【デレマス×ガンダムブレイカー3】CINDERELLA of Gund@m breakerS 外伝 エクストラバトル編 作:擬態人形P
中二病アイドル………それが自他ともに認める二宮飛鳥の個性であり称号でもある。
色とりどりのエクステを付け、社会にささやかな抵抗をする。
そんな痛いヤツと自らを称する14歳の心の塊である彼女は………現在、困惑をしていた。
「どうしたんだい、マキノさん………。君はそんなキャラじゃないだろ?」
346プロに設置されたカフェでスイーツを嗜む飛鳥。
その正面には、好物のパフェを前に普段の凛々しい姿からは有り得ない位、深くため息を付いている八神マキノの姿があった。
「先程から言っているでしょ?泉も晶葉もいつの間にかエクストラバトルを経験したって………。」
「耳に穴ができる程聞いているさ。ボクが聞きたいのは、君がそんな拗ねて、アイドルとしての醜態を見せるような人物なのかという事なんだけれどな………。」
先日、マキノはガンプラバトルのシミュレーターを整備する仲間である池袋晶葉や、彼女を何故か先生と慕う今井加奈から体験したエクストラバトルの詳細を語られた。
それは、本当に無邪気に楽しそうに………。
大石泉もエクストラバトルの実験に当たって村松さくらと土屋亜子の3人のユニットである「ニューウェーブ」で体験していた為に、これでシミュレーター周りを整備する人間で未経験なのは彼女だけになってしまっていた。
「飛鳥。貴女なら分かるでしょう?未知への遭遇への興味が。」
「まあ………確かに話を聞いていれば興味が湧かないと言えばウソにはなるが………。」
「でしょう!だからこそ、私は貴女をこうして誘おうとしているのよ!」
「マキノさん、君のキャラが壊れる!?」
知的好奇心から思わず語気を強めるマキノの珍しい姿に身を引きそうになる飛鳥。
マキノも………そして飛鳥も、ベースとなるガンプラを選定するだけでなく、そこから改造を加えて、自分だけのガンプラを完成させていた。
更に、それぞれ友人達と色んな大会に参加しており、それなりの実力を付けている自負はあった。
恐らくマキノはそうした飛鳥の情報もリサーチしており、こうして誘いに来たのだろう。
「平穏な日常から脱却して、真実の世界を見たいとは思わない?」
「………そう言えば、全ての中二病アイドルが反応すると思わないでくれ。」
マキノの誘い文句に(ちょっとした過去のトラウマも有り)深く嘆息する飛鳥であったが、正直に言えばエクストラバトルという物には興味はあった。
未知なる世界観の中でバトルを繰り広げれば、それだけ経験を得ることが出来る。
それは知的好奇心豊富なマキノでなくても、何物にも代えがたい物になるだろう。
「分かった………。とりあえず、折角のスイーツを食べてから、まずはシミュレーター室に行こう。そこならボクらのように暇を持て余した偶像達がバトルを繰り広げているはずだ。それに、その未知の世界というのは、ボクらの食事を邪魔する程、慌ただしい物でも無いだろう?」
「フフフ、そうね。後は………誰を引き込もうかしら?フフフフフ………。」
仲間集めを計画しているマキノの姿は、今だけは自分より遥かに幼く見える飛鳥であった。
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「あら~ぁ、飛鳥ちゃんにマキノちゃん!二人共、いい所に来てくれたわぁ♪」
「早耶さん………?どうしたんだい?ボクらの存在が渡りに船でもあるようなセリフをいきなり呟いて………?」
「オリジナルガンプラを作り上げている実力者である二人の存在が丁度欲しかったのよ!」
「ふむ………それは何か事情があるみたいね。」
シミュレーター室に来た飛鳥とマキノは早速アイドルの一人である松原早耶に出会う。
実は以前二人は、早耶や栗原ネネ、乙倉悠貴、喜多日菜子の4人のメンバーで構成される「TIP! TAP! FLAP!」のガンダムトーク番組に出演した事がある。
その為、このユニットのメンバーからは、その高い実力等を知られていた。
「実はぁ………この度、日菜子ちゃんも悠貴ちゃんも遂にガンプラデビューしちゃったの!まだベース機の段階だけれど、自分のガンプラを組み上げて、今正にバトルをしてるのよぉ♪」
「へえ、日菜子に助手………おっと、公演での役が抜けきって無かったかな。」
