【デレマス×ガンダムブレイカー3】CINDERELLA of Gund@m breakerS 外伝 エクストラバトル編 作:擬態人形P
村上巴は静かに目を閉じる。
脳裏に思い浮かぶのはジャパンカップエキシビジョンマッチでの出来事。
ミスターガンプラとの勝負を制した後に乱入してきたウィルのガンプラと斬り結び………一方的に負けた。
「止まって見えたよ。」
正にその言葉通りにパーツをバラバラにされる自機。
負けは負けだ。
その事実は覆しようがない。
だが………そう思っていても敗戦の苦い記憶は消える事は無い。
とはいえ………。
(悪いが今は後回しじゃ………。)
ウィルにリベンジをしたくないわけではない。
むしろ、してやりたい想いは強い。
しかし………今はそれ以上に優先順位が存在する。
リベンジの為ではなく、その優先順位の為に今はもっと強くならないといけない。
だからこそ自分は………。
(ん?)
その頬にひんやりとした感触が生じた事で、彼女は目を開く。
見れば、そこにはほわわんとした笑顔でジュースを差し出す古賀小春の姿があった。
「なんじゃ………小春か。どうした?」
「巴ちゃんにジュースの差し入れです~。冷たくて美味しいですよ~。」
「そうか………すまんな。」
そのイチゴジュースを受け取った巴は一気に飲むと軽く息を吐く。
そこは東京へと向かう飛行機の中だった。
エキシビジョンマッチの後、各々のチームで修行の旅に出る事になった5人の内、巴は「桜舞隊」の5人ユニットで日本各地のガンプラバトルの大会に出場していた。
そして、あらかた自身の新しいガンプラの操作に慣れた彼女達は、一旦346プロへと戻る途中であったのだ。
(大会に出場したお陰で新しいガンプラには慣れてきた。じゃが、世界は広い………。うちももっと力をつけんと………。)
巴は再び息を吐くと、再び手に持っていた書物を開き見始める。
と言っても、それは小説とかではなく漫画で、過去に執筆されたガンダム作品であった。
「巴ちゃん真剣ですね~。面白いですか~?」
「うむ………うちの読んでいるこの「機動戦士ガンダム カタナ」はのう、「刀」の名の通り、太刀を持った「フルアーマー・ストライカー・カスタム」っちゅう主役機体が出てきてな。その戦法をガンプラの戦法の参考にも出来ないかと思っているんじゃが………。」
「そうですか~。小春の読んでいる「機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン」って漫画にはあの「フェネクス」さんが登場していて、成長したエル・ビアンノさんやビーチャ・オーレグさんが出てきてるんです~。」
「何じゃと………?エルはともかくあの腰抜けビーチャがか?」
「カッコいい事言ってますよ~?ほらここ~。」
小春に示されたページを見てみると、成程、確かに成長した彼の姿が描かれていた。
「「強がらずに自分の足下をしっかり見てりゃ相手の色んな物が見えてくる。そこに確かな勝ち筋があるのさ」………か。ジュドー・アーシタに劣等感を抱いていただけの事はある。………しかし、こいつがいけめんってのになっているとはのう。ガンダムとは分からんものじゃ。」
だからこそ物語というのは面白いのかもしれない、と腕組みをした巴は自分とは反対の窓側に座って静かに本を読んでいる少女………福山舞を見る。
「………で、舞の読んでいるそれが、ガンプラの元になった機体が登場している「機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91」か?」
「はい。………古い漫画ですが、比奈さんが持っていたので貸してくれました。私が参考にした「シルエットガンダム」が活躍しているんです。」
笑顔で本を見せる舞に、巴は改めて感心する。
舞はシミュレーション非対応のガンプラであるシルエットガンダムを、自身のアレンジも加えながら、別の機体のパーツで作り上げてしまった。
その機体を知ったのは販売していたプラモからだったが、後に漫画等でも登場していると知って、空き時間にこうして読んでいるのだ。
「小春のような唯一無二のオリジナル機も凄いが………舞のようなシミュレーション非対応機を作る技術も参考にせんとのう………。そういう意味では同じ非対応機である「ガンダムレオパルド」をモチーフに作り上げた梨沙も感心するが………。」
