名バ列伝『グレートエスケープ』【完結】   作:伊良部ビガロ

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※感想いつもありがとうございます!これないと書けへん……(貧弱
今日はあっさりパートです。それなのに更新が遅い?仕事が悪いよ!すまんな!拙作を楽しみにしてくれている全国8億人のファンに申し訳ない。
※競走馬同士のラブコメ? 意外とそういう話はあったからいいんだよこまけえこたぁ!書きたかったんでい!
※そんなわけで感想、誤字報告、ファンアートなんでも募集してます!


第23話 Get back

 日本競馬の1年を締めくくるグランプリレース、有馬記念。毎年10万人を超える観客が押し寄せ、チャンピオンホースの激闘を見届けている。

 去年は出られなかったな、と白い息を吐いた。

 パドックにはファン投票で選ばれた一流のサラブレッドが周回している。

 

「ダンスパートナーさん……いよいよですね」

「うん……なんか、すごく不思議な気分。黒井先生も怪我なく回ってきなさい、って言ってたくらいだし……」

 

 一年を締めくくるレースは名馬の最後の花道に選ばれることが多い。

 ダンスパートナーさんも、今年の有馬記念が競走馬生活のフィナーレを飾る舞台に選ばれた。

 もう、一緒に走ることはなく、馬房で話すこともなくなるだろう。

 今日で、挑戦し続けた偉大なる牝馬は引退する。

 

「私はこれからお母さんになって元気な子供を産むことを期待されてるからね。頑張らなくちゃ」

「そういえばダンスパートナーさんはお嬢様でしたよね」

「そういえばってどういう意味かな。でも……うん、最後にエッちゃんのかっこいいところが見たいかな」

 

 今日のは有馬記念に相応しい豪華な顔ぶれが揃っている。

 今のところ1番人気に推されているのはマーベラスサンデー。宝塚記念を勝利したあと骨折し、ここに向けて調整されてきた。

 体調は万全と見られており、ファンの期待を一身に背負っている。

 

「マーベラァス……」

「なッ! 貴様なにをしている! パドックでなにをしているんだ貴様ァッ!」

 

 2番人気ながらファン投票で最多得票となったのがエアグルーヴ。天皇賞・秋を勝利、ジャパンカップは3着と牡馬相手に堂々たる戦いぶりが評価されているのだろう。

 3番人気が俺、グレートエスケープ。ジャパンカップ勝利でようやく復活したと見られたのだろう。

 4番人気が――

 

「あっ……あの……ダンス……パートナー、さん、ですよね」

「うん? そうだよ。貴方は?」

「わ、私……メジロドーベルっていいます!」

 

 ダンスパートナーさんに声をかけた牝馬、メジロドーベルだ。

 オークス、秋華賞の2冠を達成した3歳牝馬で、打倒牡馬ということだろう、有馬記念に参戦してきた。

 

「今日で引退と聞いていますが……お会いできて嬉しいです!」

「え? あ、うん、なんだか照れちゃうな……」

「フランス遠征や菊花賞挑戦、牡馬にも負けない戦い、ずっと尊敬していました!」

「ありがとう……今日は頑張ってね」

「はい!」

 

 ダンスパートナーさんは随分人気者らしい。彼女が慕われていることが嬉しくて、俺は年下の牝馬に声をかけた。

 

「メジロドーベル……さん?」

「……なに?」

 

 おや。纏う雰囲気が不審者を見る目にかわったぞぅ。冷ややかな視線に思わずぶるりと来てしまう。

 

「えっと……今日は……よろしく?」

「フンっ、気安く話しかけないで。大体、私は貴方のことなんて知らないし」

「えっあっうん……ごめん……」

 

 メジロドーベルはそっぽ向いて去ってしまった。

 これはコミュニケーション方法を間違えただろうか。俺なんか悪いこと言ったかな、と思わずダンスパートナーさんを見たが苦笑いされるばかり。

 しょんぼりしていると、今度はエアグルーヴがこちらにやってきた。

 

「ダンスパートナーさん、お初にお目にかかります。エアグルーヴです」

「あぁ、天皇賞はおめでとう! すごいなぁ、牡馬相手に勝っちゃうなんて……」

「覚えていただき光栄です。しかし、私が天皇賞に出走できたのも、ダンスパートナーさんのおかげです」

「えっ、どうして?」

「私の先生は私自身を評価していましたが、きっと、牡馬相手に挑戦を続けていた貴方の姿を見ていたからこそ、天皇賞に出走したかもしれませんから……それに、私も尊敬していましたから」

「なんだか照れくさいな……結局牡馬相手に勝てなかったけど……でも、ありがとう」

 

 ダンスパートナーさんとエアグルーヴが和気藹々とした雰囲気で会話している。

 なんだか仲間はずれだなぁと思っているとエアグルーヴがこっちを向いた。……が、ギロリといった擬音が似合う形相で、レース前だと言うのに気圧されてしまいそうだった。

 

「グレートエスケープ! ジャパンカップでは貴様に敗北した……世間ではジャパンカップは貴様の作戦勝ちなだけで、実力では私が上回っていると言われている。今日、有馬記念を勝利してそれを証明してみせる!」

 

 すごい気合いだ。

 肌がビリビリと痛くなるほど緊張感を覚えつつも、俺はダービー馬だ。天皇賞馬がなんだ、ビビっていられるか!

