【デレマス×ガンダムブレイカー3】CINDERELLA of Gund@m breakerS 外伝 エクストラバトル編 作:擬態人形P
『フハハハハハ!逃がさん!』
「ちょ!?ジオンの騎士なのに何で飛び道具多用すんの!?」
ニムバス・シュターゼンのイフリート改の相手を買って出た大西由里子のユナイトジャスティスガンダムはその戦い方に驚愕していた。
というのも、基本的な攻撃の主軸となるのは二本のヒート・サーベルなのだが、攻撃の緩急をつける為に両腕の「腕部グレネード・ランチャー」や両脚の「脚部六連装ミサイルポッド」を駆使し、遠距離攻撃も積極的に使ってくるのだ。
確かに有効な攻撃手段と言えばその通りだが、とても「騎士」という通り名には相応しいとは由里子は思えなかった。
「傲慢だじぇ!ニムバス!」
『愚弄するか!由里子よ!』
両肩の5連装ミサイルポッドで何とか相手の飛び道具を相殺する由里子だが、ニムバスは更に彼女が距離を取るや否やイフリート改は二刀流の武器から衝撃波を放つEXアクションである「スラッシュレイヴ」を使ってくる。
「あわわわわ!?」
エクスカリバー二刀流を使い、同じEXアクションでまた由里子は相殺を図るが、元々二人乗り用で設定をつぎ込んだのがユナイトジャスティスなのだ。
操作に迷いが生じてしまい、若干遅れが出てしまう。
『マシンの性能に付いていけて無いな!やはりマリオンは私に味方してる!』
「マリオンちゃんは関係ないでしょ!」
そう言って、慌てて両脚の「クスフィアス3レール砲」を発射しショック状態を与えようとするが、それが愚策だった。
ニムバスは動きを読んでいたかのように跳躍して避けると脚部六連装ミサイルポッドを一斉発射。
ユナイトジャスティスはヴァリアブルフェイスシフト装甲を持つ為、実弾のダメージはそれほどでもないが、動きを止められてしまう。
そこにEXAMシステムの加速力を活かし、イフリート改が猛スピードで突進してくる。
「近づいてくるなら………!」
『甘い!甘過ぎる!!』
エクスカリバー二刀流で斬り払おうとしたが、得物が大き過ぎた。
逆にその前にヒート・サーベルでその振りかぶった両腕を斬り裂かれ、腕ごと武器が吹き飛ぶ。
「ひ、ひぇ………!?」
『トドメだ!』
無防備になった所で左腕の腕部グレネード・ランチャーを胸のコックピットに突き付けられ………。
「………なぁんてね!この瞬間を待ってたんだじぇ!!」
『!?』
しかし、そこで由里子は吠えると膝蹴りをニムバスの無防備な腹のコックピットに向かって放ち………そこから「イージスガンダム」の「ビームサーベル発振刃」を発生させ機体を貫く。
『な………に!?』
「遊びが過ぎたじぇ、ニムバス!」
敢えて油断させるために両腕を捨てる選択肢を選んでいた由里子は、後ろに飛びのくと逆に動きの止まったニムバス機に腹からカリドゥス複相ビーム砲を放ち、トドメを刺す。
『マリオーーーン!!』
ニムバスの叫びと共に、イフリート改は爆発を起こした。
「ふう………いざやってみるとギリギリの戦いだったじぇ………ってアタシが撃墜一番乗り?」
ユナイトジャスティスの両腕が回収されてくるのを待っていた由里子はまだ激しい戦いが繰り広げられている三組の戦いを見つめた。
「やるな………由里子さん!スーパードラグーン無しでEXAMに勝つとは!アタシも土星エンジン使えればまだ楽なんだけれど………。」
フレッド・リーバーのイフリート・シュナイドと対峙しながら、シナンジュ・カービングペインを駆る神谷奈緒は呟く。
各機が得意としているトランスEXアクションは、スモークグレネードの煙を振り払うのに使ってしまった。
再使用の為には各機再チャージの時間が必要で、その間は全員、素の性能で戦わなければならない。
土星エンジンの加速力に戦法として頼る部分もあった奈緒にしてみれば、この制限は実は結構痛かった。
「得物ならビームを纏ったこちらが有利なはずだけれど………フレッドさん思いっきりいいしなぁ………。」
『それは誉め言葉と受け取っておくぜ。サーベルを受けなきゃ勝機はあるからな!』
フレッドのイフリート・シュナイドは小型のヒート系の実体剣である「ヒート・ダート」を二刀流で構えながら機動力を活かし迫ってくる。
本当は「ジャイアント・バズ」等の遠距離武器も使えるのだが、1対1だと隙が大きい為に最初から使用する気が無いらしい。
一方で奈緒が扱うのは「ユニコーンガンダム」の「ビーム・サーベル」。
