再生の結界師   作:画鋲的存在

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第四話 魔法

 数日経った頃、ディルはアルフェールにこの世界のことを教えてもらっていた。保護されてから随分と時間が経っているので、愛称で呼ぶほど親しくなっていた。

 

「へぇ、この山の名前はルーフエって言うんだ。で、アルはこの山を治めていると」

 

「そうだ、人は我を山を守る守り神として崇めている」

 

 建前上はそうだが、本質は自らが滅ぼされないため、つまり保身のために、神として讃えあげて遜っているだけである。

 そのことは当人であるアルフェールも承知しているが、自分に害がある訳でもないため特に気にしてはいない。

 

「うわ…… 自分で言い切るんだ」

 

 もちろん、そのような事情を知らないディルは、その言葉通りに受け取っていた。

 

「おい、なんだその言い草は…… まあいい、我を知らない程常識知らずなことは知っていたが、もしや魔法も知らないことはないだろう?」

 

 数日間、ディルが魔法を使う素振りも見せなかったため、そのような疑問が浮かび上がってしまった。

 

「え!? 魔法なんてあるの?」

 

 もちろん、そのようなものは知らないディルは、その存在を聞かされて驚いていた。

 

「はぁ…… 記憶喪失か…… まあいい、一から教えてやる」

 

 

 

 

 ディルは、魔法という概念と、その活用方を教わろうとしていた。期待して、話を聞く準備をしていると、アルフェールはその様子をしばらく見つめていた。

 

「どうしたんだ?」

 

 能天気な少女でも、その目にはそれが奇妙に写っていた。

 

「お前の魔法適性を見てみたが、見事に属性魔法は全滅。他の特殊魔法も結界魔法だけで後は基本魔法しか使えないな」

 

 その行為は、ディルの“魔法適性”なるものを見ていたのだ。

 

「え? 何? どういうこと?」

 

 いきなり知りもしない言葉の羅列を聞かされたディルは、全く理解が出来ず戸惑うのも仕方のないことだろう。

 

「まあまあ、一から教えてやると言っただろう。まずは基礎からだな」

 

 魔法とは、摩訶不思議な現象を引き起こす物の総称である。

 

「ここまでは分かるな?」

 

「まあ何となく」

 

 その魔法を使うには、例外無く『魔力』という物が必要である。その魔力とは、大気中に満遍なく存在している目には見えない物だ。そしてそれは、全ての生命体が常に生み出しているのだ。

 

 更に魔力は、気体のようになっており、一つの場所に纏めて凝縮することで物質化することが出来る。

 

「これもいいか?」

 

「まあテンプレだな」

 

 また、生命体によって様々だが、体に魔力が貯蓄できる最大量である『魔力量』がある。それは種族によって違い、個体差もあるが、訓練で増やすことが出来る。

 

「俺は?」

 

「中々多い方だぞ」

 

「やった!」

 

 ディルの魔力量だが、人間としてはそこそこ多い程度だ。それでも、人間は魔力量が多い傾向がある種族のため、不自由は無いくらいはある。

 しかし、妥協を許さないアルフェールが傍にいるため、鬼のような訓練をさせられる運命にある。

 

「さて、次は……」

 

「ちょっと疑問なんだが…… そもそも魔法ってどういう原理だ?」

 

「ああ、それはだな──」

 

 魔法の原理とは、数ある現象を魔力に“記憶”させて、それを再現することにより、その現象を自由に引き起こす。それだけである。

 

 例えば、火を出す魔法があるとする。その魔法を使うには、元々火が出ている場所の、“魔力の形”を記憶させ、また別の場所でその魔力の形を再現すれば、そこに火が出る。

 

「つまり、その火が出てる場所の魔力の形が丸い形だとすれば、それと全く同じように魔力を形作ればいいってことか」

 

「うむ、理解出来てるな」

 

 そして、この世界における魔法には、『基本魔法』、『属性魔法』そして『特殊魔法』と分類されている。

 

その一つである『基本魔法』とは、文字通りすべての人が使える基本的な魔法だ。

 

 自分の目に魔力を通し、通常目には見えない魔力を見ることが出来る『魔視』や、

 自らの近くにある魔力を操作する『魔力操作』、

 魔力を通しした場所の身体能力を強化出来る『身体強化』、

 物質化した魔力を放出する『衝撃波』など多岐にわたる。

 

「我がさっきしていたのは『魔視』だな」

 

「なるほど、だから見つめてたのか。……どうしてだ?」

 

「それは後だ」

 

 そして『属性魔法』とは、これも文字通り火、水、風、草、雷、土、鋼、光、闇などに分けることが出来る魔法である。

 

 大昔、この魔法の特性に気がついた種族がこのように分類した。それが後世になっても使われ続けている。

 

 更に、その種族はそれぞれの属性ごとに、規模が小さい魔法から10階級に、“ある方法”で魔力に記憶させた。

 

「ある方法って?」

 

「魔法式だ」

 

「魔法式?」

 

「“魔力の形”を分解し、式として組み直した物だ」

 

 つまり、魔法式は“魔力の形”の代わりということだ。魔力の形状には何かしらの法則があり、それがそのまま魔法式の法則となる。そうすることによって、その法則に則れば、自由に引き起こす現象を調節できる。

 

 さらに、魔法式にすると、本などの文献に残すことが出来ることができ、それにもう一つ、魔力の形状だとその形のイメージを思い浮かべないと魔法は使えないが、魔法式だとそのイメージを必要とせずに使える。

 

「その魔法式とやらでどうやって魔法を使うんだ? そもそもどうやって魔法式にするんだ?」

 

「それは魔法式専用の“魔法の形”を現した文字があるからだ。ただ、文字と言っても文法は無く記号に近い。 

 発動させる魔法の性質に合わせ文字を組み込み、そしてそれを円のように式を組み立てる。

 それを我々は『魔方陣』と呼んでいる」 

 

「おお! ロマンあるな!」

 

「ロマン……? まあいい、続きだ」

 

 最後に『特殊魔法』、これは基本魔法と比べると効果が強力で、どの属性にも属さない魔法を総称している魔法である。

 空間を切ったり繋げたり出来る『空間魔法』、

 生物の心や精神を操る『洗脳魔法』、

 心を通じ合わせた他の生命体と主従関係を結べる『使役魔法』など、様々だ。

 先程ディルに適性があるといわれた、魔力そのものを硬質化させる『結界魔法』もその一つである。

 

「適性?」

 

「魔法適性のことだな」 

 

「ああ、なんかさっき言ってたな」

 

「そうだ」

 

 魔法適性とは、生まれつきどのような種類の魔法が使えるのかを意味するものである。

 基本魔法は必ず全員使えるが、属性魔法となると個人差が生まれる。稀に複数属性使える場合もあるが、使える属性が嵩張るにつれ珍しくなっていく。

 特殊魔法は珍しく、基本的に使えない場合がほとんどだ。ただ、使える属性魔法の種類が少ないほど、こちらが使える可能性が高くなってくる。しかし、使えるのは必ずニ種類までとなる。

 

「へえ。で、俺はどうなんだ? 流石に覚えてない」

 

「それはだな──」

 

 ディルは珍しく、基本魔法以外は属性魔法が全て使えず、使えるのは特殊魔法である結界魔法だけという有様である。

 

「……」

 

 この結果をアルフェールから伝えられたディルは落胆し、言葉も出なかった。

 

 




説明多くなってるけどそこまで覚えなくて大丈夫だと思っている。
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