三国志と劉備が好きな俺が三国時代に転生したけど、なぜか袁紹だったので、とりあえず袁家滅亡を防ぐために頑張ってみることにした件   作:ひいちゃ

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第参話『郭嘉が来た!』

【郭嘉】

郭嘉、字は奉孝。曹操に仕えた軍師。

沢山の名士を輩出した頴川出身。

 

曹操から絶大な信頼を置かれ、「郭嘉のみがわしの真意を理解している」とまで言わしめるほど。

また軍略に優れているだけではなく、孫策が刺客に打ち取られることや、袁紹死後の袁家の壮大な兄弟喧嘩を予見するなど、先見の明があった。

 

某Wikiより抜粋

 

 ……いや、文字数埋めではない。郭嘉を発掘してきた、というので、一瞬現実逃避していた。

 

「袁紹様、いかがなされましたかな?」

「いや、なんでもない。ちょっとびっくりしただけだ。それでは董昭、さっそく郭嘉とやらを連れてきてくれるか?」

「かしこまりました」

 

 しかし、まさか郭嘉を見つけてくるとはなぁ……。お兄さん、びっくりだよ。董昭ってもしやすごい奴なんじゃなかろうか。

 孔明先生や司馬慰ほどではないけど、郭嘉もかなりの才能を持つ軍師だからなぁ。もしかしたら彼なら、袁家の衰亡もなんとか回避できるかもしれない。問題はその寿命だが。(史実では郭嘉は38で死んでいる)

 まぁ、寿命を気にしなきゃいけないのは俺も同じなんだけどな。史実では俺、というか袁紹はあと12年後に亡くなってしまうし。前世はあんな事故死を迎えたから、今世では全うに長生きしたいものだが。

 

 さて、そんなことを考えているうちに、郭嘉が董昭に連れられて、俺の執務室までやってきた。その彼を見た第一印象。

 

 ……オーベルシュ〇イン?

 

 いや、冗談じゃなく本当なんだって。彼よりはマシだが、やはり彼の雰囲気が冷徹な策士と強く主張しているような気がする。勝つためには、正論から外れない限り、どんなことでもするだろう、という匂いがプンプンするぞ。

 

 ……袁家のために排除されないことを切に祈ろう。

 

 さて、そんな郭嘉は俺を見るなり驚いた顔をしていた。

 

「どうしたのかな? 郭嘉さん」

「いえ。袁家の御曹司というので身構えておりましたが、それほど威厳を感じなかったので驚きました」

「……それは、褒められていると思っていいのかな、けなされていると思っていいのかな?」

 

 本気で、プラスにとっていいのか、マイナスにとっていいのか、本当に迷うところなんだが。

 すると、郭嘉は意外なことを言った。

 

「実は私は風評で聞いた限りでは、曹操殿には十の勝因があり、袁紹様には十の敗因があるので、袁紹様では曹操殿に勝てない、と思っていたのですが、なかなかどうして。袁紹様には、確かに曹操殿にはいまだ及びませんが、その十でも負けていないとお見受けしました。この分では、やりようによっては、袁紹様が覇王となるのも不可能ではないかと」

 

 これは驚いた! 郭嘉が俺のことをそう評価してくれるとは。

 史実では、彼は曹操に仕えることになった時、先ほどの言葉の前半部分のことを言ったという。ちなみにこの『十』というのは、『道・義・治・度・謀・徳・仁・明・文・武』のことだ。

 つまり簡単に言えば、『袁紹は道やしきたりに縛られているが、曹操はそういうのに縛られず自然体でいるから、その分強い』ということだ。

 だが今彼は、俺も曹操ほどではないが、そういう厄介なものに縛られていないから、彼に勝つ目はある、と言ってくれたのだ。まぁ、俺は元は現代人だから縛られず自然体なのは当然なのだが。

 でも、俺は元は普通のサラリーマンだったんだ。そんな俺が郭嘉に良い評価をもらえるなんて思わなかったから、素直に嬉しい。

 

