Ravens lane ─鴉達の未来─ 作:ダイヤモンド傭兵
重桜がアズールレーンから離反する少し前、愛海と蛟の出会いとは···?
ある曇った日、店を少し休みにすることにした愛海に友人から電話がある。
愛海「···ええっ!肝試し!?懐かしいけれど、この歳でやるのは珍しいわね」
友人《そうなのよ~。けどなんだかウズウズじゃって!》
愛海「まあ、廃墟巡りとしてなら行くけど」
友人《やったぜ。カモーン!》
愛海「はいはい···ちょうど明日休みだし、じゃあね」
翌朝、愛海は準備を整えて"肝試し"の場所へ向かう。そこは古い海軍基地で、地元でも知っている人が少ない程の廃墟だった。
友人「やっほー!愛海ちゃんおひさー!」
友人の息子「どうも、お久しぶりです」
愛海「2人とも相変わらずね~。さて、行くんなら行きましょ?」
友人「そうこなくっちゃね!」
3人は廃墟となった海軍基地に入り、進んでいく。空が曇っているため、より陰鬱な雰囲気が漂っている。そして壁に大きな穴の空いた部屋に1羽のカラスがおり、「カァ」と一声鳴いて飛び去っていく。
愛海「カラス···"レイブン"···」
友人「愛海っていつもカラス見る度に物思いにふけるわよね」
愛海「うん···」
愛海の脳裏にはどこか仔犬のような雰囲気を感じさせる1人の男性が浮かんでいる。
友人の息子「あ、もしかしたら雨が降るかもしれません。早く行きましょう」
そして奥へと進んでいくと突然床が抜け、愛海は地下に落ちてしまう。
友人「愛海!」
友人の息子「大丈夫ですか!?すぐに行きます!」
愛海「痛ったた···私は大丈夫!」
愛海は登るか出るかしようと部屋の中を見渡す。すると資料の束を見つけ、読んでみる。
愛海「ふむふむ···ここって、海軍基地の中でも軍艦の設計とかを担ってた所だったのね。どうりでこの部屋にそれ関係のものが多いわけね」
再び見渡すと、1つの蜂の巣が視界に入る。それは棚の1つにできているが朽ち果て、辺りには死んだ働き蜂が落ちている。
しかしよく見ると、蜂の巣が何かを巻き込んで作られており、それは紙のようだった。愛海が蜂の巣に触れてみるとそれだけで蜂の巣は崩れてしまい、紙にへばりついた部分をそっと取り除く。
それは、1枚の軍艦の設計図だった。
愛海「これって···」
愛海は何かよくわからないものの何かを感じとり、部屋を後にする。
その後帰宅することとなり、喫茶店『鴉の家』と1つになっている家で汚れをとり、綺麗にした設計図を見る。
それは、軍艦としては異形ともいえる形をしていた···
2日後、愛海は地元の子供達と一緒に海岸のゴミ拾いをしていた。他にも大人数人とKAN-SEN2人がいる。
順調にゴミ拾いを続け岩場に向かうと、何かが日光を反射した。近づいてみると、少し曇った色をした透明な立方体があった。
愛海「これ、インテリアに使えそうね」
そう言って愛海は立方体を持ち帰った。
そして設計図を調べるのと立方体をどうインテリアにするかを同時進行していた愛海は手を滑らせ、立方体を設計図の上に落としてしまう。
すると立方体は光り輝き、愛海は光に包まれた。
気がつくと愛海は軍艦の上に立っており、辺りは霧に包まれている。
愛海「ここは···?」
愛海は少し歩いてみると、どこかからすすり泣く声が聞こえ、声の元に向かうことにした。すすり泣く声の元には1人の女性がうずくまって泣いていた。
愛海「あなたは···誰?」
女性が振り向く。黒い長髪、黒い巫女服、そして赤い下駄を身に付けている。
女性「あ、あなたは···どうしてここに?」
愛海「私もわからないの···私は神城 愛海。あなたは?」
女性「私は···扶桑型秘匿航空戦艦"蛟"···あなたは不幸?それとも幸福?」
愛海「そう、あなたは蛟ちゃんっていうのね。それと私は···不幸か幸福かなんてわからない。それにあなた···あの海軍基地でどうして蜂の巣に巻き込まれてたの?」
すると蛟の目つきが変わり、体が震えだす。
蛟「私は···不幸···私は···忘れられて···誰からも、忘れられて···」
それを見た愛海は蛟をそっと抱き締める。
愛海「あなたは不幸じゃない。私があなたを見つけたし、覚えているから。だからもう、自分の事を不幸なんて言わないで」
