【デレマス×ガンダムブレイカー3】CINDERELLA of Gund@m breakerS 外伝 エクストラバトル編   作:擬態人形P

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2章:紅と鋼の太刀と(巴・梨沙・晴・舞・小春)・後編

「ちょっとちょっと!?………これ、結構ヤバくない!?」

 

戦場に降り立ったアルケーガンダム、スサノオ、リボーンズガンダムの3機のエース級のモビルスーツを見て、的場梨沙は思わず冷や汗をかく。

こう言ったら何だが前半戦とは比べ物にならない位の強敵ばかりだ。

何より実力があるのに、性格面に問題がある人物ばかりなのもいやらしい。

しかし、そこで梨沙は村上巴の呟きに気づく。

 

「都には感謝せにゃならんのう………。」

「巴?」

「アリー・アル・サーシェス………。このアルケーガンダムでどこまで通じるか試すのには一番もってこいの相手じゃ………。」

「……………。」

 

少し何かを考えた梨沙は通信で福山舞と古賀小春を見る。

舞は緊張感に包まれながらもしっかりと頷き、小春はいつもの笑顔ではあるが梨沙の言いたい事は理解した様子だった。

 

「巴………サシでやっていいわよ。」

「何?」

「アルケー同士サシで勝負していいって言ってるのよ。アタシ達は手を出さないし、相手にも援護させないわ。」

「じゃが………。」

「舞!ガンダムストーカーは任せたわ!パトリックは舞の援護を!………アタシと小春は、あの傲慢な救世主気取りをぶっ潰す!」

 

言うや否や巴の返答を待たず、パトリックを含めた4機は戦闘態勢にそれぞれ入る。

 

「………ありがとうの。」

 

巴はそう言うと、太刀を構え、「GNバスターソード」を握るサーシェスのアルケーと対峙する。

アルケーとアルケーの戦いが始まった。

 

「喰らいなさい!」

「メガガドランくんビームです~!」

 

まずは、対リボンズ・アルマーク戦。

梨沙のガンダムビビッドレパードの対艦ビームランチャーと、小春のガドランくんの「メガランチャー」が同時に火を吹く。

しかし、煙に包まれたリボンズ機は無傷。

 

「「GNフィールド」………!」

『神である僕に傷を付けられるとも思ったのかい?』

 

GN粒子によるバリアで梨沙と小春の砲撃を無効化したのだ。

この場合、GNフィールドを破るには実体剣等が有効になるが、爪や投げ技を持っている小春機はともかく、梨沙機には決定打が存在しない。

 

「相性最悪ね………!小春、接近できる!?」

「やってみます~………わぁッ!?」

 

その時、小春のガドランくんの頭部パーツが吹き飛ぶ。

見れば、リボンズ機が腰部とGNシールドに4基ずつ備えた小型の「GNフィンファング」を放出していた。

 

『おやおや………厄介なものだ。トカゲの癖に神に近づこうなどと。』

「ガドランくんを馬鹿にしないで下さい~!」

 

小春にしてはむっとした顔をするが、そこに今度は「GNバスターライフル」の砲撃が飛来する。

 

「舐めるんじゃないわよ!」

 

梨沙が援護の為にフルアーマー・ガンダム(サンダーボルト)の「膝部6連ミサイル」と追加パーツの「ミサイルポッド」を雨あられのように放つが、これまたGNフィールドで防がれてしまう。

その隙を狙われて、今度はビビッドレパードの左腕のパーツが吹き飛ぶ。

 

『敵うはずがないんだよ、この「ツインドライブシステム」を搭載した人類を導くガンダムにはね!』

「この………!」

 

GNフィンファングで梨沙と小春をもてあそびながら、両腕を広げ、両肘の「擬似太陽炉」を見せつけるリボンズ。

完全に遊ばれている………と思った梨沙は内心どうするべきか思考を巡らせていた。

 

『ガンダム、現れてくれたか。自分が乙女座であった事を、これほど嬉しく思った事はない。』

「えっと………多分、求めているガンダムとは違うとは思うんですけれど………。」

『しかし、この感情は………最早愛を超え、憎しみをも超越し………宿命となった!』

「聞いてませんね。私の言葉………。」

 