 俺はふんす、と鼻息を鳴らしながら一歩、踏み込んだ。

 

「やってみろ……お前に俺は捕えられない」

 

 天皇賞・秋で一騎打ちを演じてみせたバブルガムフェロー、そして同期のロイヤルタッチはジャパンカップ後に脚を怪我してしまい、引退となった。

 とても悲しいことだが、あいつらも強かったと言わせてみせるためにも、エアグルーヴには負けられない。

 

「吠え面をかくなよ」

 

 一言、しかしその瞳に映る炎は千の言葉にも勝る思いを感じさせた。

 

「でも……エッちゃん、大丈夫? まだ本調子じゃないって先生言ってたよ?」

「いやいや絶好調ですよ。先生は隠してるだけです、俺の実力をね」

「本当~?」

「ほんとほんと。ダービー馬は嘘つかない」

 

 嘘をついた。

 ジャパンカップこそ、勝利したものの、最後の直線で全力で走ったわけではない。

 そもそもヘロヘロになりながらゴールしたわけで。

 ラストスパートをかけられない状態はまだ続いていた。

 今回、前走のように大逃げして逃げ切りは難しいだろう。

 中山競馬場はカーブがきつく、俺の走り方ではどうしてもスタミナを余分に使うし、スピードに乗り切れない。

 ハナは切れど、マイペースで走る逃げになると思う。

 つまり、最後の直線で二の脚を利かせなければならないということだ。

 ライバルは多い。

 マーベラスサンデー、エアグルーヴ、メジロドーベル、シルクジャスティス……ローゼンカバリーやタイキブリザードも虎視眈々とタイトルを狙っているが、一番の敵は自分だ。

 自信は正直、ない。

 それでも俺はダンスパートナーさんに力強く宣言した。

 

「俺が勝ちます。このレース」

 

 係員の「とまぁーれー」の間延びした合図。

 遅れて整列し頭を下げたジョッキーたちが駆け寄ってくる。

 ヤネはジャパンカップに続いて有馬記念もノリさんこと館山典佑騎手。

 騎手の中にはマーベラスサンデーに乗る滝さん、シルクジャスティスに乗るケンちゃんがそれぞれ見えた。

 二人とも俺をちらりと見ると、それぞれ厩務員やテキと一言二言話し、馬に跨った。

 

「出来はジャパンカップより上向いとる。乗り方は任せるで」

「前走の大逃げは通じないでしょうから、この馬のレースをしてもらおうと思います」

「それでええ。まかせた」

「前走はこいつの連覇でしたから、今回は僕の連覇を達成しますよ」

 

 そういえばノリさんは去年、サクラローレルに騎乗して有馬記念を制覇していた。

 このコースを知る乗り手のエスコートはきっと俺をいい方向に導いてくれるはずだ。

 

 ――有馬記念が始まる。

 中山競馬場芝2500mはスタートしてすぐにカーブがある少し特殊な形態をしている。

 そのため、外枠より内枠の方が有利で、特に大外枠はかなり不利とされていた。

 

『8枠16番グレートエスケープ。最後にゲートに収まります』

 

 そして運の悪いことに、俺がここの馬番になってしまった。

 だが、裏を返せば逃げを邪魔されないともいえる場所。逃げ馬が俺くらいしかいない以上、スタートを五分以上で決めれば、すんなりハナはとれるだろう。

 ゲートが開くと同時に、飛び出した内にいるのはカネツクロス先輩だった。

 

「先輩、久々ですね!」

「おう、俺の走りを邪魔しに来たんか後輩!」

「もちろん!」

 

 カネツクロス先輩には悪いが、スピードも瞬発力も俺の方が上だ。俺が本気でハナを主張すれば彼はなにもできないで控えるしかない。

 かといってスローペースには落とさず、緩みないペースで走り出す。

 後続に脚を残させるような展開にすれば、直線の短い中山といえど俺は逃げきれない。

 先行勢をスタミナですり潰し、差し馬たちには直線で脚を使わせないのが俺の理想だ。

 ペースが多少速く感じても後続は俺をみすみす逃がすことはできない。結果として俺が団子を引き連れるようにしてレース展開が進んでいた。

 淡々と流れたレースはあっというまに第3コーナーへ差しかかる。

 後続達がペースを俺を捕まえにペースを上げてきた。

 そして、俺もここからスパートをかけ出さなければならない……が……!

