イギリス
イングランド ロンドン
ジブチで回収されたギャオスの死骸はアメリカ軍によってモナークの研究所があるロンドンへ空輸する事となり、それに同行して来たウチキド博士とニューギニアから帰国したニックとグラント博士もロンドンに居た。
「博士達は?しばらくはロンドンに?」
「いや、ニューヨークの会議に出席するよう言われててね」
「巨大生物対策協議会ですか?」
「あぁ。ギャオスについて判明した点がいくつかあってな、その共有をしおうと言う訳だ」
「ギャオスか………7年前は、あんな事に遭うとは夢にも思いませんでしたよ」
「確かにね、あの時の部隊の皆は元気?」
「あの島から帰還した後はみんなバラバラになりました。俺とチェキータは軍に残りましたが、それ以外の3人は除隊しました」
「連絡は取り合ってるのか?」
「えぇ、チェキータとはたまに会うことがありますし、スリフコは実家の整備工を継いで、レニスは地元の警官になったそうです」
「ミルズは?彼も除隊したんだろ?」
「えぇ、除隊した所までは聞いてるですが、それ以降は音信不通で」
「そうか…………ところでメグミは元気か?」
グラント博士は無理に聞き出すことはないと考え、話を変えた。
「えぇ元気です」
「今はシドニーの南大平洋支局だったか?」
「はい、たまに帰っては来るんですが、ただ……その……」
「「?」」
「………完全に自分を指揮下に置ています」
「あなた、少佐よね?」
「俺は少佐でも、あっちは大将ですから……」
「「そう……」」
「…………?」
グラント博士達と話していたニックは突然その場に止まった。
彼の視線の先には路上で露店を開いている黒人のホームレスが居た。
そしてニックはそのホームレスに見覚えがあった。
「………ミルズ?…………お前、ミルズか!」
そのホームレスは、7年前に壊滅したブラックタイガーの生き残りの1人で、先程の話に出てきたミルズだった。
「ひ、人違いじゃないか?俺はミルズじゃない……」
「………すみません、知り合いに似てたもので」
「そうか…………買わないなら、帰ってもらえるか?」
「………これ1冊」
「………5ポンド」
「はい」
「どうも」
ニックは雑誌を1冊購入し、グラント博士、ウチキド博士、ニックは何も聞かずにその場を去った。
「……………悪い………ニック」
ゴォーーーー!!!
ミルズの謝罪は上空を飛行した戦闘機の轟音で書き消された。
アメリカ合衆国
コロラド州 コロラドスプリングス
ピーターソン空軍基地
『ネガティブコンタクト。国籍不明機を見失った』
「レーダーアウト、国籍不明機レーダーから消失」
「了解。帰投せよ」
メリーランド州
チェサピーク湾上空
「了解。帰投する、アウト…………これで何件目だ?」
ゴォーーーー!!!
チェサピーク湾の上空を飛行していた2機のアメリカ空軍所属のF-22は、NORADの命令通り所属基地に帰投する進路を取った。
ペンシルベニア州 シューニス
シューニスでは、ティーラの弟ロイはカメラで走行する貨物列車を撮影していた。
「おい」
「?」
そこにロイに声をかけた3人組の女子高校が来た。
「お前、シスコから来た奴の弟なんだろ?」
彼女達はミリア、キャロル、カラと言う名前で、ティーラと同じ高校に通って居るのだが、あまり周りと打ち解けないティーラを疎ましく思っており、何かと理由を着けては彼女を虐めており、帰り際に偶然見つけたロイにもその矛先を向けようとしていた。
「おい、お前達何してるんだ?」
そこにティーラと同じ高校に通ってるケビンが声をかけた。
ケビンは何かと周りから目の敵にされているティーラ達を心配して度々声をかけており、たまたまミリア達がロイに手を出そうとしているのを見付けて声を掛けた。
「別に?ね?」
「………うん……何でもないよ」
カラはロイに無言の圧力で下手な事を言わせないようにし、怯えたロイは彼女らの言いなりになってしまった。
「ほら、本人もこう言ってるだろ?」
ミリア達の言い分にケビンは何も言えなくなってしまった。
キィ
「おーい、どうした?」
そこに1台のパトカー停車し、降りて来て声をかけたのは、保安官ロジャースだった。
「げ!保安官だ!」
ミリア達はロジャースに気付くと慌てて逃げ出した。
サラ達は過去に何度か問題を起こしており、その度に保安官事務所の世話になっており、今回もロジャースを見付けて咄嗟に逃げたのだった。
「あいつら、また何かやらかす気だったな………大丈夫か?確か君はロイだったか?」
「え?何で名前知ってるの?」
「保安官だからな、この街のことは何でも知ってるんだ」
「ロイ!」
ロイ達の元にティーラが駆け付けた。
「行くよ」
サラはロイの手を取ってその場を去ろうとした。
「サラ、何か困ってることとな無いか?あったら」
「無いです。あってもあなたには関係ありません」
ロジャースは何かと孤立しているティーラのことを心配して聞いたが、ティーラは突き放すように答えた。
「おい、お前そんな言い方しなくても」
「あんたも何なの?これは私達の問題なの、口を挟まないで。ロイ行くよ」
ティーラはケビンにまで冷たくあたると、ロイを連れてその場を去って行った。
イギリス
イングランド サフォーク
ミルデンホール空軍基地
ロンドンからサフォークの在欧アメリカ空軍基地でGユニットの拠点でもあるミルデンホール空軍基地内の自宅に帰宅したニックはリビングのソファーに座り、ポストに貯まった郵便物の仕分けを始めた。
「これは俺………こっちはメグミ宛て、後でシドニーに送っとかないと………?」
ニックは仕分けた郵便物の中にどちら宛てでもない封筒があったのを見つけた。
パサッ
ニックは封筒を開け、中身を取り出した。
中身は1枚のCDディスクであり、ニックはPCに入れて起動させてみた。
「………?」
しかし、パソコンの画面には読み取り不可と表示され、封筒の差出人を見た。
「ディーバー・ウィンドウ………」