ステップシルエットガンダムを駆りスサノオと対峙する舞は、ミスター・ブシドーの狂言にペースを狂わされていた。

一応、原作からこの人はこんな感じではあるが、それでも実際に対峙すると正直、面倒極まりないのは確かであった。

しかし、何より迷惑なのは………。

 

「とりあえず、ごめんなさぁい!」

『砲戦は………興が乗らん!!』

 

ヴェスバー代わりにセットした大型ビームランチャーを放つ舞の攻撃を朱色の球体で完全に防御するブシドー。

スサノオもGNフィールドを備えているのだ。

これにより、リボンズと同じく、遠距離武装はほぼ封じられてしまっている。

ブシドーとリボンズの違う所は、彼は「ビームチャクラム」等の遠距離武装に滅多に頼らない所であろうか。

 

「接近戦ならば、このステップシルエットガンダムも負けていない………。でも………。」

『だらしねぇな!俺様が何とかしてやるよ!』

「あ、待って………!?」

 

舞の忠告を無視し、パトリックのジンクスⅢが突撃。「GNランス」を構え、高速の連続突きを放つ「ミリオンスパイク」のEXアクションを発動する。

 

『大佐の勝利の為にーーーッ!!』

『私はガンダムとの果し合いを所望する!』

 

何とブシドーは左手の「強化サーベル「シラヌイ」」と右手の「強化サーベル「ウンリュウ」」を振るい、その突きを全部受け止め、更にX字にパトリック機を斬り裂く。

 

『なんじゃそりゃぁぁぁぁっ!!』

 

お約束のセリフと共に大した活躍もできずに爆発するパトリック機。

御親切に脱出ポッドが出ている描写があるので無事だとは思うが、これが舞に1つの懸念を抱かせた。

 

(今の………私が行ってたらやられてた………。)

 

躊躇せずドッズランサーでミリオンスパイクの突きを放っていたら、今のパトリックのようになっていたのは目に見えて分かった。

接近戦の技量は明らかに向こうが上。

しかし、遠距離戦で打ち破る策は無い。

 

『ガンダム………どうした?』

「そ、それでも………!」

 

舞はEXアクションの「ファントムエッジ」を選択し、自分の周りに剣のホログラムを出現させる。

 

『来ないならこちらから………!』

「私が踏ん張らなきゃ………巴ちゃんが………!」

 

ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル]の「シールド・ブースター+強化型シールド・ブースター」で一気に加速。

 

『行くぞ!ガンダムゥーーーッ!!』

「失敗を………恐れないで………行きます!」

 

そして舞は「ガンダムF91」の「ビーム・サーベル」を2本抜き放つと、回転させながらスサノオに一直線に突撃していった。

 

「そこじゃあッ!!」

『おっと!』

 

アルケー同士でぶつかり合う巴とサーシェスは妙な展開になっていた。

ライトニングスラストの急降下攻撃を巴が喰らわそうとするが、それをサーシェスはひらりと回避。

更に立て続けに「スラッシュテンペスト」の高速の衝撃波を巴が放つが、サーシェスはこれも飛び上がり回避する。

 

『どうしたどうした!?村上巴さんよぉ!?こんなもんじゃないだろ!?俺をもっと楽しませてくれよぉ!?』

「くっ………おどれ!逃げ回ってばかりじゃバトルにならんじゃろ!?そのGNバスタードソードは飾りか!?」

『へへっ………じゃあ、お望み通り攻撃に移ってやるよ!ファング!』

「!?」

 

巴の言葉に対し、サーシェスは腰部に搭載された10基の「GNファング」を放出。

全方位から巴機に対し、ファングを1基ずつ時間差で炸裂させていく。

 

「くっ………!?なぶる気か、おどれは!?」

『勝負の世界っていうのはそういう物なんだよ!嬢ちゃん!!』

 

太刀を振るおうとしたが、右腕がGNファングによって外れてしまう。

リペアキットを使いながら避けて体勢を立て直そうとするが、今度は左腕が………次はバックパックが………自機のパーツが、外れたりくっついたりしながらの連続で、全然攻撃に移れない。

 

(どうする………!?どうする!?)