これを振り回しながら右腕の110mm機関砲等を的確に撃ち込んでいくが、こちらは元々の威力が小さい為か、フレッドはダメージを無視してしまっている。
「ヒート・ダートは計14本装備しているし………、リーチが短いとはいえ、投擲もできる。何よりこちらが大振りした所に、アニメで「ジムⅡ・セミストライカー」に見せたようにカウンターで背後に回り込まれて一撃で決められるのが怖いんだよな………。」
アニメ通の奈緒だから分かる知識が脳裏に浮かび、攻撃に大胆さが失われてしまう。
とはいえ、このまま土星エンジンの再チャージが完了するまで耐える自信も無い。
「えーい!悩んでるなんてアタシらしくもない!仕掛ける行動が分かってるなら一気に突撃して………!」
『踏み込ませるかよ!』
「!?」
マイナスの思考を振り払い割り切った奈緒だったが、そこでフレッドはヒート・ダートを投げつけてくる。
狙ったのは何と踏み出そうとしたカービングペインの右足。
地面に縫い付ける形で動きを止めてしまったのだ。
「マジかよ!?」
『もう一丁!』
更に動揺した所でもう一本のヒート・ダートをカービングペインの右手に投げつけられ、メイン武器のビーム・サーベルを弾き飛ばされてしまう。
『行くぜ!』
「う………うあああああああ!!」
咄嗟の判断で奈緒は左腕のシールドを右手で取り外し、思いっきりフレッド機にぶん投げた。
それは「ガンダムMk-Ⅱエゥーゴ仕様」のシールド。
当然、突進してくるフレッドは新たに取り出したヒート・ダート二本を構えつつ、蹴り飛ばそうとする。
だが、そのシールドには「ミサイル・ランチャー」が内蔵されている為………。
「頼む!!」
『何!?』
奈緒は自分のシールドに両腕の110mm機関砲をこれでもかという程撃ち込み、ミサイルを起爆させ、フレッド機の前で爆発させる。
この行動には流石のフレッドも面食らう形になり、動きが止まる。
その僅かな隙で、奈緒はガンダムXディバイダーのビームマシンガンを右手で取り出し連射………というより乱射。
更に左手で右足に縫い付けてあったヒート・ダートを掴むと引き抜き、一気に突進。
爆発の煙で相手の姿はシルエットでしか見えなかったが、それはフレッドも一緒。
引き抜いたヒート・ダートを思いっきり腹のコックピット付近に突き刺す。
「ど、どうだ………?当たった………のか?」
『………安心しろ、急所に直撃だ。負けたぜ、奈緒。』
最後にフレッド機に手で押される形になった奈緒のカービングペインは後方にフラフラと尻餅を付き………目の前で爆発するイフリート・シュナイドを見た。
『………イフリートが二機も敗れるか。しかし、お前は何故ゲイボルグをひたすら使う?』
「専用ヒート・サーベル」を二刀流で振るうイフリートを駆るヘンリー・ブーンは、上条春菜が操るガンダム・グラシアクリアネスの行動に不可解な物を覚えていた。
春菜は格闘戦が有利な1対1の戦いなのに、射撃武器のゲイボルグを逃げながらひたすら撃ってきているのだ。
更に言えば、射撃武装はイフリート・ナハトのジャミングで照準が合いにくい状態なので、狙った場所には当たりにくく、仮に直撃コースに飛んだとしても、ヘンリーは落ち着いて専用ヒート・サーベルでガードをしていた。
「確かにジャミングの中ではグラスセンサーは効果的に働きません!しかし、それでも元々の射撃性能を鑑みれば有利なのですよ!」
『相当自信があるみたいだな………。』
眼鏡をキリっと上げながら言う春菜はゲイボルグの射撃を撃ち込むのを止めない。
勿論、接近戦では「ザクⅡ」の「ヒート・ホーク」や「ガンダムグシオンリベイク」の「ハルバード」と言った近接武装も備えているのだ。
それでも彼女が射撃という手段に拘っている理由は………。
『なんにせよ、その得物………破壊させて貰う!』
「え!?」
それまで様子見を含めて踏み込みを抑えていたのか、二刀流を構え一気に跳んだヘンリー機は、春菜の近くまで飛び込むとゲイボルグを5連続で斬りつけて破壊。
得意の射撃武器が壊されて動揺した所で、更に蹴りを喰らわせて吹き飛ばす。
『ヒート・ホークではこの二振りの剣は捌ききれまい。』
「………何故、ビームを強化するツインドライブを、ビームを防ぐ「ナノラミネートアーマー」の装甲で戦いあう「ガンダムフレーム」に実装したか分かりますか?」
『?』
ヘンリーは専用ヒート・サーベル二本を振りかぶる。
春菜はここでヒート・ホークを握り………その二本の剣を薙ぎ払った。
すると………。
ベキッ!!
