【デレマス×ガンダムブレイカー3】CINDERELLA of Gund@m breakerS 外伝 エクストラバトル編 作:擬態人形P
「ガンダムアクエリアス………なんて蒼い機体なんだ!それにトレーズが乗っているなんて………!」
「凛ちゃん!そんな恍惚とした表情浮かべてる場合じゃ無いって!?………肇ちゃん、トレーズ様ってそのアクエリアスに乗った事あるの!?」
「無いです。あくまでゲーム媒体の機体ですから。本来は「アンチMDシステム」でモビルドールの動きを止める為に出力を回す分、ビーム兵器は使えません。でも、ビームサーベルを持つという事は、それを捨てているという事でしょうね………。」
感情が蒼に染まりそうになった渋谷凛にツッコみを入れながら訪ねてきた相葉夕美の質問に、プロ顔負けの分析を披露する藤原肇。
ガンダムアクエリアスは、元々は「ガンダムエピオン」と連携を組むという設定で生まれた機体である。
アクエリアスがモビルドールを止めてエピオンがトドメを刺す。
理想形としてはそんな図式だ。
「支援型だからって侮らないで下さい。機動力は「トールギスⅡ」に匹敵しますし武装も豊富です。」
『私は幸せ者だ。ヒイロ・ユイ、張五飛、そしてミリアルド・ピースクラフト。こうして未来を担う者達と共闘する機会を得られたのだから。』
『俺は乗り気じゃないがな。だが、共に挑むからには勝者を目指して貰うぞ、トレーズ!』
『ゼクス。準備はいいか?』
『いつでも構わないさ。………藤原肇とその仲間達よ!私達に打ち勝って見せろ!』
「来ますわ!」
西園寺琴歌の言葉と共に、四機のモビルスーツ達が動く。
『わたくしを忘れないで下さいませんか?』
その出鼻を挫こうと、ドロシー・カタロニアがヴァイエイトのビームキャノンをトールギスⅢにフルパワーで放つ。
トールギスⅢはそれに対して「メガキャノン」を放ち対抗。黄色の強力なビーム砲が放たれてぶつかり合いエネルギーが衝撃波となって周りに飛ぶ。
「凄まじい力なのでー!?文香さんー!わたくしの後ろにー!」
「はい………!」
戦闘機になっている鷺沢文香機を後ろに庇いながら依田芳乃を始めとしたガンプラ達は衝撃に耐える。
しかし、その中でヒイロのウイングガンダムゼロが、上空に白い翼をはためかせて飛び上がり、「バスターライフル」を二本接続させて、「ツインバスターライフル」を形成して、ヴァイエイトを狙う。
「ドロシーさん、回避を!」
『無理ですわ………動けません。』
「まずは一機………。」
冷静なヒイロの言葉と共に放たれる黄色の極太のビーム。
それはヴァイエイトのいる地点に着弾すると、大爆発を起こし、辺りに更なる衝撃波を巻き起こす。
光の中で微塵も無く消え去るヴァイエイト。
その威力の凄まじさを見て、肇達は戦慄する。
「ヴァイエイトが簡単に………!?」
『まだメリクリウスがありますわ。』
ドロシーはメリクリウスのビームライフルを連射しながらトレーズ・クシュリナーダのアクエリアスを狙う。
トレーズは実弾と撃ち分けができる「ドーバーガン」をビームにセットしてメリクリウスに黄色の極太のビームを放つ。
当然、メリクリウスは「プラネイトディフェンサー」の磁気フィールドを貼るが………。
『張五飛!』
『任せろ!』
「!?」
何と、そこに両端から五飛のアルトロンガンダムの延長ケーブルで伸縮可能な大型アーム「ドラゴンハング」が飛んできて、メリクリウスの両腕と胴をガッチリ掴んで動きを封じてしまう。
『トレーズ!』
『心得た、我が理解者よ。』
そこに、トレーズのアクエリアスがビームサーベルに持ち替えて飛んでくるとEXアクションの「ミリオンスパイク」の高速の連続突きを喰らわせる。
プラネイトディフェンサー等のパーツを撒き散らすメリクリウスだが抵抗すらできず、そのままアルトロンのドラゴンハングで投げ飛ばされてしまう。
『決めろ!』
『これで………フィナーレだ!』
最後にアクエリアスが実弾に切り替えたドーバーガンの弾を発射。
