【デレマス×ガンダムブレイカー3】CINDERELLA of Gund@m breakerS 外伝 エクストラバトル編   作:擬態人形P

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5章:その器の名は… (肇・芳乃・文香・凛・夕美・琴歌)・2話

「ビルゴの防御能力を確かめます………!芳乃さんと凛さん以外は砲撃を!」

 

藤原肇が言葉と共にGP-03ステイメンの左手に備え付けてあった180mmキャノンを発射する。

それに合わせて鷺沢文香のケルディムガンダムセファーアティークが右足にセットされたマーキュリーレヴA ロケットランチャーを。

西園寺琴歌の陸戦型ガンダム イーガーグレイスが右腕の「パーフェクトガンダム」の「ダブル・ビームガン」を。

相葉夕美のGPインヘリト【グラン・ブーケ】が上部に伸びたマルチ・アーム・ユニットの右腕に固定された「ロング・ブレード・ライフル」を。

そして、ドロシー・カタロニアのヴァイエイトが「ビームキャノン」の強力な一撃を撃ち込んでいく。

しかし、それらの砲撃は全てプラネイトディフェンサーの磁気フィールドの前に掻き消されていく。

 

「フィールドオフェンサーの攻撃力アップ付きでも無傷とは………。ここまで設定は強力でしたっけ………?」

『ゲーム媒体によっては。こうなると砲戦は普通に行うと不利ですわね。あのように。』

 

ドロシーの言葉と同時に後ろに隠れていたサーペント達が一斉にビルゴの頭越しに「ミサイルランチャー」を発射してくる。

フィールドディフェンサーで耐久力を強化してあるとはいえ、ここでじわじわと削られて「リペアキット」を消耗すると後の戦いに響いてくる。

 

「全員で懐に飛び込むか………、それとも………。」

「乱戦は同士討ちしやすいし、耐久力が削れやすいから私と芳乃に任せてよ。………行くよ!」

 

そう渋谷凛が言うと、ガンダム・バルバトスシリウスのバーニアを全開にして、敵陣の中に飛び込んでいく。

ビルゴは「ビルゴⅡ」の「ビームサーベル」を移植されていたのかそれを使い近接戦闘を行おうとするが、凛はそれよりも速く右腕のGNクローで回転しながら適当な一体に喰らいつき、一気に両手で引きちぎる。

更にそこからビーム発振刃を両手に持つとビルゴもサーペントも関係なしに、動き回りながら次々とモビルドールを斬り裂き破壊していった。

 

『清々しいほど荒々しいですわね………。』

「大きなお世話。でも、サーペントは勿論、ビルゴも接近戦は大した実力じゃないみたい。芳乃も行けるよ!」

「ならば、私は近接支援を行いましょー。」

 

そう言うと芳乃のスサノオ・マガバライは敵機の目を引くライトを使用し、敵機の群れの中にジャンプをして飛び込む。

当然、完全なAI設定のモビルドール達は一斉に芳乃を狙いに来るが、ここで彼女はEXアクションのツイストハリケーンとファントムエッジを使用。

水色の美しい3つの竜巻と剣のホログラムが芳乃機の周囲に出現し、敵を巻き上げ、斬り裂いていく。

 

「では、締めは任せますー。」

 

防御用の水色のGNフィールドを展開した芳乃は薙刀をモチーフにした雷光丸を振り回しながら肇達に合図を送る。

自分が動きを止めている周りの敵を遠慮なく撃ち抜けという事らしい。

 

「では、その言葉に甘えさせて貰います………!」

「一斉発射だよ!」

「私も遅れませんわ!」

 

その言葉に応じ、肇のステイメンは右腰のアグニを照射し、夕美のグラン・ブーケは下部のムーバブル・シールド・バインダーと一体化した両腕の「ビーム・キャノン」を発射。

そして、琴歌のイーガーグレイスは「フルアーマー・ガンダム(サンダーボルト版)」の「大型ビーム砲+6連装ミサイル・ポッド」を次々と雨のように撃ち出していく。

 

芳乃のEXアクションのサポートもあって、面白いように敵がパーツを弾き飛ばし、爆発していく。

陣形が完全に乱れた事で、前衛と後衛に分かれていたビルゴとサーペントの動きがチグハグになり、場所によっては思わぬ同士討ちを始める機体まで現れてきた。

 

「思った以上に脆いですね………。私は凛さんの手助けをしましょう………。シールドビット………!」

 