 

『第4コーナーを回りグレートエスケープが先頭、しかしすぐ後ろにエアグルーヴがつけている! マーベラスサンデーも先頭集団に取り付いている! やはりこの3頭か、三強で決まるのか!』

 

 すぐ後ろで馬蹄の音。

 直線へ差し掛かるというのにスピードを出せていない。ここまで取りつかれたら俺に勝ち目はないが、未だに俺は怪我を引きずっていた。

 ノリさんの鞭が繰り返し俺のトモを叩く。

 わかってる、そんなことをされなくてもわかっている!

 だが、脚は重い所ではない。鎖に縛られたように動かなくて――

 

「がんばれ……エッちゃん、がんばれ!」

 

 後ろから声が聞こえる。

 ああ――そうだ。人だろうと、馬だろうと、男が女に応援されたら、負けてなんかいられない。

 

「うらああああッ! 怪我なんてしねえ! だって俺は――最強のグレートエスケープだから!」

 

 芝を踏みしめた俺の蹄がレース場を抉った。

 ずっと、怪我してから長らく忘れていたスピードに乗るこの感覚――!

 この走りこそが、グレートエスケープなのだと見せつけるように、直線を駆けた。

 

「それでこそ……倒し甲斐があるというものだ!」

「マーベラス! 怪我明けで復活するのは、君だけじゃない!」

「先輩だろうと負けてられるか……クラシックで勝てなくても、ここで勝てば文句も言われねえ!」

 

 だが、すぐ後ろにライバルたちがギラついた野望を振りかざしながら突っ込んでくる。

 これまで積み重ねた13戦のキャリアが冷静に判断する。

 

『遅すぎた――』

 

 スパートをかけて、スピードに乗るのがコンマ1秒遅かった。そして、コンマ1秒で半馬身、つまり1m強の差がつくのが競馬の世界だ。

 中山の最後の直線にそびえ立つ、競走馬たちを絶望に叩き落とさんとする高低差2.2m、最大勾配約2.24%の坂を登りながら、すぐ隣にライバルたちが並ぶのを理解した。

 

『直線で駆けられるようになったから良い』

『ここで負けても次がある』

『充分に頑張った』

 

 きっと、そうやって言い訳することはできる。

 だとしても、迸る汗の熱はまったく失われていない。

 それは――俺がまだ、俺自身の勝利を疑ってはいないからだ!

 

『グレートエスケープが粘る! グレートエスケープ先頭、グレートエスケープ先頭! エアグルーヴとマーベラスサンデー、内からシルクジャスティス! 横一線だ、横一線、4頭固まったまま大接戦でゴールッ!』

 

 最後は必死に頭を伸ばしながら、ゴールに突っ込む。

 駆け抜けたと同時に競馬場が震えんばかりに大歓声が鳴り響き、今の今まで音すら忘れて走っていたことに気がついた。

 レースはどうなった?

 手応えは完全に不明で、差された気もするし、逃げ切った気もした。

 掲示板には1着から4着まですべてが写真の文字が浮かんでいた。

 

「そんなに大接戦だったのか」

 

 息を整えながらじっと見つめる。掲示板に映像が表示されるが角度が悪くて微妙によく見えない。

 ノリさんは、俺の鬣をさわさわと混ぜた。

 

「ちょっと厳しいな」

 

 ま、負けてるの!? というか……わかるの!? アレが!?

 ジョッキーってすごい。俺はそう思った。

 

『着順が出ました、1着はシルクジャスティス、2着はマーベラスサンデー、3着にエアグルーヴでグレートエスケープは4着です! アタマ、ハナ、アタマ、ハナ差とまさに大接戦でした!』

 

 ほんとだ……負けた。

 負けたかぁ……負けちゃったかぁ……。

 

「ふっ……はっ、ははは、はははははっ! ちくしょう、くやしい! 滅茶苦茶悔しいな!」

 

 悔しいはずなのに込み上げてくる笑い。

 最後は紛れもなく全力で走ったというのに、それでも勝てなかった。

 1着までタイムの差は0.1秒もないが、それでも負けとまったく同じだという事実が、悔しさを通り越して爽快ですらあった。

 

「……こんなに悔しいのは、久々かもしれないな」

 

 レースもよくわかっていなかった新馬戦。

 スタート直後に躓いて、自分の力をまったく発揮できなかった皐月賞。

 視界に入れてすらいなかった相手の執念に打ち負かされ、どうしようもないタイミングで悔しさを覚えた菊花賞。

 怪我をして、不安でいっぱいになった天皇賞・春。

 思いもよらない不調で満足に走れずに惨敗した京都大賞典。

 遥か遠い場所で繰り広げられる激闘をただ見ているだけだった天皇賞・秋。

 そして今回――全力を出した末に、惜しくも勝利を逃した有馬記念。

 こうして比べてみると、全力だったからこそ悔しくて、全力だったからこそ笑ってしまうほどに痛快でもあったのだろう。

 

