Ravens lane ─鴉達の未来─   作:ダイヤモンド傭兵

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ヒロは出撃前、妹である清魅との思い出を振り返る。


番外編です。時間軸は重桜へ攻め込むちょっとだけ前です。


番外編 燃えた声

ヒロは重桜へ攻め込む作戦に出撃する前、清魅との思い出を振り返る···

 

 

 

 

 

 

ヒロの家は海辺にあり、すぐそばに海がある。

小さい頃から清魅は活発で、ヒロといつも一緒だった。時に喧嘩する時もあったけれど、すぐに互いに謝って仲直りしていた。

母親はあまり構ってはくれなかったものの、父親はよく自身の研究に2人を立ち会わせたり、2人に実験をさせてくれたりしていた。だが母親は2人に愛情がなかった訳ではなく、少ない時間で一緒にいてくれた。

祖父の銀治は軍部にいたもののよく護身術を教えてくれ、緊急時の対処法も教えてくれた。

友人であり、姉のように慕っていた冴は本当の姉のように接してくれた。

 

ヒロがいじめられていると、清魅は真っ先に駆けつけていじめっ子をボコボコにした。

活発で好戦的な清魅と臆病なところがあるヒロ、2人はよく助け合っていた。

知らない土地で迷子になった時も、臆することなく進む清魅と感覚で場所を掴んで進むヒロとで逆に様々な経験を得て家に帰れたり···

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし2年前、それは終わりを告げる。

発端はヒロへのいじめを清魅が止めたことからである。転校してきた生徒からヒロはいじめを受け、不登校になってしまった。しかしそれでも脅しの電話や家の壁に落書きをされるなどし、学校はまともに取り合わなかった。

それに我慢できなくなった清魅は夜、スプレーを持ってやって来たその生徒を何度も蹴りつけ、金槌で生徒の右腕を折った。

 

野球選手を夢見ていた生徒は酷く落ち込み、清魅は退学処分となった。銀治はやり過ぎだとしたものの、ヒロを守ろうとした事を評価し、まともな対応をしなかった学校は保護者会からも追及された。

 

しかし学校は結局事件をうやむやにし、2人の教育は父親と銀治と冴が交代で教えることになった。

しかし2人はそれでのびのびと学ぶことができ、座学のできないヒロも前よりは学べるようになっていった。

 

 

 

 

そしてある日の夜、ヒロと清魅は銀治とテレビ電話で通話していた。

 

清魅「アッハハ!チャオ~!元気かよじいちゃん?」

 

ヒロ「久しぶり~!」

 

銀治《おう!2人も元気そうで良かった!》

 

そして笑顔で通話していると、別の部屋の窓ガラスが割れる音がした。そのすぐ後に下の階からも窓ガラスの割れる音がし、次の瞬間爆発が起きる。

 

ヒロ「いだだ···清魅、大丈夫?」

 

清魅「大丈夫···にしてもなんだ今の?」

 

銀治とテレビ電話をしていたパソコンは衝撃により壊れており、2人は廊下へ出てみる。すると奥の部屋から火が出ており、2人は戦慄する。

2人がいるのは2階であり、同じ階の父親の元に向かおうとするが、父親の部屋に着く寸前、窓から火炎瓶が投げ入れられ、ヒロのすぐ近くの壁に当たり、火がヒロの体についてしまう。

 

ヒロ「熱い!熱いよぉぉ!」

 

ヒロは火を消そうと暴れるが、火は消えない。

 

清魅「待ってろ!すぐに水持ってくる!」

 

清魅は下の階に向かい、バケツに水を汲んでくる。しかし清魅は下の階にも火が回ってきている所を見てしまい、急いでヒロの元へ急ぐ。そしてヒロに水をかけ、消火する。

ようやく父親の部屋の扉に手を掛けようとしたところで気づいてしまった。

父親の部屋も燃えていることに。

ヒロの目に涙が浮かぶが、清魅はヒロに肩を貸して階段へと進む。

 

清魅「おい!早く行くよ!」

 

ヒロも懸命に足を動かすが、下の階で爆発が起こり、2人はバランスを崩す。その爆発の影響で木材の破片がヒロの足に突き刺さり、ヒロは足をうまく動かせなくなる。

 

清魅「こういう時って確か···抜いちゃダメなんだっけ?」

 

ヒロ「痛い···痛いよ···!」

 

清魅は再びヒロに肩を貸して進む。ヒロは心配で清魅の顔を見上げる。

 

清魅「···大丈夫。絶対に助けるから!」

 

清魅はヒロに笑いかける。そして下の階に向かおうとしたところで下の階で大きな爆発が起こり、2人は離れた場所に飛ばされる。

 

清魅「クッソ···!兄貴、大丈夫か?」

 

ヒロ「清魅!···清魅ぃ!」

 

ヒロは木片の刺さった足を引きずりながら清魅の元に行こうとするが、清魅はふと横に目を向け、目を見開く。

 

清魅「クソッ!」

 

清魅はヒロに駆け寄り、抱き上げる。

 

清魅「いい?受け身取れよ?」

 

ヒロ「と、取れるけど···」

 

ヒロは清魅に抱き抱えられ、窓の近くまで運ばれる。

 

清魅「絶対また会えるから!だからそれまで泣くんじゃないよ!」

 

ヒロ「えっ!?ちょっと、清魅!?」

 

ヒロは清魅に窓から投げられ、全てがスローモーションに見える。

 

 

 

ヒロ「清魅いいいいいいいいいっ!」

 

 

 

清魅は涙を流しながら笑顔でいる。

 

 

 

そした清魅の横で爆発が起こり、清魅は木片と共に海に投げ飛ばされる。

 

 

 

地面に落ちたヒロは起き上がるものの、あまりの出来事に体が動かず、ただ叫ぶことしかできなかった。

 

ヒロ「あ···あ···ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

 

その後、銀治の連絡を受けて駆けつけた冴によってヒロは病院へ運ばれ、その後事件について調査が行われた。

犯人はヒロをいじめた生徒の家族であり、骨折させたことへの報復が目的で自作の火炎瓶と爆弾を投げ入れたとの事。これにより、その生徒の家族は刑務所行きとなり、その生徒もいじめの件で捜査が入ることとなった。

また、ヒロの両親はこの放火により死亡していた。

 

しかし、ヒロはこの事件によるトラウマから喋れなくなり、大きな火を見るとフラッシュバックしてしまうようになった。

その後は銀治がヒロの保護者となり、ヒロに様々な事を教えると同時に、自身の助手として手伝いをさせることとなった。

 

しかし清魅の遺体は見つかっておらず、ヒロはその事からも行方不明ということにしてもらっている。

 

なお、軍部の人達はヒロの事を考え、情報を漏らさない事を条件に銀治と共に基地に入ることを特例として許すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、思い出を振り返ったヒロは鞘の取っ手を握り締め、立ち上がる。

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

ヒロと清魅の過去を明かし、ヒロの会話も出してみましたが、どうだったでしょうか?
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