強固な防御手段を失ったメリクリウスをそのまま貫通して爆発させてしまう。
『あら………やられてしまいましたわ。』
「……………。」
多少拗ねたような言葉を出すドロシーに対し、肇達6人は開いた口が塞がらなかった。
その強力無比な連携もさる事ながら、組んだのがヒイロとミリアルド、五飛とトレーズという本編で散々火花を散らしたライバル同士なのだ。
彼等が協力する形を取るだけでこんなにも戦いが恐ろしくなるとは思わなかったのだ。
それに対抗するには………。
「どうしますかー、肇さんー………。」
「………連携を封じる事を第一に戦いましょう。私と芳乃さんと文香さんは、ヒイロさんとミリアルドさんを!凛さんと夕美さんと琴歌さんは、五飛さんとトレーズ様を!」
肇の指示によって、彼女のGP-03ステイメンと芳乃のスサノオ・マガバライと文香のアティークセファーの3機、そして、凛のガンダム・バルバトスシリウスと夕美のGPインヘリト【グラン・ブーケ】と琴歌の陸戦型ガンダム イーガーグレイスの3機の2チームに分かれる事になった。
前の戦いで万全でないガンプラが多数いるとはいえ、それぞれ3対2の数で押し込もうと肇は考えたのだ。
「相手は遠距離戦も強力ですが、近距離戦も達人の腕です!近づく際は細心の注意を!芳乃さん!文香さん!私は砲撃支援をしますので………!」
『お前の相手は俺だ。』
「ヒイロさん!?」
しかし、肇が指示を出し終える前にヒイロのウイングガンダムが、右手の「ビームサーベル」と「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光」で装備していた左腕の打突用の「ウイングシールド」を構え、空から肇のステイメンを狙う。
慌てて芳乃や文香が撃ち落とそうとするが、ヒイロ機は「ゼロシステム」を起動しその射撃を掻い潜って高速で肇機に肉薄する。
『ぶつけてみろ………!お前の全てを!』
「私の………全て………!?」
肇のステイメンは同じくEXAMシステムを起動し、ビーム・サーベルを二刀流で構えてヒイロのウイングガンダムとサーベルやシールドで何度も鍔迫り合いをする形になる。
これでは得意の遠距離支援はできない。
「肇さん………!?」
「文香さん達はトールギスⅢを!今がチャンスです!………お願いしますね!」
「心得たのでー………!」
しかし、この状況を敢えてチャンスだと言ってのけた肇を信じ、芳乃と文香はミリアルドのトールギスⅢを見据える。
トールギスⅢは左腕の「シールド」から「ビームサーベル」を取り出すと芳乃機へと高速突進。
芳乃のマガバライはGN粒子を纏った薙刀の雷光丸で受け止めると頭の「レーザー機銃」で応戦。
それを見たトールギスⅢは再び距離を取る。
『GNフィールドを失ってもまだまだ強固だな。流石は守りの機体と言える。』
「相当へびーあーむずに削られはしましたがー………。しかし、そなたは余裕そうでー?」
「私のようなコアファイターは………相手にならないとでも………?」
あくまで芳乃をじっと見ているミリアルドに対し、シールドの反対側から文香がアティークセファーのマーキュリーレヴAの全武装を再び叩きこんでいく。
『そこまで甘くは考えてないさ。』
しかし、トールギスⅢはビームサーベルを回転させてその実弾兵器を最低限の動きで防いでいくと、今度は芳乃機に蹴りを放つ。
「そう来ますかー………!」
それが衝撃波を巻き起こすEXアクションである「アースシェイカー」だと分かった芳乃は後ろに跳びあがって回避をすると、種子島に込められたGN粒子入りの榴弾を撃ち出す。
トールギスⅢはその榴弾を強固なシールドで受け止めると、何事も無かったようにまた距離を取る。
「ならば………、何故………1対2の構図を敢えて選んだのですか………?」
『ヒイロが肇に興味を持った。それだけだ。』
「肇さんに興味をー?その理由はー?」
『芳乃、君は分かるのではないのか?』