助手………というのは悠貴の事で、「追想公演」と呼ばれる演劇をした際の配役だ。
この時は飛鳥と悠貴は、加奈と矢口美羽、新田美波、木村夏樹等の面々と深い内容のドラマを演じた事で世間では知れ渡っていた。
「ふふっ、何だかんだ言って、飛鳥ちゃんもあの世界、気に入ってるのね。」
「ま、飛鳥の言葉を借りれば善意で構築されたっていう綺麗な世界もたまにはいいって事だろ?」
「からかわないでくれ、美波さん、夏樹さん。ボクだって一応年相応の側面は………って、二人ともシミュレーター室にいたのかい?」
「早耶ちゃん(さん)に誘われたから。」
会話の流れの中で自然に参加してきた美波と夏樹の二人に、飛鳥は溜息を付く。
他にも誰が早耶に誘われたのかと、よく見まわしてみれば、バトルの様子を視聴する事ができるモニター画面の前で、西川保奈美が笑顔で手招きしていた。
「保奈美さんもここで戯れてるんだね。ボクが言うのも何だけれど、最近はガンプラ沼という世界に漬かっているアイドルが続出している。そして、ガンプラを持たなくても興味本位で観戦するアイドルも増えてきた。言わばこれは一種のスパイラルであり………」
「飛鳥………酔いしれている所悪いけれど、保奈美は自分の改造ガンプラを持っていたはずよ。」
「………ん?そう言えば………保奈美さん、君はバトルには参加してないのかい?」
マキノの言葉に、TIP! TAP! FLAP!のゴールデンタイムのガンダムトーク番組で、自分のガンプラを披露していた保奈美の姿を思い出した飛鳥は、他のアイドルがバトルに参加しているのかと思い、モニターを確認する。
すると、表示は「綾瀬穂乃香VS喜多日菜子&乙倉悠貴」となっていた。
「今回は、1対2の変則バトルなの。飛鳥ちゃんみたいに大会経験の豊富な「ピルエット・オペレッタ」の穂乃香ちゃんの胸を借りて、初心者である二人が挑む形になってるのよ。」
「成程………如何に初心者である二人が連携を駆使して穂乃香を追い詰めるかがカギになりそうだな。………折角だし、私達も視聴しましょうか。」
「そうだね。興味深いバトルだからボクらも同伴させて貰おうか。」
そう言って、飛鳥達は椅子に座って試合を映し出しているモニターを見た。
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バーチャル空間を模した漆黒のフィールドにて、3機のモビルスーツが立っている。
1機は穂乃香の駆る「バスターガンダム」を元に改造した水色の「ヘリクスバスターガンダム」。
それに対峙するのは、赤黒い翼を生やした「ガンダムエピオン」と、白と水色の大きなバックパックを背負った小柄な「Vダッシュガンダム」であった。
「むふふ………ガンダムエピオン………その「ゼロシステム」で、日菜子の妄想を具現化して下さい~!」
トランスEXアクションにて銀色のオーラを纏った日菜子のエピオンは脚から取り出した「ビームソード」を握りながら、翼をはためかせ、猛スピードでヘリクスバスターに迫る。
当たれば強力な一撃の斬撃を振りかぶるが、ヘリクスバスターガンダムは軽やかにバク宙をして身を躱す。
「今です、悠貴ちゃん!「オーバーハング・キャノン」です!」
「は、はいっ!」
日菜子の言葉にVダッシュを駆る悠貴は背中の巨大なバックパックから対艦クラスの強烈なビームを放つ。
空中に飛び上がっているのならば回避は出来ず直撃………のはずが………。
「戦術は良好………故に予測も容易いですね!」
穂乃香は飛び上がりながら左腰の「94mm高エネルギー収束火線ライフル」を右腰の「350mmガンランチャー」に接続し、空中でバランスを上手くとりながら同じく戦艦クラスの「超高インパルス長射程狙撃ライフル」を放ち、ビームの相殺を行う。
「ええっ!?バスターガンダムであんな動きができるんですか!?」
「ひ、日菜子の予測が~!?」
更に穂乃香のヘリクスバスターは空中で相殺した勢いで後ろに飛びながら、落ち着いて着地し接続した腰のライフルとガンランチャーを分離し、日菜子機にバックパック上部に装備した「6連装ミサイルポッド」を放つ。
「あわわわわ………ゼロシステム~!?」
その攻勢に慌ててしまった日菜子は射撃武器として装備していた「ガンダムアスタロト」の「ライフル」を連射して応戦ながら、とにかくもう一度距離を詰めようとするが、穂乃香機は焦る事なくEXアクションの「サイクロンアックス」を選択し、回し蹴りを日菜子機に当てて引き寄せる。
