【デレマス×ガンダムブレイカー3】CINDERELLA of Gund@m breakerS 外伝 エクストラバトル編   作:擬態人形P

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8章:サイキックは常識を凌駕するか? (裕子・海・美由紀・由愛・聖・小春)・3話

「ま、まさかシンさん達が出てくるなんて………。」

「何を弱気になってるんだい、裕子!バトルの前から気持ちで負けていたら意味無いよ!」

 

ガンダムνAGE-FPを駆りながらもたじろぐ堀裕子に対し、ハルス・アテネを駆って鼓舞する杉坂海であったが、内心では彼女もかなり焦っていた。

それは、デスティニーガンダムを駆るシン・アスカとハイネ・ヴェステンフルス、デスティニーインパルスガンダムを駆るルナマリア・ホーク、レジェンドガンダムを駆るレイ・ザ・バレルと言った陣容に対してではない。

前回のバトルでの暴走から、サイキックを封印された裕子の様子からだ。

明らかに今の彼女には、いつもの強さは無く完全に弱気になってしまっている。

これではこちらもペースが狂ってしまう。

しかし、サイキックを解放してしまえば、また味方を容赦なく誤射する可能性があるのも事実だ。

 

「とにかく散開!裕子はウチの後ろから援護しな!」

「は、はい………!」

 

数ではまだこちらが有利という事で、成宮由愛のガンダムフェアリアルドリームにデスティニーインパルスを、柳瀬美由紀のイージスキャンサーガンダムにレジェンドを、そして望月聖のウイングガンダム・オラトリオと古賀小春のガドランくんと協力してハルス・アテネとνAGE-FPは2機のデスティニーガンダムを相手取る戦法を取る。

しかし………。

 

『生憎、こっちも素直に相手にする程単純じゃないのよ!メイリン、「シルエットフライヤー」を!』

『シルエットフライヤー発進どうぞ!』

 

ルナマリアの妹である「メイリン・ホーク」の指示で、デスティニーシルエットを乗せたシルエットフライヤーがミネルバから発進され、ルナマリア機の所に飛んでくる。

すると、彼女は二振りのレーザー対艦刀である「MMI-710 エクスカリバーレーザー対艦刀」だけを取り出し、レイのレジェンドに投げ渡す。

 

「ええ、そんなの有り!?」

『実際にデストロイガンダム戦で取った戦法だ。攪乱させて貰う。』

 

そのままレイのレジェンドは、「ドラグーン・システム」を作動。

射出した大型の2基の「GDU-X7 突撃ビーム機動砲」から「ビーム・スパイク」を発生させてエクスカリバーを振り回しながら突進。

モビルアーマー形態を取る美由紀のイージスキャンサーの動きを制限して機動力を上手く封じると、その一方で小型の8基の「GDU-X5 突撃ビーム機動砲」も射出。

由愛のフェアリアルドリームに向けて飛ばしていく。

 

「一気に2機を相手に………!?」

『私を忘れないでよ!』

「わ………!?」

 

ドラグーンに気を取られた由愛に対し、ルナマリアはレイ機にエクスカリバーを投げ渡したデスティニーシルエットをそのまま突撃させてくる。

慌ててGNミサイルで迎撃をする由愛だが、シルエットフライヤーの爆発の中から「光の翼」で高機動状態になったルナマリア機がエクスカリバーを二刀流にして突進してくる。

GNシールドとビーム・ジャベリンにifsユニットを纏って受け止めようとするが、接近戦の反応では向こうの方が上だった。

圧倒的なスピードと破壊力でシールドと最大の近接武器が一度に破壊されてしまう。

 

「こ、こんな事になるなんて………!?」

『メイリン、どんどんデスティニーシルエットを射出して!エネルギー不足はこれで解消よ!』

「北海でのシンさんの戦法を………!?」

 

エネルギーが無くなる度にどんどん新しいシルエットに付け替えていくルナマリアのデスティニーインパルスの戦法に、慌てて背中の「ヴァジュラビームサーベル」を取り出した由愛は困惑していた。

 

『グフとは違うんだよ、グフとは!』

「さっきと言っている事が違います………でも………!」

 

ハイネのデスティニーには、聖のオラトリオがツインバスターライフルで対抗しようとしていたが、先程の戦闘でトランザムを使ってしまった故に、ハイネ機の「光の翼」による高速移動に翻弄されてしまっていた。