 

リペアキットが使える回数は最大20回。

前半戦でほとんど消費しなかったから余裕があると思ったが、このままだと全然足りない。

 

(あの男は最初から格闘戦を挑む気が無い!?むしろ、自分の優位さを存分に見せつける為にこんな真似を………!)

 

もはや屈辱だと思っている余裕すらない。

このまま終わってしまうのだろうか、自分は?と一瞬、巴の脳裏に浮かんでしまう。

 

「うちは………。」

「何やってるのよ!巴!アンタ、瑞樹や楓から何を学んだのよ!?」

「!?」

 

そこに梨沙の激が飛んできた。

彼女はリボーンズガンダムのフィンファングや砲撃を必死に耐えながら何とか隙を狙おうと伺っている。

そこに、前半戦で交代した結城晴の通信も聞こえてきた。

 

「巴!周りを見てみろ!お前がタイマンで戦えるようにみんな頑張ってるんだ!特に、舞!その気になれば「フィールドリペア」で全員回復できるのに、お前がそれを望んでないだろうから、ガマンしてるんだぞ!?」

「そう言えば………舞!?」

 

舞のステップシルエットは両腕を吹き飛ばされていたが、ファントムエッジの剣や豊富なブースターによる機動力によって何とか致命傷を避けていた。

 

「私は大丈夫です!巴ちゃんは巴ちゃんらしく戦って下さい!」

「舞………。」

 

そして、最後にガドランくんを動かしながら、梨沙と応戦している小春ののんびりとした声も聞こえてくる。

 

「きっと勝てますよ~、巴ちゃんなら~。」

「しかし、突破口が………。」

「ほら、ビーチャさんも言ってたじゃないですか~。「強がらずに自分の足下をしっかり見てりゃ相手の色んな物が見えてくる。そこに確かな勝ち筋があるのさ」って~。」

「強がらずに自分の足下を見る………か。」

 

成程………と、巴は改めて納得した。

今の巴自身とサーシェスの力量差は、さしずめビーチャとジュドーの力量差と同等だ。

だとしたら………自分を理解し、相手を理解する。

それが、本当に勝ち筋に繋がるのだと。

 

「あの腰抜けに諭されるとは………じゃが、今は感謝する!ファング!」

 

サーシェスのファングによって太刀を持った右腕が外れているのを確認した巴は10基のGNファングを全て放出する。

 

『お?オート操作のファングで俺に挑む気か?』

「流石におどれにファング勝負で敵うとは思っとらん。じゃが………!」

『な!?』

 

ここで初めてサーシェスが動揺した。

巴がファングで狙わせたのはサーシェス自身じゃない。

サーシェスの操るファングだ。

ビームサーベルを形成できるGNファングは次々と相手のファングと相殺して爆発していく。

 

『こんちくしょう!』

 

すかさずサーシェスが自機のGNファングで巴のファングを撃ち落としにかかるが、それでも10基から4基まで減らされる。

 

「上出来じゃ!」

 

この間に右腕が戻ってきた巴は太刀をしまい、シャイニングエッジビームブーメランを投げ飛ばす。

行きで1基、帰りに更に1基、奇襲の形でファングがまた破壊される。

 

『この………!』

「これで、最後!」

 

そして、デュナメスガンダムのGNビームピストルを両手に構え、サーシェスが突撃させてきた残りの2基のファングを撃ち落とす。

これで、邪魔なファングは全て消えた。

 

「瑞樹の姐御との特訓が役に立ったのう。さて………これで本当にサシじゃ。」

 

ニヤリと笑みを浮かべる巴は再び太刀を握る。

サーシェスは歯ぎしりをしながらも………。

 

『ところがぎっちょん!』

 

彼のアルケーガンダムが赤く輝いたと思ったら急激に高速で動き始める。

「擬似太陽炉」による「トランザム」を発動したのだ。

 