『な………!?』
ヘンリーは驚愕する。
何とその二振りの剣が両方ともヒート・ホークとぶつかった途端、へし折れたのだ。
まるで元々錆びついていたかのように。
「教えて上げます!ゲイボルグ………レールバズーカはナノラミネートアーマー等の装甲を剥離させ損耗させるように強化してあるんですよ!」
『ぬう………!?執拗にヒート・サーベルで防御するように当ててたのはその為か!?』
ヘンリーは飛びのき「専用ショットガン」を慌てて握ろうとする。
だが、春菜はパワードジムカーディガンの二門の大型ビームキャノンを向けた。
「そして、ビームが通じるようになった所で、ビームキャノン………特大の「グラッシーキャノン」がどんな装甲でも貫通していくんです!!」
そのまま、致命的なビームの光弾を発射。
イフリートを光球が貫通し爆発させる。
「これこそグラシアクリアネスの持つ複合パワー………。実弾とビームのコラボレーションです。」
『見事だ………。』
「ありがとうございます、ヘンリーさん。」
春菜は好敵手であったヘンリーに対して頭を下げた。
(なんでスか………みんな、凄いじゃないっスか………!)
エリク・ブランケの乗るイフリート・ナハトと戦っていたスタビライズド・ヘイズルを駆る荒木比奈は、それぞれの戦い方で見せ場を作っていた仲間達の姿に惚れ惚れしていた。
しかし、彼女自身はデファイアント改ビームジャベリンを振り回しても機動力に優れるエリク機に当てる事ができずにいて、逆に日本刀型の実体剣である「コールドブレード」による攻撃を何度も受けている。
元々反応が良いタイプでない上に、機体が重装甲・重装備である為に機動力が追いつかない為、積極的に仕掛けていく格闘戦は不得手なのだ。
だが………。
(そんな事も言ってられない状況っスね………。)
耐久力が高いから一撃一撃は大したダメージでは無いが、連続で喰らってしまえば、当然リペアキットは消耗していく。
何より、こうしている間にエース4人を相手取っている安部菜々のマジカル☆ウサミンガンダムが危険な状態になるのは目に見えていた。
(ガーディアン覚醒を使うか………。)
比奈は耐久力と回復力を高める自身の切り札を使おうとするが、踏みとどまる。
確かに覚醒に頼ればゴリ押しでイフリート・ナハトを倒せるし、菜々の窮地も救えるだろう。
しかし………それで世界大会に通用する自分になれるのか?
喜多見柚、村上巴、関裕美、藤原肇………長くに渡って関係を築いてきた4人の仲間と共に歩めるのだろうか?
(アタシは………置いていかれたくない………!)