こちらは接近すれば対艦刀である「MMI-714 アロンダイト ビームソード」がある。

しかし、離れたとしても「MMI-X340 パルマフィオキーナ 掌部ビーム砲」による掌からのビーム砲での射撃が絶え間なく飛んでくるので、こちらの回避も頭に入れないといけない。

 

「何とか………しないと!」

『逃げてばかりじゃ何も出来ないぜ、そら!』

「あ………!?」

 

素の状態でも生存率は高い聖のオラトリオであったが、その分直接的な支援能力は欠けていた。

ハイネは一瞬の隙を突いて聖機のツインバスターライフルを回避すると、シンのデスティニーと対峙していた海のハルス・アテネにパルマフィオキーナを横合いから放つ。

そのビームは海が振り回していたビーム・リングに命中してしまい、破壊されてしまう。

 

「くっ………もう武装が………!?」

『ナイスだハイネ!このまま一気に仕留める!』

 

そこにシンが「光の翼」を発動させて突撃してくるが、狙いはハルス・アテネでは無く裕子のνAGE-FP。

 

「ぐ、グラビティスフィア!」

『そんなんで………甘い!』

 

裕子はムチからブラックホールを発生させて投げつけて後ろに下がるが、シン機は何とEXアクションの「ストライクストリーム」の回転斬りを利用してブラックホールを「アロンダイト」で真っ二つにしてしまう。

 

「ええ!?」

『終わりだ!!』

 

あっという間に懐に潜り込んだシン機はアロンダイトを振り上げる。

EXアクションの「デッドエンドインパクト」の協力な一撃で、全てのパーツをバラバラにするつもりなのだ。

裕子の目の前で、やたらゆっくりと時間が流れた。

 

(終わった………。)

 

裕子が諦めた瞬間であった。

 

バッキャーンッ!!

 

凄まじい音と共にガンプラのパーツが全て外れバラバラに散らばる。

だが、それは裕子のνAGE-FPではない。

 

『な!?』

「え!?」

 

シンも裕子も驚く。

2機の間に影が割って入り、その機体が………ミラージュコロイドを使った小春のガドランくんが、犠牲になったからだ。

 

『な、何で………!?』

「小春ちゃん!!」

 

緊急事態に、もはやレジェンドには構わず闇雲に突撃してきた美由紀のイージスキャンサーがビーム・ガトリングガンとスキュラを放ってシン機を何とか後退させる。

尚も美由紀は警戒するが、その場にはバラバラになった小春機とそれを呆然と眺める裕子機が残った。

 

「裕子ちゃん、しっかり!早く小春ちゃんのカバーを………。」

「私のせいだ………。」

「ゆ、裕子ちゃん!?」

「私のせいで………ドリームホープスプリングの初陣を………。」

「しっかりして、裕子ちゃん!」

「私が………私が………私が………!」

 

美由紀が裕子機の肩を揺するが彼女は完全に自失呆然としてしまっている。

ガドランくんの頭部パーツだけ転がる形になった小春はその様子を見て、静かに指示を出す。

 

「すみません~。裕子ちゃんと少し会話したいので~、時間稼ぎしてくれませんか~?」

「小春ちゃん………?」

「分かりました………「フォースシルエット」、射出して下さい!」

『え?』

 

小春に呼応した由愛が何とミネルバに通信を送る。

すると、何とミネルバ内部から真っ白なシルエットフライヤーに接続されたフォースシルエットが次々と発進されていき、由愛機の周りに集っていく。

 

『ちょ、メイリン!?どういう事!?』

『その………お姉ちゃん、由愛って子のガンプラはフォースシルエットを背中に付けてるからシルエットフライヤーを操れるの。』

『それってOKなの!?』

『落ち着けルナマリア。………ルール的には反則ではない。』

 

ルナマリア達が動揺する中で、由愛のフェアリアルドリームはフォースシルエットに飛び移り、ヴァジュラビームサーベルを次々と取り出すとGNビームサーベルがセットされていた所に次々と代用品としてセットしていく。

 

「海さんも………!最大限にフライヤーを活用して下さい………!」

「由愛のやりたかった事ってこれだったんだね!………いいよ!聖も!」

「はい………!」

 