「グレートエスケープ」

 

 後ろから声をかけられ、振り向くとそこにはエアグルーヴが検量所へ蹄を返すところだった。

 

「……言い訳ではないが、貴様を捕まえようとした結果、早仕掛けになってしまったようだ。だが――」

「俺もスパートをかけるのが遅すぎた。でも、まぁ――」

 

『勝つのは俺/私だ』

 

 二頭の声が重なった。

 お互いに笑みを交わしてから背を向けた。

 そして、次はウイニングランをしているシルクジャスティス、そしてマーベラスサンデーに視線をやった。

 エアグルーヴはともかく、シルクジャスティスやマーベラスサンデーは古馬の中長距離路線に出てくるだろう。

 来年、必ずリベンジして見せる。そして、強いグレートエスケープをもう一度見せつけるのだ。

 

《グレートエスケープ XX97年 最終戦績》6戦2勝

 日経賞 1着

 天皇賞・春 4着

 京都大賞典 11着

 天皇賞・秋 13着

 ジャパンカップ 1着

 有馬記念 4着

 

 〇〇〇

 

 有馬記念を終えて、俺は明日放牧に出される。

 故郷の懇備弐牧場は豪雪に見舞われているらしく、黒井先生の伝手で別の放牧先が手配された。

 その放牧先がなんと、日本最大の大手馬産グループである社来グループの系列の外厩施設(※完全にリラックスさせる牧場地とは違い、休息をしつつもトレーニングが可能な施設)『信楽ホースパーク』だというのだ。

 確かにダンスパートナーさんは社来グループの牧場である社来ファーム出身で、それを預かる黒井先生はオーナーとも関係があるのだろうか、橘ちゃんはともかく、まるで競馬界に関わりのない妹ちゃんの馬をわざわざ引き受けてくれるのは驚きだ。

 相当親密なのだろうか。

 黒井先生は色々とすごい人だ。

 と、思っていたのだが、話を聞いていると黒井先生の伝手だけではないらしい。

 なんと橘ちゃんがいつのまにか社来グループの代表と知り合いになっていたらしい。

 なんでも、俺が初めて勝った未勝利戦のときだというから随分前から(といっても1年半くらい前)知り合っていたらしい。

 

『……グレっちすごいね! 近くの馬主さんがね、すごく強いって言ってたよ。グレっちはサイコーなサラブレッドね!』

 

 ……そういえばそれっぽいことを言っていた気がする。橘ちゃんアンタすごいよ……流石若くして会社をでかくした女社長。

 そんなわけで俺は明日から信楽ホースパークへ行くことになる。

 そして、ダンスパートナーさんは俺が放牧されたあとに生まれ故郷に戻り、繁殖牝馬として生活することになる。

 夜中、馬房で二頭壁越しながらも思い出話に花を咲かせていた。

 

「ダンスパートナーさんも引退ですか……なんだか早いような、すごく長かったような……」

「確かに。うん……でも、まぁ……最後にエッちゃんと思い切り走ってみたかったな……GIレースで……」

 

 GIレースで一緒に走ったのは去年のジャパンカップと今年の有馬記念くらいか。両方ともダンスパートナーさんは本調子じゃない状態で、真剣勝負という風ではなかった。

 

「怪我をしなければチャンスはあったんですけどね」

「仕方ないよ。でも、エッちゃんみたいに一緒に走りたいと思えた相手がいたのは……幸せだった」

 

 ダンスパートナーさんは昔を懐かしんでいた。

 

「クラシックで一緒に走った子達がいてね。でもその子たちは怪我でなくなっちゃったり、復帰できなかったり……だからずっと寂しかったの。もちろん競馬は勝負だから、仲の良さなんて関係ないよ? でも、いつまでも一緒に競い合っていたかった……」

 

 俺にとってのダンスインザダークやロイヤルタッチ、バブルガムフェローのような関係だろうか。

 もっと競い合いたかった、そんなスポーツに望むアスリートのような、爽やかな願いがいつのまにか自分の中にあって、彼女の気持ちがよりリアルに感じ取れた。

 イシノサンデーはどうしているだろうか。

 俺たちの世代は4歳を終えたばかりだというのに、クラシックを走った仲間たちはあいつと俺だけになってしまった。

 

「でもね……エッちゃんがいたから寂しくなかったよ。いつか一緒に走りたいし、走ってる姿はついつい応援してたから……」

「……俺だって、ダンスパートナーさんにはたくさん助けてもらいました」

「もういないから、1頭で頑張らないとダメだよ? ……なんて――」

「……ダンスパートナーさんがいないと、頑張れないかもしれません」

「えっ?」

 

