという。

 骨折や靭帯損傷に至っては体の感覚の違いや動きの変化で思うように動けなくなってしまうのが、恐ろしいところ。

 ひょっとして、いやひょっとしなくとも、俺もそういう状態に陥っているのだろうか。

 徐々に生まれてくる焦り。

 そして迎えた京都大賞典前の最終追い切りではレースで騎乗するジョッキーが跨ることになった。

 

「おはようございます」

 

 厩舎にやってきたのは全国騎手リーディングを5年連続で獲得している天才騎手、滝カナタだった。

 これまでダンスパートナーさんの追い切りに乗るところを見たことはあるが、当然俺に騎乗するのは今日が始めてだ。

 黒井先生が滝騎手と話す。

 

「カナタ、お前には是非ともダービー馬の感想を聞かせてもらいたくて依頼したんや」

「あのときは覚えてますよ。ダンスインザダーク乗ってた時はこれはダービー勝てるかなっと思ってましたから。健二は良い馬乗ってるなぁと思っていましたけど、まさかダービー勝たれちゃうとは。良い馬とはダンスパートナーの調教のときから言ってましたけど」

「せやろ。ただ怪我してからなんだかズブい様子でな。天皇賞はエアグルーヴやろ?」

「ええ、依頼はいただいてますね。健二はシルクジャスティスを選んだんですね」

「本当は怪我が長引くと思ってたんやが思いのほか悪く無くてな。ただ、どうも身が入ってないのか、走りが元に戻ってこんのや」

「一度怪我すると元に戻らなかったりしますからね。ナリタブライアンも結局戻りませんでしたから」

 

 カナタさんと黒井先生が厩舎前にやってくる。

 西京さんの肩を借りるとカナタさんはひょいっと俺に跨った。

 なんとなく感じていたが、トップジョッキーは騎手にしては長身で少し驚いた。とりあえず、跨ったカナタさんが何かを確かめているのに任せてじっとしていた。

 

「すごい利口な馬ですね。頭が良いんでしょうね……レースで結構引っかかるところを見てたので、もっと気性が荒いと思ってました」

「せやろ。こいつは根性があってな、負けん気があるからレースですぐ熱くなるんやろうな。結構悪戯好きやが調教では言うこと聞くし、ええ馬やで」

「そうですね。いいんじゃないですか」

 

 ぽんぽんとカナタさんが俺を撫でる。

 焦りや不安があったが、流石に天才の名を欲しいままにしているトップジョッキーからのお褒めの言葉に、少し気をよくしていた。

 すると、同じく併走する予定のダンスパートナーさんが近寄り、じっと見つめてきた。

 

「じーっ」

「な、なんですか」

「私が慰めた時はそんなに喜ばなかったのに。あの騎手が褒めたら喜ぶんだ……」

「えっ、ち、ちが、そういうわけじゃないですよ!?」

「ふーん」

「ダンスパートナーさんってばぁ」

「つーん」

 

 拗ねてしまったダンスパートナーさんに困惑していると、彼女はくすりと笑った。

 

「うそうそ、元気だしてくれてよかった。今日も併走頑張ろうね!」

「嫌われたかと思いましたよ」

「嫌われたら嫌なの?」

「そりゃあそうですよ。だって俺、ダンスパートナーさんのこと――」

「調教行くぞォ〜」

 

 白村や西京さんが割り込んでくると俺とダンスパートナーさんを引っ張った。

 ダンスパートナーさんはぽかんとしたあと、激しく身震いした。

 

「なんで! このタイミングなのっ!」

「うわ、ダンスパートナーかっかしてるなぁ……どうどう」

「むふー!」

 

 暴れるダンスパートナーさんを後目にカナタさんの案内に従い調教馬場へ向かう。

 最終追い切りは栗東坂路で併走。少し強めに行き、反応やリズムを大事にというのが黒井先生からの指示だった。

 

「いきます!」

 

 俺が先に走ってダンスパートナーさんが追走する形になる。

 走り出して感じたのは、体の軽さだ。

 足ではなく、体が軽く、とても走りやすい。

 騎手と調教助手はそもそも体重や技術が違うから、騎手の方が動きやすいと感じることは多いが、それでも滝カナタさんが乗るとケンちゃんのとき以上に感覚が違った。

 