海はグレイプニールでシルエットフライヤーの1つに捕まるとヴァジュラビームサーベルを拝借する。

そして、EXアクションのヴォワチュールリュミエールを発動させると、シルエットフライヤーに乗ったまま加速していく。

聖も同様にヴァジュラビームサーベルを拝借すると、シルエットフライヤーを飛び移りながらツインバスターライフルを撃っていく。

 

『ルナ、レイ、ハイネ、どうする!?』

『どうするって………。』

『面倒だが1機ずつ撃ち落としていくしかないだろう。』

『厄介な切り札を持ってやがるねぇ、あの妖精。』

 

レイのレジェンドのドラグーン・システムを中心にシン達はフライヤーを破壊していくが、由愛は絶え間なくシルエットフライヤーをミネルバから発進させていく。

バトルフィールドはたちまち賑やかになった。

 

「小春ちゃん………どうして………私なんかを………。」

 

その一方で、美由紀機を護衛に付ける形で呆然としていた裕子はパーツをバラバラにしてしまった小春に項垂れる。

しかし、小春は裕子を責める事は無く静かに話し始める。

 

「裕子ちゃんは~、今楽しいですか~?」

「え?」

「私の目からは~、楽しいようには見えないです~。」

「……………。」

 

サイキック暴走によるファンネル封印。

そんな状態で戦っていても、裕子は楽しいとは確かに思えなかった。

しかし、上手くコントロールできない自分では、周りに迷惑を掛けるだけだ。

自分の身勝手で周りを楽しませなくさせていては本末転倒だ。

だから………。

 

「仕方ない事なんです………私のせいで………。」

「じゃあ、サイキック解放しちゃいましょう~。」

「ダメですよ、私がもしも暴走させたら………。」

「それで我慢していて仮に勝てても、後悔してしまうんだったら………由愛ちゃんにも聖ちゃんにも失礼です。」

「小春ちゃん………?」

 

珍しく間延びせず真面目に答えた小春の言葉に裕子だけでなく美由紀も思わず振り返る。

通信画面の小春は少しだけ寂しい笑みを浮かべていた。

 

「ある所に、とても強い女の子がいました。その子は本当に強くて自分が公の場で恥をかいても仲間の為に動こうと思える子でした。」

「それは………本当に強い子ですね。」

「でも、そんなに意志の強い子でも………感情を完全に押し殺して生きる事は出来ないんです。」

「えっと………。」

「心の何処かではやっぱり泣きたいんです。甘えたいんです。その強さ故に弱さを抱いてしまうんです。」

「……………。」

 

名前は出さなかったが、小春が言っているのは村上巴の事だ。

彼女はジャパンカップのエキシビジョンマッチで、乱入者であるウィルに無残にガンプラをバラバラにさせられた。

それ以降、彼女は尚も自分を支えてくれる仲間の為に、更に強くなる事を誓った。

だが………だからといって敗戦のショックを引きずらないわけが無い。

その強さ故に弱さを………チームである仲間に対する申し訳なさ、後ろめたさ………そして泣きたい感情をずっと堪えていた。

但し、それは恥ではない。

人として当然の感情であるのだ。

だから小春は………共に修行に付き合った「桜舞隊」の面々は、こっそりとその闇を吐き出す場所を作った。

巴が更なる一歩を踏み出せるように………と信じて。

 

「だから裕子ちゃんも自分の本当の感情に………サイキックに正直になって欲しいんです。」

「でも………。」

「後悔しか抱かないのならば………一緒に戦ってくれている仲間に失礼ですから。何よりガンプラバトルって………楽しむものじゃないですか?」

「や、やっぱりダメです!分からないんですよ!サイキックを暴走させない方法が!?」

「大丈夫です、裕子ちゃん。ちょっと頭を使えばいいんですよ。いっぺんにコントロールしようとして暴走するのならば………。」

 

その時だった。

ガドランくんの頭部がデスティニーの「M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲」の流れ弾で吹き飛ぶ。

コンソールに小春機がロストしたという文字が並び、裕子達は固まる。

 

「小春ちゃん………。」

「裕子!話はちゃんとできたのかい!?」

「………海さん、美由紀ちゃんごめんなさい。私………私………!」

 

暴走は怖い。

フレンドリーファイアはもっと怖い。

でも………それでも小春の言う通り、楽しめないバトルは………持っての他だった。

だから………。

 

「このままみんなの足を引っ張って情けなくやられるぐらいならば、サイキックを………使います!私らしさを………発揮します!」

「裕子ちゃん………。」

「じゃあ、後はリーダー任せるよ!流石に………無理しすぎたね!」

 

