三国志と劉備が好きな俺が三国時代に転生したけど、なぜか袁紹だったので、とりあえず袁家滅亡を防ぐために頑張ってみることにした件   作:ひいちゃ

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第伍話『好事魔多し? 忘れてた!』

 さて、袁紹軍が公孫越を撃破し、北平を手に入れたそのころ。

 袁紹が連合軍結成に際して話した言葉が、大きな動きを生み出していた!

 

 場所は、洛陽の東、虎牢関。難攻不落と謳われたこの要衝の前で、曹操軍と董卓軍の決戦が行われていた!

 兵力は董卓軍が大きく上回り、しかも董卓軍にはかの猛将・呂布もいる。誰もが曹操軍の敗北と、反董卓連合の瓦解を信じて疑わなかった。だが!

 

「進め進め! 袁紹殿の言葉を忘れるな! 我らは、漢を救う選ばれた者ぞ! 天も我らの味方だ! 敵は大軍とて恐れるな! 董卓を討てば、漢朝を救いし英雄の名は我らのものぞ! 進めぇ!!」

 

 曹操が声を張り上げて兵を鼓舞する。その声に勇気づけられ、彼の部下や兵たちが突撃し、奮戦する。

 その一方で。

 

「董卓様、第一陣が押されています。このままでは、瓦解するのも目前かと!」

「うぬぬ……。呂布はどうした! まだ動かぬのか!?」

「はい。何度も使者を送っているのですが……」

 

 兵力と将の両方で勝っているはずなのに、その曹操軍を崩せず、逆に劣勢に陥りつつあることに歯噛みする董卓。

 

 そう、虎牢関の戦いは、劣勢であるはずの曹操軍が、董卓軍を追い込む、という意外な展開になっていたのである。

 

 その理由は二つある。

 

 一つは、連合結成時に袁紹が述べたあの演説。それが連合軍の諸侯、そしてその将兵に大きな勇気を与えたということ。『漢朝を救う英雄』、この言葉は、連合軍の将兵たちに大きな影響を与えていたのである。

 そしてそれは、董卓軍の将兵たちにも大きな動揺を与えていた。自分たち董卓軍には大義名分は一切なく、むしろ正義はあちらにあることを改めて突きつけられたからである。戦意の差は歴然であろう。

 ……テンパッていた袁紹にその自覚はなかっただろうが。

 

 そしてもう一つは、この戦いの直前に、天下無双の豪傑・呂布と、その主である董卓との間に不和が発生していたということだ。きっかけは、董卓からの使いが、主の権勢を盾に、呂布に無礼な態度をとったからだという。

 だがそれが呂布に、主への不満と疑心暗鬼を生むことになった。彼は洛陽に引き返し、出陣を促す使者にもだんまりを決め込み、指揮下の隊ごと城に引きこもってしまったのだ。

 これにより、董卓軍は、最大戦力抜きで決戦に挑まざるを得なくなったのである。

 

 そしてついに……。

 

「よし、第一陣を突破したぞ! 目指すは董卓めの本陣だ。我に続けぇ!!」

 

 その勢いのままに、董卓軍の第一陣を突破した曹操軍の猛将・夏侯惇は、そういうと槍を振り上げ、部下たちとともにさらに突撃を続行した。

 董卓軍の第二陣は、元々戦意が低かったことにくわえ、夏侯惇が鬼気迫る勢いで突撃してきたこともあり、接敵する前から怯え、自ら瓦解してあった。

 

「夏侯惇様、敵、急速に瓦解していきます!」

「逃げる敵にはかまうな! 狙うは董卓の首ただ一つのみ! 進め、進め!!」

 

 夏侯惇率いる隊、そしてその後に続く曹操軍の諸隊は、逃げていく董卓軍の兵には目もくれずただひたすら戦場を駆けていく。目指すは、敵本陣にいる董卓。

 

「見つけたぞ、逆賊め!」

 

 そして荒野をかける夏侯惇の目に、董卓軍の本陣が入ってきた。彼は馬に鞭をあて、さらに加速させた。董卓や彼の幕僚たちは、この戦いの敗北を悟り、撤退の準備に入っている。

 

「董卓! その首、この夏侯惇がもらい受ける。逃げずにかかってこい!」

「おのれ、貴様などにこの首……!」

 

 次の瞬間、馬上の夏侯惇が董卓とすれ違いざまに槍を振るい、董卓の首は宙を舞った。董卓の幕僚たちに動揺が走る。

 

 馬から降りた夏侯惇は、その首をつかみあげると、高々と掲げ、大声を張り上げた。

 

「逆賊・董卓の首、この夏侯惇が討ち取った!!」

 

 虎牢関の戦いは曹操軍の勝利に終わった。反董卓連合軍は、最初にして最後の決戦で、董卓を討ち取るという大金星を挙げたのである。

 

* * * * *

 