「……………。」
そう言われ、芳乃は無言になる。
心当たりはあったのだ。
それは肇の中の………。
『どちらにしろ、私を倒さねば数が不利になるだけだがな。』
「ならば………倒します………!」
文香が今度はシールド側から一斉射撃を試みる。
だが、その大型のシールドはびくともせず、その中から「ヒートロッド」が伸びると文香のコアファイターを縦に両断する。
「よ、芳乃さん………!使って下さい………!」
「文香さんー………!」
爆発の間際、吊り下げていたマーキュリーレヴAの武装を落とした文香の最後の通信を聞いた芳乃は、その中から二振りのレールガンを抱えるとトールギスⅢを狙う。
しかし、高速で発射される実弾はやはりシールドに防がれ、大した効果が得られない。
それでも芳乃は狂ったように撃ち続ける。
『仲間を失って冷静さを欠いたか?』
「ここでわたくしが倒れてはー………肇さんの負担が増えるだけなのでー!」
『成程………だが天は、味方はしてくれないみたいだ。』
「むー!?」
ミリアルドの言葉に珍しく芳乃は動揺する。
マガバライの脚部がスパークしたと思ったら突如制御が効かなくなり、片膝をついてしまう。
「こ、これはー………!?」
『ヘビーアームズ戦でのダメージが今になって出たみたいだな。「フィールドリペア」を使ってもしばらく脚部は使い物にならないだろう。』
唖然として芳乃が見上げてみればトールギスⅢは空中でメガキャノンを撃つ体勢に入っていた。
強力な砲撃を使って一撃で仕留めるつもりらしい。
芳乃は慌てて肇のように砲口にレールガンを撃ち込もうと試みるが、間に合わない。
放たれたビームを見て、EXアクションのツイストハリケーンとファントムエッジを使って即席のバリアを形成する。
だが、メガキャノンの光はその水色の竜巻と剣のバリアを簡単に吹き飛ばし、マガバライに炸裂する。
『終わりか………倒れる時は一瞬………ッ!?』
そうミリアルドが思った瞬間であった。
突如メガキャノンの砲身が大爆発を起こし、トールギスⅢの右腕がパーツアウトしたのだ。
『何をした?レールガンでは射角が………?』
「め、めがきゃのんの光が良い目くらましになったみたいでー………。こちらの頭部にはびーむちゃくらむというぶーめらん状の武器があるのでー!」
ボロボロになったマガバライの上半身を何とか動かす芳乃の言葉にミリアルドは驚く。
彼女はブーメランとして機能する「ビームチャクラム」を、メガキャノンが当たる瞬間に、斜めからその砲身に当たるように飛ばしたのだ。
「そして………これも受けるのでー!」
更に芳乃は「トライパニッシャー」と呼ばれる両肩と腹部の3門のビーム粒子から形成される円形のビーム砲も放つ。
残念ながら腹部は「グラピカルアンテナ」等のGNフィールド展開装置を補助する部品を埋め込んでいる為に砲門は無くなっていたが、その分両肩2門だけで低威力・低消費・高速チャージで撃てるメリットがあった。
「そなたはわたくしがー!」
『ぐっ!?』
放たれた水色の球体を、しかし、それでも左腕のシールドで防ごうとするトールギスⅢ。
だが、ビームの球体は簡単には消えず、そこで動きが完全に封じられる。
芳乃のマガバライは最後に全力を込めて再びビームチャクラムの水色の円月輪を投げ飛ばす。
それは、トールギスⅢの後方から弧を描きコックピットに炸裂した。
『………最低限の役割は果たしたつもりだ。後は………まあ、ノインに叱られながら見守ろう。』
爆発を起こすトールギスⅢ。
その姿を見ながら、芳乃は荒く息を付いていた。
機体は、しばらくは動きそうになかった。
「文香さん………!芳乃さん………!」
『余所見をしている場合では無いだろう。………出してみろ、お前の心を。』
「さっきから何を言って………!?」
ゼロシステムとEXAMシステム。
互いにトランスEXの発動を繰り返しながらサーベルやシールドをぶつけ合う中で、肇はヒイロの言う言葉が分からなかった。