 何も考えずにそう答えていた。

 茶化すつもりも、冗談のつもりもなく、本心からダンスパートナーさんがいない厩舎を想像すると、とても寂しかった。

 

「俺はダンスパートナーさんに、ずっと傍にいてほしいですよ」

「エッちゃん……」

 

 夜になると馬房は仕切られてしまうから、彼女の表情を窺うことはできない。

 しかし、だ。

 サラブレッドはあくまで人間の都合で生きることが許される。

 俺が願ったから「わかりました」とはならない。

 それどころか、今後二度と会えなくなるかもしれないのがサラブレッドというものだ。

 彼女は良血のお嬢様。

 俺は冴えない血筋の雑草。

 住む世界が違うといわれれば違うし、これからまた出会うことはないかもしれないから、俺は素直な思いを吐露した。

 

「サラブレッドとして、『グレートエスケープ』として生きてきて――俺は、ダンスパートナーさんのことが好きです」

 

 ダンスパートナーさんがいるであろう馬房に身体を傾けながら、言葉を囁く。

 そして、それを口にするともう会えないということが現実感として襲い掛かってきて、胸が苦しいほどに痛くなった。

 

「エッちゃん……それは……わ、私も……ダンスパートナーも、グレートエスケープが大好きです!」

 

 返事がきた。

 そう聞くと、心が温かくなって、幸せな気持ちでいっぱいになった反面、やっぱりずっと一緒にいたいという思いが強くなる。

 ダンスパートナーさんが傍にいない未来を想像しただけで、胸が締め付けられるようだ。

 それでも彼女は、力強く言った。

 

「……いつか、迎えに来てね」

「えっ……?」

「エッちゃんはきっとすごい競争馬になるから……今もすごいけど、もっとすごい競走馬になると思うから……」

 

 ――きっと、また会えるよ。

 

 俺は弱音を吐いていられないと思った。

 この世界は複雑なようでいて、想像するよりシンプルだ。

 もしも何かつかみ取りたいものがあるならば、勝て。勝利の積み重ねこそが、望む未来をもたらしてくれるはずだ。

 

「……ダンスパートナーさん」

「うん?」

「……また会いましょう」

「そうだね……また、会おうね」

 

 競走馬『ダンスパートナー』との会話は、これが最後になった。

 もしも次に話す機会があるとしたら、競走馬『グレートエスケープ』じゃなくなったときのことだろう。

 そのときをいつか迎えるために、ダンスパートナーさんとの絆を再確認した。

 

 

 

「ところでファビラスラフインさんとはまだメル友なの?」

「えっ? まぁ……ラフィーも頑張っているようで」

「ラ フ ィ ー ?」

「あっ、あの、ダンスパートナーさん……?」

「へえ……いきなり浮気するんだ……」

「ちょ、ちが、まっ……ダンスパートナーさん? ダンスパートナーさん? ちょっと!? 無視しないでください! 浮気って何のことですかッ!?」

 

 ……絆を再確認した!

 

 

 

 ×××

 

 

 

 トレセン学園のカフェテリアは放課後になるとかなり混雑してくる。

 それぞれの話す声によって賑わい、何か大切な話をするのであれば他人に聞かれづらく、かえっていい場所になるという私オススメのスポットでもある。

 そんなカフェテリアで私はアイネス姉さんに相談をしていた。

 

「アルバイトがしたい……?」

「そうなんだ。少し、お金が必要になってしまってね。無論、アルバイトの時間にのめり込んでトレーニングが疎かになるのは困る。それにたくさん必要なわけでもないから、一定期間だけでもアルバイトができると助かる」

「短期バイトってことなの? うーん、いざ聞かれると難しいの……中々思いつかないから……」

「そうか……ちなみに申し訳ないが飲食店は勘弁してくれないか?」

「ああ、うん、トレセン学園の周りの飲食店で働くのはやめた方がいいの……」

 

 ウマ娘がたくさん訪れるため、すごく忙しい上に店員もウマ娘のことをよく知っているからおまけでたくさんご飯を食べさせてくれる。

 そのためバイトしてるだけで太るという噂があながち嘘でもないものとして広まっていた。

 

「スペやオグリ先輩が来た時は大変らしいと聞く」

「私も一度やったことあるけど、あれは当分やりたくないの……スペちゃんやオグリさんが来た時はそのお店にとってのダービーだから」

 

 あの二人の食欲を想像するだけで店長は怒号を飛ばし、バイトリーダーは悪態を吐き、新人アルバイトは泣きながら家に帰りたいと震えている店の光景が思い浮かぶ。

 そこに行くとしたら私は相当な覚悟を胸に抱かなくてはいけないだろう。ルームメイト、クラスメート、相棒には別れを告げなくてはならないかもしれない。

 

