Ravens lane ─鴉達の未来─ 作:ダイヤモンド傭兵
赤城達を裏切り、地下に投獄された北連のKAN-SEN達。
彼女らとヒロの鉄格子を隔てたお話···
番外編です。時間軸としては第37話の時です。
地下牢へと投獄された北連艦隊の『ガングート』『タリン』『キーロフ』『チャパエフ』の4人。
ガングート「これは···どういうことだ?」
投獄されてからしばらくし、朝起きてみると各牢屋の差し入れに個包装のクッキーや煎餅、グミなどが毎晩1つ入れられているのだ。
毒が入っている様子は無かったため、4人は不思議に思っていた。
足音を聞いていると看守では無いことがわかる。そのためある夜、眠らずに差し入れをする者を突き止める事にした。
その夜、足音を極力立てずに現れた何者かがそっと差し入れのグミが1袋入れられる。
その人物は闇に紛れるよう黒い服と黒いマスクをしていた。
ガングート「誰だ?毎晩差し入れを入れてくるのは。礼は言うが、私達は敵だぞ?」
すると1枚の紙が入れられる。
『敵でもやっぱり戦いたくないし、ここは悪い所じゃないってことを知ってほしい』
ガングート「取り入ろうとでもいうのか?」
再び紙が入れられる。
『それは違う。僕はただ争いたくないし、それに力に溺れたら止めてくれる人がいるし、誰かが溺れたら僕か止めに行くから』
ガングート「随分と信頼してるんだな」
再び紙が入れられる。
『うん!それともう時間だからまたね!』
すると差し入れをした人物は再び極力足音を立てずに去っていった。
その人物はヒロであり、自室に戻る途中背後から声をかけられる。
雪羅「ヒロ···」
振り向こうとすると背後から抱き締められる。
雪羅「あなたの優しさは本当に素晴らしいです。しかし、それが通じない相手もいます···あの4人も、あなたの優しさが通じるかどうか···」
ヒロは上を向くと、雪羅はヒロの顔を見下ろしていた。
雪羅「ですがご安心を。私は黙って見守ります···さ、今夜はもう寝ましょう」
次の夜、今度はタリンがヒロに質問をした。
タリン「あなたはここがどれだけ力を持ってるのか解ってる?他のどの国も見つけることのできていない秘匿KAN-SENを唯一保有し、ロイヤルと鉄血の最高戦力の艦隊も保有している。これが世界のパワーバランス的にどれだけ危険か解ってる?」
少ししてから紙が入れられる。
『僕にはパワーバランスは解らない。でも力を持っているからって危険かは解らないと思う。
もし力を持っているだけで危険だってするならそれは過去の人間の過ちを繰り返してるだけになるとも思う』
タリン「·····確かに、そうかもしれないわね」
すると時間が来たようで、『時間だからまたね!』という書き置きを残してヒロは去っていった。
タリン(ん?そういえば看守はなぜか見回りに来ないわね···なぜかしら?)
その次はキーロフがヒロに質問をしてきた。
キーロフ「やぁ、今夜もお菓子をくれることに感謝する。1つ、謝罪させてほしい。私は敵であろうと団結と友愛を教えようと思っていたが、私達の指揮官には残念ながら伝わらずこのようなことになってしまい、そればかりか···君達には既に団結と友愛が眩しいほどにある···あんなことをしてすまない···」
ヒロは首を横に振り、紙を入れる。
『気にしないで』
キーロフ「そうか·····そうだ、君の名前を教えてくれないか?私はキーロフだ」
『僕は鴉間 ヒロ』
キーロフ「···!?じゃあ、君があの···なるほど、どうりであの眩しいほどの団結と友愛があるのか···少し理解できた気がするよ」
ヒロの名乗りにより、他の3人も驚愕している。そして時間が来たようで、ヒロは去っていった。
次の夜、今度はチャパエフが話しかけてきた。
チャパエフ「ねぇ、今夜は私とお話してみない?」
ヒロは頷く。
チャパエフ「そうね···あなたは黒鉄 義人を止めるために自ら戦場に出向いたのはどうして?危険な事はKAN-SEN達に任せれば良いのに」
ヒロはあの時の事を思い出し、紙を入れる。
『僕は、ただ見ているだけなのが辛くて、それに陸なら武器があれば戦えるから』
チャパエフ「なるほどね···お互いにとても信頼し合っているから、あの場にあなたはいれたのね。こっちの指揮官とは真逆ね」
そしてヒロが時間になって去っていく。
それから3日後、4人は釈放されることとなる。
ガングート「釈放?どういうことだ?」
赤城「ヒロがあなた方の釈放を求めてきたのですわ。今回は、ヒロの優しさに免じての釈放です」
ガングート「そうか···少しだけ、時間をくれないか?」
赤城「···10分だけです」
ガングート「感謝する」
そして4人はあることを話し合う。そしてガングートは赤城の元に戻る。
ガングート「赤城···1つ頼みがある」
赤城「なんでしょうか?」
ガングート「私達を、ここに置いてはもらえないだろうか?」
赤城「はい?」
ガングート「裏切り、攻撃してきた身だ。信頼できないのは解る···だが、ヒロと話してみて解ったことがある···それは」
赤城「ちょっと待ってください!ヒロと···話を?」
するとヒロが駆け寄り、ガングートの口を塞ごうとする。
赤城「ヒロ···」
ヒロは赤城にペコペコと何度も頭を下げる。
赤城「はぁ···こういうことは一言言ってくれればよろしかったのに···ヒロが良ければ、私は構いません」
そしてヒロは紙を口に加え、ガングート達に手を差し出す。
『ようこそ重桜へ!』
ちなみに、この事を後で知った銀治は遠い目をしており、冴は笑っていた。
冴「平常運転ねw」
読んでくださり、ありがとうございます!
今回はどのような経緯でヒロ達を攻撃してきた北連の艦隊がヒロの元にいることになったのかを書きました。
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