文香のセファーアティークはケルディムガンダムの脚から「GNシールドビット」を9基放出し、芳乃のマガバライを狙おうとしているサーペント等を優先的に狙っている凛のシリウスを守るように、周囲にオールレンジ攻撃をするビットを展開する。

 

「いいね、それ。蒼く塗られてるし、連携としても最高だよ!」

「蒼が関係あるかは分かりませんが………これも加えましょう。避けて下さい………。」

「了解!」

 

そう言うと、文香は脚から「GNミサイル」も発射し、シリウスの動きに右往左往するモビルドール達にミサイルの雨を降らせる。

 

『上手く戦ってますわね。手ごたえはいかがですか?』

「順調と言いたいですが………少し失敗しましたね。」

『失敗?』

 

パーツアウトを誘発させるEXアクションである「ブレイカーシュート」を、プラネイトディフェンサーを貼ったビルゴに決めながら、少しだけ顔をしかめる肇の様子にドロシーは興味深そうに聞いてくる。

 

「私のステイメンは、実はムチのチェーン・マインを装備していて、振り回して周辺の相手の動きを止めるEXアクション「ボルテックスチャージ」を使えるようにしているんですが………。」

『成程。プラネイトディフェンサーには効果的ですが、前線に飛び込んでそれを使用したら、確実に味方を巻き込みますわね。』

「別のEXアクションに変えるべきかもしれませんね………。」

「ムチならば、相手をブラックホールで吸引する「グラビティスフィア」もあるから、そちらの方が肇ちゃんの機体には合っているのかも………。」

「そうですね………狙撃で一網打尽に出来ますし、いっそ、そちらに切り替えるのも………。」

 

夕美の言葉に肇はまだまだ格闘戦の模索が足りてないと思ってしまう。

しかし、そこでそんな肇の心境を察したのか琴歌から言葉が投げかけられる。

 

「肇さん………真面目に考える事も大切ですけれど、まずは楽しみませんか?色々と悩んでいたら、このバトルを提供して下さったカドマツさんに申し訳がありません。」

「す、すみません………。」

「もう!そこで謝っては意味がありませんわよ!さあ、ハッスルハッスル!」

「は、ハッスルハッスル………!」

 

どうもまだ自分は何かを引きずっていると肇は感じてしまう。

いや、その「迷い」の正体は当の昔に分かっているのだ。

まだ自分が認められないエキシビジョンマッチでのウィルの乱入。

そのウィルとも対峙する舞台である、世界大会に向けた更なる修練。

そして、何よりも………。

 

(いいえ、確かに考えるのは後ですね………。)

 

心の内に抱え込む癖は自分の悪い所だと思いながら、肇は迷いを振り払うようにしてドロシーに聞く。

 

「ヴァイエイトのビームキャノンの充填はどうですか?」

『もうすぐ完了しますわ。ドカンと一発放ちますか?』

「少しだけ待って下さい。芳乃さんのEXアクションもそろそろ時間切れですし、これ以上の消耗を避ける為に、一気に状況を打開します。」

「打開するってどうやるの?」

 

夕美の質問に肇は精神を研ぎ澄ます。

 

「プラネイトディフェンサーを貼る前に強力な砲撃を決めればいいんです。」

 

そう言うと、肇のステイメンが紫に輝いた。

アービター覚醒を使ったのだ。

すると途端にビルゴもサーペントも動きが鈍くなる。

 

「いい手段ですわ!これなら、凛さんや芳乃さんの援護が無くても………!」

「効果時間は短いです!一気に決めて下さい!前線の二人は危ないから下がって!」

「OK!芳乃!」

「はいー。」

 

凛機と芳乃機が下がると共に、肇機はビーム・スマートガンを照射。

ビルゴはプラネイトディフェンサーを貼ろうとするが、動きが追いつかず、後ろのサーペントと共にパーツを撒き散らしながら爆散してしまう。

更にアグニを続けて照射し、180mmキャノンを連射する。

 

『では、遠慮なくいかせて貰いましょう。』

 

続いてドロシーがヴァイエイトのビームキャノンを照射。

夕美もグラン・ブーケのロング・ブレード・ライフルを発射し、琴歌のイーガーグレイスも「ブルーディスティニー3号機」の「胸部有線ミサイル」を炸裂させる。

文香のセファーアティークは右肩と左腰のマーキュリーレヴA レールガンを次々と撃って機体を殲滅していく。

肇のアービター覚醒が切れる頃にはほぼ大半のビルゴとサーペントが戦場から消えていた。

 

「いい感じだね、後は残った敵を………。」

『おっと!ここで死神様のお通りだ!!』

「!?」

 

