三国志と劉備が好きな俺が三国時代に転生したけど、なぜか袁紹だったので、とりあえず袁家滅亡を防ぐために頑張ってみることにした件   作:ひいちゃ

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※今回、劉氏に名前を(勝手に)つけさせてもらいました。(史実での名前は不明)劉氏ファンの皆さん、ごめんなさい。

いよいよ、(前半の?)山場が近づいてまいりました!


第七話『一難去ってまた一難って、また一難!?』

 さて、曹操軍との緒戦を乗り切った俺たち袁紹軍だが、安心するのはまだ早かった。

 

 昨夜、色々あってイタしてしまった今朝、俺というか袁紹の妻、劉氏はこう言ったのだ。

 

「そなたは誰です! 袁紹様ではありませんね!」

 

「本当の袁紹様なら、その巧みな手の技で私を愛欲に溺れさせているはず! なのに、そなたにはその巧さが欠片も感じられません!」

 

「ええええええ!?」

 

 まさか、女性経験のなさから、俺が史実の袁紹でないとばれてしまうとは!? これは予想外すぎるだろ!

 

 相変わらず、俺をにらみつけている劉氏。その頬が少し赤くなっているのは、俺のつたない手技でも感じてくれたのか、それとも怒っているのか。

 

 でもどうする? と言われても困る。

 だってこれはあまりにもピンチすぎるだろ。こんな場面でごまかすスキルなんて持ってないぞ!

 俺の下手な嘘では、すぐに見抜かれてしまいそうだ。曲がりなりにも、袁紹の奥さんだしな。

 

 仕方ない。素直に認めて謝ろう。それが一番な気がする。

 

「……うん、ごめん。俺は……」

「いえ、謝らなくてもいいのです。私の知る袁紹様でないことを確かめたかっただけですから……」

「え?」

 

 俺がそう聞き返すと、劉氏はさらに頬を染めて話を続けた。

 

「元の袁紹様は、確かに技は巧みでしたが、ただ私を愛欲に狂わせ、自分も気持ちよくするだけの、いわば自分勝手な愛し方で、しかも、私の他にも女をかこっているような方でした。でも、あなたの愛し方は、確かに稚拙ですが、私をいたわる気持ちに満ちたもので、私も幸せになりましたし、それを通して、あなたはとても信頼できると感じました。それで、その……」

 

 そう言って、頬を染めてもじもじする劉氏。なんだこのかわいい生き物は。

 彼女は、19の息子がいる身なんだぞ? ということは、どう考えても、30代半ばか40間近の女性のはずだ。

 だが、目の前にいる劉氏は、どう見ても、そんな年齢には見えないかわいい女性だ。こんなの反則すぎるだろ。

 

 ヤンデレに死ぬほど愛されるのはごめんこうむりたいが、こんなかわいい女性相手なら、多少はいいかも。

 そう思った俺は、彼女に手を差し出した。

 

「……え?」

「俺とあんたとはそれほど長い時を過ごしたわけじゃないから、いっぱい愛してくれと言われても、急には無理だと思うけど、あんたと少しずつ仲良くなって、それで愛し合えるようになればいいと思うし、そうなるように努力する。だから、できれば、まずは友人からよろしくお願いするよ」

「……はい。えぇと……あなたの本当のお名前は……」

「あぁ。俺は章だ」

「それでは殿、二人しかいない時はアキラと呼んでも……」

 

 劉氏がそう聞いてくるので、俺は笑顔になってうなずいた。多分顔はにやけてない……と思う。

 

「あぁ、かまわないぜ」

「それでは私も……若晴(ルォチン)と申します。二人きりの時は、そう呼んでください……」

「あぁ、これからよろしくな、若晴」

 

 そう言って、俺と劉氏……若晴は握手をかわした。なんとか解決したみたいでよかったよかった。

 と、そこに。

 

「袁紹様、そろそろ会議の時間ですが……おや」

「え?」

 

 俺の寝所に郭嘉がやってきた。その彼は、俺たちを見てちょっと驚いたような顔をしている。何かあったか?

 

「イタしていた最中でしたか。それなら外でしばしお待ちしていますが」

「え? 何を言って……あ」

 

 郭嘉が変なことを言ったので疑問に思った俺だったが、ふと思い当たり自分の体を見て、すぐわかった。

 

 そう、昨日若晴とくんづほぐれつして、目覚めて色々あったので、俺は半裸、若晴にいたっては真っ裸の状態だったのだ。そんな状態で、俺たちは握手をしていたのである。

 とたんにすごく恥ずかしくなってくる。

 

「い、今行く。身支度するから、ちょっと外で待っていてくれ」

「はい、かしこまりました。お早くお願いします」

 

 そして俺は急いで服を着始める。若晴と仲良くなれて嬉しくはあるが、でも裸を郭嘉に見られたのは恥ずかしいな。

 

 そして俺は、服を着替え終わると、若晴に笑顔を向けた。

 