「あう………!」
「チェックメイト。」
至近距離にバランスを崩しながら寄って来たエピオンに向けて350mmガンランチャーを突き付け、連射。
あっという間にエピオンはバラバラに吹き飛び日菜子機が脱落する。
「ご、ごめんなさい~、悠貴ちゃん!」
「日菜子さん!?………って、わわわ!?」
更に息を付く間もなく手持ち武器である「ストライクフリーダム」の「MA-M21KF 高エネルギービームライフル」を側転しながら連射する穂乃香のヘリクスバスターに、「ビーム・シールド」で防御をする悠貴のVダッシュではあるが、数を減らされ怒涛の攻撃を受ける羽目になってしまい、どんどん体力が減っていく。
「「リペアキット」!………って、このままじゃ………!」
「一気に落とします!」
止まっているのはマズイと思ったのか、悠貴はVダッシュに装備させているEXアクションである「MEPE」を起動させて、思いきって二本の脚で走り回る。
機体が小柄である事と悠貴の思い切りの良さが功を奏し、穂乃香機のロックオンを振り切り、背後に回り込む。
「こ、この距離なら………!」
「ビーム・サーベル」で落とせる………と得物を振りかぶった所で悠貴は固まる。
穂乃香は機体の片足を180度の角度で高々と上げ、胴体を後ろに逸らし、腰の「94mm高エネルギー収束火線ライフル」と「350mmガンランチャー」を悠貴のVダッシュに突き付けていた。
「バスター………ってこんな事できましたっけ?」
「それが、このヘリクスバスターの魅力です。」
その言葉と共に、思わぬ背面射撃を受けた悠貴のガンプラも爆発。
変則バトルは、穂乃香の勝ちという展開に終わった。
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「す、清々しい程に見事な負けっぷりだったね………。経験だけでこれだけの差が出るとは………。」
「実力差があり過ぎました………。私達、まだまだです………。」
「五飛さん教えて下さい。日菜子達は後何回負ければいいんですか?エピオンは何も教えてくれません………。」
「た、戦い方は良かったんじゃないかな?それ以上に穂乃香さんの戦術と体幹が柔軟だっただけで………。」
試合後、どんよりとしたムードに包まれる悠貴と日菜子を、珍しく宥める形になった飛鳥であったが、敗戦のショックが強いのか、肩を落とす二名。
どうやら、この変則バトルは穂乃香だけでなく、保奈美とも何度もやったらしく、一度も勝てていないらしい。
「と、とにかくだ!君達がそんなネガティブに陥るなんて、らしくは無いだろう?いつも通りに気ままにポジティブに我が道を貫いていてくれ!こっちのテンションが狂う!」
「そ、そうですね………。でも、どうすればもっと上達できるかなぁ………。」
「みんなオリジナルガンプラを作っていますが、その為にはまずは性能に慣れないといけませんからねぇ………。」
「加奈はその為の手段としてエクストラバトルに挑戦していたがな。」
「エクストラバトル?」
流石に見ていられないと思ったのか、合いの手を入れて来たマキノの言葉に、経験がある穂乃香と実はまだ知らなかった保奈美を含め、反応をしてくる。
そこで、今回飛鳥達がこのシミュレーター室に来た経緯が話され、丁度今6人のガンプラアイドルが集まっている事も一緒に説明される。
「同じく初心者だった加奈もエクストラバトルを行って一皮剥けたと聞いた。日菜子も悠貴も………勿論、熟練者である穂乃香と保奈美も試してみたらどう?」
「むふふ………それは素晴らしい話ですねぇ………。日菜子に見合った王子様と会話できるかも♪」
「王子様がいるかはともかくとして………とても新鮮な気がしますっ!」
「私は以前「フリルドスクエア」で戦った事があるけれど………あの楽しさをもう一度味わえるのならば………!保奈美さんは?」
「穂乃香ちゃんと一緒にガンダムの世界で舞って歌ってみるのも面白いわね!マキノさん、メンバーに入れて貰ってもいいかしら?」
「ええ、勿論よ。………じゃあ、早耶、美波、夏樹。早速、手伝ってちょうだい。」
そしていつものようにシミュレーターに手を加えて調整を行う。
ここで、データの入ったメモリを選ぶことになるが………。