再び前線に踏み込もうとした凛機の目の前で、ビルゴとサーペントが纏めて光る鎌………「ビームシザース」で斬り裂かれる。

よくよく見れば、その空間に黒い死神のモビルスーツが出現していた。

 

「「ハイパージャマー」………!?「ガンダムデスサイズヘル」!?」

『悪いけれど、僕達も引けないんだ!』

 

更に辺りを見れば白を基調としたガンダム………「ガンダムサンドロック改」が「ヒートショーテル」を振り回しており、その周りには茶色の親衛隊のようなモビルスーツ………「マグアナック」がサーペント達に応戦している。

 

「「デュオ・マクスウェル」さんに「カトル・ラバーバ・ウィナー」さん………。そして………。」

『「トロワ・バートン」だ………。自己紹介はこれで十分だろう。』

 

そして、暗青緑色の「ガンダムヘビーアームズ改」が仮面を取りながら登場し、空中に飛びあがりながら下にいるサーペント達に「ダブルガトリングガン」を喰らわせて華麗に爆散させる。

 

『待て、私を忘れるな!』

「「ルクレツィア・ノイン」さんまで………!」

 

最後に「サンクキングダム仕様」の白い「トーラス」が「ビームカノン」で残ったサーペントを撃ち抜き着地をする。

更なる敵の出現に、モビルドール達は混乱する暇も無く完全に消滅した。

 

「貴方達が………次の相手ですか。」

『アンタが藤原肇か?マリーメイア軍もガンダムも両方相手にするなんていい度胸してるねぇ!』

「不本意ですが………。でも、何で、ハイパージャマーでこちらに不意打ちをしなかったのですか?貴方達の実力ならば………。」

『確かに戦術的にはそちらの方がいいよ。でも、それじゃあサンドロックを始めとした僕たちのガンダムに顔向けできない。』

『但し、ここからは本気でお前達の相手をさせて貰う………。』

『逃げも隠れもしない!かかって来い!』

『………それ、俺に対する当てつけ?』

 

最後にデュオが恨めしそうにノインに言うが、肇達にしてみれば、そんな雑談をのんびりしている分、心に余裕があるという事で強敵だと思った。

 

「どうしましょうか………。」

『決めるのは貴女ですわよ?………本当はわたくしも相手が相手だけに指示を出してみたいですけれど。』

「ああ、カトルさんがいますもんね………。まず私が相手をするガンダムは………。」

「あの………肇さんはまだガンダムの相手は控えて貰えませんか………?」

「え?どうしてですか、文香さん!?」

 

文香の言葉に思わず肇は驚くが、他の皆は思った以上に冷静だった。

 

「ここで総大将の肇さんが消耗してはー、意味が無いのでー。」

「次の増援で、ヒイロと五飛………それにミリアルドは確実に出てくるだろうし、肇はそれまで力を取っておいて欲しいんだ。」

「私達が肇さんを守ります!だから後ろでどっしりと構えていて下さい!」

「それで………いいのでしょうか?」

 

仲間達の言葉に思わず肇は俯く。

これは他ならぬ肇を鍛える為のバトルであったので、自分だけ楽をするのは生真面目な彼女にとってはあまり避けたかったのだ。

それに、ガンダムパイロットという強者と戦いたいという欲も正直ある。

だが、皆の言う通り、この後の一番厳しい所で力を発揮するのも、砲撃という火力に特化した肇の仕事であるのも事実であった。

 

「鍛えたいのは私達も同じだから♪みんなで役割分担しながら戦っていこう♪」

「………ありがとうございます。では、再び芳乃さんはフィールドディフェンサーを。夕美さんはフィールドオフェンサーを貼って、琴歌さんは「フィールドリペア」で回復して下さい。」

 

肇の指示にそれぞれの強化と回復がなされる。

それと同時にトーラスのビームカノンが飛んできたので必然的に肇のステイメンが相対する事になる。

 

「デスサイズは凛さんとドロシーさん!ヘビーアームズは芳乃さんと文香さん!サンドロックとマグアナックは夕美さんと琴歌さんで!マグアナックに対しては私も後で援護に回ります!」

 

横に跳びながら回避をしつつ肇は即興で分担を決める。

これに応じて各機が応戦する事になった。

 

『藤原肇!貴様一人で私を倒せると思ったか!』

「倒します………!今は私の役目を果たす事が大事ですから!」

 