『何故、お前は焦る?何故、お前は迷う?何故、お前は苛立つ?』
「何故って………!」
『今一番苛立っているのはウィルを始めとした介入行為か?………違うだろう?』
「え?どういう事………?」
『本当は不条理な行為に心の闇を覚え、乗り越えきれてないお前自身の心ではないか?』
「な………!?」
ヒイロの言葉に、一瞬肇は動きを止めそうになる。
しかし、ヒイロはその隙を無理に突こうとはせず、肇に問いかける。
『答えろ、藤原肇。吐き出せ、自分の心の闇を。』
「私は………。」
肇は観念したように、静かに言葉を絞り出す。
「そうです………。確かに私はまだ感情の整理が出来ていなくて、割り切る事も出来ていなくて………弱いんです………。みんなと違ってまだ………弱いんです!」
肇の頭には、心を傷つけられても真っ直ぐに強くなろうとしている仲間達の姿が浮かんでいた。
「五飛!アンタの相手は私だ!ライバルとの連携、封じさせて貰うよ!」
『「哪吒」に挑むのはさしずめ「蒼狼」か。いいだろう、かかって来い!』
ドラゴンハングを振りかざして来た五飛のアルトロンに対し、凛のシリウスは右手に大剣のグランドスラム、左腕に「ガンダムエクシア」の「GNシールド」を構えて渾身の力で弾き飛ばすと接近戦を仕掛ける。
それに対して五飛は両端から三つ又のビーム刃を形成する矛である「ツインビームトライデント」を振り回して来たので、凛機はGN粒子を纏ったGNシールドで受け止める。
そこに更にドラゴンハングで捕まえにかかってきたので凛はシリウスをすかさず後退させて回避させる。
『いい反応だ。6人の中では一番格闘戦に優れていると見た!』
「足を止めたら負けそうだからね。動きながら色々な手を使わせて貰うよ!」
凛機はヅダの対艦ライフルを握るとそのまま連射。
しかし、射撃の方はあまり高くない為これは当たらず、代わりに五飛機の背中から二連装の「ビームキャノン」が飛んでくる。
「射撃はあまりダメかな………。それと蒼狼もいいけれど、アンタが哪吒なら、アタシは別の名前を望むね!」
『別の名前だと?』
「「由愛」。この機体をイメージしてくれた人だよ!」
『面白い………!ならば、その由愛と共に貴様の正義、見せて見ろ!』
凛はシリウスをきりもみ回転させ、GNクローを喰らわせようとする。
それに対し五飛のアルトロンはドラゴンハングを交差させ防御。
すかさず凛は距離を取り、今度はEXアクションの「スラッシュテンペスト」の衝撃波でアルトロンを攻め立てる。
すると五飛機は跳び上がり、「アースシェイカー」の衝撃波を巻き起こす蹴りを繰り出して来たので、凛機もそれに合わせて跳躍し「アースシェイカー」の蹴りを放つ。
「正義かぁ………。私はアイドルだから………そうだね、こんな言葉知ってる?」
『言葉………?』
「「みんなライバルだけどそれだけじゃない」。」
『………どういう意味だ、それは?』
凛のシリウスの起こした蹴りの衝撃波を敢えて受け止めた五飛のアルトロンは、EXアクションである「スラッシュペネトレイト」の高速の斬り払いで突撃してくる。
それに対し、敢えて防御用のGNシールドで同じ技を使って弾いてみせた凛は少しだけ笑みを見せながら言う。
「岡崎泰葉………同じアイドルの仲間が教えてくれた言葉。アイドルは仲間だけれど、同時にライバル関係じゃん。」
『それは当たり前だ。………普通は進んで敗者に………悪になろうとはしない。目指すのは勝者だ。』
「悪かどうかは置いておいて………でも、アイドルっていうのはね、ライバルだけれど時には協力し合える関係なんだ。五飛だってヒイロ達とは似たような関係でしょ?」
『回りくどい言い方はやめろ。お前はつまり、今はアイドル仲間である肇の為に戦ってると言いたいのだろう。』
散々武器や技をぶつけ合って消耗していった二機は一旦動きを止めて問答に入る。
最近の肇が何処か焦りを抱いているという事は、芳乃から聞いている。
勿論、その肇を手助けする義理は、本来は無いのかもしれない。