蛟「愛海···さん···私···」
蛟は声を上げて泣き、愛海は泣き止むまでずっと抱き締めていた。
そしてしばらくし、蛟は泣き止むと涙を拭い愛海に向かって敬礼する。
蛟「私はこれよりあなたに仕え、共に行くことを誓います」
愛海「仕えるなんて別に···なら、友達で良いじゃない?」
蛟「ありがとうございます。ではこれより、出港します!」
軍艦は進み、光の中へと進んでいく。
光が収まると愛海は自室におり、蛟もいた。
愛海「なるほどね···そういえば隣の部屋が空いてるから、そこを自由に使って。それと···」
愛海は蛟の肩を掴み···
愛海「私の店で働いてみない?」
翌日から蛟は愛海に色々教えてもらいながら喫茶店で働くこととなっり、最初はレジだけだったが、料理の腕が良かったため裏方での活躍が増えていった。
そして蛟は次第にそれが楽しくなっていった···そんなある日、重桜がアズールレーンから離反し、鉄血と共にレッドアクシズを結成した。それからしばらくして、鴉の家に予想外の客が訪れる。
義人「ここが、鴉の家か···」
愛海「あらあら、重桜の指揮官がどうしてこんな所に?」
義人「私の師がよく来ていた店だと聞いてな。コーヒーを頼む」
愛海「なるほどね···じゃあ、持ってくるわ」
そして義人以外の客で最後の客が会計のためにレジに向かい、そこに蛟が出て会計を済ませる。すると蛟を見た義人の目が見開かれる。
義人「貴様···KAN-SENだな?」
愛海「いいえ、この子は···」
蛟「隠し通すことは、できないようですね···」
義人「軍に来てもらおう。見たことのないKAN-SENだが、戦力になるはずだ」
蛟「残念ですが、お断りさせていただきます。もし、どうしてもというのなら、私に勝利してからにしてください」
義人「ほう?言うものだな」
蛟「私が勝てば、今日の事は全て無かったことにしてください」
義人「なるほど···良いだろう」
とある演習海域にて、義人の艦隊が位置に着く。編成は『扶桑』、『山城』、土佐、暁、高雄、愛宕である。
そして艤装を展開した蛟が現れるが、その姿に艦隊は息を飲む。
巨大で、大型の3連装砲が2つあるだけでなく、最も特徴的なのは4枚の飛行甲板である。X字に伸びているそれは異様な存在感を放つ。
推奨BGM『Dragon Dive』(ACfaより)
蛟「私は扶桑型秘匿航空戦艦"蛟"!姉様方、先輩方···ここで越えさせていただきます」
蛟は4枚の飛行甲板から大量の蜂が飛び立ち、それぞれが艦載機になる。そして大量の艦載機による攻撃に砲撃を混ぜていく。
義人の艦隊はその圧倒的な飽和攻撃により蹂躙されていく。しかしそれでも土佐達は攻撃をなんとか当てていっている。
愛海が観客席から見ていると、隣の席に1人の女性が座る。
女性「失礼。あなたがあのKAN-SENの主かしら?」
愛海「まあ、そうね。あなたは誰?見慣れない格好だけど···もしかしてセイレーンだったりする?」
女性「フフッご名答、流石に気づくわよね。私はオブザーバーよ」
愛海「セイレーンが私に何の用?もしかして、この場で私を殺す?」
オブザーバー「無闇な殺しなんてしないわ。私はただ見に来ただけ」
愛海「そう、なら良いわ」
オブザーバー「案外あっさりしてるのね?」
愛海「私は戦争が嫌いなだけよ」
蛟は土佐の砲撃を艦載機の1機を盾にすることで防ぎ、更に自身の周囲に爆撃し、水柱を発生させる。そして水柱が無くなった時には蛟はおらず、土佐は蛟の砲撃を受けて大破判定となる。
そしてその後も蛟の優勢は続き、蛟の勝利となる。
蛟「では···約束は守ってもらいますよ?」
義人「···仕方ない、行くぞ」
義人と艦隊は去っていく。すると蛟はオブザーバーに砲口を向ける。
蛟「今のところ害は無いとはいえ、仮にも敵です。離れてください」
オブザーバー「はいはい···じゃあまたね」
オブザーバーはワープでその場から消える。
愛海「さて、蛟ちゃん···帰ろっか」
蛟「はい」
読んでくださり、ありがとうございます!
今回は愛海と蛟の出会いを書きましたが、どうだったでしょうか?
蛟の詳細については次回載せます!