バーニアを最大限に吹かし機動力を高めたトーラスは、ステイメンに向けてビームカノンを撃ってくる。

肇も回避をしながらビーム・スマートガンで応戦。

反応速度は並ではあったが、射撃戦は慣れている為、砲撃の撃ちあいには強かった。

だが、それはノインの方も同じであるらしく、肇機の三門の砲を躱しながら的確に狙ってくる。

 

『長期戦ならばこちらが有利だ!伊達にサーペントの山を相手にしたわけではない!』

「ですね………!でも、こちらは長期戦に付き合う気はありません!」

 

アグニを撃ち終わった肇機の脚が止まる。

その隙を逃すまいとトーラスはビームカノンの砲門をしっかりと向け………そこに肇はすぐさま180mmキャノンの実弾を撃ち込む。

 

『何!?』

 

爆発するビームカノン。

咄嗟に手放した事でトーラスは無事だったが、ノインはスナイパーとしての肇の射撃能力の高さに驚愕させられた。

 

「これで強力な砲は使えません!」

『見事だ………だが、それは貴様にも言える!』

「その通りです………!」

 

ここで肇は砲をしまうとビーム・サーベルを二刀流で構え接近戦を挑む。

勿論、格闘戦は射撃戦に比べてやはりまだ得意では無かったが、それでもこのままだとトーラスが肇の真似をして「ビームライフル」で大事な砲を撃ち抜いてくる危険性があった。

 

『私のトーラスがサーベルを持たないと思ったか!』

 

ノイン機は肇機と同じように「ビームサーベル」を取り出すと、二刀流で受け止め、同じく近接戦闘を仕掛ける。

その結果、お互いの二振りの刃がぶつかりあい、鍔迫り合いになる。

 

『結局は根競べだな!』

「いえ………すぐに終わらせます!」

『!?』

「今は………こういう使い方も学びました!お願いします、マリオンさん!」

 

そう肇が叫んだ瞬間、ステイメンのツインアイが赤色に輝く。

危険を察知したトーラスは後ろに跳ぼうとするが、それよりも肇機が背後に回る方が速かった。

そのままコックピットを後ろから貫く。

 

『EXAMシステム………!?』

「どちらかと言えばこれまでは遠距離戦での機動力を確保する手段でしたが………近接戦闘も訓練は積んだので………。」

『やはりジャパンカップファイナリストを相手にするには私では実力不足か、だが………。』

「分かっています。油断はしません………この後の戦いも。」

 

肇はサーベルを引き抜き飛び退くとトーラスは爆発する。

EXAMシステムを切ると、彼女はすぐさまマグアナックをビーム・スマートガン等で狙い始めた。

 

『藤原肇………ジャパンカップから更に修練を積んでいるな………。』

「左様ー。妙なぎゃぐも副作用で習得しているみたいですがー………。」

『よく分からないが………こちらはこちらで仕事をさせて貰う。』

 

珍しく落胆………というかげんなりした表情を見せる芳乃に首を傾げるトロワであったが、その攻撃は激しく繰り広げられていた。

防御力ダウンとショック状態付与の「フリージングバレット」、攻撃力ダウンとショック状態付与の「ガトリングバスター」、そして両手のガトリングで継続射撃を行う「ダブルガトリングストーム」と、攻撃系のEXアクションをどんどん撃ち込んでくる。

だが、芳乃機は次々と時間差で自機の周囲に異なるGNフィールドを貼る事でその攻撃を全て阻止している。

特に弾丸がフィールドで弾けている事で、ショック状態付与等の追加効果を防げているのは大きなアドバンテージであった。

 

『相当強固な機体だな………。そして戦略も練られている。』

「ガンダムだけが主役では無いのでー。さて、文香さんー。」

「はい………。マグアナックを肇さんが引き付けてくれている間に貴方を………。」

 

芳乃に隠れるように立ち位置を調整している文香のセファーアティークがGNシールドビットでトロワのヘビーアームズを攻撃していく。

更にGNミサイルの波状攻撃も仕掛け、少しずつであるが耐久値を削っていた。

 

『不利だな………。機体もシールドビットのフットワークの軽さに付いていけていない。』

「そなたは素直なのでー。大人しく降伏いたしますかー?」

『少し軽くするか。』

「!?」

 

その言葉に芳乃と文香は驚愕する。

両肩部アーマー内に備わった計44発、サイドアーマー内の計8発の「マイクロミサイル」、脚部ミサイルポッドに計36発、フロントアーマー内に計8発の「ホーミングミサイル」。

それら全てのハッチを展開したのだ。

 

「芳乃さん………!GNフィールドを四重に………最大の力で張って下さい………!」

『全てを消滅させる。』

 