『切り札ってのは最後まで取っておくものなんだよ!』

「……………。」

 

巴は動かない。

太刀を構えたまま微動すらしない。

 

『さっきまでの威勢はどうしたぁ!?村上巴さんよぉ!?トランザムは使わねぇのか!?』

「……………。」

 

巴は喋らない。

只じっと、その姿勢を保ったままだ。

サーシェス機は巴の周りを縦横無尽に動き回って………。

 

『バラバラになりな!!』

 

巴のアルケーに向かってGNバスタードソードを振りかぶり………。

 

ブスリ。

 

『………へ?』

 

その胴体の擬似太陽炉に、巴が「背後に向けて突き出した」太刀が深々と刺さった。

 

『な、何でだ………?この俺が………?』

「すまんの。高速戦闘は楓の姐御との特訓で目が慣れとるんじゃ。何より………。」

 

巴はサーシェスのアルケーを後ろに蹴り飛ばし、太刀の露払いをする。

 

「おどれは、相手を散々なぶった上で、「一番屈辱的な敗北」を与えようとするじゃろ。」

『バカがぁぁぁぁぁあああああッ!!』

 

急所を貫かれたサーシェスのアルケーは、爆発を起こし散る。

だが、巴は勝利の余韻に浸る事無く、スサノオと激戦を繰り広げている舞の方へと向かった。

 

「ああもう!GNフィールドウザイ!後、何がフィンファングよ!このパクリ野郎!」

『五月蠅い、小娘だ。神である僕に歯向かう命知らずな猫のようだね。』

 

リボーンズガンダムに対し、決定打を与える事ができない梨沙のビビッドレパードはリペアキットを消耗しながら、それでも何とかダメージを与えようとマーキュリーレヴA ガトリングガンを連射する。

小春のガドランくんは右腕のパーツが外れたため一旦後退しており、その分梨沙にフィンファングが襲い掛かる。

 

(「リボーンズキャノン」に変形しない所を見ると、相当舐められてるわね………。このAI作ったロリコン達、どういう性格してるのよ。)

 

口では激高しながらも、内心冷静に分析をしようとした梨沙は、戦法を変えようとカバカーリーのビーム・ショットガンを構え前に飛び出す。

 

『武装を変えた所で無駄だよ。』

「くっ………!」

 

しかし、GNフィールドを突破するだけの破壊力は持っていない為、逆にフィンファングによって右腕を吹き飛ばされてしまう。

近距離での攻め手を封じられた所で後退する梨沙にフィンファングが猛攻を仕掛ける。

 

『ハハハ………!猫というよりネズミかな?』

「いつまでも強気でいられると思うんじゃないわよ!」

『それは、この事かな?』

「!?」

 

リボーンズガンダムの背後………リボーンズキャノンの左腕のマニュピレーターがロケットアンカーとして移出される。

「エグナーウィップ」と呼ばれるその武装は背後から………「ミラージュコロイド」で姿を消して飛びかかろうとしていた小春のガドランくんを拘束し、高圧電流を流す。

 

「あわわわわわ!?」

『甘いんだよ、僕の死角を突こうだなんてね。』

 

そのままGNフィンファングのビームが小春機を狙う。

小春はリペアキットで回復をするが、みるみるうちに消費されていく。

 

「……………。」

「小春!?」

『ネズミといいトカゲといい、僕の邪魔をするのはもうやめないかい?』

「………違います。」

『ん?』

 

声のトーンが落ちた小春に少しだけリボンズは眉をひそめる。

 

「梨沙ちゃんのガンダムは凄くカッコよくて………豹柄の模様がとてもいいんです。それにガドランくんは、ドラゴンなんです。強いんです………どっちも強いんです………強いんです!」

 

だんだん語気が強くなってくる小春にリボンズは怪訝な顔を見せる。

そうこうしている内に小春機のリペアキットが無くなる。

 

「………だから!小春もドラゴンらしく!強くッ!」

 

ここで小春は吠えた。

拘束され高圧電流が流されている中で、背中のバーニアを全開にし、ガドランくんは強引に突撃をする。

機体は上手くコントロールできなかったがそれでもリボーンズキャノンに正面からぶつかり、長いモビルカプルの腕で思いっきり機体に組みつく。

 