「……エッちゃん、調子が戻ってきたのかな?」

 

 少し後方を走るダンスパートナーさんがそう言うと、俺は少し悩んでから、残り2Fで再度加速した。

 脚に痛みはなく、カナタさんは邪魔せずに走らせてくれる。

 そのままダンスパートナーさんに先着し、久々にいい感覚で調教を終えた。

 これなら京都大賞典も『いいレース』ができそうだ。

 

「悪くは無いですけど……こんなものですかね」

「迫力不足やな。まぁレースを使わんとわからんわ」

 

 そんな俺の感想も騎手とテキにぶった切られてしまったのだが、あまり悩まないことにした。

 今の俺にできることはもうないのだから。

 

 ――そして迎えた京都大賞典当日。

 オッズは1.8倍と文句なしの人気で俺はパドックを歩いていた。

 ファンたちが手を振り、声をかけてくれる。

 体重は515kg、春の天皇賞から6kgの増加でコンデションが整えられていた。

 

「よう、先輩。今日はよろしく頼むわ」

 

 のっそのっそとやってきたのは3番人気に推されたシルクジャスティスだった。

 今日出走するメンバーで唯一の3歳馬、まだ恐れを知らない若者といった風で、1番人気がなんぼのもんじゃいとばかりにふてぶてしい態度だ。

 

「ああ、よろしく」

「なんだぁ、後輩がメンチ切ってるのに怒りもしねえのかい。腰抜けだなぁ、せんぱぁい?」

「……挑発してペースを乱したいんだろうが、通じない」

「へぇ〜、かっくいい〜! 大舞台の経験は足りてますってか?」

「いや……頭のおかしい連中を見てると、それくらいじゃ動じなくなってきてな」

 

 ヤンキー、ナルシスト、厨二病、ラッパー、多重人格(馬格?)、放尿マン……そいつらを思えば、この程度の挑発は丁寧な挨拶みたいなものだ。

 

「……まぁ、色んな経験してるってのはわかったよ」

 

 そんな俺の目を見たのか、シルクジャスティスは少し落ち着いたようだった。

 時間が経たないうちに、テキや騎手がやってくる。

 カナタさんがまたがる前に、妹ちゃんが俺の前まで来た。

 

「今度こそ無事に……走ってきてね。滝騎手、黒井先生……よろしくお願いします」

 

 優しく額を撫でる妹ちゃんは俺のことをとても心配しているようだった。

 サラブレッドの骨折=死のイメージを持つ人だって少ないし、それが間違いだとも言えない。

 随分と心配をかけてしまったんだと俺は申し訳なくなった。

 今日はきっちり勝って、グレートエスケープが復活したと知らしめないと。

 カナタさんが俺に跨るのと同時に、ケンちゃんが青と赤の勝負服を身にまとって、シルクジャスティスに跨るのが見えた。

 いつもの橘ちゃんが決めた赤と黒の勝負服ではないものを着ているのは新鮮で、今日は本当に敵同士だと思うのが少し寂しかった。

 

(でもいいんだ。勝って後悔させるくらいのつもりでいくんだ)

 

 本馬場へ入り、ゲート前で待機する。

 京都大賞典はGIIだが、天皇賞やジャパンカップへ展望を向けたGI馬が集まるスーパーGIIとして有名なレースだ。

 東京では同じく毎日王冠が行われ、競馬ファンの注目度が高い一日だけあって、観客の数は他のGIIよりは多いようだった。

 

『バブルガムフェロー、バブルガムフェロー! 斤量差もなんのその、悠々押し切り勝ちゴールイン!』

 

 ちょうどターフビジョンでは一足先に行われた毎日王冠のレースが放送され、観客たちが歓声を上げていた。

 毎日王冠はバブルガムフェローとジェニュインの他、3歳馬ながら安田記念に参戦し3着になったスピードワールドの3頭の戦いが注目されていた。

 結果はバブルガムフェローの勝利に終わったらしい。

 同期の活躍に、武者震いをした。

 ここは負けていられないとばかりに、ゲートへ入る。

 

