Ravens lane ─鴉達の未来─   作:ダイヤモンド傭兵

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ロイヤルの1件のあった頃、重桜でのKAN-SEN達の動きとは···


幕間 桜

かつて銀治達のいた軍港では時雨と綾波が配属されていたが、時雨は時折ヒロと撮った記念写真を見ては唇を噛んでいる時がある。

 

綾波「時雨は···戦いを、どう思ってるのです?」

 

時雨「そうねぇ···誰かを守るためにすべき事、かしら。そういうアンタは?」

 

綾波「綾波は···よく、分からないです。前にユニオンの軍港に潜入した時に、友達と言われたのです···友達、と戦うことは···正直、嫌なのです」

 

時雨「なるほど···そう、それで良いのよ。それで···」

 

時雨は少し寝転んで天井を眺めた後、時雨は何かを思い付いたらしく飛び起きる。

 

時雨「そうよ綾波!ちょっと外出するわよ!」

 

そう言って時雨は綾波の手を引っ張る。

 

綾波「ちょっ···どこに行くのです!?」

 

時雨「こんな暗い雰囲気を吹っ飛ばせるところよ!」

 

 

 

 

 

 

 

そして時雨が綾波を連れて来た場所は『鴉の家』という喫茶店だった。

中に入るとそこは静かで落ち着いているが、どこか明るい雰囲気を感じられ、時雨はカウンター席に綾波と共に座る。

 

店長「あら、時雨ちゃん久しぶり!その子はお友達?」

 

時雨「そうよ!」

 

綾波「綾波、といいます。よろしくです」

 

店長「よろしく。私は『神城 愛海(あみ)』」

 

愛海と名乗った女性は明るい笑顔がとても印象的だった。

 

愛海「···で、なににする?」

 

店長はメニューを2人に差し出し、時雨はコーヒーとチーズケーキ、綾波はソーダとシフォンケーキを頼む。

 

綾波「ここ、なんだか明るくて、静かで···良い気分です」

 

時雨「そうでしょ?良くここに···ヒロと来たわ。あの子も色々頑張ってるでしょうね」

 

綾波「でも···お互い、一応敵同士なのです···もし···」

 

愛海「はいはい、暗いお話するくらいなら楽しい話でもしましょ?」

 

愛海は頼まれた品物を持ってくる。コーヒーもケーキもとても優しい味がしたため、2人の心は落ち着く。

 

時雨「やっぱり愛海さんのコーヒーとケーキは美味しいわね!」

 

綾波「美味しかったです。その、ありがとです」

 

愛海「喜んでもらえて良かった!」

 

愛海は明るい笑顔を見せる。

 

愛海「あっ!そうだ、ちょっと待ってて!」

 

愛海が厨房に入っていき、紙袋を持って戻ってきた。

 

愛海「はいこれ!この店のコーヒー豆!」

 

時雨「ありがと!愛海さん!」

 

そして時雨と綾波の2人は並んで帰路に着く。その後ろ姿を愛海は微笑みを浮かべながら眺めていた。

すると、裏口の扉が開く音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重桜の中枢地区の現在の長門のいる建物は桜の巨木と一体化しており、広く見晴らしも良いが、長門はそこに軟禁されている状態だった。

その長門に呼ばれた赤城と加賀は長門の御前へと向かう。

 

赤城「長門様、此度はどのような事でしょうか?」

 

長門「のう···余はヒロ達の事が心配じゃ。今は敵同士になってしまった訳じゃが、どうにかして止めることはできないのか?」

 

加賀「長門様···」

 

赤城「ヒロはきっと無事ですわ···それに、もし何かあったらその時は···全て焼き尽くすまでですわ」

 

長門「それは···ヒロは望んでおるのか?1度しか会ったことがないとはいえ、ヒロがそのようなことを望む者だとは思えんのじゃ···」

 

赤城「長門様···」

 

赤城の雰囲気が変わる。

 

加賀「···長門様、心配はいりません。ヒロ達は必ずや無事に帰国させ、争いも終わらせてみせましょう」

 

長門「そうか···では、頼んだぞ」

 

加賀「お任せを···」

 

赤城と加賀が去った後、長門はうつむく。

 

長門「この戦···どうなるのじゃ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、鴉の家に1人の客が来た。

 

愛海「いらっしゃ~い···って赤城さんじゃないの!久しぶり!」

 

赤城「えぇ、お久しぶりです」

 

赤城はカウンター席に座るとコーヒーを頼む。その後、愛海はコーヒーとシフォンケーキを持ってきた。

 

赤城「え?私は···」

 

愛海「いいのいいの、ケーキは奢り。それにあなた、なんだか悩んでるようだったから···私で良かったら、話してくれない?」

 

赤城「···愛海さんは、今起きてる戦争をどう思っていますか?」

 

愛海「そうね···セイレーンの方がどういう理由で仕掛けてきたかは知らないけれど、少なくとも人類側で争う必要は無いと思うわね···私は戦略には詳しくないけれど、内輪揉めしてる場合じゃないと思うのよね」

 

赤城「そう···」

 

愛海「戦争ねぇ···あなたはどう思っているの?」

 

愛海が奥の方に声をかけると1人の女性が出てきた。黒い長髪に黒い巫女服を纏い、赤い下駄を履いている。

 

女性「私は···多くの人々に不幸をもたらす行いはやめるべきだと思います···」

 

赤城「私は···取り返しがつかないことをしてしまったのかもしれません···」

 

愛海「そう···なら、相手に素直に謝ったら?色々めんどくさい事はあるでしょうけれど、まず謝らないことには何も始まらないわ」

 

女性「謝ることができて、そこから笑顔で始められればきっと、不幸から幸福に変えられると思います」

 

愛海「あなたそういうこと言えるようになったのね?」

 

女性「あなたのせいです」

 

赤城「そういえば、あなたは···」

 

女性「あ···申し遅れました。私、ふそ···この店で裏方をやっています、『(みずち)』と申します」

 

赤城「私はKAN-SENの赤城と申します···あ、そろそろ戻らなければいけません」

 

愛海「はい、じゃあお勘定」

 

赤城が帰ると、その様子を蛟は眺めていた。

 

愛海「あなたも···戦いたい?」

 

蛟「正直に言えば、そうですね···それに、あの人は不幸?それとも幸福?」

 

愛海「きっと、どっちもでしょうね···でも、いつかはその砲を向ける日が来るわ···」

 

蛟「えぇ。その時こそ···幸福を踏みにじる輩に、不幸による鉄槌を!」

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

今回は重桜側の話を書きましたが、どうだったでしょうか?

●神城 愛海
身長160cm、茶髪のロングヘアで52歳。
喫茶店『鴉の家』の店長をしている女性。明るく、優しい性格をしており、地元の人からも好かれている。

●蛟
身長170cm、黒い長髪で年齢は不明。
黒い巫女服と赤い下駄を身に付けており、どこかもの悲しげな雰囲気がある。
鴉の家では裏方を務めており、現在修行中である。
また、『不幸か幸福か』について謎のこだわりがある。
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