「パパ!パパーーー!」
「………今はそれどころじゃないみたいじゃの。」
小春より更に向こう。
通路を挟んだ先に座っていた的場梨沙が号泣する。
彼女が読んでいるのはガンダムレオパルドが登場した「機動新世紀ガンダムX」の未来を描いた漫画である「機動新世紀ガンダムX外伝 UNDER THE MOONLIGHT」。
どうやら、重度のパパ好きである彼女の涙腺に触れる出来事があったらしい。
「あんまりじゃない!ガンダム世界のパパってどうしてヒドイ目にあう人が多いの!?」
「梨沙ー………。飛行機内では静かにな。後、半分はそのパパ達、「マトモじゃないパパ」だと思うぜ。」
涙ぐむ梨沙の隣で漫画を片手に頭をかくのは結城晴。
彼女は白狼の名で知られるシン・マツナガの活躍を描いた「機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ」を読んでいた。
「ラスト・サンを選んだ小春のチョイスも不思議じゃが………晴は何でそれを選んだんじゃ?」
「オレはどうせ読むならアニメになってない漫画の方がいいと思って比奈さんの所に借りに行ったんだけど………その時に一緒にいた光からヒーローっぽい漫画を進められて「英雄」って名前の付いたコレになったんだよ。」
「小春はヒョウ君が選んでくれました~。ラスト・サンの前の「機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ」も読んでますよ~。」
「成程のう………。」
あまり書物に関心を持ってないであろう晴と、今は別室で大人しくしていると思われるペットのイグアナのヒョウ君を飼っている小春。
適当そうな理由かもしれないが、この二人はこれが自然体であった。
「………まあ、一番ツッコミたいのは早苗の姐御じゃが。」
「ん?お姉さんがどうかした?」
晴の更に向こうで巴・小春・舞・梨沙・晴の「桜舞隊」の5人にならって漫画を読んでいるのは元婦警であるアイドル片桐早苗。
152センチしかないが、28歳という立派な大人であり、今回13歳~10歳という年齢である巴達5人の引率役を引き受けていた。
そんな警官という職業を持っていた彼女が愛読していたのは………。
「ああ!この「機動戦士クロスボーン・ガンダム」?面白いわよね、コレ。瑞樹ちゃんと海賊を演じてた巴ちゃんなら分かるでしょ?」
「いや………分かるっちゃ分かるが早苗の姐御。「宇宙海賊」が主役として出る漫画を、元とはいえ婦警だった姐御が愛読してええんか?」
「いいのいいの。お腹に溜まるお酒と違って別に読んでも後悔には繋がらないし♪」
「……………。」
これも自然体と言えば自然体だが、ちょっと問題がある気がした巴であった。
そうこうしている内に梨沙が泣き止みいつものような勝気な顔に戻る。
「それにしても………、漫画によって戦闘描写とか物語とか色々スタイルが違うのは凄いわよね。やっぱりパパの言った通りだわ。舞もそう思うでしょ?」
「梨沙ちゃんのお父さんの事は置いておいて………確かに色々と違うよね。色々なアニメの描写も凄かったけれど、こうして漫画を読んでみると更に奥深くてビックリしちゃう。」
「でしょでしょ。………どう、巴?何か参考になるシーンはあった?」
「そうじゃのう………。」
最後は梨沙なりの気遣いなのだろう。
少しだけトーンを落として問いかけてくる彼女に巴は考え込む。
どうすれば、もっと強くなれるか。
どうすれば、もっと自分の武器を活かせるか。
こればかりは………考え出すとキリが無いだろう。
それに、地方大会を勝ち抜く内にもう1つ問題が出てきて………。
「参考にしてみたい戦い方を見つけても、正直、そのシチュエーションがのう………。梨沙達とは十分にバトルをしたし、また瑞樹の姐御や楓の姐御のような猛者に鍛えて貰う機会もスケジュールの関係上持てないし、今のうちが世界でどれだけ通用するか分からないのじゃ。」
「そう………確かにねぇ………。」
巴の正直な呟きに梨沙を始め、皆の表情が少しだけ変わる。
そうこうしている内に飛行機は東京へと辿り着いた。