でも、少なくとも凛は、今は協力したいと思っている。
「心はとても不思議なんだ。時にライバルとバチバチにぶつかり合うけれど、同じ仲間と助け合ってより高みを目指す事だってできる。だから………正義と言えるかどうか分からないけれど、私はこの感情に従うよ。」
『そうか………。正義は人の数だけある。ならば、その貴様の正義、そして肇の正義………見せて貰うぞ!』
五飛はそう言うと、ツインビームトライデントを構えドラゴンハングを放ちながら突進。
隙の大きなEXアクションには頼ろうとはしなかった。
凛はグランドスラムとGNシールドで再び弾こうとするが、ここで何度もアルトロンの攻撃を防いでいたからか、シールドが割れてしまう。
「くっ………運が無いね………!それともこれを狙っていた………?」
『さあ!貴様の底力、発揮してみせろ!』
何とかシリウスのバーニアを全開にして懐に入り込んだため、両脇から胴が挟まれて動けなくなる事態だけは防ぐが、その隙にビーム刃のツインビームトライデントで実体剣のグランドスラムを斬り裂かれ破壊されてしまう。
咄嗟に左手でビームサーベル発振刃を肩から取り出し袈裟懸けに放たれたトドメのツインビームトライデントの一撃を受け止めるが、片手だけでは長くは持たない。
その中で、もう片手で凛が選んだ武装は………。
『これで………!』
「終わりにする!」
ツインビームトライデントの強力なビーム刃がビームサーベル発振刃を破壊しシリウスのコックピットを斬り裂く。
それと同時に………アルトロンは咄嗟に凛が右手で取り出していた対艦ライフルでコックピットを射抜かれていた。
「……………。」
『………最後に一番下手なはずの射撃を咄嗟に選んだか。本当に女にしておくには惜しい奴だな。』
「もう、その発言どうにかならないの?」
『無理だな。俺が「女」で「戦士」で「妻」と認めた奴は一人だけだ。』
「最後に惚気話を聞かされるとは思わなかったよ………。」
互いに苦笑する凛と五飛の機体は、共に爆発を起こした。
「私は弱いんです………!これは巴ちゃんや柚ちゃんの問題だって分かっていても、割り切る事が………迷いを振り切る事ができない!比奈さんや裕美ちゃんのように、只、素直に信じていられるだけの強さを持っていないんです………!」
ステイメンを駆っていた肇はビーム・サーベルを振りかざしながらヒイロに独白する。
ウィルは巴たちの勝負に水を差し、仲間の頑張りを侮辱し泥を塗るような行為をしたのだ。
そんな行いを肇は素直に認められるわけが無かった。
言い方を変えれば、心の奥底では肇は怒っていたのだ。
だが、皆が真っ直ぐ強さを目指す上でその感情は恥だと思った。
しかし、誤魔化せるはずも無かったのだ。
「私は………!」
『肇………人類全てが弱者だ。お前も柚も巴もそして、あのウィルもその例からは外れない。だから、義憤という感情のままに行動する事は、俺は間違っていないと思う。』
「私のこの黒い感情は………義憤なんて高潔な言葉で表現できるものでは無いです………!」
『自虐的になるな。自分を捨てて誰が自分を認められる?………お前は俺を見てきたはずだ。そして、俺もお前を見ている。』
何処か叱るような、しかし優しく諭すようなヒイロの言葉を聞いて、肇はもう一度考える。
ヒイロ達は確かにそうやって様々な物を受け入れて成長してきた。
時に耳を塞ぐこともあったし、時に投げ槍になる事もあったけれど、最後には道を見出そうとした。
ならば、今自分に求められているのは………。
「ヒイロさん………教えて下さい。これまでの私は正しかったのですか?貴方の言う義憤に駆られてしまった私は………。」
『これまでのお前自身の道のりが正しいかどうかは、これからのお前自身が決めていけばいい………その中で答えを出し、受け入れていくのが人間だ。』
「ならば、この感情を秘めたまま世界大会を楽しんでも………罰は当たらないのでしょうか?感情を昇華できないままでも………。」