「私には無理だな」

「ハンバーガーショップとかは今募集してないみたいなの」

「ハンバーガーは腹が減ってしまうので難しいな。今はジャンクフード断ちの期間中だから耐えられない」

「エッちゃんはストイックなようでいて意外とそうでもないの……そうなったら色々と探してみるのがいいの。生徒会の方にはトレセン学園を通して紹介されているアルバイトがたくさんあるの!」

「おお、それなら安心だな……」

 

 というわけで、アイネス姉さんと生徒会室の傍にある掲示板のもとへ向かった。そこにはたくさんの張り紙、ポスターがあり、アルバイト関係の区画にはトレセン学園の傍にある聞き覚えのある飲食店やスーパーのアルバイトの募集があった。

 

「ここならトラブルもあまりないし、レースを走るウマ娘が来ることがわかってるから融通も効かせやすいの!」

「へぇ……アイネス姉さん、こっちは?」

 

 区切られた先には生徒会からの依頼という張り紙がいくつかあった。

 決して多くはないが、見慣れない形式の紙面に興味を引かれたが、アイネス姉さんは気にしたことはないらしい。

 内容を読み込んでいると通りかかったエアグルーヴが説明してくれた。

 

「それは生徒会で一般生徒に協力を依頼している、ボランティアの募集だ」

「エアグルーヴ……このアンケートの回収とか、あとは事務用品の運搬とかか……」

「無論、生徒会の者だけで済ませるべきなのだが、数が多い単純作業は効率化を図るために一般生徒にも協力を依頼している」

「そのわりには依頼主に生徒会以外のウマ娘の名前や、先生のものもあるが……」

「次第に手伝いを必要とする者たちも依頼し始めたんだ。本来ルール違反ではないかと話も出たが、報酬に金銭のやり取りや、強要などがないのであれば、ということで黙認されている。現状、ボランティア募集の掲示板になっているな」

「ボランティア……無償でやるのは今回の目的に合致しないな」

「エスケープ、何か入り用なのか? 念のため聞くが……また何か企んではいないだろうな」

 

 エアグルーヴの鋭い視線に、私は両手を上げて苦笑いを浮かべた。

 

「そんなことはしない。流石に私にも線引きはあるよ。贈り物をしたいと考えていたのだが、用意するための資金が少し足りなくてね。それでアルバイトを探していたというわけだ」

「そうか。疑ってすまない。だがボランティアとは本来無償で行うことではなく、有志で行うものを指す。実際、金銭のやり取りはなくとも、手伝ったお礼に物の受け渡しは認められているから、何かあれば使うといい」

「そうなんだ……今度私もやってみようなの!」

 

 なんか今のゲームのチュートリアルっぽいな。

 なんて思いながら再びアルバイトの欄に目を向けようとした時、とあるボランティアの依頼の報酬に『限定ケーキセット』というものを見つけた。

 細かい説明を見ると、なんでも有名スイーツ店であのGIウマ娘も絶賛と書かれている。

 

「……これをやろう」

「エッちゃん、アルバイトは?」

「贈り物にはむしろこれがいいと思ったんだ。内容は……どれどれ」

 

 そこにあったのは花壇を耕す依頼だった。

 依頼主は、エアグルーヴとある。

 

「なぁ、エアグルーヴ。この依頼、私がやっても構わないか?」

「む……手は確かに借りたいが、エスケープ、お前は園芸などの経験はあるのか?」

「ないな……教えて貰いつつというのは、応募資格がないかね?」

「問題ない。元々私も共に行うつもりだったからな。しかし、簡単なものでは無いぞ」

「もちろんだ。よろしく頼む」

 

 というわけで、エアグルーヴの花壇手入れの手伝いをすることになった。

 ジャージに着替えるとスコップやリヤカーを用意して指定された畑まで向かう。

 エアグルーヴも同じような格好で準備万端といった様子だった。

 

「では、今回の業務内容を説明する。言っておくが、仕事をする以上は一般生徒だろうと生徒会だろうと関係ない。私の指示に従ってもらう。いいな?」

 

 私が頷くとエアグルーヴは眉間に皺を寄せた。

 

「返事は?」

「は、はいっ」

 

 その迫力に思わず背筋が伸びる。

 流石は副会長だけあって、他者を従えるカリスマに富んでいる。

 エアグルーヴは佇まいを質した私に満足したのか、頷くと言葉を続けた。

 

「今回の仕事内容はカーネションの花壇を作るために土を耕すことだ。力仕事だから繊細な作業を必要とする。わからないことがあればなんでも聞くように」

「はい」

「覇気がないぞエスケープ! そんなではいいカーネーションは育たない! 貴様の声はか細い声で歌うためにしかついてないのか!」

「いえ」

 