そのままトロワは計96発のミサイルを全て放出し、芳乃のマガバライに嵐のように炸裂させていく。

その曲線的な軌道はマガバライだけでなく、後ろに待機していたセファーアティークにも流れ弾のように飛んでいく形に。

 

「じ、「GNフィールド発生装置」がー………。」

「も、持って下さい………!私のセファーアティーク………!」

 

凄まじいミサイルによるヘビーアームズの砲火。

全てが終わった時、二人の機体は何とか立っていたが、芳乃の機体はミサイルの激しい衝撃でGNフィールド発生装置が全て破損。

文香機はシールドビットが全て撃ち落とされガンダムデュナメスのGNフルシールドも所々壊れてしまっていた。

 

「周りが………見えないのでー………。」

 

ミサイルの炎と煙によって芳乃と文香は周りが見えなくなっていた。

そんな中聞こえてくる機械音。

GNフィールドが無くなった芳乃にトロワのヘビーアームズがダブルガトリングガンを撃ちながら迫ってきていた。

 

『終わりだ………。』

「その行動………読んでいないとでもー?」

 

GNフィールドが張れなくなった芳乃は、しかし、EXアクションのツイストハリケーンとファントムエッジを発動させ、自分の周りに即席のバリアを作り出す。

ここまでは彼女の先の手を読む力が上手く発揮されていたが、予測外の事があるとすればミサイルを全て撃ち切ったヘビーアームズが想像以上に軽くなっていた事だ。

 

『狙いはお前じゃない。』

「何とー?」

 

ヘビーアームズは膝を抱え回転しながらジャンプをすると、何と水色の竜巻越しに芳乃機を軽々と跳び越え、文香機の眼前へと降り立つ。

 

「速い………!?」

『残念だが………。』

 

文香は慌てて「ダブルオーガンダム」の「GNソードⅡ」を構えるが、その前にダブルガトリングガンが火を吹いた。

GNフルシールドを失った機体が次々と撃ち抜かれていき、爆発を起こす。

 

「文香さんー!?」

『戦闘を継続する………。ん?』

 

芳乃機に振り返りガトリングガンを構えた所でトロワは気づく。

爆破したはずの文香機のマーカーが消えていない。

 

『これは………。』

『トロワ!彼女はまだ終わっていない!!』

『な………に!?』

 

カトルの言葉にトロワが何か行動を起こす前に、片脚をマーキュリーレヴA レールガンで撃ち抜かれる。

膝を突くトロワ機は背後を………実質的には斜め上を振り向き驚く。

そこには、マーキュリーレヴAの装備を全て機首両側に繋げるように吊り下げたAGE-3のコアファイターが。

 

「あれはー………アティークセファー!?」

『戦闘機………!?脱出システム搭載か………!?』

「この設定が役立つとは思いませんでした………!」

 

文香は撃ち抜かれる瞬間に咄嗟の判断で脱出したコアファイターの方に主動作を移したのだ。

そのまま不意打ちを喰らわせた文香は空中で宙返りをするとヘビーアームズに狙いを定め、マーキュリーレヴAの装備を使い切る勢いで撃ち出していく。

レールガン、ロケットランチャー、ガトリングガン、ショットガン………。

それこそ、相手のミサイルの雨あられにそっくりお返しする程の砲火だ。

 

「支援機アティークセファー………目標を消滅させます!」

『………限界か………思ったより早かったな。文香………次があったら共に戦ってみたい。』

「検討しておきます。」

 

脚をやられ、回避能力を奪われたヘビーアームズはその一斉射撃を受けて遂に爆発を起こした。

 

『トロワ達を倒すなんて………!でも、何としてもここで押しとどめる!』

 

文香機によるヘビーアームズの爆発と、肇機によるマグアナック数体の破壊を見たカトルは、「ビームライフル」で支援射撃を行ってくれていた残りのマグアナック達を肇達の方へ向かわせると、自分は一人、「ビームサブマシンガン」を連射する。

ここら辺、設定はEW版でありながら、装備はTV版の物もある程度使えるようにミキシングされているらしい。

だが………。

 

「野に咲く花は簡単には枯れないよ!」

 

琴歌のイーガーグレイスの前に立つ夕美のグラン・ブーケは「Ex-Sガンダム」の胴体に備わったIフィールドでビーム射撃を無効化していく。

この特殊能力があるから夕美機の方が前線に立って盾になっているのだ。

 

「さあ、ミサイルの雨をサービスしてあげる!」

「受け取って下さいませ!」

『………肇の即興の割り振り、その場しのぎの発言だと思ってたけれど、トロワの時といいちゃんと考えられてるね!』

 