「それは、俺は、あんたの主人として合格だと思っていいのかな?」

「十の点については、合格と思っていただければ。未だ他の群雄に劣っている部分もあるかもしれませんが、そこは私や臣下が補えば十分挽回できる範囲だと思います。ですが、私のような、無頼の者を使ってもよろしいので?」

 

 郭嘉はわずかに顔に心配そうな表情を浮かべて聞いてくるが、それは余計な心配というものだ。

 

「よろしくないわけがないだろう。あんたみたいなすごい人が傍にいてくれたらすごい安心できるし助かる。何より、俺のことを他意なくほめてくれる奴を嫌うわけがないだろう? 何より俺は今、あんたという人物に会えたこと、そしてそのあんたを仲間にできるかもしれないことが嬉しいんだ」

 

 これは俺の素直な気持ちだ。現代に生きてきた俺にとって、身分がどうとかいうのはナンセンスだ。素直に有能な部下がほしいし、俺をほめてくれる奴には好意を抱く。(誉める裏で俺を利用しようとする奴はのぞく)

 何より、三国志好きな俺にとって、郭嘉のような有名人と出会えたのは本当に嬉しいというか嬉しすぎる。誰も見ていなければ、この玉座から飛び上がって喜びたいところだ。……もっとも、孔明先生に会えたら本当にうれしさのあまり昇天しそうだが。

 

 俺の答えを聞いた郭嘉は驚いた顔を浮かべ、そして丁重に頭を下げた。

 ……俺は素直な気持ちを言ったんだが、何か彼の琴線に触れたんだろうか?

 

「十分すぎる答えをいただきました。あなたこそ、私の真の主君です。あなたの覇業のために私の全てを使いましょう。どのような手を使っても、あなたを中原の覇者にしてごらんにいれます」

「お、おう……」

 

 これが、我が袁紹軍に有能な軍師が参入した瞬間だった。

 

 ……『どのような手を使っても』というのが引っかかるけどな。

 

* * * * *

 

 さて、それから9カ月後。領内の開発がひと段落ついて態勢が整ってきたこともあり、いよいよ動き出すべく我が軍の方針を決める軍議をすることになったのだが、そこでひと悶着が起こることになった。

 

「曹操殿はすぐ近くに董卓軍があるので、問題なく領土を広げることができます。何もせずにいけば、曹操殿と我が軍との差は開くことになりましょう。ここは我らも、他の群雄の領土を奪うべきと考えます」

 

 郭嘉はそういうのだが、それに反論する将が一人。我が軍の武官筆頭の顔良だ。俺は心の中で『袁紹軍のミッター○イヤー』と呼んでいる。

 

「それは受け入れられぬな。東の公孫サンも西の韓フクも、皆、殿が盟主をしておられる反董卓連合に加盟している。そのいわば同胞を撃てば、董卓を討つという大義が泥の海に沈むことになるだろう」

 

 その顔良の言葉に、『我が軍のビッ○ンフェルト』(俺命名)こと文醜もうなずく。顔良と並んで、我が軍の軍事の中心を担う猛将だ。その性格は粗にして野だが卑にあらずを地で行くような感じである。

 

「顔良殿の言う通りだ。確かに俺は戦いは好きだが、共に戦う、いわば仲間を討つのは気が進まん」

 

 そこに、田豊が案を出してくれた。

 

「それでは北の劉虞に矛を向けるのはいかがでしょう? 確か劉虞は連合には加盟していなかったはずですが」

 

 その案に、郭嘉もうなずく。

 

「確かにそれはいいかもしれませんな。劉虞は現状、それほど戦力は大きくない様子。今の我が軍でも楽に攻略できましょう。両将はいかがお考えですかな?」

 

 郭嘉が顔良と文醜に意見を求めると、二人ともそれに対してうなずいた。

 