「折角だから飛鳥、ランダムで選んで。」
「いいのかい?緻密な計算を元に行動している君が、そんな積極的に不確実な要素を組み込んで?」
「だから………よ。最初から分かりきったバトルなんてつまらないでしょ?」
「それもそうだね。」
マキノの提案で飛鳥が直感で選んだメモリを採用。
それをセットし、いよいよ舞台が整う。
「さ!スペシャルメニューの始まりよぉ♪みんな頑張ってねぇ♪」
「応援してるからね!でも無茶は禁物よ?」
「勇気と無謀は違うからな。しっかりと自分に見合った戦い方をしろよ!」
早耶、美波、そして夏樹のエールを受け、飛鳥達はガンプラを取り出しセットをする。
「そう言えば、飛鳥さんのガンプラって「ストライクフリーダムガンダム」が元になってますよね?」
「そうさ。このガンプラバトルにおける相棒は「ガンダム・リベルタ・リベリオン」。「自由を求める反逆者」という意味合いだ。」
「失礼かもしれないけれど、てっきり飛鳥さんだから「デスティニーガンダム」を使うかと思ってました。」
「フ………だからこそ、分かりきったイメージへの反逆をするのも中二病らしいだろう?」
飛鳥が取り出したのは、顔にエクステの付いている深紅のガンプラ。
以前彼女が撮影をした「灼熱のリベリオン」と呼ばれる炎帝のような恰好の姿をモチーフに作成しているのが特徴で、「バルバトスルプス」の同じく深紅の巨大な「ソードメイス」がメイン武装となっていた。
このソードメイスには、実はある特殊な効果が秘められているのだが、それをエネルギー面で支えているのが腹の「カリドゥス砲口」の代わりに埋め込まれている「太陽炉」。
EXアクションで「トランザム」が使える他、「GNフィールド発生装置」と「シールドビット」がマント状に組み合わされており、外見のアクセントと防御性能を一体化させていた。
この他、「アストレイレッドフレーム」の腕と「ストライクノワール」のバックパックにより「光雷球」、「2連装リニアガン+フラガラッハ3ビームブレイド」も兼ね備えており、バランスの良い武装と飛鳥なりの中二病らしさを表現。
ビームと実体武器がバランス良く組み入れられている安定感のある改造と言えた。
「光雷球は、「碧落のリベレイター」要素でもあるのね。今までの飛鳥ちゃんの撮影での要素を上手く取り入れるなんて素敵だわ。」
「ボクとしては、保奈美さんの「ガンダムヴォーチェ・リゾナンツァ」のような、作品内でのコンセプトを見出した設定も称賛に値すると思うよ。」
「ふふっ、ありがとう。私の好きなオペラの歌の要素をどう組み込もうか考えたらこうなったのよ。」
保奈美が見つめるライトブルーの四肢の太いガンプラは、「ガンダムヴァーチェ」を元に、頭を「ガンダムエクシア」、胴体を「ダブルオークアンタ」に置き換えた物である。
ヴォーチェとはイタリア語で「声」、リゾナンツァは「共鳴」を意味しており、「響き渡る声」と命名しているのが大きな特徴だ。
設定としては、対「ELS」戦後、同様の存在との接触を想定したイノベイター用量産機開発を目的に先行設計された実験機であり、「純正太陽炉」1基と紫の「GN粒子」を発する「擬似太陽炉」2基で、広域へ高濃度粒子領域を展開し接触相手に「声を伝える」ことを主目的にしている。
残念ながら戦闘に突入した場合は、「GNキャノン」4門による「カルテットキャノン(フォートレスフォアブラスター)」や「GNバズーカ」の火力での高出力での支援も可能で、声を伝える力で戦闘での指揮や情報伝達にも長けている。
只、戦闘を行うだけでなく、対話の為の機能も備えた、保奈美の優しさを表現しているのだ。
「マキノさんの機体は「ジム・エージェントアサルト」だったね。只の「ジム」だと思って侮ると痛い目を見るとか………。」
「貴女の機体と同じく「ヴァリアブルフェイズシフト装甲」を兼ね備えているもの。………もっとも、私の機体はそれを戦闘以外の要素に使う事がメインだがな。」
「………君の性格と合わせて考えると、末恐ろしいよ。」
マキノが不敵な笑みを見せながらセットしたのは黒いジムをベースに改造をした機体。
ジムをスパイ仕様にチューンアップした特別仕様であり、特殊なヴァリアブルフェイズシフト装甲によって、機体強度だけでなく、傷や汚れ等の一部形状、質感まで変化・再現させることが可能となっている。