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東京空港に辿り着いた巴は、小春がペットのヒョウ君を連れてくる間に、ロビーでスマホのメールを確認していた。
そこに、フリルドスクエアの桃井あずきから「電話してね♪」というメッセージを見かけたので空港から借りた早苗の運転するレンタカーの助手席で電話をかけてみる。
「どうした、あずき?まさかと思うが柚が………。」
『そっちはまだ大丈夫!実はカドマツさんからね………!』
あずきはカドマツから借りたエクストラバトルの事を説明する。
そして、柚の気晴らしとしてそのデータの1つを使用してみた事。
更に巴を始めとした他の四人の分もあるらしいという事。
「ほう………。それは興味深いのう。」
『巴ちゃんもやりたくなった?』
「当然じゃ。丁度、更なる強敵を求めていた所じゃからの!うちに見合った物があるのならば、試してみたい物じゃ。」
『じゃあ、346プロに戻ったら都ちゃんに聞いてね!あずき達はこれからまた地方大会で特訓だから!』
「おう、ありがとうの!」
電話を切った巴は後部席に座っている四人を見てみる。
「聞こえたかもしれんが、346に戻ったら新しい特訓ができるみたいじゃ。みんな、付き合ってくれるか?」
「当然だろ?こんな面白そうなバトル、楽しまない手は無いって!………な!」
晴の言葉に梨沙・舞・小春も笑顔で頷いた。
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346プロのシミュレーターの前では巴と同じ燃えるような赤髪を持つ、探偵志望の安斎都が足を組んで本を持ちそれらしく座っていた。
只、持っているのは小説とかではなく、ガンダムの漫画。
謎解き要素が多めである「機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還」である。
「………都もガンダム漫画にハマっておるのか。」
「はい。私が調べた所、ガンダム漫画の歴史もかなり多彩ですからね。それこそ未完に終わっている物もあれば、アニメ等と世界線の違う出来事まで多種多彩です!」
「その心や好奇心で小説が読めればのう………。」
「さ、最近は見るだけじゃなくて読む練習もしてますよ!………で、エクストラバトルですね。」
巴の冷静なツッコミに咳払いをした都は一つのメモリを見せながら、シミュレーターを見つめる。
「勝手ではありますが、私の直感で巴ちゃんに相応しいバトルをインストールしておきました。」
「都の直感………大丈夫なのか?」
「大丈夫です!とにかく一度試してみて下さい。あ、只………。」
「???」
桜舞隊の全員を見渡した都は説明する。
今回のエクストラバトルは4人対応の物であり、前半戦と後半戦に分かれるらしい。
その為、出撃メンバーはその途中で1人交代する形を取って欲しいとのことだった。
「つまり………交代も考えて戦術を立てろってわけね。………桜舞隊は5人いるから仕方ないとはいえ、難しい要求するわね。」
「5人で楽しめる物じゃないと誰かが損をするじゃないですか。だから、ティンと来たものを私が選んでおいたんです!」
苦笑を浮かべる引率の早苗の言葉に、胸を張る都。
一方、巴達は自分達のガンプラを見比べながらその戦術を立てていた。
そして………。
「決まったぞ。交代メンバーは晴と舞。前半戦に晴が出て、後半戦に舞が出る。」
「分かりました、ではそのようにデータを入力して………各自ガンプラをセットしてください。」
八神マキノ辺りに教えて貰ったのだろう。
説明書を読みながら交代に関した操作をした都に案内される形で、巴達5人はシミュレーターへと向かう。
「そう言えば巴ちゃん~。その子に名前付けてあげましたか~?」
「まだじゃ。………とはいえ今でこそ素の「アルケーガンダム」じゃが、ちゃんと考えておる。」
小春にそう言うと、巴はHGパーツで構成されたアルケーガンダムをセットする。
但し、武装はアレンジが既に加えてあって、格闘武装が「ガンダムバルバトス」の「太刀」、射撃武装が「ガンダムデュナメス」の「GNビームピストル」、シールドが「シャイニングエッジビームブーメラン」と「グラップルスティンガー」を備えた「インフィニットジャスティスガンダム」の「ビームキャリーシールド」であった。