「うむ、それならよい。加盟していない奴を討つのなら義に反しないからな」

「俺も同じ意見だ。俺の餌食とするには物足りないがな! がははは!!」

 

 だが俺は……。

 

「いや、俺はその意見は気が進まないな」

「なぜです?」

「いや、実は……」

 

* * * * *

 

 郭嘉を迎え入れた我が軍は劉虞の治めるケイの城へと兵を向けた。

 当然奴らは抵抗してきたが、顔良と文醜の両将の力と、郭嘉の知略のおかげもあって、敵はあっという間に瓦解。さしたる苦労もなく、劉虞を滅ぼし、ギョウを手に入れることができた。

 

 だが……。

 

 ギョウの城の執務室に、突然、田豊がなだれ込んできた!

 

「ど、どうしたんだ田豊!?」

「た、大変でございます! この攻略戦が異民族・烏丸を刺激したらしく、奴らの軍勢が多勢来襲してまいりました! あれをご覧ください!」

 

 彼に促されて外を見ると、そこには軍勢、軍勢、また軍勢!!

 

「ああああ! 烏丸が、次から次へと烏丸がああああああ!!」

 

* * * * *

 

「……という夢を見たんだ」

 

 俺がそう言うと、田豊は呆れた顔を浮かべた。自分でも馬鹿な事を言ってるって自覚はある。だからそんな顔をしないでくれ……。

 

「袁紹様……。そんな夢に惑わされるなど……大丈夫ですか? なんなら侍医をお呼びしますが……」

「いや、病とかそういうことはないから」

 

 しかし、郭嘉はその俺の言葉にうなずいた。

 

「しかし、夢だとバカにするわけにもいきませんな。烏丸は血の気が多い連中。彼らとの友好がほとんどない現状、ケイを落とすのは、奴らの餌になりに行くも同然、やはりここは公孫サンか韓フクを討つほうが……」

「それは認められぬ! 義を反することをして、何が覇業だ! いかに方法は問わない、と言っても、限度があろう!」

「そうだそうだ! というか、少しは方法を選びやがれ!」

 

 かくして、再び議論は、俺の夢の話をきっかけにして再び振り出しに戻った。

 論を戦わせる臣下たちを、俺は「ああ、これが小田原評定なんだなぁ」と、遠い目で見ていた。

 

 と、そこで、郭嘉が俺の方を見てきた。

 

「袁紹様はいかがお考えでしょうか?」

「俺か? そうだなぁ……。やはり、同じ連合の、いわば盟友を討つのは気が進まないな……」

「そうですか……む?」

 

 ん、なにか変なことを言ったか?

 

「それなら、連合に入っていない奴ら、ならいいのですな?」

「ああ、ただし、現状では劉虞は除外な」

「はい。なら、連合に加入している群雄の誰かから独立した奴なら、討っても大丈夫ですな?」

「あ、あぁ」

 

 俺がそう答えると、郭嘉は何か得心した顔をして、立ち上がり、皆に一礼した。

 

「私に妙案が浮かびました。近いうちに、袁紹様は城を一つ手に入れることができましょう。早速そのための仕込みをしてまいりますので、これにて」

 

 そして彼は議場を立ち去り、軍議はこれで閉会となった。

 

 しかし、彼は一体、何をする気なんだ……?

 

* * * * *

 

 その答えが出るのに、あまり時間はかからなかった。

 その3日後、田豊がこんな報告をもってきたのだ!

 

「袁紹様、一大事でございます! 公孫サンの治めている北平において、公孫越が謀反! 独立を果たした、とのことです!」

「な」

 

 なんですとーーーーーーーーー!?

 




さぁ、果たして郭嘉は何をやらかしたのか?

そして次回はいよいよ、袁紹軍の初陣ですぞ!

こうご期待……していただけると幸い。

とりあえず今日は

『我一生只ベイ妻子(わしは一生、妻しか信じない)』

この言葉を覚えて帰ってくださいww
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