仲間の盾になる為に生き残る。
その為の重武装・重装甲こそ、比奈がガンプラに込めてきたコンセプトなのだ。
その想いは、比奈の目指しているガンプラの完成系にも変わりはない。
だからこそ………この窮地を比奈は覚醒ではなく、本当の自分の力で乗り切って仲間を助けたいという想いに駆られたのだ。
「何考えてるんスかね………アタシは………。」
「比奈ちゃん。」
「ん………菜々さん?」
比奈は通信を見る。
送られてきた菜々の顔は………笑っていた。
「ナナは信じていますよ。覚醒ではなく、比奈ちゃん自身が私を助けてくれる事を。」
「……………。」
全てを見透かされたような言葉に比奈はしばし無言になる。
そして………。
「敵わないっスね、菜々さんには。………ありがとうっス!荒木比奈!皆を救ってみせまス!」
そう叫ぶと比奈は両肩のマイクロミサイルランチャーを全弾発射する。
しかし、イフリート・ナハトのジャミングはホーミング兵器にも作用しているのか、ミサイルは空しく真上に空しく飛んでいくだけだ。
『気でも狂ったか………?所詮、イフリートの敵ではない!』
「う!?」
怪訝な顔をしたエリクのイフリート・ナハトはショック状態を与える超低温の「コールドクナイ」を二本投擲。
それをまともに受けたヘイズルは動きを止められてしまう。
『覚えておけ!エリク・ブランケの名を!』
そしてそのチャンスを逃すまいとコールドブレードを握りしめたエリク機が迫るが………。
「………じゃあ、アタシの名も覚えておくっス。」
『!?』
そこでエリク機は慌てて止まる。
何と撃ち上げたマイクロミサイルランチャーの雨がヘイズルを中心に降り注いで爆発を起こしていったのだ。
それはヘイズルの肩の「グレネードランチャー」にも誘爆し、派手に燃え上がる。
『自爆同然の攻撃でナハトを巻き込もうとしたのか………?』
「別にエリクさんに当てようとは思っちゃいないっスよ。」
その言葉と共に煙の中からボロボロのヘイズルが出てくる。
スタークジェガンのバックパックが武装ごと吹き飛び、至る所の重装甲が剥がれて落ちている。
「この機体じゃ「軽くする」っていってもこれが限界っスかね………!」
そう言うと、比奈はボロボロになったメイン武器のガトリング・シールドを投げ捨て、照準補正のある「高性能光学センサー・ユニット」も剥ぎ取り同じように捨てる。
その上で、右手でデファイアント改ビームジャベリンを両剣モードにすると、凄みのある笑みを浮かべて言い放つ。
「機体ダメージによる強制軽量化!こういう展開もある意味重量機体の王道っスよ!」
『しょ、正気か貴様!?』
とても普通では考えられない比奈の取った戦法と威圧感に恐怖を感じたエリクは下がりながら再びコールドクナイを投げつける。
「甘い!」
だが、今度は機体が軽くなっていた事と行動を先読み出来た事で、比奈の反応が追いついた。
ビームジャベリンを前面で回転させ、簡易シールドを作るとクナイを弾き飛ばし、ホバーの性能に任せ一気に突撃する。
慌ててイフリート・ナハトはコールドブレードを構えるが比奈には遅く見えた。
『くっ!?』
「覚えておいて下さい!アタシは………アタシは荒木比奈だァァァッ!!」
『荒木………比奈!?』
今までに無い加速力に任せてビームジャベリンを一気に突き出しコックピットを貫く比奈のヘイズル。
そのままジャベリンを引き抜き下がった所で、イフリート・ナハトは爆発を起こした。
「………菜々さん、無事でスか?」
「何とか………。リペアキットは無いですが、ギリギリですね。ありがとうございます、比奈ちゃん!」
「そうっスか。………間に合ったんスね。………間に合ってよかったっス。」
荒く息を吐く比奈のヘイズルを守るように菜々のウサミンガンダムが下がってきて背中を預ける。
そこに陸地側の敵をあらかた片付けてきたエイガーのマドロックが戻って来た。
『とんでもない無茶するな、お前………。』
「まあ、今回はアタシ自身も否定しないっスよ………。」
『ほら、プレゼントだ。サブ・アーム直っただろ?』
「ん?」
比奈が見てみればエイガーが渡してきたのはザクⅡの「ザク・マシンガン」が四丁。
ヘイズルのサブ・アーム・ユニットの分も合わせれば全ての手が埋まった。
「これは有り難いっス!エイガーさん、いい男になれるっスよ!じゃ………。」
ザク・マシンガンを四丁構えた比奈の後ろに菜々機が下がり、その周りに由里子機、奈緒機、春菜機が集まる。
目の前には菜々が惹きつけていた最後のエース達が身構えていた。
「もうひと踏ん張り行くっスよ!」
比奈の言葉で、菜々機以外の5機が前に飛び出した。