 なんだろう、エアグルーヴのテンションが随分とかかり気味でかえって冷静になってしまう。

 とはいえ引き受けたからには仕事はきっちりこなす。

 私はエアグルーヴの説明に従い、作業を始めた。

 そこは花壇というよりは空き地といった表現が正しく、辛うじて仕切られていることで花壇の面影を感じさせる程度の場所だった。

 なんでも、しばらく手を加えられなかった場所らしく、エアグルーヴは心苦しそうな表情をしていた。

 彼女は花の世話をすることが趣味らしく、その話をするときは生き生きとしているし、逆に花が枯れてしまったりしたときはとても落ち込むらしい。

 手が加えられず、そのまま枯れて荒れてしまった花壇について話すエアグルーヴはとても寂しそうで、それが意外だった。

 私はちゃんと花壇の再生を図ろうと決めた。

 まずはスコップで土を掘り返しつつ、雑草や小石を取り除いていく。

 時々少し大きな石をどかすと、石の下で生きるたくさんの虫がわらわらと出てきた。

 

「うひゃあっ!?」

 

 エアグルーヴが吃驚して耳を後ろに向けてしっぽを逆立たせていた。

 へっぴり腰で虫たちを追いやろうとする彼女が見ていられなかったので、スコップで土ごと運び、別の場所へ放した。

 

「虫が苦手なのか?」

「う……わ、悪いかっ」

「そんなことはない。私は蛇が苦手だが、それを笑うかね」

「笑いはしないが……」

「そういうことだ。もし虫が出たら私が片付けるから、蛇が出たら頼む」

「……申し出はありがたいが、別に蛇なら平気という訳では無いぞ」

「えっ……」

 

 なんて話をしながら、土を掘り返しては土が柔らかくなるように、硬い部分を砕いていく。

 カーネーションといえば母の日だ。

 来年にカーネーションでいっぱいになったら、贈り物としていくつか分けてもらおうか。

 土を掘り返していく作業は思ったより重労働だが、普段のトレーニングに比べたら大したことはなかった。

 それに、小石や雑草をひとつずつ取り除いていく作業は苦にならない。

 昔からコツコツと、没頭できる仕事は好きだった。

 ウマ娘二人の力を以てすれば耕すのはすぐに終わった。

 

「次は堆肥をいれる。カーネーションは多湿が苦手だから水はけの良い土を使う」

「そうだったのか」

 

 彼女の指示に従い、堆肥を入れながらさらに耕していく。時々出てくる土の塊を壊しながら、綺麗にならす。

 エアグルーヴをちらりと見た。

 

「……生き生きとしているな」

「なに? ……そうだな、ガーデニングは趣味でもある。確かに花は好きだが……どうかしたか?」

「エアグルーヴがそんな表情をするのは初めてだなと思ってね。私も同期として共に走ることもあったが、強敵にはまだ知らない面もたくさんあるものだな」

「私もエスケープがこういった作業が得意だとは思わなかったがな」

「どういう意味だ、それは」

 

 なんてやりとりをしながらしばらく土いじりに没頭する。

 土を掘り返すだけなら直ぐに終わったが、整地するのが意外と時間がかかった。

 完璧主義のケがあるエアグルーヴに従いながら整えたころには夕方になり、ジャージも土で随分汚れてしまっている。

 しかし、達成感があり、疲労はあまり感じなかった。

 

「余分な土や石は向こうに捨ててくれ」

「捨てる場所があるのか。土や石に」

「業者や車が通る際に事故があったら危険だからな。それに、誰かが土を集めているのか、自然とそこが土が集まる場所になっている。問題はないが……知らないか?」

「いや、わからないな」

 

 そういうわけで余分な土などをリヤカーに乗せて運んだ先には確かに土が盛られた小さな山があった。

 見覚えのある光景だ。

 一目見て、思い出した。

 

(これは脱走トンネルを掘る時に出た土を捨ててた場所だな)

 

 これは何も触れないでおこう。私はリヤカーに貯めた土を放流しながら、密かに積み重ねた自分の功績を誰に誇るでもなく、胸に抱きしめた。

 土を耕せばあとは1週間ほど寝かせるらしい。

 なんでも土の中の微生物が活発になり、土壌がよくなるらしいが、よくわからない。

 とりあえず私より長く花に触れているエアグルーヴの言うことだ、多分合っているのだろう。

 

「これで終了だ。礼を言う、エスケープ」

「構わないさ。私にも目的があったが故の手伝いだ。それに、ライバルの意外な一面を知ることができた」

「フッ……私に勝つヒントでもあったか?」

「ああ、あったね。虫を用意してだな……」

「貴様! それは反則だろうが!」

 

