再生の結界師   作:画鋲的存在

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第十一話 固有魔法と固有能力

 住家に入ると、ベンギルオンが唐突に切り出した。

 

「さて、挨拶以外にも用があるんだろう? アルフェール君」

 

「ああ、気付いていたか」

 

 アルフェールは言葉ではこう言うが、ベンギルオンが気付いていたことを知っていた。そうでなければわざわざ住家に付いてきていないからだ。

 

 そして何も知らないディルはこの会話に入れずに固まっていた。

 

「で、何の用?」

 

 さすがのベンギルオンも、その内容は察することが出来なかった。

 

「それはディルに“固有魔法”と“固有能力”のことを教えようと思ってな」

 

 それをアルフェール自身で教えるのもいいが、どうせなら専門家に教えてもらおうという話である。

 

 専門家とはもちろんベンギルオンのことであり、その知識で言えばこの世界で右に出る者はいない。

 

「で、僕に教えろという訳だね」

 

 そのことを理解したベンギルオンは二回ほど頷き、承諾した。そして蚊帳の外になっていたディルの方へ寄って行った。

 

「え…… いや何の話なんだ?」

 

「アルフェール君から“固有魔法”と“固有能力”について教えろと言われてね」

 

 そして状況をあまり把握していないディルにベンギルオンは説明をし始めた。

 

 固有魔法というのは、人それぞれ専用の魔法である。固有と付いてるだけあり基本的に自分の固有魔法を他人が使えることはない。

 

 しかも自分の固有魔法は創らなければならない。一から創ったり、元々ある魔法の派生でもよい。しかし制限があり、第十階級魔法以上の効果や規模が必要で、一部の基本魔法は固有魔法にすることが出来ない。

 

 そして固有魔法は創ると“登録”出来るようになる。登録とは、自身の存在とその魔法を結び付け、一体化することである。魔法というのは“事象の再現”だが、固有魔法は自分自身が事象の一つとなる。

 つまり、とある人物Aが炎を出す固有魔法を使うとき、“炎を出す”ことを再現するのではなく、“Aが炎を出す”ことを再現しているのだ。

 そして登録出来るのは一人一種類三派生までとなっている。

 

 次に固有能力というのは、一部の生物が生まれつき手にする能力で、魔法の域を超えているのがほとんどである。

 能力の種類は様々で、魔力増大、体力増大といった自身に直接かかる能力もあれば、身体強化効果倍増や、回復効果倍増等、特定の魔法使用時に効果が出る能力もある。

 そして特定の発動条件がある能力もある。ディルの再生もこの固有能力の一つだ。

 

「ざっとこんなもんさ」

 

 ベンギルオンは上記のようにディルに説明した。

 

「一気に情報が増えて何が何だか……」

 

 ディルはベンギルオンの話が理解出来なくなったため頭を抱えた。

 

「つまりはディルちゃんも自分だけの魔法を創ってみようという話さ」

 

「ああ、何となく分かった」

 

「ベンギルオンはこういった知識は凄くあるからな」

 

「ふふふ、無駄な知識だけ増やすあのババアとは大違いさ」

 

「えらい言われようだな、ココリリス」

 

「まあ五百年ほど前に一悶着あったからな」

 

 そう会話していると、ベンギルオンは当時のことを思い出し、ブツブツ小言を言っていた。

 

「お茶は絶対紅茶だろ? なのにあのババアは最高のお茶が緑茶だとほざきやがって……」

 

「絶対喧嘩の理由しょうもないやつだこれ」

 

 ベンギルオンの小言が聞こえたディルは、その悶着の理由に呆れていた。

 

「もうこの話は切り上げて…… 早速固有魔法を創ろうと思ったんだけれども、せっかくだからディルちゃんの固有能力の検証といこうか」

 

 ベンギルオンの提案を聞いて良さそうだと思ったディルだったが、よく考えてみて自分が今から何されるかを想像すると、みるみるうちに顔が青ざめた。

 

「え…… いや…… ちょっと待て…… それってあれだよな…… 検証って……」

 

「ん? 大丈夫だよ、痛覚無効の魔法掛けておくから」

 

「いやそういう問題じゃなくて……」

 

「じゃ、始めるよ。動かないでね」

 

「まっ待って! 話を聞け! お願いだから…… ほんと待って待って!! 嫌だ来ないで!! アルもこいつ止めて!」

 

 ディルの願いも虚しく、ベンギルオンに拘束されてしまう。そして氷山全体に悲痛な叫びが聞こえたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど…… 思ったより強力だね。バラバラにされても一欠片だけでも残っていればしばらく経つと復活するのか…… 

 しかも潰されても血があれば復活するし、いろいろ試してみたけど、どんな方法で傷付けられても治るんだね…… けど見る限り消し炭にされればさすがに無理かな?」

 

 数日かけて行った実験の結果から色々考えているベンギルオンの元に、精神が不安定になったディルの看病をしていたアルフェールがやってきた。

 

「考察もいいが…… ディルに精神安定の魔法はもう掛けたのか?」

 

「掛けたけど…… 人間ってあんなに精神弱いものなの?」

 

「いや、ディルはまだ百歳とちょっとの子供だからな」

 

「あっそれならしょうがないか」

 

 さすがに自分の体が永遠と肉塊になっていくのを見続けるのは精神が崩壊するのもおかしくない。実際問題、ディルの精神は崩壊し、引きこもっている状態だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《もしもし~ディルちゃ~ん? 今どうしてる~?》

 

「ぅ……ぇ……?」

 

《あれ? ディルちゃ~ん? 大丈夫? どうしたの?》

 

《もしかして酷いことされた?》

 

「うん……」

 

《誰に?》

 

「ベン…… ギルオン……」

 

《分かった、今行くね?》

 

 これがベンギルオンにとって地獄の始まりであった。

 

展開はやい?

  • 疾風の如くはやい
  • 別に
  • ダレない程度におそく
  • もっとかっ飛ばせ!
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