 と、そんな戦いが繰り広げられてから3カ月後、191年2月のギョウの郊外。

 俺……袁紹は馬上から戦いが繰り広げられていたギョウの町を、郭嘉と眺めていた。

 

 華北で続いていたにらみ合いにしびれを切らしたのか、ギョウの韓フク軍が、劉虞軍のケイに向けて出陣した。

 いくら東には、俺の袁紹軍があるとはいえ、ケイを奪えば、烏丸の奴らが攻めてくるのは目に見えている。その危険をおかしながらも出陣した、というのは、他に打つ手がないゆえの、イチかバチかの起死回生の一手か、それとも、何か手を打っておいてのことか。だが、こちらにそれを知る術はない。

 

 だが、これは好機であるのは間違いない。俺たち袁紹軍は、韓フクの奴が留守にしているギョウを攻略すべく出陣したのである。もう、董卓が戦死したことにより反董卓連合は目的を果たして解散したので問題はない。

 

 戦いはこちら有利のうちに進んでいた。顔良率いる騎馬隊が城門を攻め立てる後方で、俺の投石器隊が投石でアウトレンジ攻撃を仕掛ける。もともとの兵が少ない韓フク軍は有効な手立ては取れず、城は我が軍の攻撃で確実に崩れつつあった。

 

 しかし!

 

「袁紹様、一大事です! ケイに出陣していた韓フク軍が、急を聞き、引き返してきました!」

「な、な、なんだと!? ど、どうする、郭嘉……?」

 

 これがうろたえずにいられるだろうか。ここで韓フク軍が戻ってきたら、戦いが振り出しに戻りかねない。俺はうろたえる様を顔に出さずに気を付けながら、横の郭嘉のほうを向いた。

 

 しかし彼は平然としている。それで俺は少しほっとした。郭嘉が表情を崩していない、ということは、このことも彼の想定内のことだろうからだ。

 

「心配には及びませぬ。このこともあらかじめ想定しておりました」

 

 ……ほらね。

 

「このことを読んで、顔良殿の騎馬隊も連れてきていたのです。幸いにも、引き返してくる韓フク軍もケイの攻略戦で消耗している様子。あの数であれば、顔良殿の隊なら互角以上の戦いができましょう。顔良隊を韓フク軍の迎撃に向かわせ、彼が戦っている間に、ギョウの攻略を急ぎましょう」

「お、おう。おい、顔良軍に城攻めを中止して、戻ってくる韓フク軍に対処するよう伝えてくれ」

「ははっ」

 

* * * * *

 

 そして、ギョウの門の前。

 

「よし、攻撃中止! これより我らは、韓フク軍迎撃に向かう! 兵は神速を尊ぶ。急げ!」

 

 その顔良の号令を聞き、文醜が笑みを浮かべる。

 

「ぐふふ、動かぬ門が相手でつまらぬと思っていたところだ。者ども、行くぞ! 例えどんな敵であろうと、我らの突撃で討ち崩してくれるわぁ!!」

 

 かくして、顔良軍は、城への攻撃を中止し、城のわきを通って、韓フク軍とギョウとの間に布陣した。その布陣が終わったところで、顔良は槍を振り下ろした!

 

「よし、全軍突撃! 戦いというものを知らぬ韓フク軍の奴らに、戦いとはこうするものだということを、身をもって教えてやれ!!」

 

 その号令一下、文醜隊を先陣に、顔良軍は韓フク軍に突撃を開始した! 機先を制された韓フク軍は、たちまち動揺し、その隊列を乱した。その乱れに文醜隊が乱入し、歪みを傷に拡大させる。

 

「進め、進め! 勝利の果実は見事に実り熟れ、俺らに食べられるのを心待ちにしているぞ!!」

 

 郭嘉の読み通り、韓フク軍相手に、有利というのも生ぬるいほどの戦いを進める顔良軍。その間に、本隊が城を陥落させ、本拠地を失った韓フクの勢力はついに滅亡した。

 

* * * * *

 

 かくして、ギョウを陥落させ、華北の半分を制した我が袁紹軍だが、喜ぶのはまだ早かった。

 南に我が袁紹軍という強大な勢力が現れ、窮地に陥った劉虞軍が、ギョウへの破壊工作を開始したのだ。幸いにも、郭嘉の防諜工作により大きな被害は出ていない。さすが郭嘉というべきか。まぁ、それでも奴らは懲りずに工作を連発してくるので、それがうざいのは少し問題だが。

 

 しかし、さらなる問題が俺たちの前に現れた!

 

「も、申し上げます! 曹操軍が我が軍との関係を断絶、このギョウに向けて進軍を開始しました」

 

 な、なんですと!?

 




さぁ、董卓を討って勢いに乗る曹操がこちらに対して宣戦を布告してきました!
果たしてどうなるか?

次回もお楽しみにです!

あとそれと、感想くれたら嬉しいです。(でもマイナスな感想は勘弁><
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