彼女が使いこなす覚醒は「アサルト覚醒」。
主に攻撃力等を引き上げる効果のある赤く輝く覚醒である。
「擬似太陽炉」による「トランザム」も備えている為、爆発力はこの時点で既に高く、特に巴はここから太刀をメインに使った格闘戦を得意としていた。
「改めて見ると晴のガンプラは、趣味のサッカー要素が全面に出ているのう。」
「まあな!オレとコイツでフィールドを駆け巡るぜ!」
晴が改修した青い機体は「ストライクノワール」を元に改修した「ウィンディストライカーガンダム」。
彼女なりにサッカー要素を色々と取り入れており、名前もストライカー=ストライク系列という事で動きやすそうなノワールを採用している。
例えば、蹴りと言えば「グリフォンビームブレイド」という事で「インフィニットジャスティスガンダム」の脚部を使っている他、「百式」のバックパックを採用する事で、「ウイングバインダー」を活かし、空中でバランスを保ちやすくしているのが大きなアクセントになっている。
また、ステップ能力や移動速度などを重点的に強化しているのでかなり俊敏で、両手両足を活かしたアクロバット且つ豊富な手数によるラッシュなどもこのガンプラの魅力となっていた。
「サッカーは足が命!………梨沙はよくシミュレーター未対応機作る気になったよな。」
「だってその方がパパに色々と質問できるじゃない!」
自信を持って言ってのける梨沙が掲げた豹柄とピンクの派手な機体は「ガンダムレオパルド」を元にした「ガンダムビビッドレパード」。
レオパルドに似せるために、「ストライクガンダム」の頭に「ウイングガンダムゼロEW」の胴体、「ガンダム試作一号機」の腕、「フルアーマー・ガンダム(サンダーボルト)」の脚、そして「ガンダム・バルバトス(第4形態)」のバックパックをミキシングしているのがポイントである。
更にビルダーズパーツで右肩に「ビームキャノン」、左肩に「6連装ミサイルポッド」、背中に「マーキュリーレヴA ガトリング」と「対艦ビームランチャー」を採用し、よりレオパルドに似せると共に遠距離での火力面も強化。
そして梨沙自身のオリジナル要素として、「カバカーリー」の「ビーム・ショットガン」等によって近接戦闘も強くし、反応速度もバランスよく強化しているのが特徴である。
彼女のアイドルとしての経験もたっぷりと盛り込んだ隙の無いガンプラに仕上がってあるのだ。
「それにシミュレーター未対応機ならば、舞もそうでしょ?」
「はい!こういう機体を作るの、楽しいですよね!」
舞がにこにこ顔で取り出した桃色のガンダムは「シルエットガンダム」をアレンジした「ステップシルエットガンダム」。
こちらはシルエットガンダムに似せるために「インパルスガンダム」の頭に「ビルドストライクガンダム」の胴体、「アストレイブルーフレームセカンドリバイ」の腕、「ガンダムF91」の脚、そして「ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル]」のバックパックという構成だ。
特徴的なシールドはインパルスガンダムの「機動防盾」で再現しており、更には「ヴェスバー」の代用として「大型ビームランチャー」もビルダーズパーツで補っている。
舞独自の拘りとしては、原型機の反応速度の不安定さをスラスター増設による姿勢制御や大出力ブースターによる直線加速力でカバーする形を取っている事であり、また、それを活かす為に格闘武装をランス系統の「ドッズランサー」に置き換えていた。
正に舞自身の様々な試みが投入された「試験機」と言えるガンプラであろう。
「いいバトルにしましょうね、小春ちゃん!」
「そうですね~。小春も頑張ります~。」
相変わらずのマイペースで緑のドラゴン?を磨く小春。
「ガフラン」を改造した「ガドランくん」が彼女の愛機であった。
モチーフになっているのはペットのヒョウ君で、彼?がロボットのドラゴンになったらどんなにカッコよくなるだろうと思いながら作ったらしい。
MGのガフラン頭にビルダーズパーツで大きな目玉を付け、爬虫類のような胴体は「カバカーリー」を、爪の付いた腕は「モビルカプル」を、身体を支える脚は「ジンクスⅢ」を、そして立派な翼は「フリーダムガンダム」を元に作り上げている。