『京都大賞典、スタートしました。11番グレートエスケープがすっと前に出ました』

 

 ゲートが開くと同時に前へ駆けだす。

 他馬を制してハナを切るとペースを作っていく。逃げ馬があまりいなかったのもあり、俺がハナにたつとすぐにペースは落ち着いた。

 人気していたダンスパートナーさんとシルクジャスティスは後方に控えている。

 淡々とした流れになり、残り1400mのハロン棒を通過したところで鞍上の滝カナタさんが呟いた。

 

「61秒かな」

(……?)

『先頭のグレートエスケープは1000mを61秒3で通過しましたゆったりとしたペースになっています。ダービー馬が復活するのか、オークス馬が男馬を打倒するのか、3歳馬がフレッシュな力を見せつけるのか、向こう正面を通り坂の上りにかかります』

 

 滝さんの乗り方はとにかく柔らかく、重さを感じさせない騎乗だった。

 それでいてペースを配分し、それを知らせるように合図を出したり、手綱を軽く動かしたりしている。

 第3コーナーの坂を上り、下り始めても体力にかなり余裕があるように感じた。

 後方から迫る馬蹄を聞きながら、俺は第4コーナーの植え込みを回り、先頭で直線を迎える。

 合図の鞭が入ると同時に手前を変えて脚を踏み出す。

 スローペースに落とし込み、体力が有り余った状態でスパートをかけられる。

 流石はトップジョッキー。

 ならばここからはエスコートに応えるのみ。

 脚に力を込めて、俺は前へ飛び出す。

 ――飛び出した、はずだった。

 

「……?」

 

 鞍上の困惑する雰囲気と、鞭が二度三度揮われる。

 それ以上に不思議に思ったのが、自分だった。

 

「な……え……?」

 

 全力で走っているはずなのに、スピードに乗らない。

 力を入れているはずなのに、芝生を思い切り蹴る感触が伝わってこない。

 鞍上の鞭と追う動作で促されているはずなのに、前へ進まない。

 

『直線に入ってグレートエスケープ先頭、しかし内からダンスパートナー! ダンスパートナー、その内を通ってシルクシルク、シルクジャスティス! グレートエスケープは馬群に飲み込まれていく!』

 

 後続の馬たちが俺を抜き去っていっても、それは変わらなかった。

 結局、俺は直線では見せ場なく、なんと最下位の11着で入線という醜態をさらしてしまった。

 走り終えて引き上げる俺に観客たちが罵声を浴びせた。

 

「ふざけんな金返せー!」

「ばかやろう、ばかやろう、ふざけるなー!」

「カナタぁー! ヘタクソー!」

 

 ターフの上をとぼとぼと帰る中で、罵声よりも遥かに重く心にのしかかったのは、走り切った感覚がまるでないことだった。

 まだ体力が残っている。

 もう1周、芝2400mを走れと言われても走ることができるくらいに。

 それはつまり、今のレースを俺は走れていないってことで――

 

「エッちゃん!! 大丈夫、もしかしてまた脚を……?」

 

 ダンスパートナーさんが近付いてきた。

 レースでは惜しくも2着に終わったというのに、自分のことより俺のことを心配していた。

 少し離れたところからは失望したようなシルクジャスティスと、心配そうなケンちゃんの二つの視線が俺に注がれていた。

 それが悔しくて、苦しくて、情けなくて。

 ダンスパートナーさんに俺は背を向けた。

 

「脚は……大丈夫、です」

「そう、なんだ。それなら……よかった……」

「でも、俺……走れなかったんです」

「え――?」

「すみません、先に行きますから」

 

 がっかりしたような観客の雰囲気や他の馬たちから逃げるように馬場を後にする。

 心配して立ち尽くすダンスパートナーさんを置いて、俺は検量室へ向かった。

 黒井先生も、西京さんも、俺のことについてはとやかく言うことはなかったが――かえってそれが、たまらなく苦しかった。

 

 

 

 ――レース後、騎手インタビューでは。

 