『常に悩み続けるのも人間だ。それに………本当に間違えそうになった時は、道を正してくれる仲間がいる。アイツ等のようにな。』
「アイツ等………?」
少しだけ笑ったヒイロの言葉に、肇は周りを見渡した。
『貴殿らは万全の状態ではないみたいだが………どう戦う?』
「ド根性ですわ!」
「とんでもない言葉だなぁ………。でも、正しいかもね!」
トレーズのアクエリアスに対している琴歌のイーガーグレイスと夕美のグラン・ブーケは何とか数の差で押し切ろうと必死だった。
しかし、イーガーグレイスは大型ブースターを失った事で機動力が大幅に落ちていたし、グラン・ブーケもメイン火力であるロング・ブレード・ライフルなどを失っていた。
御蔭で素早く飛び回るアクエリアスに攻撃を中々当てられないでいた。
「飛んでいるのだったら撃ち落とせばいいだけです!ヒイロさんは肇さんが何とかしてくれますから全力で行きますわよ!」
琴歌は背中のランドセルに備え付けられた大型ビーム砲+6連装ミサイル・ポッドをどんどん撃ち出していく。
それに対してアクエリアスはドーバーガンを構えると更に飛び上がり、実弾で背中のランドセルを撃ち抜く。
「緊急パージ!」
ここでも迷うことなくランドセルを取り払い爆発の衝撃から回避した琴歌であったが、その隙を狙ってアクエリアスはビームサーベルを構えながら突撃。
しかし、これは逆にチャンスだと言わんばかりに琴歌機は「ガンダム」の「ビーム・サーベル」で突きを喰らわせようとし、夕美機はニュー・ハイパー・バズーカを連続で発射するが………。
『すまない、フェイントだ。』
「ええ!?」
サーベルとバズーカが当たる手前で宙返りをしたアクエリアスはサーベルを持っていない手のひらから「ヒートロッド」を伸ばすと琴歌機の両脚を薙ぎ払う。
「そ、そんな………!?」
『悪く思わないでくれ。』
トドメとして「105mmマシンガン」に持ち替え仰向けに転がったイーガーグレイスに連射しようとするアクエリアス。
「まだですわっ!!」
しかし、琴歌は諦めが悪かった。
最後の最後でシェンロンシールドを投げ飛ばしてマシンガンを弾き飛ばすと、「胸部バルカン」、胸部有線ミサイル、ダブル・ビームガンを同時に全部乱射し、アクエリアスのシールドを吹き飛ばし、翼にも穴を開ける。
着地したアクエリアスはすぐさまビームサーベルでイーガーグレイスを破壊するが、飛行は出来なくなっていた。
「夕美さん、後は任せます!」
「琴歌ちゃん!?………くっ!」
トレーズはアクエリアスの状態を確認すると、すぐさま両手の手のひらからヒートロッドを伸ばして夕美のグランブーケを狙ってくる。
『勇ましい者は、私は好きだ。しかし、故に私も君達の言う通りの全力で挑まねばならぬ。』
「それは残念だね………!私達、肇ちゃんの為にも貴方は倒さないといけないんだ!」
その曲線的な2本のヒートロッドの軌道に対し、夕美はニュー・ハイパー・バズーカを構え、EXアクションの「スプレッドブラスト」を放ち破壊する。
だが、その隙を待っていたのだろう。
トレーズはビームサーベルを再び持つと、夕美機の4本のサブアームの内側に素早く入り込みサーベルを引く。
EXアクションのミリオンスパイクで一気にトドメを刺すつもりなのだ。
『さて………フィニッシュブローになるか………。』
「ならないよ!」
夕美はここで下部のサブアームのムーバブル・シールド・バインダーを交差させて防御体勢を取ると、何とその状態でクロスボーン・ガンダムX1のバーニアを全開にし、大型ビームサーベルのEXアクションを発動する。
この技は両翼にソニックブームを巻き起こす物である為、懐に入り込んだトレーズのアクエリアスには効果は無い。
だが………その凄まじい勢いの質量を持った「体当たり」はしっかりと炸裂する。
『ほう………?』
「うわわ………!?」
その衝撃でアクエリアスの手からビームサーベルが吹き飛ぶが、グラン・ブーケは、フライルーの下部のムーバブル・シールド・バインダーを派手に撒き散らす事になる。