『狙撃手の愛用の武器はもう無い!遠距離戦は………!何!?』
一番槍を担ってケン・ビーダーシュタットの陸戦型ゲルググが左腕で「ショート・シールド」を構えながら「大型ビーム・ライフル」をヘイズルに向かって撃ってくるが、突然そのシールドが吹き飛ぶ。
見れば、春菜のグラシアクリアネスが腰のハルバードを思いっきり遠投してきたのだ。
「ナハトが倒れた事でグラスセンサーは復活してます!どんな手段でもシールドさえ奪ってしまえば………!」
『マズイ!?』
「遅いですよ!トランザムからのグラッシーキャノン!!」
そのまま春菜は「トランザム」を起動し下がろうとしたケン機をビームキャノンの特大の光弾で貫いていく。
『しまった………すまん、後は………!』
「このまま継続射撃を行います!」
爆発した陸戦型ゲルググを後目に、そのままジュアッグやゾゴックも狙っていく春菜機。
それらの雑魚敵は、遠距離戦は不利だと感じ突貫しようとするが、エイガーのマドロックがホバー移動をしつつ「ビーム・サーベル」で確実に斬り捨てていく。
『やるな!さて………「荒野の迅雷」の相手をしてくれるのは………!?』
「アタシだ!」
そう言ってヴィッシュ・ドナヒューの陸戦型ゲルググに突撃してきたのは奈緒のカービングペイン。
勿論、ヴィッシュ側は油断せずゲラート・シュマイザーの専用ザクⅠと連携を取り、囲みに行くが………。
「リペアキットの残りはっと………うん、これならイケる!」
『まさか………!?』
ゲラートが危惧した通り、奈緒機は土星エンジンをフルパワーで稼働させる。
このトランスEXの他との違う所は、ブーストゲージが無くなった時に耐久値を消費する事で無理やり加速を持続させられる所だ。
勿論、そのまま耐久値が切れると自爆するという原作再現の部分もあるが、リペアキットを駆使する事で強引に加速力を継続させる事ができた。
「当たらなければ………!菜々さんは4機相手にしたんだ!2機くらい!!」
シールドが無い事もあり、ヴィッシュ機の「ビーム・ライフル」とゲラート機の「ラケーテン・バズ」を軽く回避しながら、まずジグザグに移動して陸戦型ゲルググに迫り、蹴りを喰らわして右手に持ったビーム・サーベルをコックピットに突き刺す。
『やってくれるな………!』
「よーし、もう1機!」
『………だが、せめて武器は!』
「!?」
しかし、ヴィッシュ機は最後の力で刺さった奈緒機のビーム・サーベルを奪い取り、逆に蹴り飛ばしてそのまま爆発。
自前の接近用武器を失った所でゲラート機がヒート・サーベルを振りかぶり高速で接近してくる。
『さあ、どうする!?』
「まだあるさ………!「自爆」という手段が!」
『何!?部隊の為に私を巻き添えにする気か!?』
「………と思ったけれど、今回はそれはやめ!ここまで来たら全員で勝ち残る!!コイツで!!」
『それは!?』
そう言うと奈緒は左手のヒート・ダートを………前の戦いでイフリート・シュナイドが投擲してきていたヒート・ダートを、ゲラート機の右足に向け投げつけて地面に縫い付ける。
「有効戦術は敵の物でも活用しないとな!」
『ぬう………!』
「コイツでトドメだ!!」
慌ててヒート・ダートを抜こうとするゲラート機であったが、奈緒はビームマシンガンを取り出しEXアクションの「スペクトラルショット」を発動。
銃口が三つに分裂し、高威力のビームが発射されゲラート専用ザクⅠが爆発した。
『皆で生き残るか………。ならば、最後の相手は………。』
「そうなんだよな………。エースはエース同士で勝たないと………。だから、由里子さん!」
「分かってるじぇ!………比奈センセ、決めちゃって!」
「任せるっスよ………!」
スーパードラグーンでノリス・パッカードのグフカスタムを牽制していた由里子のユナイトジャスティスが後ろに下がる。
ザク・マシンガンをサブ・アーム含め四丁構えた比奈はドラグーンの雨の中を走ってくるノリス機に向かって一斉射撃を行う。
だが、高性能光学センサー・ユニットをもぎ取った影響か、命中精度が落ちており、大したダメージを与えられない。
『無謀だったのでは無いか?その状態での1対1は?』
「それは………やってみないと分からないっス!」
比奈はメイン二丁でEXアクションのガトリングバスターを放ち、ノリス機のショック状態を狙う。
しかし、それを予測していたノリスはEXアクションのタイミングに合わせてジャンプをする。
『勝負というものは、紙一重の差で決まる。』
逆に「ヒート・ロッド」での麻痺が狙える距離に入った事で空中からワイヤーを射出しようと右腕を比奈機に向ける。
「そうっス………ね!」