グラン・ブーケの両脚の「ミサイルポッド」と、イーガーグレイスの6連装ミサイル・ポッドの雨を受けながらサンドロックを駆るカトルは舌を巻く。

肇も荒木比奈の元でガンダム沼に漬かって知識を得ているのだ。

ガンダムチームとの対戦が予測できた時点で彼らが嫌がる編成を参加メンバーからある程度練る事はできたのだろう。

実際トロワはやられてしまったし、カトルも非常に嫌らしいと思っている。

 

『でも………どんなに予測が出来ても、100%の勝利まで予想する事はできない。』

「諦めない姿勢は素晴らしいですわね。ですが、その意志は………。」

『モビルドールじゃない君達にも備わっているのは分かってるよ。だから、今度も敗ける戦いになる。ドロシーの思う通り、人々は戦争を望まなくなる。だけど………。』

「だけど………?え!?」

 

驚く夕美の前で、カトルのサンドロックの機体が……銀色に輝く。

 

『これは僕らの意地!簡単には敗けて上げないよ!』

 

サンドロックの機動力が急速に上がる。

一時的に機体に搭載していた「ゼロシステム」を解放したのだ。

夕美の視界からカトル機は一瞬で見えなくなる。

 

「何処!?」

「夕美さん!右です!」

「右………きゃあ!?」

 

気付いた時には爆発音。

何とマルチ・アーム・ユニットの右腕に固定されていたロング・ブレード・ライフルがビームサブマシンガンで射抜かれていた。

砲身が長すぎたので、Iフィールドで覆いきれてなかったのだ。

 

『これも貰うよ!』

「「大型ブースター」を切り離してください!」

「うわわわわわ!?」

 

更にIフィールドからはみ出していた、背中に搭載された加速用の「フルアーマーユニコーン」の大型ブースターがビームサブマシンガンで射抜かれ、爆発。

これにより耐久値が大幅に削れた事で慌ててリペアキットを使って回復をするが、今度は二振りのヒートショーテルの怒涛の攻撃が何と正面から来る。

 

『フライルーのサブ・アームは大き過ぎる!ゼロ距離まで近づけば可動域が限定される!』

「そ、そんな………!?」

 

夕美はカトルの分析に困惑してしまう。

グラン・ブーケは四本のサブ・アームがある分、リーチの長い「ZZガンダム」の「ハイパー・ビーム・サーベル」と砲身の長い「νガンダム」の「ニュー・ハイパー・バズーカ」でメイン・アームの動きを阻害しないように工夫している。

逆に言えばそれよりも中に入られると対応に苦労するのだ。

相手が近接戦闘に特化した機体ならば猶更だ。

 

「ど、どうしよう………!?」

 

リペアキットを使いながら脚の「ライトニングガンダム」の二本の「ビーム・サーベル」を引き抜いて何とかしようとするが、やはりその可動域がネックになってしまい上手くいかない。

ご丁寧に、サンドロックはサブ・アームを破壊しないように気を付けながらヒートショーテルで攻撃してきている。

更に、サンドロックが上手くサブ・アームの中に入り込んだ事で、琴歌機の援護が貰えない状態だ。

射撃等をお願いしたら、当たるのはサンドロックではなくグラン・ブーケになる。

 

「ゴメン………!琴歌ちゃん、私………!」

「夕美さん、ごめんなさい!」

「………って、ええええええ!?」

 

だが、琴歌のイーガーグレイスの判断は思った以上に早かった。

彼女はフィールドリペアを使うとそのまま三本のスカート状に繋がった「大型ブースター」で加速し、EXアクションの「ブラストタックル」のショルダータックルで思いっきり夕美機を弾き飛ばす。

 

「こ、琴歌ちゃーん!?」

『最初から彼女狙い!?』

 

タックルが当たる瞬間に飛びのいたサンドロックを駆るカトルは一瞬だけ動揺するが、すぐに「バルカン砲」を発射。

一方でパーツがバラバラになって転がる夕美機の前に立ちはだかったイーガーグレイスはそのままサブ・アームを展開し、オートシールドでバルカンを防ぐ。

だが、その流れでサンドロックはヒートショーテルをオートシールドに叩きつける。

強固なシールドではあるが、高熱の刃が表面を溶解させていき、めり込んでいく。

 

『強引な手段で彼女を守ろうとした所で意味は無いよ!実体のシールドで………!』

「かかりましたわね!」

『………え?』

 