「ザクⅡ改」の「ザク・マシンガン」を連射していたハルス・アテネもドラグーン・システムの一斉掃射を受けて爆発する。

 

「ごめんなさい………そして、ありがとうございます、海さん、小春ちゃん!ここからはユッコの本気を見せます!ファンネル達………みんなの想いを乗せて………行けっ!!」

 

裕子が手を振りかざすと共に、νAGE-FP からCファンネル8基にフィン・ファンネル6基、更にファンネル3基が射出される。

それらは規則正しい機動でシンのデスティニーに迫る。

 

『この動きは………オート操作!?マニュアルを諦めたか!だったら………!』

 

迎撃するのは容易いと思ったシンが高エネルギー長射程ビーム砲を構えるが、そこでCファンネル8基が急に円月輪のように輪を作り回転しながら迫り、ビーム砲を切り裂き破壊する。

 

『な!?この動きはオートじゃない!?マニュアルも………そういう事か!?』

「簡単な話だったんですよ………!一度に全て操って暴走するのならば、マニュアル操作で操る分を減らせばよかったんです!」

 

サイキックに拘る故にオート操作を敬遠していた裕子であったが、確実なコントロールをするのならば、オート操作の力を借りながらマニュアル操作を織り交ぜるのが効果的だったのだ。

規則正しい動きの中に不規則な動きが混じれば、敵機は困惑する。

それだけで絶大な効果を発揮するのだ。

 

「追い込ませて貰います!」

『そう簡単に……!』

 

シンは「MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル」を連射するが、裕子はフィン・ファンネルをオート操作にして自分を囲み「ビーム・バリア」を形成して防御。

即座にCファンネルをオート操作に切り替えて物理用の「バリア」を形成して種類を切り替えると、一気に懐に飛び込みシンが構えたアロンダイトの折り畳み部分に体当たりを喰らわせて砕いた上で動きを止める。

その上からファンネル3基をマニュアル操作で操り、ビームの雨を降らせて両肩の「RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン」も破壊する。

 

『さっきと全然動きが違う!?これがアンタの本気なのか!?』

「今の私は………阿修羅すら凌駕します!」

 

光の翼で逃げながらルナマリアの放ったシルエットフライヤーから「エクスカリバー」を受け取ったシンは二刀流で構えながら裕子に再度迫る。

一方の裕子も下がりながら牽制で背中のハイパー・バズーカを連射しながら、νガンダムの「ビーム・サーベル」を右手で抜き放ち、由愛のシルエットフライヤーからヴァジュラビームサーベルを左手で取ると奥の手を使う。

 

「サイキック最大解放………「NT-D」起動!!」

 

裕子も高速機動形態になってファンネルを纏い、シンとの激しい攻防が始まった。

 

「裕子ちゃんが復活したのはいいけれど………だったら、猶更こっちを何とかしないと!」

 

その一方で、美由紀のイージスキャンサーはレイのレジェンドを相手にしていた。

裕子がファンネルを自在に扱う手段を覚えたからこそ、それに対抗できるドラグーン・システムを駆使するレジェンドの存在は厄介だと踏んだのだ。

だが、元々近距離主体のイージスキャンサーは、レイの操る複数のビーム突撃砲の雨の前に中々近づけず、仮に近づけても対艦刀であるエクスカリバー二刀流の猛攻の前にリペアキットも体力も減らされるばかりだ。

 

『1人でドラグーンを相手取る根気は褒めてやる。だが、現実はそんなに甘くはない!』

「ううう………せめて何か………何かビット兵器に対抗する手段があれば………!」

 

ビット兵器を打ち破ったオールドタイプの機体は中々存在しない。

「ガロード・ラン」がビットの撃ち落としをやってのけた事があったが、流石に美由紀にそこまでの技量は無かった。

他の事例を考えると………。

 

「………ダメ!邪魔が多すぎて………!」

「美由紀ちゃん!」

「裕子ちゃん!?」

 

そこにシンと対峙している裕子から通信が入って来る。

彼女は強気で笑うと美由紀に言う。

 

「今まで迷惑を掛けた分!私に出来る事があれば言って下さい!」

「………チームワーク、お願いしていい?」

「はい!」

「じゃあ………!」

 