 11着、グレートエスケープ(滝カナタ騎手)

『スタートから第4コーナーまではリズムよくで走ってくれて、直線では余裕もありましたが追い出してもスピードに中々乗りませんでした。馬は一生懸命走っていましたが良かったときのパワフルな走りが中々出てきませんでした。久々の競馬で上手く力が入らなかったのかもしれません。調子が良い時にまた乗ってみたいですね』

 

 

 

 ×××

 

 

 

 青い空、白い海、どこまでも続く砂浜、そして座礁したクルーザー。

 

「うう……ここ、は……どこですの……?」

 

 すぐ傍から声がする。よろよろと砂浜から起き上がったのはメジロマックイーンだ。

 

「無事かお嬢」

「グレートエスケープさん……私たちは一体……」

「私たちはどうやらどこかの島に漂流したらしい」

「え……?」

 

 メジロマックイーンは何が起きたか記憶を辿っている。

 船の事故の原因を探るには数時間前に遡る必要があった。

 

『お嬢、助かるよ。トレーニングのために場所を貸してくれるなんて』

『礼には及びませんわ。スイーツ引換券を頂きましたし、ギブアンドテイクの関係です。それに、メジロ家のトレーニング場をGIウマ娘が借りたともなれば、箔がつくというものですから』

『しかし……まさか島にあるとは思わなかった。クルーザーを持ってることも予想外だ』

『ふふ、新鮮な反応が見られて楽しかったですわ。操舵手ができる使用人が体調不良で来れない時はどうしようかと思いましたが……まさかゴールドシップさんが船舶免許を持っているだなんて』

『ああ、まったくだ。意外と多才なんだな』

『は? ゴルシちゃんは船を操作したいとは言ったけど別にできるとは言ってねーぞ?』

『え?』

『はい?』

『あ、前方に岩が』

 

 ……というわけだ。

 

「そうですわ!! どれもこれも全部ゴールドシップさんのせいですわ! いつまで寝てるんですの! 早く起きなさい!」

 

 メジロのお嬢はゴールドシップをがくがくと揺らして起こし始めた。

 呻き声をあげながらゴールドシップが体を起こす。

 

「なんだよ……ゴルシちゃん低血圧なんだからね……」

「貴方が低血圧なら森羅万象血が通ってすらいませんわ! 早く起きなさい! そしてこの状況を見なさい!」

 

 ゴールドシップは周囲をキョロキョロと見回した。そして目を見開いて身を震わす。

 

「大変な状況がわかったでしょう?」

「あ、あ……海めちゃくちゃキレーだなオイ!」

「あああ違う違う違う! 違いますわ! もっと見るべきところあるでしょう!」

「おお海水すげえ冷てえ! おらおらー、ゴルシちゃんスプラッシュ!」

 

 ゴールドシップが海に入ると水をかけてきたので応戦する。

 グレートスプラッシュ! えいっ、えいっ。

 

「遊んでる場合じゃないですわ! リゾート地に来たんじゃありませんのよ!?」

 

 二人して首根っこを掴まれ砂浜へ放り投げられた。

 そこで私はようやく重大なことに気がつく。

 

「まずい、大変だ……!」

「既に大変ですわ」

「スイーツ引換券が濡れてぐしょぐしょだ……」

「どうでも、よく……ないですわ! あああ限定フルーツタルトがぁ……!」

 

 膝を突くマックイーン。

 何を呑気に言ってるのか、私とゴールドシップは呆れるあまりため息をついた。

 

「お嬢、無人島に来てスイーツの心配をしている場合じゃないだろう」

「グレの言う通りだぜマックイーン。ちょっとは危機感を持てよな。常識を疑っちゃうぜ」

 

 げんこつを食らった。

 

「まずやるべきなのは人がいるかどうかですわ。幸い大きな島ではないようですし、手分けして探しましょう。私は砂浜を探すので二人はそれぞれ島を回ってきてください。ついでに水や食料を見つけたらお願いしますわ」

「マックイーンだけ探す範囲狭くね?」

「ウマ使い荒いお嬢様だこと」

「もう一度いきますか?」

「「行ってきまーす!!」」

 