バランスよく性能を強化しており、近距離は爪や投げ技による攻撃を、遠距離は豊富なビーム兵器による射撃を駆使してどのレンジでも器用に戦えるガンプラに仕上がっている他、カメレオンのような保護色をイメージした「ミラージュコロイド」によって不意打ちを仕掛ける事も得意としていた。
「さて………参るとするか、戦場に!」
巴の掛け声で一斉に5人はシミュレーターを起動。
カタパルトからの発進シーンへと移る。
「村上巴とアルケーガンダム………この任務はこの刀の下に、うちら桜舞隊が預かった!」
「お、いいな!ウィンディストライカーガンダム………結城晴!相棒と共にシュートだ!」
「的場梨沙とパパとの愛情がたっぷり込められたガンダムビビッドレパード、GO!」
「ステップシルエットガンダムに乗るのは福山舞!………怖がらずに前に出ます!」
「ヒョウ君もガドランくんもいいですね~?では、小春もみんなと一緒に発進です~!」
それぞれ口上を決めた5人は出撃していった。
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後半戦に登場する舞のステップシルエット以外の4機は宇宙の隕石のような所に降り立った。
只、周りには人工的な物体が所々立っており、人がいる気配を感じた。
戦闘中の再現なのか、宇宙空間には桃色の光源が幾つか光っている。
「確かあずきの話だと、オレ達に味方してくれるAIがまず出てくるんだよな。」
「うむ………戦力になるかは分からんがな。」
『おいおい、この俺様が舐められた物だな!』
「………あれれ~?この声は~?」
一番後ろにいた小春がのんびりとした口調で(しかししっかりとフリーダムの「バラエーナプラズマ収束ビーム砲」を展開し砲口を向けながら)振り向くとそこにはライトブルーの「ジンクスⅢ」が1機。
「その口調………パトリック・コーラサワーか?」
『おう!不死身のコーラサワー参上だぜ!アンタ達が桜舞隊か?』
「そうだけど………じゃあ何?アタシ達が立っているのは「ソレスタルビーイング号」?」
『おお!大佐がそう言ってたな!………って、今、重要なのはそこじゃねぇんだよ!来たからには大佐の為に働いてもらうぜ!』
「働くってまさか………。」
眉をひそめる梨沙に対し、パトリックは笑顔で一言。
『大佐の為に「アロウズ」をぶっ潰す!』
「アロウズ!?」
『お、早速お出ましだ!』
パトリックの言葉に合わせ、赤いアロウズ専用のジンクスⅢが複数ホログラムとなって現れる。
そして、アラートが鳴り響いて………。
『アレがカタロンに協力する部隊か!各機、油断するな!』
『了解!………ガンダム、ガンダムーーー!』
『落ち着け、准尉!………ソレスタルビーイングに加勢する者は!』
「この声は………バラック・ジニン、ルイス・ハレヴィ、アンドレイ・スミルノフか?」
太刀を構える巴の前で3機のモビルスーツが降り立つ。
見れば、それはバラックの乗る赤い「アヘッド」を筆頭に、ルイスの乗る赤い「アヘッド脳量子波対応型」、そしてアンドレイの乗る赤い大型アンテナの付いたジンクス………「アドヴァンスドジンクス」であった。
「乗機が多少違ってるな。とはいえ、前半戦から油断できない相手………。行くぜ、梨沙!」
「……………。」
「梨沙?」
「見つけた。」
「………は?」
「見つけた、見つけた、見つけたぁッ!」
「り、梨沙!?」
「今アタシがぶっ飛ばしたいのはアイツだけよ!よくもおめおめとあんなところに!!」
いきなり激高しだした梨沙は対艦ビームランチャーを構え………アンドレイのアドヴァンスドジンクスに向かってぶっ放す。
残念ながら回避され、反撃とばかりに「GNメガランチャー」の高出力ビームを撃たれるが、梨沙のビビッドレパードはステップで動くと今度は右肩のビームキャノンを喰らわせようとする。
『くっ………集中砲火か!?』
「パパの仇ぃぃッ!!」
『何!?』
いきなり妙な事を言って火力を集中させる梨沙に、晴達が怪訝な顔。
そう言えばアンドレイは本編で父セルゲイ・スミルノフを勘違いと憎悪から討っていたが………。
「待て待て、梨沙!お前のパパじゃないだろ!?それに映画も見ただろ!?」
「この時点のコイツはパパを討った大馬鹿野郎よ!!」