『な!?気でも狂ったか!?そんな事をした所で………!』

「爆発させますか!?この「至近距離」で!?」

『!?』

 

ここに来て初めてリボンズの顔に動揺が見られた。

高圧電流を長時間受けた事で、もはや得意のビーム兵器等を撃つ力も残っていないガドランくんを爆発させるだけならフィンファングに頼ればいい。

しかし、密着状態で爆発させればリボーンズガンダムとはいえ無事では済まないだろう。

更にこの状態では………。

 

『じ、GNフィールドが張れない!?』

 

小春機が干渉しているからか、得意の防御フィールドに頼れない。

更に機体バランスも崩れ、動きが明らかに鈍ってしまっていた。

 

「よくやったわ!小春ッ!!アンタ色んな意味で最高!!」

 

今まで封じられていた射撃武装が存分に発揮できる。

その最高のシチュエーションになった事で梨沙も吠える。

対艦ビームランチャーを構えるとこれを皮切りに次々と武装を撃ち込み始めた。

 

『チィッ!』

「豹は獲物を逃さないわよ!」

 

これに対し、リボンズは「トランザム」を発動。

機動力を上げようとする。

………が、ガドランくんが邪魔で思ったように動けない。

結局フィンファングの牽制に頼りながら、ビビッドレパードの砲撃を躱す事だけで精一杯になる。

 

『どけ!トカゲが!』

「ドラゴンです!それに絶対に離しません!」

 

意地でもしがみつく小春の頑固さにリボンズは冷静さを失っていく。

着実にではあるが、形成が逆転し始めていた。

 

「舞!無事か!?」

「あ………巴ちゃん、良かった。勝てたんですね、サーシェスのアルケーガンダムに。」

 

巴が駆け付けた時には、スサノオを抑えていた舞のステップシルエットは相当消耗している状態だった。

パーツは全てくっついていたが、リペアキットは使い切っており、後数回被弾したら撃墜の所まで追い込まれていた。

 

「………フィールドリペアを使えばこうはならんかったのに。」

「あ、巴ちゃんが気にする事じゃないですよ。私が勝手に使ってないだけですから。」

 

舞は気にしないように言ったが、巴は自分がアルケーガンダムとサシで勝負したいと思ったからこうなったんだと痛感する。

 

「……………。」

「それに、メインは巴ちゃんなんです。私達は楽しんでますし、まず巴ちゃんがみんなの為に強くなればそれでいいんです。」

「分かった………。」

 

こみ上げる感情を抑え、巴は舞のステップシルエットの肩をポンと叩く。

 

「梨沙と小春の援護をしに行ってくれ。スサノオは………うちが何とかする!」

「はい!」

 

入れ替わりでブースターを最大にして飛んでいく舞を見送りながら、巴は太刀を握りスサノオを見つめる。

 

『現れてくれたか、村上巴。自分が乙女座であった事を、これほど嬉しく思った事はない。』

「だったら礼は乙女座じゃなく、舞を始めとしたうちの大事な仲間達に言ってくれい。………みんなが居なければ、うちはサーシェスにバラバラにされとった。」

『そうか………ならば、私を切り裂き、その仲間の為に、勝利を掴んでみせろ!!』

 

ブシドーは強化サーベル「シラヌイ」と強化サーベル「ウンリュウ」を合体させ、「強化サーベル「ソウテン」」にして左手で構える。

巴は残りのリペアキットを使い耐久値を最大まで回復すると、太刀を構え一旦目を閉じ………静かに見開く。

 

「取っておいた全力でおどれを倒す!」

『とくと見るがいい…盟友が造りし、我がスサノオの奥義を!』

 

巴はアサルト覚醒を発動し、トランザムを起動。

ブシドーも一度きりのトランザムを発動させる。

紅に染まった両機がそれぞれの想いのこもった刀を強く握りしめる。

 

「勝負じゃ!ブシドー!!」

『勝負だ!巴!!』

 