簡潔に通信を終えると美由紀は機体をモビルアーマー形態に変化させ、残りのリペアキットを使う。

 

『防御を捨てる気か!』

「もう………ヤケだよ!」

 

そして、バーニアを全開にすると、一直線にレジェンドへと突っ込んで行く。

あのイージスならではの「合言葉」を口にして。

 

「こうなったら………みゆき自身がファンネルになるしかない!!」

『組み付く気か!?だが、今のレジェンドに………な!?』

 

進路上にビームスパイクを発生させた2基の大型のビーム突撃砲を配置するレイであったが、そこに何とCファンネルが2基飛んできて突き刺さり、爆発を起こす。

更に両手に構えていたエクスカリバーにもCファンネルが突き刺さり、同じく爆発を起こす。

 

『これは、堀裕子か!?』

「みゆきファンネル!!」

『チィッ!?』

 

小形のビーム突撃砲でイージスキャンサーにビームの雨を降らすが、体力を全快させていた分と突貫して加速していた分だけ持ちこたえる事が出来た。

そのまま一気にレジェンドに組み付く。

 

『不味い!?』

「間に合えーーー!!」

 

レイは「MA-M80S デファイアント改ビームジャベリン」を取り出し、咄嗟にイージスキャンサーに突き刺すが、その前に美由紀は零距離からスキュラでレジェンドを貫いた。

 

『………相打ちか。やってくれる。………すまん、シン、ルナマリア、ハイネ。先に抜ける。』

「ふー………裕子ちゃんのお陰で、厄介なレジェンドは落とせたよ。後任せるね。」

 

次の瞬間、イージスキャンサーとレジェンドは共に爆発した。

 

『残りは3対3………!だが、デスティニーはザクとは違うんだよ、ザクとは!!』

「そ、その言葉、何種類レパートリーがあるんですか………!?」

 

聖のオラトリオはハイネのデスティニーの攻撃を必死に躱していた。

元々味方の中で一番リペアキットを維持していたのもあって回復には困らなかったが、パーツアウトはそのまま機体のバランスを崩して機動力の低下に繋がってしまう為、ダメージコントロールを慎重にしないといけなかった。

 

「盾が………ウイングガンダムゼロEWの「ウイング」が外れたら動きが鈍っちゃう………。」

『どうした!?集中力が散漫だぜ!』

 

ハイネは「RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン」を2つ投げつけてくる。

1つ目は回転しながら回避するが、2つ目が逃げ切れなかったので、チャージが完了したトランザムを発動して無理やり機動力を上げて躱す。

だが、そこでハイネは「M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲」を絶えず発射。

 

「りょ、量子化で………!」

『連続使用は出来ないよな!』

「………!?」

 

量子化を使って躱した聖にハイネは光の翼を発動させてアロンダイトを構えて突っ込んでくる。

もう躱せない………そう思った聖は思わず目をつむりそうになるが………。

 

「諦めないで下さい!」

「裕子さん………あ!?」

『何ぃ!?』

 

裕子の通信に聖もハイネも驚愕する。

何とハイネのデスティニーの両腕両膝の関節部分にCファンネル4基が突き刺さって動きを封じたのだ。

 

『ぴ、ピンポイントで動きを封じてきただと!?』

「ありがとうございます………裕子さん………!」

『え、ちょ、ま!?』

 

アロンダイトを取り落としたハイネ機に、聖はツインバスターライフルを連結させて発射し、そのまま巨大なビームソードに見たて、胴を薙ぎ払うように突撃する。

 

「お願い………!」

『け、結局最後はこれかーーー!?』

 

巨大なビームソードに飲まれたハイネのデスティニーはそのまま掻き消された。

 

『もう、どれだけシルエットフライヤーを持ってるのよ!』

「それは、ブーメラン発言じゃ無いでしょうか………!」

 

由愛のフェアリアルドリームは、背中のインパルスのフォースシルエットをルナマリア機にぶつけようとする。

ルナマリアのデスティニーインパルスも同じくデスティニーシルエットを由愛機にぶつけようとして、シルエット同士が激突して爆発を起こす隙に、両者シルエットフライヤーからそれぞれのパーツを再び合体させて武装とエネルギーを補充する。

 

『その機体、元々は接近戦仕様みたいね!でも、それなら負ける気は無いわ!』

「た、確かに………ルナマリアさん、射撃はともかく格闘戦は………。」

『一言余計よ!』

 