晴が諫めようとするが、梨沙は聞く耳を持たず、今度はマーキュリーレヴA ガトリングガンを乱射し、アンドレイ機を執拗に攻め立てる。
「答えろ!アンドレイ!何故パパを討ったぁッ!?」
『父は母を………仲間を見捨てた!その上反政府勢力に加担し、私に言い訳も謝罪もしなかった!』
「あんな人格者持ってて、何をやってるのよ!」
『人格者!?あの男がか!?笑わせる!』
「アンタって人はーーーッ!!」
EVIL LIVE宜しくキレッキレの顔芸を披露する梨沙にタジタジになる晴。
梨沙の砲撃を皮切りに戦闘は始まっており、巴はバラックのアヘッドを、晴はルイスのアヘッド脳量子波対応型をマークしており、小春は味方AIのパトリックと共に激高している梨沙に代わって後方支援に回っていた。
「落ち着け梨沙!アンドレイもアンドレイだが、20年近く放っておいて勝手に養子迎えていたオヤジさんもオヤジさんだろ!?」
「アタシなら自力でパパを取り戻す!!」
「ぶれねぇな!?お前!?」
「梨沙!晴!コントをしている場合じゃ無いじゃろ!?」
バラック機の「GNビームライフル」を回避しながら動き回る巴によるツッコミが入る。
その時、ジグザグに動きながら梨沙機の激しい弾幕を回避していたアンドレイ機が飛び上がる。
『喰らえ!』
「ッ!?」
それが何か分かった梨沙は、慌てて後方に跳び回避。
EXアクションによる「ライトニングスラスト」の急降下突き刺し攻撃が梨沙のいた位置に炸裂する。
「敵AIもEXアクションが使える………!?悔しいけどパワーで押せる相手じゃないわね………。」
このアクションを得意とする巴と何回かバトルをしていたおかげで即座に反応できたが、怒りに任せて撃ち続けていたら危なかった。
これが梨沙の頭を冷やす事になり、周りを見渡し作戦を思い出す良い機会になる。
(晴がかき乱している間に何とかしないとね………。)
前半戦と後半戦に分かれるため、「リペアキット」の消費には気を付けないといけなかった。
そこで、交代の関係で前半だけに登場する晴のウィンディストライカーが優先的に敵陣をかき乱す事になっていたが………。
『ガンダム!ガンダムーーーッ!?』
「こっちはガンダムアレルギーかよ!?」
『お前のせいでママとパパはーーーッ!?』
「それはネーナ・トリニティに言ってくれ!」
典型的なガンダムをモチーフにしたウィンディストライカーに「GNサブマシンガン」を撃ちながら迫るルイス機に頭を抱える晴。
彼女の高機動機にマーク………というか粘着されており、中々フィールドを自由に動き回らせて貰えなかった。
『カタロンめ………!貴様らは倒す!』
「梨沙!指示だしは任す!後方支援役として色々考えてくれ!」
バラック機と対峙している巴に言われ、梨沙は考える。
とりあえずは1機ネームドを落としたい。
最適なのはやはり梨沙と撃ち合って多少はダメージが蓄積しているアンドレイ機だろう。
「………よし、小春!雑魚はコーラサワーに任せて、こっち手伝って!」
「分かりました~。」
モビルカプルの腕の「ハンドガン」で散弾を撒き散らし、雑魚のジンクスⅢを攻めていた小春はそう言うと、梨沙機の前に出てガドランくんのバラエーナプラズマ収束ビーム砲を撃つ。
「え~い!」
『甘い!』
「そこよ!」
『!?』
それは簡単に回避されるが、その隙に梨沙が小春の影からEXアクションの「ショットバラージ」を選択し、アンドレイ機の周りにエネルギーの雨を降り注ぐ。
これで動きを止められた所で小春機がバーニアを最大にして接近し、アンドレイのアドヴァンスドジンクスを掴んだ。
『な!?離せ!?』
「嫌です~。それ~!ガドランくんトルネード!」
そのままEXアクションの「サイクロンパイルドライバー」が発動。
回転しながら飛び上がり、頭からアドヴァンスドジンクスを叩きつけ、パーツを全部吹き飛ばす。
『しまった!?パーツが!?』
「ナイス、小春!………アンドレイ!パパの愛をその身に刻みながら吹っ飛べーーーッ!!」
トドメの対艦ビームランチャーで撒き散らしたアンドレイ機のパーツを全て掻き消す。
『言ってくれなきゃ、何も分からないじゃないか!?言ってくれなきゃ…うぁぁぁぁぁぁぁぁッ!』
梨沙の怒りの砲火を受けたアンドレイ機は爆発を起こした。