爆発的な加速力と共に、両機の刃が交錯した。

 

『まだ離れないのか!?この爬虫類が!』

「ドラゴンって何度も言ってますよ!」

 

一方、トランザムで逃げ回るリボーンズガンダムは背面に意地でもしがみつく小春のガドランくんを振り落とそうと必死になるが、彼女も相当な根性を発揮していた。

そうこうしている内に梨沙の砲撃が何回か当たり、耐久値が減らされていく。

 

「神に傷はつけられないんじゃなかったっけ?どうやらネズミはそっちみたいね!」

『調子に乗るな小娘!真のイノベイターであるこの僕を追い詰めたと思うな!』

 

口では強気の姿勢を崩さないリボンズであったが明らかに劣勢になっているのは目に見えて取れた。

とはいえ、梨沙機も度重なるフィンファングの攻撃でリペアキットの残りはかなり少ない。

各部位のパーツも何回も吹き飛ばされるが、全身を武器庫にしたガンプラであるお陰で攻撃手段には困らなかった。

そこに、舞のステップシルエットが高速で近寄って来るや否や、大型ビームランチャーで援護射撃に入る。

 

『こ、こんな運命があってたまるか!』

「残念ながら現実です!トランザム、切らなくていいんですか!?」

『!?』

 

小春の言葉と共に、リボンズ機はトランザムの限界時間を迎えてしまう。

これで性能はしばらく悪化。

もう梨沙と舞の射撃を自由に避ける事もできなくなる。

 

『フィンファング!』

 

背に腹は代えられないと判断したのだろうか。

リボンズは梨沙のビビッドレパードに8基の小型GNフィンファングを全部突撃させ、何とか致命傷を負わせ爆発させる。

更に背中の大型ファングになる4基の「GNキャノン」を放出すると小春のガドランくんに集中砲火を与えて爆破。

しかし、至近距離にいたリボーンズガンダムもその爆発に巻き込まれ、姿が消える。

 

「……………。」

 

ステップシルエットを駆る舞の目の前で、リボーンズガンダムは再び姿を現した。

小春機の自爆に近いダメージを受けても耐久値は残っていたらしい。

 

『フ………フフフ………やはり、僕は神なんだよ!運命は………ッ!?』

 

しかし、掲げようとした両腕が無い。

よりにもよって………動力源の擬似太陽炉を肘に搭載した両腕が爆発で胴体から外れてしまっていた。

 

『こ、これでは動く事も………!?』

「みんなが作ってくれたチャンス………逃さない!」

『なッ!?』

 

棒立ち状態のリボーンズガンダムに向かって舞のステップシルエットがドッズランサーを突き付け、シールド・ブースター+強化型シールド・ブースターで爆発的な加速力を発揮して突撃する。

 

『落とせ!ファング!!』

 

GNキャノンとして機能していた4基のGNファングが一斉にビームを吹き舞機に襲い掛かる。

 

「失敗は成功の元………!今までの失敗は………ここで成功させる!」

 

まず、盾として構えていた機動防盾が左腕ごと吹き飛ぶ。

 

「確かに私達は強くないかもしれない………!」

 

次に、インパルスガンダムの頭部が吹き飛ぶ。

 

「でも、それでも………!」

 

更に、背中のシールド・ブースター+強化型シールド・ブースターも吹き飛ぶ。

それでもドッズランサーを突き出したステップシルエットガンダムは止まらない。

まるで弾丸のようにリボンズ機に突っ込んでいく。

 

「私達は………もっと大胆に!成長できるから!」

『人間風情が………!』

「たぁぁぁああああーーーッ!!」

『あのトカゲ風情がァァァッ!!』

 

深々とドッズランサーが突き刺さり、その勢いでのめり込んだ舞は、最後にリボーンズガンダムを蹴り飛ばす。

吹き飛んだ傲慢な救世主は、彼女の見据える先で爆発を起こした。

 

「はぁ………はぁ………巴ちゃんは?」

 

荒く息を吐く舞が振り返ると、それぞれ巴のアルケーとブシドーのスサノオが互いに居合を放って交錯した所だった。

傍目にはどちらが勝ったのか分からない。

 