 ゴールドシップと二人で別れて島を走り回った。大きくないため少し探しただけで終わってしまった。

 私が砂浜に戻るとゴールドシップが先に戻っていたようでお嬢に報告している。

 いつの間にかお嬢は学園指定の水着に着替えていた。

 泳ぐつもりだろうか。

 

「隊長! ご報告です!」

「誰が隊長ですか。それで、なにか見つかりましたか?」

「でっけえカブトムシ!」

「きゃっ!? ……? ゴキブリじゃありませんのッッッッ!!」

「ああっ、すばしっこいから捕まえるのに苦労したんだぞ!?」

「違います誰があんな恐ろしいゴキブリを捕まえてこいといいましたか!」

「マックイーンだろ?」

「言ってませんわ!! 人かなにか見つけませんでしたかと言ってるんです!」

「壊れたスマホなら見つけたぞ」

「ああっ私のスマホじゃありませんか!!」

 

 また打ちひしがれているお嬢に近づく。私としてはいい報告ができなくて少し残念だ。

 

「お嬢、なんで水着に?」

「服が濡れたからですわ。グレートエスケープさん……貴方はなにか見つけましたか?」

「可愛い子は見つからなかったな」

「ナンパですか!? 何してるんですの貴方は。まぁいいですわ……他に何かありませんでしたか?」

「ダンベル」

「ダンベっ……!? 漂流したんでしょうか。まあ、いいですわ。いざというときは武器にもなりますわね」

 

 メジロマックイーンの足元には荷物がまとめられていた。それについて尋ねるとカバンを開けてお嬢は解説し始めた。

 

「クルーザーに積まれていた荷物で無事なものを持ってきました。ほとんど濡れてしまいましたが」

「着替えに、おかし、おかし、おかし、そしておかし。おいおいグレ、お前スナック菓子ばかりじゃねえか、もう少しチョコとか持ってこいよ」

「キャロチは定番だろう。これさえあればなんとかなる」

「もうちょいバルボンの菓子とか持ってこいよ。見てみろよマックイーンの菓子を。ちゃんとバルボンオリジナルアソートとか入れてるし、わかってんだよ」

「当然です。お菓子を持っていくなら必ずバルボンのものを持っていきませんと。メジロ家では常識ですわ」

「わからなくもないが。バルボンといえばウマフォートだと思う……うむ、やはり美味い。クッキーの食感とチョコレートの甘さは幸福な気分にさせてくれる」

 

 ウマフォートとはクッキーにチョコがコーティングされたお菓子メーカーバルボンの主力商品のことである。

 チョコにはウマ娘のシルエットが刻まれており、かつてウマ娘がバルボンの社長を助けたことから感謝の気持ちを忘れないため作ったという。

 この話を元に作られた番組では多くの視聴者が涙を流したといわれている。

 

「ウマフォートや、ウマンドは逆にみんなで持ってくるとダブりやすいだろ? アタシは敢えてチーズおかきを推すな。甘いものを多く食べたら少ししょっぱいものを食べたくなるだろ? お、あるじゃん……うめぇな!」

 

 ウマンドは幾層ものパイ生地の中にココアクリームが入った、甘さ控えめのお菓子で、サクサクとした食感でついつい手が進んでしまう。

 チーズおかきは香ばしい醤油で包み、濃厚で滑らかなチーズクリームを乗せたお菓子。

 おやつだけでなくおつまみとしても問題なく、大人なヒトやウマ娘にも好まれる万能お菓子だ。

 敢えてしょっぱさを選択するゴールドシップのクレバーさに舌を巻いた。

 

「私はやはりウマームロールですわ……あの食感に甘さ、子供の頃から変わらない『甘いものを食べたい』という素朴な願いを叶えてくれるまさにお菓子のお手本です。おばあさまが私が幼い頃、おやつにいつもくださったのですが、そんな、優しい甘さが心地よくて……」

「お嬢の思い出の味なんだな、ウマームロールは」

「ええ。もちろんパティシエが作ったケーキやパフェも大好きですが、製菓会社のこういった商品もまた、愛していますから。もぐもぐ……やはり美味しいですわ」

 