「アンドレイ………映画版はカッコいいんだけどなぁ………。」
重度のパパ好きに粘着された彼に同情しながら、晴は自分に粘着してくるルイス機を見据える。
ガンダムに粘着する彼女もこの頃は精神的に追い詰められており、かなり不安定な状態だったはずだ。
故に………。
『ママとパパの仇!ガンダム!お前だけはーーーッ!』
「だから、オレは関係ねぇよ!ガンダムアレルギーも大概にしろ!」
執拗に狙ってくるルイス機にツッコみながら、晴はストライクノワールの「ビームライフルショーティー」の射撃で応援する。
しかし、防御を考えないルイス機の猛攻にリペアキットを何度か使う事になる。
「交代前提だから、一番無茶できるとはいえ………あまり滅茶苦茶に動いてばかりじゃダメだよな。」
作戦としては、後半戦で暴れて貰う為に、巴は攻撃よりも回避重視。
被弾しやすい接近戦では、主にリペアキットを豊富に使える晴が担当する算段になっていた。
その事もあってこのまま受け身に回るわけにはいかない。
「守ったら負ける………ってヤツだな。攻めの姿勢はサッカーでもガンプラバトルでも大事だ!」
彼女はGNビームライフルを撃つルイスに対し、「ブラストタックル」の体当たりで強引に接近を仕掛ける。
ルイスは実体を伴った盾である「GNシールド」で防御するが、そのまま晴は華麗に「ラピッドショット」の宙返りからの射撃を集中させ左腕ごとシールドを吹き飛ばし、空中で器用にバランスを取り「アースシェイカー」の落下蹴りと衝撃波で吹き飛ばす。
『何!?』
「まだまだ!」
そのまま今度は腕の「アンカーランチャー」でバランスを崩したルイス機を引き寄せると、「ビギニング30ガンダム」のシールドから「ビームサーベル」3本をまとめて抜き払い、頭部と右腕を同時に斬り捨てる。
『が、ガンダム………!』
「悪いな!これでラストだ!………シュート!!」
最後にグリフォンビームブレイドで思いっきり蹴り飛ばした事で、ルイス機も爆発を起こす。
『ママ、パパ…!褒めてよぉ………!』
「………後味悪ぃな。巴、そっちは………?」
「おう、もうすぐじゃ!」
見れば巴機は回避しながらも高速で動き回り、太刀による一撃を何度も叩き込んでいた。
バラックのアヘッドも「GNビームサーベル」で応戦しようとするが、巴はその動きを見切り、何度も「居合」を叩きこんでいた。
『反政府勢力め!それ程までにアロウズが憎いか!』
「………まあ、おどれの過去を考えれば憎むのは分からん事も無いが、勝負の世界じゃ。悪く思わんといてくれ。」
巴はそれだけを言うと、太刀を構え迫る。
バラックはGNビームライフルを撃ってくるが、巴から見て右手側………アヘッドのシールド側にインフィニットジャスティスのグラップルスティンガーのアンカーを飛ばして地面に突き付け高速移動。
そのままシールドの影からライトニングスラストの飛び上がり急降下斬撃を喰らわせて破壊する。
『アロウズは………!我等はーーーッ!』
バラックのアヘッドも破壊され、残りは雑魚のジンクスⅢだけ。
パトリックがそれなりに戦力になっている事もあり、敵の数は少なくなっていた。
晴を中心に巴達はダメージを受けないように片付けていく。
「これで前半戦終わりかぁ………。何か思ったより呆気無かったな。」
最後のジンクスⅢをインフィニットジャスティスの「シュペールラケルタビームサーベル」で斬り裂いた晴が物足りない顔で運動後の屈伸をする。
そうしている内に、舞のステップシルエットがホログラムとなって出てきたのでハイタッチで交代。
代わりにウィンディストライカーがホログラムになって消えていく。
「さて………後半戦の敵は………。」
『感謝するんだね。この僕自らが、審判を下してあげるんだから。』
「ん!?」
如何にも傲慢そうな声に巴達は身構える。
新たなアラートと共に降り立ってきたのは………。
『さあ、始めようか。世界の変革を。』
リボンズ・アルマークの「リボーンズガンダム」と。
『ガンダム!私は君を超える!』
ミスター・ブシドーの「スサノオ」と。
『へへっ………!戦争はこうでないとなぁ!!』
「アルケー………ガンダム!?」
そして、アリー・アル・サーシェスのアルケーガンダム………巴と同じベースの機体とオリジナルのパイロットのAIだった。