シューニス戦闘指揮所
『ギャオス変異体捕捉。MRF、第28歩兵師団はポイント6399まで前進せよ』
シューニス山中でイリスが発見され、アメリカ軍は後方支援部隊を除き、イリスが潜伏する山中まで部隊を移動させた。
一方、グラント博士、ウチキド博士、メグミは転院したティーラを連れ戻すべくニューヨークへ向かうこととなり、ニック達はフォスター大佐から彼らの護衛を命じられ、必要な物の準備を始めた。
「戦闘服は無しだ、全員私服で行くぞ。それと念の為ピストルも持ってく、軍の身分証と携帯許可書忘れるなよ」
ピリリリピリリリ
準備の指示をしていたニックのスマホに着信が入り電話を取った。
「もしもし」
『私よ』
「どうだった?」
『その娘は間違いなくニューヨークに居るわ。それと調べたら面白いことがわかった』
「面白いこと?」
『実は
「DHSが?怪獣関連の事件は災害に区分されているから、防災や災害対策を担当しているDHSが身元の紹介をしていてもおかしくはないが..…」
『えぇ、確かに組織的に調べ出したのは変異体の存在が確認されてからよ。でも3年くらい前からDHSがシューニスで色々と探りを入れて居たみたい』
「じゃあ、DHSはシューニスにギャオスが居ることを知って居たってことか?でもそれならホワイトハウスや国防総省にも情報が行っているはずだ」
『それなんだけどね、どうやらDHSってよりも、そこの職員が勝手に権限を行使しているようなの』
「いったい誰が?」
『それもわかっているわ……名前はサラ・ミカエル。ティーラを転院させたのも彼女よ。確かグラント博士達もそこに居るのよね?彼女も先日ニューヨークで開かれた巨大生物対策会議にも出席してたから、もしかしたら会ってるかもしれないわ』
「わかった。あ、後ロイの弁護士の件なんだけど」
『了解。人格者の凄腕弁護士を紹介するわ』
「ありがとう、姉御」
ニックは電話を切るとロイと居るメグミ達の下に向かった。
「グラント博士、ウチキド博士。DHSのサラ・ミカエルをご存知ですか?」
「えぇ、この前ニューヨークでの会議で会ったわ。彼女がどうかしたの?」
「どうやらシューニスにギャオスが居ることを知っていたようなんです。それもDHSに報告しないで、単独で動いてたようなんです。更にティーラを転院させたのも彼女です」
「……あの女、いったい何考えているんだ?」
「あの……」
ロイの面倒を見ていたメグミが、ニック達に話かけて来た。
「実はあの子が教えてくれたんです。ティーラはガメラを憎んでいるって」
シューニス山中
「止まれ!」
シューニス山中ではMRFのAユニットが偵察隊として派遣され、武装した歩兵がイリスを目視出来る距離まで接近し、Aユニットは山中で眠っているイリスを捕捉した。
「こちら先遣、目標を捕捉」
戦闘指揮所
山中の別の場所に設置された戦闘指揮所には軍の本隊が集結し、フォスター大佐はAユニットの指揮を執っていた。
「了解、別命あるまでそのまま監視を続行せよ」
『了解。交信終わり』
「爆撃機は?」
「爆撃機の到着は予定通りです」
「わかった」
フォスター大佐はイリスに空撃作戦を経てたが、部下から到着が予定通りと報告を受けた。
ニューヨーク州 マンハッタン
グランドセントラル駅
ニック達はシューニスから列車でニューヨークに向かい、ニューヨークの3大駅の1つであるグランドセントラル駅に到着した。
「転院先の住所は?」
「えーっと」
「私がご案内しましょう」
カプランがティーラの転院先を調べようとした矢先に1人の男が声を掛けた。
「アラン・グラント博士、それにあなたはニック・モートン少佐ですね。初めまして、ディーバー・ウィンドウです」
ニック達を呼び止めたのは、以前ニックにソフトを郵送したウィンドウだった。
「嗚呼、あのソフトを送った。お前ミカエルと組んでたのか」
「えぇ」
「ティーラは?無事なの?」
「えぇ」
「案内して貰えるか?」
「その前にお茶でもどうですか?なかなか良いカフェがあるんですよ」
カチャ
話をはぐらかそうとするウィンドウにニックが近付き、何かを彼の腹に押し当てた。
「さっさと案内しろ」
「せっかちな方ですね」
「回りくどいのは好きじゃないんだ」
「わかりました。とりあえず、それを収めてもらえますか?」
ウィンドウが顔を下に向けた為、メグミとレインも下を見るとニックがウィンドウの腹部にSIG M18拳銃を突き付けていた。
ペンシルベニア州 シューニス
Aユニットは息を潜め、森に溶け込むよう隠れながらイリスの動向を監視し続けた。
ウウウ
イリスの目が光だし、活動を再開した。
「戦闘指揮所へ報告、目標活動を開始」
「こちら先遣小隊。目標活動を開始」
Aユニット隊長のソラーノ中尉は通信兵に本隊へ報告するよう命令し、通信兵はイリスが動き出したことを指揮所へ報告した。
「射撃用意!」
「射撃用意!」「射撃用意!」
カチャカチャカチャカチャカチャ
兵士達はMk17ライフル、M240機関銃、M3E1無反動砲、ジャベリン対戦車ミサイルをイリスに向けた。
「先遣小隊、詳細を報告せよ」
ダダダダダ!!