 ウマームロールはミニロールケーキをホワイトクリームで包んだ長きに渡って愛されてきたバルボンの主力商品である。

 そんな流れで3人仲良く、無事だった荷物から出したお菓子を和気藹々と食していく。

 

「ふぅ、スナック菓子が好きだがたまにはチョコやビスケットもいいものだな」

「ゴルシちゃんもついつい食べちゃったぜ」

「うふふ、ゴールドシップさん、多めに食べてましたわね」

「あ、バレちゃった〜☆」

「んも〜二人とも食いしん坊さん♪」

「うふふ、美味しかったですわね……じゃ、ねえですわぁぁぁぁッ!!」

 

 お菓子を広げた敷物をお嬢はひっくり返した。その勢いで私とゴールドシップもひっくり返された。

 

「なんで貴重な食料をこのタイミングで食べてるんですの!? 唯一の食料ですわよ!? これがなくなったら食料ないんですわよ!?」

「マックイーンも食べてたじゃねえか、みんな三等分したからいいだろケチケチすんなよ。独り占めはよくないぜ」

「だから問題なんですわよ!」

「お嬢、お菓子食べて口が渇いただろう。これを飲むといい」

「あ……ありがとうございます」

 

 ペットボトルに入った水を手渡すとお嬢はごくごくと喉を鳴らして飲み干した。

 私もゴールドシップにペットボトルを渡して三人で喉を潤す。

 

「流石に暑いだけあって喉が渇く。こまめな水分補給をしないと脱水症状になってしまうから、気をつけろよ、二人とも」

「おう。ゴルシちゃんはこういうときはだし汁派だぜ!」

「塩分の補給もできていいな、それは」

「だろぉ~?」

「塩分多すぎて喉が渇きますわよ、逆に。ところで……お水なんてどこにありましたの?」

「ああ、私が持っていたものだ。船の上は喉が渇くかと思って多めに持ってきてよかった。ペットボトル三本あったのが幸いだったな」

「三本……?」

 

 メジロのお嬢はそれぞれが持つペットボトルを見た。

 どれも中身は空っぽであり、全員が無事水分補給を終えたところだ。。

 お嬢はペットボトルをバットのように構えると、往年の名選手を彷彿させるフルスイングで私とゴールドシップをかっ飛ばした。

 

「なんで貴重な水を飲んでしまっているんですかッッッッ!!!!」

「いってーな! 何するんだよマックイーン! あたし達は最後の食料となるお菓子と飲水をイタズラに浪費しただけだろ!」

「そうだお嬢。飲み食いした食料や水は3日ももたない。今食べたところで問題ないだろう」

「おばかさんですの!? 3日分あれば助けが来る可能性がありますでしょう! なのに……ああ……もうダメです……私たちはこのまま何処ともしれない未開の島で白骨化していつかの未来にウマ娘の化石として展示されてしまうのですわ……」

 

 項垂れるお嬢に、私とゴールドシップは顔を見合わせて首を傾げた。

 一体何を言っているのだろうか。

 

「はぁ……お家に帰りたい……トレセン学園に帰りたいですわ……」

「それはもう少し時間がかかると思うが」

「もう少しどころではありませんわ! もう無理なんです! 奇跡でも起こらない限り、元の場所へ帰ることは叶わない! あなた達と一緒ですわ!」

「いや帰れるだろ。船もうすぐ来るらしいし」

「……え?」

「だから、船が来るんだって」

「時刻表からしてあと数十分といったところではないかな?」

 

 お嬢が不思議そうに眼をぱちぱちと瞬かせている。

 

「ど、どうやって……?」

「どうやっても何も、定期的にくる船なんだけどな」

「は? 無人島ですわよ? なぜ無人島に定期船が――」

「お嬢、何をわけのわからないことを言っているんだ。ここは無人島ではないのだが」

「……は?」

 

 私たちは一言もここが無人島だと言った覚えはない。

 ここの反対側には漁港があって、港町が小規模ながら存在する人口数百人くらいの島。

 本州からクルーザーで1時間半ほどの位置にあるし、定期船も多くはないが出ている。今はシーズンじゃないが、時期になると釣り人が多くやってくるらしい。さっき聞いたらトレセン学園のウマ娘も釣り好きな子が来るとか。