『何!?』
だが、比奈はメイン二丁のザク・マシンガンを捨てて射角を確保し、サブ・アームを斜め上に向けると、そのままEXアクションのフリージングバレットを更に立て続けに放つ。
同時に放たれるノリス機のヒート・ロッド。
お互いの機体がショック状態に陥り麻痺し、動きが止まる。
『ぬうう!?今のは相打ち覚悟か!?とすれば次の行動は………!?』
「アタシにも………守りたい物はあるんスよッ!!」
ノリス機はデッドウェイトとなる「ガトリング・シールド」を捨てヒート・サーベルを握り跳ぶ。
同時に比奈機はサブ・アームのザク・マシンガンを捨て、デファイアント改ビームジャベリンをメイン・アームで二刀流にして構えホバーを全開にして跳ぶ。
『ぬおおおおおおおおおおおおッ!!』
「せいりゃあああああああああっ!!」
二人の得物が………ジャブローの地でぶつかった。
『……………。』
「……………。」
『………実体剣一本でビームの刃二振りは無謀であったか。』
「………いやあ、片腕斬り飛ばしているだけでも大した腕でスよ。やっぱりノリスさんはエースでス。」
『そうか………貴殿のガンプラの道、これからも真っ直ぐである事を願う。』
「約束するっス。アタシは………アタシもみんなと同じようにガンプラを愛するって。」
左腕を落としたヘイズルがゆっくり下がる。
ノリスのグフカスタムのコックピットには右手のビームジャベリンが深々と刺さっていた。
そのままノリス機は満足そうな表情と共に爆発する。
周辺の敵機はこれでいなくなった。
「………勝ちましたよ!ナナ達、これで勝利です!」
「いやー、一時はホントどうなる事かと思ったよ………。」
「グラスセンサーの効力の有効性が確認できましたね!これで更なる改造を………!」
「春菜ちゃんぶれないじぇ………。ユリユリは疲れたよ………。」
増援が現れない事で勝利を確信し喜ぶアイドル達。
そんな中、エイガーが上を見上げていた比奈のヘイズルに近寄る。
『………満足いったのか?機体はボロボロだけれどよ。』
「満足っスよ。エイガーさんを始め、こんな凄い人達と戦えたんスから。………らしくない面も見せちゃったっスけれどね。それに………。」
その言葉を聞きながら比奈のヘイズルはゆっくりと歩を進め、右手で武器を拾う。
それは、イフリート・ナハトが投げつけてきた絶対零度のスタン効果のあるコールドクナイ。
「ノリスさんに言った通り、ガンプラの道は………新しいガンプラの仕上がりに関しては大丈夫っスよ、アタシらしさ………ちゃんと見つけられてまスから。」
比奈の言葉と共に、ミッションクリアの文字が出た。
---------------------------------------------------------
「か、完徹成功!入稿完了したっス!やったーーーッ!!ありがとうユリユリ!!」
「ひ、比奈センセ………少し黙って頂戴………。アタシ、耳が痛いじぇ………。」
エクストラバトルの後、宣言通り自宅で完徹を行い漫画の入稿を終えた比奈は、嘗てないテンションで両手を突き上げて、ガッツポーズをしていた。
その後ろには今にも幽体離脱しそうな顔でぐったりしている由里子。
比奈の完徹の作業に付き合わされてしまったのだ。
ちなみに吉岡沙紀や成宮由愛も含めた他のメンバーはというと、未成年だから完徹はダメだとそれぞれのプロデューサーから念を押されてしまったらしい(菜々は何故か汗をかいていたが)。
その為、唯一成人だった由里子だけがこの地獄を体験する事になっていた。
「比奈センセ………昨日から楽しそうだじぇ………。そんなにあのエクストラバトル、気に入った?」
「勿論!ガンプラやガンダム世界に対するみんなの愛が感じられるバトルだし、時間が出来たら他の物にも挑戦したいっスよ!」
「その前にまず世界大会に向けてガンプラ完成させてねー………。後、睡眠も………。」
完全にハッスルしてしまっている比奈にもう付いていけなくなっている由里子はふと何か考えた顔をして比奈に問う。
「………世界大会と言えば比奈センセ。」
「ん?なんスか?」
「大会に向けて、柚ちゃんや巴ちゃんは心配していないって言ってたじゃん。」
「はい………二人なら自力で立ち上がれるでしょ?」
「じゃあ、あのウィル君はどう思ってるんだじぇ?」
その由里子の質問に、比奈は少しテンションを落とし、天井を見上げ静かに答える。
「そうっスねぇ………次「あんな事」をするならアタシも考えるかもしれないっスねぇ………。」
そして、最後に再び満面の笑みを見せながら言い放った。
「だってアタシ、ガンプラ好きのオタクっスから!」