ダメージだと確実に仕掛けたグラン・ブーケの方が上だ。
しかし、可動域が自由になった分、すぐさまライトニングガンダムのビーム・サーベル二刀流を構える事ができた。
「マシンガンとシールドは………琴歌ちゃんが破壊してくれた!」
『成程………!』
トレーズのアクエリアスはすかさずドーバーガンの実弾を発射するが、前のめりの姿勢で加速したグラン・ブーケの左腕を吹き飛ばすだけだった。
「たあああああああああああッ!!」
残った右腕で「スラッシュペネトレイト」の高速突進からの斬り払いを放つグラン・ブーケ。
もはや防御手段を持たないアクエリアスは真っ二つに斬られ、爆散する。
『すまない、我が戦友達よ。今回も私は敗者のようだ………。』
トレーズの謝罪の言葉を聞いた夕美のグラン・ブーケは、何とか無事に立っていた。
「……………。」
『みんな、お前を信じてくれているんだ。芳乃、文香、凛、琴歌、夕美………。仲間達の期待に応えるのが、このバトルの中で出来るお前の最大の礼儀じゃないのか?』
「ヒイロさん………。」
『だからこそ………俺は俺に出来る最大の力でお前を仕留める。』
「!?」
ヒイロはそれだけを言うと翼をはためかせて飛び上がり、ツインバスターライフルの銃口を肇機に向ける。
「肇ちゃん!後ろに隠れて!下手に受けたら………!」
Iフィールドを持つ夕美が慌てて近寄り前に出ようとするが、肇はそれを手で制す。
「肇………ちゃん?」
「夕美さん。動けない芳乃さんを守って下さい。」
「は、肇さんー!?それでは肇さんはー!?」
驚く芳乃達に向かって肇は………少しだけ笑みを浮かべて言う。
「ありがとうございます………。私を信じてくれて………。」
「肇ちゃん………。」
「だからこそ………皆さんが信じてくれた私を………「私自身」も今一度信じてみようと思います。私なりの手段で………皆さんを守ってみせます!」
肇はそれだけ言うと、目を閉じ精神を研ぎ澄ましアービター覚醒を発動し、紫色にステイメンを輝かせる。
そして、EXAMシステムを発動させ、シューティングモードに入り、ビーム・スマートガンを構える。
『準備は出来たか………?』
「はい………これが………今の私に出来る最大の礼儀です!」
『そうか………。ならば、俺も応えよう!』
ゼロシステムを発動させたヒイロのウイングガンダムは、一呼吸置くと、斜め下に向けてツインバスターライフルの黄色の極太のビームを照射。
肇のステイメンも、ビーム・スマートガンを斜め上に向けて、最大パワーで青白いビーム照射する。
2つの光が空中でぶつかり合い、光球を作り出し、辺りに衝撃波を作り出していく。
「ど、どうする芳乃ちゃん………!?」
「………祈るしかないのでー。」
「祈る………か。肇ちゃんが勝ちますように!」
凄まじい衝撃波に耐えながら、夕美と芳乃は祈った。
やがて光球はヒイロのウイングガンダムと肇のステイメンも飲み込んでいく。
『これは………周りが見えないな。』
照射を終えたヒイロは、真っ白に包まれた空間の中を左右に動きながらツインバスターライフルをもう一発撃つか考える。
位置マーカーを頼りにすれば狙う事は出来るだろう。
だが、例えばホバリングしていた時の事を考えると、リスクが大きい。
何より、これは相手も同じ状況だ。
だからこそ、恐らく光が消えた瞬間を待って狙いを定めるだろう。
その時が本当の勝負だ。
『………射撃戦か。砲身の硬さならばこちらの方が………。』
「行きます………!———モード!!」
『!?』
しかし、ここでヒイロにとって………いや、夕美や芳乃にとっても驚くべき事態が起こる。
光球の中を肇のステイメンがオレンジの弾丸になって突貫し、ヒイロのウイングガンダムに正面からぶつかると、そのまま光球の外まで突き飛ばしたのだ。
『な………に?』
「この位置からならば………外しません!」