そして、「ガンダムNT-1」の右腕に内蔵された「ロケットアンカー」状のクラッキングシステムでネットワークに侵入、情報を奪取するのが目的としているのだ。
勿論、戦闘でも強化が施されており、アサルト仕様は夜間迷彩とエネルギー節約を兼ねて、機体強度が落ちる代わりに、消費電力の低い黒のVPS装甲を採用。
ガンダムNT-1の「90mmガトリング砲」や膝に装備した「イージス」の「ビームサーベル発振刃」、「ジムⅢ」の脚の「大型ミサイル・ランチャー」、「ガンダムMk-Ⅱティターンズ仕様」の「シールド」に備えられた「ミサイル・ランチャー」等の暗器類の他、何処から奪ってきたのかトランスEXの「HADESシステム」という奥の手まで備えている。
「むふふ………皆さん、それぞれの素敵な妄想を備えていますねぇ………。日菜子もいずれは王子様が迎えに来てくれるような………!」
「その為のベースとしてまずはエピオンを選んだみたいだけれど………、いいのかい?一応主人公も乗ったとはいえ、敵側の機体だよ?」
「王子様は剣と盾で戦うのが鉄則なのです!後、そこはここから日菜子の妄想パワーでいくらでも………むふふふふ………。」
完全に得意の妄想で上の空になっている日菜子がベース機として大切に組み上げたのは、W世界のラスボス機でもある赤いガンダムエピオン。
強大な出力を誇るビームソードやシールドから伸びる伸縮自在な「ヒートロッド」、回転しながら爪で攻撃を仕掛ける「エピオンクロー」等、接近戦に長けた………というか、接近戦しかできない機体であり、必ず敗者にならなければならないモビルスーツだと作中で言及されている。
流石にこれだけだと問題なので、日菜子は手持ち武器として、剣と盾で戦う王子様らしく「ウイングガンダム」の「ビームサーベル」を装備し、射撃武器は以前シューティングゲームで培った技術を活かす為、アスタロトのライフルを持っている。
更にトランスEXのゼロシステムの他、日菜子の妄想を活かす為に「エクスカリバー」のEXを装備し、ビームサーベルをブーメラン状に投げ、返って来たそれをキャッチするモーションを、「どこからともなく王子様が助けてくれた」風に見なしている。
「そして、助手………じゃなかった、悠貴はVダッシュか………。」
「今は助手でもいいですよっ♪何か久しぶりに飛鳥さんとの公演を思い出しますし、これからのバトルで教わる事も多いですから!」
「恩に着るよ。………で、助手は分かりやすい構成のガンプラを選んだわけだね。」
悠貴が、外れそうになっていないかどうか接着面を入念に確認しているガンプラは、白と水色のVダッシュガンダム。
ハードル走を得意としている上に、走る事が好きな悠貴にとって「ダッシュ」の文字が印象的に映ったのがこの機体の選択理由である。
「ビーム・ライフル」やビーム・サーベル等、オーソドックスな武装が備えられているが、この機体の一番の特徴的な武装は、先程のバトルでも見せた背中の巨大な「オーバーハング・パック」に備え付けられているオーバーハング・キャノン。
戦艦の主砲クラスのビームを2門発射する事ができる他、高機動のブースターにもなっている為、火力と機動力もの両方を高めることが出来るのがポイント。
これに加え、悠貴オリジナルの要素として、トランスEXのMEPEを装備しており、元となった「ガンダムF91」のように、とにかく得意の足捌きと反応速度でかき乱していく事を得意技として磨いていた。
「そして、最後に穂乃香さんのヘリクスバスターガンダムか………。フリルドスクエアで挑んだ時は司令塔を務めたんじゃないのかい?」
「よく分かりましたね。」
「後方支援役な上に落ち着いた性格だからね。戦況の把握は一番できると睨んだだけさ。………折角だし頼りにさせて貰うよ?」
「任せて下さい!では、私もセットして………。」
6人のガンプラがセットしシミュレーターが立ち上げられる。
後はカタパルトから、順次発進するだけでよかった。
「えっと………発進コールは、今日は私、美波が担当させて貰います!………何で、早耶ちゃんも夏樹ちゃんも私を推すんだろう?」
「鼓舞の仕方の問題じゃないのかい?………とにかく宜しく頼むよ、美波さん。」
「じゃあ、行きますね♪ガンダム・リベルタ・リベリオン、発進お願いします!」
「了解。二宮飛鳥………まあ、14歳なりの矜持、見せてみるさ。」