両肩越しに「テレスコピックバレル延伸式ビーム砲塔」を展開したデスティニーインパルスは、巨大なビームを放ってくる。

 

「わわ………!?」

 

何とか回避する由愛であったが、ルナマリアはエクスカリバーと光の翼を使い、再び突撃してくる。

 

「き、来た………!?」

 

もうGNミサイルも無くなっていた由愛は、右手のヴァジュラビームサーベルを1本投げつけるがデスティニーインパルスは軽く回避。

更にフォースシルエットを再び飛ばすが、こちらはエクスカリバーで簡単に叩き斬られる。

 

「援護します!」

『3度目が通じると思った!?』

 

そこに裕子がファンネルを3基飛ばして来てくれるが、ルナマリアは右手のエクスカリバーを1本咄嗟に盾として犠牲にして防御。

即座に「ビームブーメラン」を右手で投げつけてファンネルを3基いっぺんに破壊してしまう。

そのまま左手のエクスカリバーを両手で持ち、シールドもビーム・ジャベリンも失った由愛機に対し、思いっきり大上段から斬り下ろすが………。

 

『これで決まりよ!』

「Cファンネル………!ifsユニットで………!」

『え!?』

 

ガキィン!!

 

だが、ここで予想外の事が起こる。

由愛はCファンネル4基を咄嗟にマニュアル操作にすると、右手の甲に小さな刃にして集わせたのだ。

それは黄緑のifsユニットを纏い、砕かれながらもエクスカリバーを弾き、軌道を変える。

 

『しま………!?』

「裕子さん………助かりました!」

 

そのまま左手で脚にセットしたヴァジュラビームサーベルを取り出すとルナマリア機のコックピットに突き刺した。

 

『………ごめん、シン。私もこれで離脱。あーあ、接近戦で負けるなんて。』

「す、凄く強かったです………。私もそれ位の赤服になりたいな………。」

『誉め言葉と受け取っておくわ。ありがとね。』

 

由愛のフェアリアルドリームが離れると共に、ルナマリアのデスティニーインパルスは爆発した。

 

「聖ちゃんも由愛ちゃんも生き残りましたね!これで………!」

『アンタ………わざわざ自分のファンネルを犠牲して仲間を助けたけれど、それでオレに勝てるつもりなのか?』

「勝ちますよ、勿論。勝たないと意味が無いですから!」

『本当にさっきまでと別人だな。だけど、簡単に行くと思うな!』

 

最後にシンのデスティニーと対峙していた裕子のνAGE-FPは強気であったが、3人の仲間を助ける為にファンネルを消耗して、フィン・ファンネルが6基しかもう残っていなかった。

それでも勝とうと思う姿勢は評価できるが、残念ながらその隙と甘さを見逃す程シンは甘くない。

 

『ファンネルが減れば!』

 

ルナマリアのデスティニーシルエットから拝借したエクスカリバーでビームの雨を降らすフィン・ファンネルを狙うと光の翼の高速移動を駆使し、一気に3基破壊していく。

 

「ルナマリアさんもそうですが、貴方達、格闘戦強すぎませんか!?」

『それは上官だったアスランに言ってくれ!』

 

距離を取ろうとしたフィン・ファンネル3基も、シンは左手のエクスカリバーを一旦置いてパルマフィオキーナのビームの連射で一気に破壊する。

更にNT-Dの機動力で距離を取ろうとする裕子に対し、右手のビーム・サーベルと左手のヴァジュラビームサーベルもパルマフィオキーナで器用に破壊してみせる。

もう裕子にはサーベルもファンネルも残っていない。

 

『今度こそ………終わらせるんだ!』

「まだファンネルは残っています!」

『何!?』

 

驚くシンに対し、裕子は左手のシールドを………「フル・サイコフレーム」で構成されたアームド・アーマーDEを射出する。それはシンの右手のエクスカリバーを弾き飛ばすと、左手のエクスカリバーを内蔵された「ビーム・キャノン」で破壊する。

 

『どこまでファンネルなんだよ!?』

「これで………ラスト!」

 

シンが零距離パルマフィオキーナでアームド・アーマーDEを破壊している内に、ダイダルバズーカを3つに分裂させてEXアクションのスペクトラルショットを裕子は放つ。

 

『まだだぁっ!!』

 