そして、オレンジ色に輝いた肇はそのまま空中で、バランスを崩したウイングガンダムに向けてアグニを向けると赤色の極太のビームを放ち、貫いた。
「わ………!ととっ………!?」
流石に着地までは上手くいかず尻餅を付くステイメン。
ヒイロのウイングガンダムも落下し、仰向けに倒れる。
『………何故、あの光の中で俺の位置が分かった?』
機体をスパークさせながらヒイロは肇に問う。
すると返ってきた答えは………。
「実は私、番組でコスプレをした都合で、今、老年期のフリットさんの保護ゴーグルをしているんです。だから、あの光の中でも霞んでいましたが、位置を特定できました。」
『……………。』
「………ヒイロさん?」
肇の真面目な返答に一瞬、無言になるヒイロ。
そして………。
『クッ………ハハハハハハッ!!』
「ちょ、ちょっと何を笑ってるんですか!?何かおかしな事を言いましたか!?」
『いや………まさかコスプレを活かすとは思ってなかったからな………!』
「い、いけないんですか?これ、結構気に入ってるんですが………。」
『いや、見事だ、肇。お前はお前の道をこれからも探していけ。そして………お前のやり方で大切な者を守れ。』
「ヒイロさん………ありがとうございます!」
頭を下げた肇の先でヒイロのウイングガンダムは爆発する。
その肇のステイメンに近づいてくる夕美のグラン・ブーケと、何とか動けるようになった芳乃のマガバライ。
「凄かったよ、肇ちゃん!やっぱりエースだね!」
「もしも私がエースならば、それは皆さんにも言えますよ。」
「もう!謙遜しちゃって!そういう時は胸を張っていいんだよ!ねえ、芳乃ちゃん!」
「はいー。しかし、気になったのですがー………。」
芳乃が首を傾げながら聞いてくる。
「あの橙色の輝きは何だったのでー?あーびたー覚醒とも、えぐざむとも違うあの輝きはー………?」
「あの光ですか………?そうですね………。」
肇はそう言うと、珍しくちょっと舌を出して言う。
「美羽ちゃんとの秘密の特訓の成果………でしょうか?」
「?????」
ちょっとはぐらかすような肇の笑みを見ながら、特に芳乃は思いっきり頭に疑問符を浮かべた。
---------------------------------------------------------
「出来ました………!遂に世界大会に挑む為のガンプラが!」
「おめでとうございます、肇さん!やっぱり綺麗なガンプラですね♪」
「肇さんらしさがよく出ていますっ!きっと世界大会でも活躍してくれますよ!」
後日、肇はエクストラバトルを挑んだ6人の仲間に加え、栗原ネネと乙倉悠貴を招いて世界大会用のガンプラを完成させていた。
紫色の美しいガンプラ………世界に1つだけの肇のガンプラだった。
「花言葉を私達に聞いてたけれど、肇はこのガンプラの名前、もう決めたの?」
「はい、雪割草(ヘパティカ)です。」
「わー、素敵!紫だけじゃなくていろんな色を咲かせて、春先に雪の隙間から覗かせるお花だね!」
「花言葉は確か………「自信」「信頼」「あなたを信じます」「期待」「はにかみ屋」「忍耐」などでしたわね。」
凛、夕美、琴歌の説明と合わせて肇は自分の名付けた「ヘパティカ」の機体を周りに説明していく。
それを聞いた芳乃と文香が訪ねてくる。
「肇さんー。そのー………迷いは取れたのですかー?」
「残念ながら………。でも、今はこれでいいのかもしれません。」
「これでいいと言うと………?」
「ヒイロさんも言ってました。常に悩み続けるのが人間なんだって。だから、この感情もいつかは昇華できる時が来るんです………きっと。」
そう7人に向けて笑うと、肇はヘパティカを見つめて心の声で言った。
(まだ私は弱い姿を完全に振り払えていないけれど………これまで重ねた経験、努力を形にしたこのガンプラで……多彩な色、より鮮やかな色を見せます!強くなってきた仲間達の為にも必ず!)
その肇の感情に一瞬ヘパティカも応えるように輝いたように見えた。