三国志と劉備が好きな俺が三国時代に転生したけど、なぜか袁紹だったので、とりあえず袁家滅亡を防ぐために頑張ってみることにした件   作:ひいちゃ

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第拾伍話「向こうも終わってないのですがどうしましょう?」

 上党を攻略した俺たち袁紹軍は、再編成の後、残ったチョウエン軍の拠点・晋陽へと出陣した。今頃はケイからも、晋陽を挟み撃ちにするべく、関羽たちも出陣しているはずである。

 

 二方向から、しかも向こうより勝る兵力での攻撃。多少苦戦はするが、攻略はさほどの支障なくできるだろう。そう思っていたことが俺にもありました。

 

 そう。

 

「何事も、計画通りということはありません。状況はその時によって変わっていくものです」

 

 かつて郭嘉先生が言っていたこの言葉を、俺は改めて実感することになったのだった。

 

* * * * *

 

 晋陽にやってきた俺たち。しかし。

 

「あれ? こちら側の兵力はそれほどないんじゃないか?」

 

 そういぶかしげにつぶやく俺に、郭嘉も首をひねる。いやいや郭嘉、首をひねるって回すってことじゃないから! 妖怪かお前は!

 

「そうですな。私もこれは予想外でした。するとこれはもしや……」

 

 そこに駆け付ける密偵。

 

「袁紹様、ご報告いたします! 数刻前に、関羽様、劉ヨウ様の隊が、この晋陽から発したチョウエン軍と激突! 激戦となっており、すでに両隊ともかなりの被害を受けているようです!」

「な」

 

 なんですとーーーーー!?

 

「ふむ……。どうやら敵は、城に到着する時間に時差ができたことを察し、それぞれを各個撃破するべく、まずは関羽隊、劉ヨウ隊に戦力の大半を差し向けたようですな。敵も馬鹿ではないということですか」

 

 納得したようにうなずく郭嘉先生。いやいや、納得してうなずいている場合じゃないだろこれ!

 

「ど、どうするよ? まるっきり予定とは違ってるんだが、というかこのままだと関羽たちがやばいんじゃねーか!?」

 

 俺が慌てて、そう郭嘉に聞くが、郭嘉先生は含み笑いを浮かべただけだった。もしかしたら、これも想定内というんじゃありませんよね?

 

「さすがの私でも、全てを見通すわけではありません。これはさすがに想定外でした。ですが、戦況は変わるもの。それに柔軟に対処して最善手を打つのが一流の軍師というものです」

「そ、そうなのか……」

 

 思わず感心してしまう……が、さりげに俺が「これも想定内というんじゃないのか?」と思っていたことも見抜かれているのですが。

 

「貧乏くじを引かせてしまった関羽殿たちには申し訳ありませんが、こちらとしてはこれは好機。関羽隊と劉ヨウ隊が持ちこたえているうちに、手薄になっている城を攻略するとしましょう」

「そうだな。関羽たちがやばくなる前に攻略しなくては。よろしく頼むぞ、顔良」

「お任せください」

 

* * * * *

 

「くっ、まさかチョウエンがこんなに強いとは!」

 

 チョウエンの振るう槍を必死に受け流しながら、劉ヨウはそう吐き捨てた。そう。彼は今、チョウエンとの一騎打ちの場にいたのだった。

 劉ヨウも決して武に自信がないわけではなかったが、チョウエンの実力はそれを上回っていた。劉ヨウが1発攻撃する間に、チョウエンは4発も攻撃してくるのだ。しかも、その攻撃はどれも威力も技も上回っていて、劉ヨウが今まで無事なのは、防戦に徹していたからにすぎず、しかも4発のうち、1発をなんとかさばければいいほうで、ほとんどの攻撃は、急所に当てるのを防ぐのが精いっぱいというありさまだった。

 

「くくく、若造。戦いとはこのようにするものだ!!」

 

 そして、チョウエン必殺の一撃が、劉ヨウを槍ごと馬から叩き落した! 地に伏した彼に、チョウエンが槍を突き付ける。

 

「袁紹軍の将、劉ヨウ。このチョウエンが捕縛した!!」

 

 その叫びに、チョウエン軍は猛り、劉ヨウ隊の士気は下がった。当然、それを見逃すチョウエンではない。

 

「今だ、浮足立っている劉ヨウ軍を蹂躙しろ!」

 

 劉ヨウ隊にチョウエン隊が正面から怒涛のように襲い掛かり、隊の陣を崩していく。紙のように劉ヨウ隊が崩れていく様子は、関羽と張飛の目にも映っていた。

 