 

「グレートエスケープさん……貴方先ほどおっしゃってましたわよね……? 可愛い子はいない、と……どういう、ことですの……?」

「そのままの意味だが、何か変だったかね」

「なんで本当にナンパしに行ってるんですの!?」

「皆さん大丈夫でしたか、船が転覆したとかなんとか」

 

 砂浜に小走りでやってくる初老の人が好さそうな男性。

 ゴールドシップが手を叩いた。

 

「あ、ゴキ……カブトムシのせいで忘れてたけどこの人が村長さんだってよ。港まで車で送ってくれるってさ」

「寮の門限にはなんとか間に合いそうで良かった」

「なー、流石に次はゴルシちゃん地下牢へ幽閉も有り得たからなー」

「私も一度あるがあそこは中々堪えるぞ」

「皆さん大変でしたね。私の車で港までお送りしましょう」

「村長さん、あんがとな!」

「恩に着ます、村長さん。しかし素敵な島ですね。落ち着いたころにまた来てみたいです」

「お待ちしております。島の海から獲れる魚は絶品ですから……ところで、そこのお嬢さんはどうして水着を?」

「さぁ? マックちゃんったら綺麗な海があるから泳ぎたくなっちゃったんじゃないの?」

「お嬢はこう見えて結構強気なところがあるからな。暢気というのかもしれん」

「はっはっはっ、流石ウマ娘のお嬢さんは豪胆ですなぁ。しかし、海の事故は危険です。あまり気を抜いていたらいけませんよ」

 

 村長に連れられてゴールドシップと共についていくが、お嬢は立ち尽くしている。

 振り返るとぷるぷると震えている。

 どうしたのだろうか、今更帰りたくないという気持ちが出たのだろうか。

 確かに海はきれいで、釣りにリゾートに、なんでもできそうな島だ。周囲を回った時も街の人はみんな優しくて暖かい人たちだったし、時間に余裕ができたら是非来てみたい。

 

「な……納得いきませんわぁぁぁぁッ!」

「ギャー!?」

「うわーっ!?」

 

 私とゴールドシップは突如として怒りだしたメジロマックイーンに、背負い投げを食らい見事海へ放り投げられたのだった。

 




〇競走馬ワールド
・滝カナタ(28歳・騎手・フリー)
 5年連続全国騎手リーディング1位を獲得しているトップジョッキー。ダンスパートナーに騎乗しオークスを勝利しており、調教のため黒井厩舎を訪れた際にグレートエスケープをとても評価していた。デビュー戦に騎乗依頼をされていたが、予定が合わず梶田健二に依頼されたという裏話がある。

・シルクジャスティス
 勝ち上がりに時間こそかかったものの、日本ダービー2着から菊花賞での念願のGⅠタイトルを狙っている。直線一気の末脚が魅力。鞍上の梶田健二騎手は史上初の2年連続のダービー制覇の偉業を逃し少し悔しがった。

・京都大賞典
 1着シルクジャスティス
 2着ダンスパートナー
 ……
 11着(最下位)グレートエスケープ

 不利を受けた皐月賞以外掲示板を確保してきたグレートエスケープのこの敗北はファンに衝撃を与えた。早くも早熟説、怪我で限界説がささやかれ始めた。

〇ウマ娘ワールド
・バルボン
 老舗製菓会社で社長が昔、ウマ娘に助けられたお礼に菓子を作ったところ、そのウマ娘が絶賛。それからお菓子作りを始めたところ、人気が出たため企業し瞬く間に大企業へとなる。企業名はその時のウマ娘の渾名が由来

・漂流した島
 レジャー施設としてはそこまで有名ではないが釣りスポットとしては釣り人の間で人気になっており、とあるのんびり屋ウマ娘Sも時々来るとか。船が一日それなりのペースで出ており、民宿も少ないながらある。名産は周囲でとれる魚たち。三人はお土産に魚をいくつも持たされて帰った。
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