だが、光の翼を持つシンは、本当にギリギリのタイミングでそのビーム射撃を躱す。

そのまま一気に接敵しようとするが、裕子のνAGE-FPはその場で両手を上に掲げた。

 

『降参………じゃない!?』

「聖ちゃん!!」

「はい………!」

 

裕子のνAGE-FPに向けて、聖のオラトリオがビームの対艦刀を………ハイネ機が落としたアロンダイトを投げてくる。

それをキャッチした裕子はシンのデスティニーに斜め右から斬りつける。

 

『そ、そこまで計算した上で………!?』

「只のおバカキャラと思わないで下さい!………たぁあ!!」

 

そして、そのまま斜め左から斬り下ろし、×の字にシンのデスティニーを斬り裂いた裕子のνAGE-FPは、最後にコックピットにアロンダイトを突き立てた。

 

『………驚いたな。ここまで視野を広くして状況を把握するなんて。最後のアロンダイトも………。』

「あ、それなんですが、実は裕美ちゃんに勉強を教わった時に教えて貰ったんです。裕美ちゃんも自分の武器を失った時に、泰葉ちゃんや千鶴ちゃんの武器を拝借したって。」

『そう言えば、そんな事も前のエクストラバトルであったな………。』

「それに………私のサイキックを目覚めさせたのは、小春ちゃんを始めとしたみんなの力ですから………。」

『………そっか。いいな、そういうの。』

「シンさんも、対戦、ありがとうございました!」

『もう、フレンドリーファイアは止めろよ。』

「はい!」

 

礼をした裕子の前で、シンは何処か満足がいったような顔をする。

そして、デスティニーが爆発した事で、バトルは終了した。

 

 

---------------------------------------------------------

 

 

「うう………。16歳のサイキック女子高生アイドルのお小遣いは厳しいんですよ!?」

「と言っても、バトル中に意気消沈した裕子が悪いんだから仕方ないよねぇ。」

 

シン達とのエクストラバトルの後、迷惑を掛けた小春を始めとしたアイドル達に謝った裕子は、彼女の提案で、みんなでカフェでパフェを食べる事になった。

………裕子の奢りで。

 

「大体、何でバトルとは関係ない響子ちゃん、未央ちゃん、ネネちゃんも加わってるんですか!?」

「利子だと思いな。………どうだい、美味しいかい、小春、由愛、聖?」

「美味しいです~。」

「何か悪いですけれど………。」

「ご、ごめんなさい………。」

 

嘆く裕子に対し、海はドリームホープスプリングの面々に笑いかける。

その隣では、利子の名の元で加わる事になった五十嵐響子、本田未央、栗原ネネに混じって、美由紀も甘いパフェを美味しそうに頬張っていた。

 

「裕子ちゃんがフレンドリーファイアを卒業できた祝いだから豪華じゃないとね!」

「だから、何で私がーーー!………もういいです。」

 

最後には拗ねてしまった裕子に全員苦笑。

そんな中、裕子は自分のガンプラを眺めて言う。

 

「それにしても………ガンプラの可能性は文字通り無限大ですよね。響子ちゃん達も完成できそうですか?」

「はい、お気に入りの機体があったのでベースにしたんですが、さっきのバトルを見て、完成図が浮かんできました。」

「あ、私も!未央ちゃんのガンプラはきっと華麗な物になるよ~?」

「私も完成できそうです。………ちょっと変わったガンプラをモチーフにしていましたが、構想が纏まりました♪」

 

その3人のガンプラの完成形を聞いた残りの面々は驚く。

 

「そんなガンプラの姿が………。やっぱりアイドルの数だけ個性があるんですね!」

「裕子ちゃんも~、そんなガンプラじゃないですか~。」

「そうですね………。さっきのバトルはカッコ良かったです………!」

「私達も助けてくれましたし………サイキックは素晴らしいです!」

「ほ、本当ですか!?………アレ、何か涙が。」

「………それだけ苦しんでたんだね、裕子。」

 

無意識の内に涙を流す裕子に優しく笑いかける海。

小春の言った通り、どんな人間にも強さと弱さがある。

だからこそ苦しみ、それを乗り越えて一歩を踏み出せる。

それは巴も裕子も他のアイドルも変わらない。

だから………。

 

(私は………これからもサイキックアイドルで………いいんですよね。)

 

涙をぬぐい、再び自分のガンプラを見つめた裕子は笑みを浮かべた。

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