「それじゃ行ってくるぜ、ルォ……劉氏」

「はい、行ってらっしゃいませ、ア……袁紹様」

 

 そしてお互い微笑みあうと、俺は寝所を出て行った。

 

* * * * *

 

 さて、支配している各城の統治について色々会議を行った。報告によれば、今のところ、反乱が起きそうな気配はないようだ。よかったよかった。

 

 そして一通り会議が終わったところで、俺はみんなに一つ相談してみることにした。

 

「なぁ。側室たちを全員……とは言わないけど、俺を好きなわけじゃないのに仕方なく側室になっている人たちだけでも解放するのって難しいか?」

『は?』

 

 その場にいた軍師や高級文官たち、郭嘉、田豊、董昭、審配の四人が目を丸くして俺を見てくる。

 あー、やっぱりこんな考え方は、古代中国では異端なんだろうなぁ。冷たい目をされないだけましだが。

 

「いや、一族衆を増やすために必要なのはわかるんだけどさ、劉氏の奴をこれ以上悲しませたくないというか……できればこれからはあいつ一筋になってやりたいんだ。それに、好きでもない奴と結婚させられたままというのも、側室の奴らがかわいそうでさ」

『うーむ……』

 

 そこで考え込み、うなる軍師、高級文官一同。やっぱりダメだったか?

 と、そこで郭嘉が口を開いた。

 

「袁紹様がそうお望みなら、それを叶えるのが我ら臣下の役目です。ですが、解放するにしても、当座の生活費を出してやらねばならず、その金は我が軍の国庫から出さねばなりません。当然、袁紹様個人の収入も減ることになります。それはおわかりですな?」

「あぁ、もちろんだ」

 

 というか、劉氏の笑顔のためなら、多少お財布が寂しくなるのも我慢するさ。貧乏生活は、前世で経験済みで慣れているしな!

 

「わかりました。お世継ぎは袁譚様、袁尚様、袁煕様がいるので、何人か側室を放っても問題はありますまい。さっそく手配しておきましょう」

「あぁ、ありがとう。……と、くれぐれも解放した側室に後ろ暗いことするのはやめてくれよ? 謀殺とか」

「もちろんでございます」

 

 そう言うと郭嘉はうやうやしく一礼した。その様子から、俺の意に背いて非道なことをしようという気配は感じられない。安心してよさそうだ。

 

 そしてこの日の会議は終わった。

 

* * * * *

 

 それから3カ月後。いよいよ俺たち袁紹軍は、さらなる領土拡大のため動くことにした。

 

 あの若晴との一件の翌月、劉虞軍の拠点、ケイを烏丸が攻撃し、劉虞軍を滅ぼしてくれたことで、我が軍はその空になった城を、労せず奪うことができた。ケイはその烏丸との戦いで荒れ果ててしまったが、我が袁紹軍の文官たちにとっては、復興は難しくはないだろう。

 

 東には公孫サンがいまだに残っているが、先の公孫越の反乱の一件で、大きく勢力を減じている。北平には韓フクを攻略した時に召し抱えた張コウを軍団長として置いている。彼には褒美を十分に与えて、また俺自ら考えを伝えたので、心配はいらないだろう。

 

 そういえば、色々あるうちに、中国も変わっていた。

 

 戦いが進んでいけば、弱者が消え、何人かの強者が残るのが道理。

 今や中国はいくつかの群雄による群雄割拠の時代に突入していた。

 

 北には俺の袁紹軍。

 洛陽を中心とする中原には曹操軍。

 洛陽の西には、董卓亡き後その勢力を受け継いだ呂布軍。

 袁紹軍の西にはチョウエン軍。

 曹操軍領土の南の荊州には劉表軍。

 さらにその南には孫堅軍。

 そして曹操の領土の北東には陶謙軍。

 大陸の西には劉延軍。

 そして、俺の袁紹軍と曹操軍と陶謙軍の領土に囲まれている形で劉備軍。

 

 こんな形だ。これらの群雄が、互いに機を伺いながらにらみ合っているのが今の情勢だ。

 

 そして今、俺たち袁紹軍は、この情勢で、自らの勢力をさらに有利にするべく、チョウエン軍攻略に乗り出したのである。

 

「それでは殿、行ってまいります」

「あぁ。今回は、投石器はこのギョウの防衛のために置いていってもらうことになるが、大丈夫か?」

「心配はいりませぬ。チョウエン軍など、我が騎馬隊の力をねじ伏せてごらんにいれましょう」

「そうか、よろしく頼むよ」

「ははっ!」

 

 そして顔良率いる軍勢は出陣していった。

 だが、そこで郭嘉が一言。

 

「ですが、本来城攻めは守備側の三倍の兵力が必要なもの。あの兵力で勝てればいいのですが……」

 

 その郭嘉の一言は、まるで予言のことに的中したのを、俺は後で知ることになる。

 

* * * * *

 

 チョウエン攻めは失敗に終わった。郭嘉の懸念は見事に当たっていたのである。

 