「「「「「「!?」」」」」」
フォスター大佐が先遣小隊に詳細な報告を入れさせようとした直後、山中から銃声が響いて来た。
「先遣!どうした!?」
ニューヨーク州 マンハッタン
ニューヨークではウィンドウがニック達をティーラの下に案内している途中だった。
「なぁ、あんたわざと俺達がここに来るようにしただろ?」
「なぜです?」
「ミカエルは現職のDHS、その前にはFBIにも居たとの情報もある。2人の接点はそこからだろう。FBIにDHS、政府直轄組織の人間が書類に転院先をバカ正直に書くなんてヘマをするとは思えない。と言う事は、あれはわざと行き先を書いたんだ。そして、俺達が来た時にあんたは俺達が来るのを予期したいたかのように現れた。先日俺に送られたソフトも考えると、お前がそうしたと考えるのが妥当かなと」
ニックは今までの経緯からウィンドが彼らをニューヨークに来るよう仕向けたのではないかと推測した。
「さすがですモートン少佐、私の目に狂いはなかった。実は私はあなた方と以前からお話がしたかったんです。ガメラと関わった者達として。ガメラとギャオスの誕生した経緯、これに対して私なりの仮説を立てたんです。聞いてくれますか?」
「良いだろう」
グラント博士から仮説を話す許可を貰い、ウィンドウ仮説を展開しだした。
「まず、ギャオスが誕生した経緯から。ギャオスは人類の天敵と想像されたらどうです?増えすぎた人口を調整し、腐敗した文明をリセットする」
「誰がそんな事を」
「私と同じ考えを持った超古代文明の人間でしょう」
「なら、ガメラはそんな傲慢な考えを打ち砕く為に造られたんだわ」
「……成る程、確かにそれも正しい」
ウィンドウは彼に反発するように言ったウチキド博士の意見も肯定した。
「そんな事する必要もないと思うが」
「どういう事ですか?モートン少佐」
「これも仮説だが、地球を一体の生命体と仮定する。生命体は自分の体内に抗原を持ってる」
「つまり、あなたは人類が態々ギャオスを造らなくても、地球が勝手にそのような文明を亡ぼすと?」
「既にここ5年で出現し続ける怪獣達。日本近海に出現したジグラ。ペルーに上陸したジャイガ。パプアニューギニアのバルゴン。中国で発生した巨大ネズミ、ネズラの大群」
「あなたはそれを地球自身の免疫作用だと言うのですね?」
「人間は生態系の頂点と言うぬるま湯に浸かり過ぎた。そろそろ天敵が出て来てもおかしくないだろ?」
「確かに、なかなか面白い仮説を立てますね」
「………あなたにとってガメラは何なんですか?」
メグミもウィンドウにとってガメラはどのような存在なのか聞いた。
「ガメラは器だ。海の底で見つかったガメラの墓場、聞いてますよね?あそこはガメラに成れなかった器の廃棄場所。古代人達はプロトタイプ幾つか造り、それを器にマナを集めガメラを生み出した。だからガメラは人間よりも地球の意識を優先する。私より君の方が詳しいんじゃないかな?」
「………ガメラは自分から人間との関係を断ち切ったんだと思います」
「ふむ、勾玉が壊れた時だね?しかし、先のロンドンではガメラが身を挺して子供を守ったとの報告もある。ガメラはまだ人間との関係を断ち切れずに居る。それがガメラの最大の弱みだ」