「素直じゃないなぁ………。ガンダムヴォーチェ・リゾナンツァ、発進お願いします!」
「力強く、そして空高く歌う事を忘れずに………西川保奈美、新たなる邂逅を目指して!」
「どんどん行きますね。ジム・エージェントアサルト、発進お願いします!」
「フフフ………遂に私もエクストラバトルを………!八神マキノ、データは頂くわ!」
「て、テンション高い………?ヘリクスバスターガンダム、発進お願いします!」
「あの興奮をまた掴み取る為に………!綾瀬穂乃香、華麗に舞い踊ってきます!」
「日菜子ちゃんも頑張ってね!ガンダムエピオン、発進お願いします!」
「妄想テンションはマックスです!喜多日菜子………王子様ぁ!待っていて下さい!」
「悠貴ちゃんも恐れないでね!Vダッシュガンダム、発進お願いします!」
「ハードルを飛び越えるように新しいバトルも飛び越えてっ!乙倉悠貴、行きまーすっ!」
6人のガンプラアイドル達は次々と飛び出していった。
この時、飛鳥達は知る由も無かった。
今回の舞台は、いつもよりも「IF」という「夢」に溢れた戦場である事を。
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飛鳥達が降り立った舞台は、一面黄土色の土に覆われたなだらかな荒野であった。
周りには同じ色の山が見え、空は若干曇っているような感じである。
「変わった戦場ですね………。マキノさん、ここは何処でしょうか?」
「そうね。何か機械の類でもあればハッキングして調べる事も出来るのだけれど………。」
『ここは「火星」だ。』
第三者の言葉に一同は振り向く。
そこには、白い大きな槍と盾を持った機体が立っていた。
「「獅電」………いや、「獅電(オルガ専用機)」か。」
『乗ってるのはオルガじゃないけどな。一応、自己紹介しとくか。「ユージン・セブンスターク」だ。』
「「鉄華団」の副団長か。じゃあ、何だい?君達と一緒に「ラスタル陣営」と戦うのかい?」
『いや、違う………。』
飛鳥の言葉にユージンはやや機嫌が悪そうな声で話す。
『何ていうんだ?今回はそういうの無しなんだよ。』
「どういう意味なの………?」
『つまり、陣営関係無しって事だ。鉄華団とか「ギャラルホルン」とかそういう括り無しで………、メタ的な事で言えば、「ガンプラアイドルVSオルフェンズ代表」って事なんだよ。』
「オルフェンズ………代表?」
つまり、ユージンの言葉を解釈すれば、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」に登場した代表的な機体が飛鳥達と対峙するって事になる。
『………ってなワケで俺はアンタ達にとって敵だ。んで、だから………。』
ユージンの言葉に2機、ホログラムが出現する。
派手なオレンジ色の獅電に似た機体に、派手なピンク色の背中に何か背負った機体。
『俺!「ライド・マッス」の「雷電号」と!』
『「ノルバ・シノ」の「流星号」!………一応「ガンダム・フラウロス」が正式名称か?』
『とにかく俺達が最初に相手するっスよ!』
「成程、君達3人が相手なんだね。ならば早速………。」
『あー………いや、本当は4人なんだ。………4人?いや、4人だよな、一応………。』
とてつもなくイヤそうなユージンの言葉に何事かと思いきや、更に彼等の前にホログラムとしてカーキ色をメインとした機体が出現し………。
『ガンプラアイドルどもめ!この「イオク・クジャン」専用機である「レギンレイズ」の裁きを受けよ!!』
「……………。」
『ねえ………何で俺達、アイツのお守しなきゃならないんスか?』
『仕方ねえだろ………押し付けられたんだから………。』
『………というわけだ。アイツに関してはもう煮るなり焼くなり好きにしてくれ。』
一応イオクの味方扱いになっている3人の如何にも面倒そうな言葉に、6人のガンプラアイドル達はしばし沈黙。
そして、飛鳥が一言。
「………惜しいな、「レンチメイス」とかあれば、潰せたのに。」
『ま、待て待て!?貴様ら!?何でトドメを刺す話を既に話している!?』
「………まあ、いいさ。見せてやろうじゃないさ。ガンプラアイドル達の矜持を………しばし、この夢のような空間に浸りながら………ね。」
飛鳥は自然と強気の笑みを浮かべて、IFの世界に没頭し始めていた。