「これはまずいな。下手したらやられるのはこちらになりかねないぞ」

「そうだな。それじゃ、そうならないために暴れるとするKA!」

「よし、全軍、突撃!!」

 

 そして関羽の号令一下、関羽隊はチョウエン隊の横腹に突撃した! それによりチョウエン隊はわずかに崩れ、劉ヨウ隊への圧力は弱まり、劉ヨウ隊は完全なる瓦解を免れ、なんとか陣を立て直す時間を与えられた。

 

* * * * *

 

 一方、晋陽の南の顔良隊。関羽、劉ヨウ両隊の奮戦の様子は、攻略の指揮をとっている彼のもとにも届いていた。

 

「……とのことです。劉ヨウ隊は壊滅は免れたものの、それでもかなりの被害を受けた模様」

「そうか。引き続き、状況を偵察せよ」

「はっ!」

 

 そして偵察兵が立ち去ったところで、顔良は副将の辛評のほうを向いて感心したように言った。

 

「これは驚いたな。チョウエンはあくまで一地方を統治するだけの取るに足らぬ群雄だと思っていたのだが、敬愛に値する猛将ではないか。できれば死なせたくないものだな」

「それは思いますが、捕らえたところで袁紹様に仕えるかどうかはわかりますまい。そもそも、それだけの猛将、討ち取らずに捕縛できるかどうかも怪しいものです」

「確かにそうだな。さて、感心してばかりもいられぬ。関羽隊がやられる前に城を攻略してしまわなくてはな。地獄から関羽の奴に文句を言われるのは御免こうむりたい。門の突破を急げと各隊に伝えろ」

「了解しました」

 

 その顔良の指示を受け、顔良隊は、袁紹の本隊の援護を受けつつ、城にさらに猛攻撃を加えるのだった。

 

* * * * *

 

 劉ヨウを一騎打ちで下し、彼の隊に大打撃を与えたチョウエンだったが、今度は彼が歯噛みする番となった。

 

「おのれ……早くこいつらを撃破して、城にとって返さねばならぬというのに……!」

 

 劉ヨウ隊に勝利したチョウエン隊だったが、今度は横から突撃を仕掛けてきた関羽隊と乱戦を演じていた。しかも、その態勢もあり、戦況はわずかながら関羽隊に有利である。

 だが、関羽隊にかまってばかりもいられない。チョウエンの元へは、城から救援を求める伝令が何人も到着しているのだ。早く、関羽隊を退かせ、城に戻らなければならない。ならないのに。

 

 そこへ。

 

「オラオラーー!! チョウエンとやらはどこDAAAA!! この張飛様がぶっ飛ばしてやるZEEEEE!!」

 

 彼の元へ、ひげ面の粗暴そうな男が馬に乗って突進してくる。その男は言うまでもなく、張飛である。

 

「ふざけおって! チョウエンここにあり! お前を地獄に叩き落す者ぞ!!」

 

 かくして、チョウエンと張飛の一騎打ちが始まった。その戦いを見守る周囲の兵たち。

 だが、今度は立場が逆になった。槍の技は両者とも互角。だが、腕力は張飛のほうが圧倒的に上である。その腕力による一撃は、チョウエンをして耐えるのが精いっぱいだったのである。

 

 だがそれでもやがて限界は来る。

 

「なかなか粘るじゃねぇか。気に入ったZE!」

「くっ……この化け物め……!」

「だが、早くこの戦い、片づけなくてはならないんでNA。これで終わりにさせてもらうZEEEEE!!」

 

 そして大きく槍を振りかぶり、そして振り下ろす!!

 

 その一撃で、チョウエンは、先ほど彼が叩き落した劉ヨウのように馬から叩き落され、しりもちをつく形で地に落とされた。その彼に、張飛が槍の穂先を突き付ける。

 

「敵将チョウエン、この張飛が生け捕ったりぃぃぃぃぃ!!」

 

* * * * *

 

 かくして、激戦の末に晋陽は陥落し、チョウエン軍は滅亡した。

 

 チョウエンが捕らわれたのとほぼ同時に、晋陽の城門も破られ、それを受けてチョウエン軍の士気も尽きて、降伏を受け入れたのだ。

 

 かくして、華北は完全に俺、いや俺たちの手中に収まった。それはいいのだが……。

 

「まだ連合解散まで8カ月もあるんだが。どうするよこれ?」

 

 




次回からは、ちょっと方針転換して、少しの間、大陸東部戦線を指揮する張コウたちのほうにスポットを当てていく予定です。

どうぞお楽しみに!
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