琴歌は背中から「フルアーマー・ガンダム(サンダーボルト版)」の「ビーム・サーベル」を抜くと迷う事無くサブ・アームの取っ手を自ら斬り捨てる。

突然の事態に前のめりになってぶつかって来たサンドロックを左腕の「シェンロンガンダムEW」の「シェンロンシールド」で裏拳を喰らわせるように突き飛ばすと、カトルは今度こそ本気で動揺してしまう。

 

『ひ、ヒートショーテルが!?』

 

下手に熱で溶解させてめり込ませてしまった為に、ヒートショーテルとオートシールドが一体化してしまったのだ。

これではゼロシステムで機動力を上げられても、相手を上手く斬る事ができない。

それどころか、オートシールドの重量の分、デッドウェイトだ。

 

「フィオレンティナのショータイムですわ!」

 

大型ビーム砲+6連装ミサイル・ポッドを立て続けに撃ち放ち、動揺するカトルを攻め立てる。

カトルはヒートショーテルで攻める事を諦め投げ捨てて、ビームサブマシンガンに持ち替えイーガーグレイスを狙うが、琴歌はシェンロンシールドで身を守りながらカトル機を正面に見据えて「陸戦型ガンダム」の「100mmマシンガン」の弾丸を連射する。

これまでのビームやミサイルに比べれば大した威力のない実弾のマシンガン故に、カトルは無視しようとしたが、突如機体が麻痺。

その瞬間、サンドロックの自慢の防御力も低下してしまう。

 

『これは………EXアクションの「フリージングバレット」!?』

「私の愛馬は凶暴ですわ。夕美さん!フィナーレはお任せします!」

「それ、「愛馬」と「相葉」を掛けたギャグ………?とにかく、行くよ!」

 

パーツがようやく戻って来た夕美のグラン・ブーケはクロスボーン・ガンダムX1のブースターを全開にしながら高速で突進し、左右にソニックブームを発生させる。

元々は「AGE-2ダブルバレット」の固有技である「大型ビームサーベル」を元に夕美なりに改良したEXアクションだ。

 

「これがGPシリーズの集大成であるグラン・ブーケの最大パワーだよ!」

『参ったなぁ………指揮してる立場なのに先に倒れちゃうなんて………みんなゴメン。』

 

真っ二つに斬り裂かれたサンドロックは爆発を起こした。

 

『おいおい、後、俺だけか!?』

「みたいだね。どうする?降参する?」

 

トロワとカトルが立て続けにやられた事でデスサイズを駆るデュオは頭を抱えていた。

彼は強力な威力を持つビームシザースを振るう事で凛のシリウスやドロシーのメリクリウスにダメージを与えようとする。

しかし、シリウスの二本のビームサーベル発振刃で上手く防御されてしまい、そこにメリクリウスの「クラッシュシールド」や「ビームライフル」が飛んできて大した効果が得られない。

 

『マグアナックもいつの間にかほぼ壊滅してるし、どうしてこうなるんだ………?』

「それだけデスサイズがタフだって事じゃないのかな?大切な相棒、褒めてあげたら?」

『だからってカッコ悪く負けたら意味ねぇだろ!?』

 

何というか貧乏くじを引く彼らしいと言えば彼らしい展開だが、談笑しながらも凛は気を抜かない。

一瞬でも気を抜いたら「ナノラミネートアーマー」を備えているとはいえ、ビームシザースの餌食になるのは目に見えているからだ。

 

『どうしますの?離れて戦うという手段もありますが………。』

『遠距離武装持たない俺にとってメリット一つも無いじゃねぇか!?それに離れた瞬間にヴァイエイトの射撃飛ばしてくるんだろ!?』

『それは勿論。』

 

ドロシーの方も隙は見せていないらしく、ヴァイエイトのビームキャノンのチャージを完了させており、後方に控えさせている。

少しでも距離を取れば、それはそれでデュオにとっては地獄であった。

 

「どのみち、マグアナックが全滅したらみんなこっちに来るんだ。本当に大人しく降参した方が相棒の為だよ!」

『だよなぁ………サーペントと違って「バルカン砲」でどうにかなる相手じゃないし………。ビームシザースを活用した堂々とした接近戦じゃハイパージャマーも大した効果は無いし………。』

 

デュオは溜息をつき、そして………不気味な笑みを浮かべた。

 

『乗り気じゃねえが………ヒイロ達の為に少しでも削っておきますか。』

「削る………?」

 