 チョウエン軍の最前線、壷関はもともと置いている兵力が少ないこともあって無難に攻略できた。しかし問題は、拠点の一つ、上党であった。

 

「進め進め! 動かない城壁が相手なのは物足りないが、文句は言っておれぬわ!」

 

 文醜がそう叫びながら、城門に向けて突撃する。しかし。

 

「な、なんだ!?」

 

 文醜率いる隊の地面が突然陥没して、彼らを飲み込んだのだ。奈落に落ちた彼らに矢の雨が降りかかった。

 文醜はなんとか落とし穴から抜け出すものの、多くの部下がその矢によって命を失った。

 

「おのれ、落とし穴とは姑息な真似を……!」

 

 文醜はそう悪態をつくが、そんなことは知らんとばかりに、それからも袁紹軍はチョウエン軍の罠に苦しめられた。さらに、いつの間にか上党の城壁は堅固になっており、城門の突破にも苦戦するのであった。

 

 その戦いを苦虫をかみつぶしたような表情で見守る顔良に、副官が報告する。

 

「将軍、既に我が軍は損害が2割を超えました。このままでは3割を超えるのも目前かと……。このまま攻めても城を落とすのは困難。一度撤退することを進言いたしますが」

「ここ立て続けに勝ち続けているうちに、わしも戦の感覚が鈍っていたようだ。城の防御力と兵力を甘く見すぎて、こんな難儀な戦を繰り広げるとはな……仕方あるまい。撤退する!」

 

 顔良の号令一下、袁紹軍は撤退を開始した。顔良の隊が殿を受け持ち、敵の追撃を警戒しながら粛々と退却していくが、幸いにもチョウエン軍は追撃に出てくることはなかった。

 

「我々は華北の大半を手中に収めうるも、城一つを征服あたわざるか。なんともまぁ……」

 

* * * * *

 

 そして今、俺の前には顔良と文醜の二人がひざまづき、頭を垂れている。今、彼らからチョウエン軍攻めの失敗の報告を聞いたところだ。

 

「袁紹様、こたびの敗戦はこの顔良の責。どうか文醜や部下たちには寛大なご処置を……」

 

 そう言って再び頭を垂れる顔良。だが俺は苦笑して、こう言ってやった。

 

「いや、お前一人の責任ではない。俺だって、チョウエンを甘く見て、出陣を許可したんだからな。何より、あの敗戦の中でもお前たち二人が帰ってきてくれただけでも不幸中の幸いだ。そう責任を感じないでくれ」

「袁紹様……感謝いたします」

 

 と、そこで傍らの郭嘉が横から口を出してきた。

 

「ですが彼らの指揮が原因で敗戦したのは事実。罰を下さねば、兵たちや他の将への示しがつきませぬ」

「まぁ、それはそうだけど、どうしたものか……」

 

 俺としてはあまり厳罰は下したくない。感情的に彼らを失いたくないのはもちろん、二人は我が軍にとって貴重な人材だからな。彼らを失えば、我が袁紹軍は大きく弱体化することになってしまう。

 

「それでは、この罰はいかがでしょう?」

「ん?」

 

 そこで、郭嘉が俺に耳打ちしてきた。それは、顔良と文醜への処分に関することだ。うん、それなら俺も大丈夫だろうと思う。

 そして俺は、再び顔良たちのほうに視線を戻して口を開いた。

 

「よし。それじゃ、顔良、文醜。お前たちは、南皮に戻って謹慎していてくれ。ただし、有事のさいには、こちらから謹慎解除の旨を伝えるとともに指示を出すから、その時には南皮の兵を指揮してことに当たるように」

「ははっ」

「わかりました」

 

 そして二人は部屋を退出していった。それを見届けた俺は、再び郭嘉に視線を向ける。

 

「何か?」

「くれぐれも、南皮に戻った二人を謀殺したり罪を着せたりするのはやめてくれよ」

 

 そう冗談めかして言うと、郭嘉の奴はかすかに顔をゆがませた。どうやら、俺にそう言われるのは心外らしい。

 

「いたしませんともそんなこと。二人が我が軍にとって重要なのは私もわかっておりますゆえ」

「そ、そうか」

「それに、二人を南皮に戻したのは、今後の戦略について、考えていることがありますので」

「……?」

 

 首をかしげる俺。

 だが俺が、郭嘉の戦略について知るのに、そう時間はかからなかった。

 

 それから一カ月後、偵察兵が俺の執務室に駆け込んでくるなり、こう言ったのだ!

 

「ほ、報告いたします! 平原の劉備軍が出陣! 白馬港を目指して進んでおります!」

「な」

 

 なんですとーーーーーーー!?

 

 それは俺にとって最大の戦いの一つ『白馬の戦い』の始まりを告げる報告だった。

 




さぁ、いよいよ発生してしまいました劉備との戦い!

果たしてどう立ち向かうのか?

こうご期待……してくださると幸い(平伏
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