「……………。」

『……………。』

「………やっぱり、おどれは強いのう………グラハム。」

『不本意ながら今はブシドーだ。………しかし、見事。』

「うちは………もっと強くならんといかん。それこそ、おどれに勝てるように。」

『ならば、また来るがいい。私は君を歓迎する。』

「ありがとうの。」

 

そう巴が感謝の言葉を述べると………アルケーもスサノオも爆発を起こした。

 

「相打ち………?」

 

舞が茫然とする中、ミッションコンプリートの文字が画面に浮かぶ。

桜舞隊は辛くも勝利を掴んだ。

 

 

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「お疲れ様です、巴ちゃん!いやー、流石ですね!相打ちだったとはいえ、あのアルケーガンダムとスサノオの両方を倒すんですから!」

 

シミュレーターが終了し、笑顔で覗き込んでくる安斎都の姿に、しかし巴は呆けた顔をしながら背もたれに身体を預けていた。

 

「巴ちゃん………?」

 

心配する都の言葉が耳に入っていないのか、巴はのろのろとシミュレーターから出ると、笑顔で会話をしている桜舞隊の4人の仲間を見る。

 

「お、巴!お疲れさん!凄いバトルだったぜ!オレも後半戦に参加すりゃ良かったなぁ………。」

 

満面の笑みで話しかけてくる晴を見た巴は、黙って梨沙、舞、小春といった桜舞隊の仲間達を見渡す。

明らかに妙な巴の姿に梨沙達は一転心配そうな顔を浮かべるが、彼女は深々と頭を下げ、一言………。

 

「すまん。」

「え?」

 

何と投げかけられたのは謝罪の言葉。

何事かと前に出ようとした都を………しかし引率役の片桐早苗が無言で制する。

巴は少しだけ顔を上げると、一気に言う。

 

「みんなに………迷惑を掛けてしまった………本当にすまん!」

「ま、待ちなさいよ!アンタらしくない!アタシがアンタとサーシェスとタイマンさせた事や、舞のフィールドリペアを禁じてた事を気にしてるの!?」

「だったら、大丈夫ですよ!バトル中も言いましたけれど、私達が勝手にやった事ですから!巴ちゃんが気にする事じゃありません!」

「そうじゃない………そうじゃないんじゃ………!」

 

巴はそう言うと、己の両手を握りしめ目をつぶる。

 

「うちが弱かったばかりに………うちが助けられなかったばかりに………みんなボロボロじゃ………。」

「ボロボロって………アンタね、一人で全員をカバーできるわけないでしょ!?」

「それに私達、バトルを楽しんでましたから!巴ちゃんが気にする事じゃありません!」

「そうそう!何よりコレ、巴が強くなる為の特訓なんだろ?だったら巴が今回のバトルで少しでも強くなれた事を祝えばいいじゃんか!」

「うちは強くない!!」

 

梨沙、舞、晴の言葉に巴は思わず叫んでしまう。

思わず怯んでしまう3人を見て、巴はまた俯いてしまう。

 

「………何を言っておるんじゃろうな、うちは。じゃが………。」

「巴ちゃん~。」

「………ん?」

 

混乱する巴に対し、小春がいつもののほほんとした表情で近づき、彼女の顔を見ると笑顔で………彼女を抱きしめ自分の左肩に顔を埋めさせた。

 

「小春………。」

「今の巴ちゃんには、こうする事が必要だと思って~。小春の肩は小さいですけれど、ヒョウ君を乗せるだけの大きさはありますよ~?」

 

顔に温かさを感じた巴は少し冷静さを取り戻し、少しだけ苦笑いを浮かべる。

 

「なんじゃ………。これじゃ、うちはみんなの前で泣きたいみたいじゃないか。」

「………泣いていいのよ、巴。」

 

巴の言葉に、梨沙が静かに言う。

彼女は片腕を脇に抱えながらも………何とか言葉を紡ぐ。

 

「アタシはパパに甘えられるけれど………アンタの性格じゃ、自分に厳しくて甘えようとしないでしょ?」

「梨沙………。」

 