そう言うとデュオのデスサイズは凛のシリウスから飛びのく。

すぐさまヴァイエイトのビームキャノンが発射されるが、それを悪魔の翼で回転するように回避。

すると………腕の「バスターシールド」をシリウスではなく、後方でマグアナックと戦っていた芳乃のマガバライに向けて発射する。

 

「芳乃!回避!」

「はいー!」

 

その攻撃は芳乃に回避されるが、その隙を狙ってデスサイズはビームシザースを振りかざし芳乃機に突撃。

芳乃のマガバライもGN粒子を纏った雷光丸の薙刀で受け止めるが、そこでデュオが一言。

 

『俺は死神様なんでな………。一緒に行こうぜぇ!』

「!?」

 

鍔迫り合いになったデスサイズが取ろうとした行動に一同は驚く。

トロワのヘビーアームズにGNフィールド発生装置を破壊されたとはいえ、強固な防御力を持つ芳乃機を巻き添えに「自爆」しようというのだ。

 

「肇!デスサイズを撃ち落として!」

「射角が………!?狙えません!?」

 

最初からデュオは周りの動きをしっかり見た上で行動していたらしく、肇のステイメンは丁度芳乃のマガバライの後ろにいる形になっていた。

これではデスサイズだけを狙えない。

 

『残念だったな!最後くらい、死神らしく………!』

「やらせませんわよ!」

「琴歌!?」

 

そこで凛は驚く。

目の前を三つもの大型ブースターの出力を全開にした琴歌のイーガーグレイスが飛んで行ったのだ。

しかし、自爆しようとしたデスサイズは光り始め、芳乃が慌てて制止する。

 

「琴歌さんー!ダメでしてー!このまま突撃してはそなたも巻き添えにー!」

「スカートは剥ぎ取る物ですわ!」

『へ?』

 

意味の分からない琴歌の言葉に怪訝な顔をしたデュオのデスサイズに向けて………イーガーグレイスの腰の連結された三つのブースターが大型質量弾として射出される。

それは一直線に加速し、琴歌の意志を示すようにデュオのデスサイズをぶっ飛ばしていく。

 

『おわああああああ!?』

「成敗………!です!」

『や、やっぱ俺ってカッコ悪ぃ………。』

 

落胆するデュオの言葉と共にデスサイズは大爆発。

リーダー機四機を撃破した為か、残っていた数機のマグアナックもホログラムになって消えた。

 

「もう………御蔭で丸見えですわね。大丈夫ですか、芳乃さん。」

「は、はいー。ありがとうございますー。………ですが、その発言は少々ー。」

「?????」

「いえ………そなたはそのままでいて下さいー………。」

 

珍しくペースを乱された芳乃の周りに肇達が集まってくる。

芳乃、文香、夕美、琴歌は万全の状態では無くなっていたが、それでもまだ戦闘は継続する事ができた。

 

「ありがとうございます、皆さん。私の為に、力を尽くしてくれて………。」

「まだまだ力は残ってますわ!さあ、最後の増援に備えましょう!」

 

琴歌がフィールドリペアを使って回復するのに合わせ、芳乃がフィールドディフェンサーを、夕美がフィールドオフェンサーを使い、能力を上昇させる。

 

「さあ………残りはヒイロ………君達だけだよ!」

『成程………とうに覚悟は出来ているか。』

『貴様らは女にしておくには惜しい連中だな。』

『ならば、こちらも全力で戦うのが礼節というものだ。』

「この声は………あの三人でしょうか………?」

 

その文香の言葉と警告音と共に、ヒイロ・ユイの白い翼を纏ったEW版の「ウイングガンダムゼロ」と、「張五飛」の緑の「アルトロンガンダム」、そして、「ミリアルド・ピースクラフト」の白い「トールギスⅢ」が着地してくる。

 

「貴方達が最後の相手だね!よーし!」

『少し待って欲しい。………この勝負、私も興味が湧いている。』

「え?」

 

夕美が驚く中でもう一機モビルスーツが飛んでくる。

その機体は、青を基調としたガンダムであった。

 

「肇さん………あの機体は………?」

「「ガンダムアクエリアス」………!」

「え?何、あの蒼そうな機体は!?搭乗者は!?」

 

珍しく驚きを見せる凛に対し、その青い機体は、本来は搭載されていないはずの「ビームサーベル」を手に持ちながらゆっくりと三機の猛者の前に着地して名前を告げた。

 

『私は「トレーズ・クシュリナーダ」。このガンダムアクエリアスで手合わせ願おう。』

 

トレーズは因縁の深いヒイロ、五飛、ミリアルドと共に肇達の前に立ちふさがった。

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