再生の結界師   作:画鋲的存在

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第十六話 人里 2

「「ただいまー」」

 

「おじゃまします……」

 

 ディルは取引所で出会ったレーメル夫婦宅に訪れていた。すると、その家の中から4歳程の女の子が出てきた。その瞬間、エレメはその少女に飛びついた。

 

「おかえりなさーい。あれー? そのひとはだれー?」

 

「きゃーっシルイちゃんホント天使っっ!」

 

「きゃっ! おかあさんやめてー!」

 

 ディルは家に入った瞬間に見えたこの光景にたいして、いきなり何を見せられているんだという顔をした。しかもそれが見られていたのか、イルはディルに対して別に気にしなくてもいいという顔をした。

 

「エレメー! あんまり暴走するなよー! ったく…… いつもこうなんだから……」

 

「これじゃあどっちがお母さんかわからないな……」

 

「ハハハ…… よく言われる……」

 

「苦労しているんだな……」

 

 エレメは可愛い物を見かけると、すぐ飛びついてしまう癖があり、巷では『キューティキラー』と呼ばれているとかいないとか。なのでエレメの暴走を毎回おさめるイルは、苦労人と言えるだろう。

 

 それはさておき、レーメル夫婦の娘…… シルイには初対面なので、ディルは自己紹介をすることにした。幼児相手なので、腰を低くして優しい言葉使いを心掛けた。

 

「君がシルイちゃんねー?」

 

「おねえちゃんだれー?」

 

「それはね…「ディルちゃんよ! 仕事の方でお世話になったのよ!」

 

「そうなの? っていうことは…… いつもおかあさんがいってた“臨廻の魔女”さん?」

 

「その通り! 今日一晩泊めることになったから…… 存分に甘えちゃっていいわよ!」

 

「やったー!」

 

 ディルは急に会話に割り込られて来て、自分で言おうと思っていたことをすべて言われた挙げ句、勝手に話が決められていることに対してエレメに不服を申立てようとした。

 しかし、エレメのウインクをして舌を出している憎めない顔と、シルイからの期待の目を見てからは何も言えないでいた。

 

 すると、シルイが疑問に思っていたことをイルに聞いていた。

 

「おとーさん…… どうしておかあさんがかえってくるのおそかったの?」

 

「それはね、お母さんは怪我をしちゃってね…… 療養所に行ってたんだ」

 

「え? そうなの? おかあさんだいじょうぶ?」

 

「ええ! 大丈夫よ! シルイちゃんのお顔を見たら怪我なんてふっとぶのよ!」

 

 このように実の娘と会話をしているエレメを見て、ディルはイルに確認したいことが出来た。

 

「イルさん」

 

「何だ?」

 

「エレメのことについてなんだが……」

 

「……」

 

「暑苦しいと言われないか?」

 

「ハハハ…… いつもそのことについてシルイに愚痴られるんだ……」

 

 シルイがジュースを一気に飲みながら愚痴を言ってくるのは、イルにとってさながらバーのマスターになったような気分だったらしい。シルイのまだ舌足らずな発音も相まって、酔っ払いのようだと言っていた。

 

 ディルはその話を聞いて困惑していた。すると、イルもディルに対して何か思うことがあったのか話を仕掛けた。

 

「僕も少し言いたいことがあるんだけど……」

 

「何だ?」

 

「さっきシルイに話しかけたときの口調は何だったんだ?」

 

「……猫かぶって悪いか? 小さい子供相手だしいいだろ」

 

「いや、そういうことじゃないんだけどな…… というか君も見た目小さい子供だろう」

 

「これでも100年以上は生きてるけどな」

 

「ひゃくっ!? …………それだともっと違和感が出てくるんだけど」

 

「?」

 

 先程ディルがイルに話しかけたときの口調が、イルにとって少し違和感が出たが、そもそもディルのいつもの口調が違和感たっぷりなことに気づき、さっき違和感を感じた自分に疑問を持つということになった。

 そうなってしまうと、イルは何が何だかわからない理解不能な状態に陥った。

 

「……この件については忘れてくれ」

 

「? ……ああ」

 

 ディルは先程からのイルの言動を謎に思えていたが、この妙な雰囲気を壊したいと考えるようになった。すると、そこにピッタリなタイミングであの“雰囲気ブレイカー”ことエレメがディルを唆した。

 

「ほら、ディルちゃん、シルイちゃんに構ってあげて」

 

「わかったわかった」

 

 ディルは、構うのは本来親の仕事だろうと思いながらも、エレメに従うことにした。

 

(さて…… 何をすれば……)

 

 了承したのはいいものの、ディルは何をしたらよいのか迷っていた。しかし、迷っていてもらちがあかないし、エレメに暑苦しく急かされる未来が見えたので、とりあえずということでシルイに手遊びを教えることにした。

 

「ほら、こうするとカニさんだよ」

 

「お花さん!!!」

 

「あぁ…… これ尊い………… あっ! そういえば」

 

 どうやらエレメは小さい女の子同士で何かするのを見たかったようだ。その後、ディルのローブを洗って返すという約束を思い出したため、いそいそと洗濯の用意をしていた。

 

「さてと、僕も動かないとな」

 

 日が落ちてきてるので、もう晩御飯の下ごしらえをしないといけなくない時間になっていた。そのため、イルは買い物に行こうとしていた。

 

 それを見たディルは、替えの服を持っていなかったため、イルについて行って買っておこうと思い、許可を貰えるか聞いた。

 

「俺も付いていっていいか?」

 

「ああ、いいよ」

 

「え゛!?」

 

「シルイもー!」

 

「わかった」

 

「え゛え゛!?」

 

 シルイはまだ一緒に居たいため、ディルに付いていくことにした。それだけ懐いている証拠である。

 

 このシルイの発言により一人になることを感づいたエレメは、可愛い子が自分の手から離れる恐怖に追われ、焦ったように口を開いた。

 

「ギャー!! 待って待って! 私も行く!」

 

「……エレメも来たら本末転倒だが」

 

「私にとって可愛い子が居なくなるのが本末転倒なの!」

 

「はぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

展開はやい?

  • 疾風の如くはやい
  • 別に
  • ダレない程度におそく
  • もっとかっ飛ばせ!
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