 けらけらと笑ったりしながら、使用した道具を片付けるとエアグルーヴから報酬が手渡された。

 限定ケーキセット引換券。

 スイーツが嫌いなウマ娘はいない。どんなに澄ました顔をしていようとこれを食べたら絶好調になること間違いなし。もちろん食べ過ぎによる体重オーバーに注意。

 私は近くのスイーツ店へ行くと、ケーキをいくつか包んでもらった。

 今日はルームメイトが帰ってくる日だ。

 辛い時は慰めてくれて、彼女が辛い時はこちらが慰めて、年齢は違えど親友といえる相手。

 そんな相手が、今日遠征を終えて帰ってくる。

 私はケーキとティーセットを用意すると、彼女が帰ってくるであろう時間に合わせてテーブルに並べた。

 しばらくして、廊下に足音。

 たくさんの荷物と疲労を抱えた重い足取りとは裏腹に、軽快な鼻歌が聞こえてくる。

 ドアが開いてから「ただいま」という声がしたら、私は微笑みながら言った。

 

「おかえり――ダンスパートナーさん」

 

 挑戦を続ける彼女は、今回もまた、たくさん走ってきたようだ。

 

 ――名バ列伝『グレートエスケープ』 第二部、完――

 




ダンパ「へぇ……ファビラスラフイン、エアグルーヴ……随分友達が多いんだねぇ……」
グレ「えっ、いや、これは……」

ダンスパートナーで始まり、ダンスパートナーで終わる第二部。

×お詫び×
前話で忘れていた被害馬シリーズ。今回やります。グレートエスケープが負け続きで必要な場面がなかったんや……

・「ピルサドスキー」
いわずとしれた男を見せた名馬。欧州のGⅠをいくつも勝利した良血馬で実はファインモーションの兄。史実では日本で種牡馬入り前にジャパンカップを走り、完璧な走りをしたと鞍上がいうほどの手ごたえのエアグルーヴを差し切った。まだまだ世界の壁は高いと思わせるに十分な名馬だった。

・「ジェンティルドンナ」
ディープインパクトの最高傑作にしてチンコがついてさえいれば……と惜しまれた名牝。切れ味鋭いスピードというよりはパワーあふれる走りのイメージ。なんで被害馬かというと、史上初のジャパンカップの二連覇を達成したからである。

〇競走馬ワールド
・ダンスパートナー(主な勝ち鞍:オークス、エリザベス女王杯)
 有馬記念を最後に引退。フランス遠征、牡馬クラシックへ挑戦、そして古馬混合戦での激闘。牝馬として牡馬に立ち向かった挑戦者の称号がまさにふさわしい。ヒシアマゾン、ダンスパートナーから牡馬相手にGⅠを勝つ牝馬たちの系譜につながっていったと思うと、感慨深い。

・XX97年有馬記念
 シルクジャスティスが優勝しグレートエスケープまでタイム差がない激闘となった。イメージはダイナカールが優勝したオークス。

友情出演ダークくん「あれ勝てるフラグでは?」
グレ「四角でアレらに並ばれて振り切れるなら菊花賞でお前に負けてねえわ!」

・グレートエスケープの元ネタ
 気づいた方(まぁ要素がほぼなかったから気づきようがないんだけど)がいたので発表。
 タップダンスシチーでした。この馬からはロングスパートと逃げ・先行からの押し切り戦法を切り取りました。ジャパンカップもタップダンスシチーの逃げから。このレースは実況も相まってかっこいいのでぜひご覧ください。

 元ネタまとめ
1.ユーエスエスケープ(Winning Postシリーズから)…父と戦法、馬名、適性の元ネタ
2.ヴィクトワールピサ…2歳時の戦績と馬体、毛色
3.キタサンブラック…適性、戦法、馬体
4.タップダンスシチー…戦法、戦績(JC)
 どれも500kgを超える大型馬でグレも元ネタと違わず大型馬の扱い(500kg前後)

・信楽ホースパーク
 日本最大の馬産グループ「社来グループ」の系列にある大規模な外厩。当時は外厩は普及していない? なんだ、ウマムスキー粒子の力か……よくわからないぞッ!

〇ウマ娘ワールド
・ダンスパートナー(高等部)
 グレートエスケープのルームメイト。穏やかで優しい性格だがゲートが嫌いでそのときはとてもわがままになる。グレートエスケープより年上でよく世話を焼いている。グレートエスケープ曰く「親友」。妹が二人、トレセン学園に所属している。


 次章予告
 ――激動の4歳シーズンが終わり、グレートエスケープは!

「誠意は言葉ではなく金額」
「自分を評価してくれる舞台で活躍したい」
「辛いです……黒井厩舎が好きだから」
「社来ファームでは黒井厩舎で味わえなかったドーンときてガシャーンとやられる感覚があった」

 ――銭闘をしていた!
 社来ファーム、黒井厩舎を相手に種牡馬入りのためのネゴシーエーションを続けるグレートエスケープ! 果たして、シンジケートの価格は――!?
 次章『名バ列伝「グレートエスケープ」第3章! 俺たち夢の種牡馬組』おたのしみに!!


うそです
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