隣にいた晴も片手で頭をかきながら言葉を発する。

 

「ジャパンカップの映像………オレ達も見てるぜ。あんな所で恥をかかされて、悔しくないヤツなんているわけがない。だから、その………。」

「晴………。」

 

悩む晴の言葉を、前で手を組んだ舞が引き継ぐ。

 

「私達も巴ちゃんの悔しさを一緒に背負いたいんです。仲間だから………。だから………今ここで、吐き出してください!」

「舞………。」

 

そして、最後に小春が………。

 

「ほら、ビーチャさんも言ってたじゃないですか~。「強がらずに自分の足下をしっかり見てりゃ相手の色んな物が見えてくる。そこに確かな勝ち筋があるのさ」って~。」

「それは今回とは関係ない気がするがのう………。」

 

天然気味の小春の言葉に少しだけ苦笑する巴。

桜舞隊の4人の気持ちを受けとった巴は、小春の肩に顔を付けたまま静かに呟く。

 

「柚達には内緒にしてくれ。勿論、悔しくないわけがない。………でも、それ以上にみんなに申し訳ないんじゃ。うちが無様に負けてしまったから、みんなに恥をかかせてしまった。」

 

巴は静かに小春を抱きしめる。

 

「それでも冷静に居られるのは、柚がうちの代わりに激高してくれてるからじゃ。柚には本当に感謝しておる。じゃが………。」

 

巴の指が小春に食い込む。

痛いだろうが、小春は顔色を変えず巴を抱きとめる。

 

「それでもうちがまだ弱いのには変わりはない。強くなりたい。強くならなければならん。みんなを安心させるためにも、今度こそ強い自分を見せたいんじゃ。傲慢でも、今度こそ仲間を守れる………村上巴の道を!」

 

巴は肩を震わせる。

小春に体重を預けてしまったが、それでも彼女は受け止めてくれた。

その優しさに今まで心の奥底に溜まっていた物が遂にあふれ出す。

 

「じゃから………!今度こそ柚や裕美、肇や比奈と同じ道を歩んでいく為にも………!今だけは………肩を貸してくれ、小春………ッ!」

 

それ以上は何も言えなかった。

只々静かに涙を流す巴を、桜舞隊の面々は誰も笑いはしない。

状況を理解できた都は帽子のつばを深く被り、引率として巴達と一緒にいた早苗はほんの少しだけ安堵の優しい笑みを浮かべる。

小春は巴の背をポンポンと叩きながら言う。

 

「巴ちゃん。また始めましょう、ここから。小春達も、みんなで巴ちゃんを……強くて優しい巴ちゃんの背中を押していきますから。」

 

巴はそのみんなの温かさを受け入れながら静かに頷いた。

 

 

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「うひゃー………巴、やっぱり強くなってるじゃねぇか!?」

 

数時間後、エクストラバトルを一通りやった後で、桜舞隊の各面々とタイマンをしていた巴は、たった今、彼女に敗北した晴のお手上げのような仕草に強気の笑顔で応える。

 

「少しじゃが吹っ切れたからかのう………?戦いの中で成長するというミスターガンプラの言葉があるが、何も成長は戦いの中に限った話じゃなさそうじゃ。」

 

次は誰が相手になる?と呼びかける彼女の姿に晴含め4人は苦笑。

 

「これじゃあ、アタシ達が巴の背中を押す前に巴に追い付かなきゃね………。」

「私達も、もっともっと努力しませんと!」

「小春とヒョウ君も頑張ります~!」

「ヒョウ君は……まあ、いっか。楽しく成長できりゃ。」

 

幼いながらも頼もしい仲間達。

そして、別のチームでそれぞれ己を鍛えている仲間達。

 

(見とれよ………!ウィル!)

 

巴は力強く握り拳を作りながら宿敵の姿を思い浮かべて心の中で言う。

 

(世界大会で出会う頃のうちや仲間達は、おどれの想像以上に強いぞ?時に笑って時に泣いて………そして成長したみんなの力で………全力でぶつかるからな!)

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