Ravens lane ─鴉達の未来─   作:ダイヤモンド傭兵

71 / 85

アズールレーンとレッドアクシズ、そして余燼とアビータとの戦いを終え、世界は争いを一時的に終えることとなる。
しかし、1つだけ決着をつけなければならない者がいた···


幕間 過去の決着

それぞれの戦いを終え、世界は争いを一時的に終えることとなり、復興が進んでいる。

セイレーンとアビータの協力もあり、人間やKAN-SEN達だけよりも遥かに復興は進んでいく。

 

そしてヒロは赤城、雪羅と共に重桜のいくつかの基地の視察に行くこととなった。銀治は用事で行けないため、その分は雪羅が補う事となっている。

 

赤城「ほら、見えてきましたわよ」

 

着いた基地は設備こそ少し前の物が使われているものの、整った雰囲気である。しかし清掃が行き届いているように見えても、不自然な点がいくつかあった。また、一部のKAN-SENの表情は良いものではなかった。

 

赤城「これは···」

 

雪羅「少々怪しいですね···」

 

そして応接室にて秘書艦とこの基地の指揮官と対面する。ボサついた黒髪に小太りの男性である。

 

男性「こんにちは。私は『鼠屋(ねずみや) (みのる)』です。今日はご足労で···ん?」

 

ヒロは赤城の後ろに隠れ、赤城の尻尾を握り締めている。そして尻尾を握られている赤城と隣にいる雪羅には、ヒロがかすかに震えているのが解る。

 

鼠屋「どうされましたか?」

 

鼠屋は赤城の後ろに隠れているヒロの元に回り込もうとするが、ヒロは男性とは反対側に動く。

 

鼠屋「仮にも視察に来ている身でしょう?なら顔くらい見せてくださいよ」

 

赤城「申し訳ありませんが、嫌がっていますので···」

 

しかし鼠屋は無理矢理ヒロへと近づこうとしたため、雪羅が割って入る。

 

雪羅「これ以上はやめてください···今回の視察や今後の予定は私が対応しますので、2人は船に戻っていてください」

 

鼠屋「おい···!」

 

そして赤城とヒロが部屋から出ようとした時、ヒロの顔が鼠屋に見られてしまう。

 

鼠屋「おいお前···ヒロか?久しぶりだなぁ!」

 

鼠屋はズカズカとヒロに近づき手を伸ばすが、雪羅がその手を捻り赤城はヒロを自身の後ろに隠す。

 

鼠屋「痛てて···何すんだよ!?」

 

雪羅「これ以上はやめてくださいと言いましたよね?」

 

赤城はヒロを連れてその場から離れることにした。

 

 

 

 

 

 

ヒロは船の中で赤城にしがみついており、未だ震えていた。

 

赤城「大丈夫ですわ」

 

赤城はヒロの頭を優しく撫でながら考える。

 

赤城(まさか、この基地の指揮官は以前ヒロをいじめていた害虫の1人?)

 

赤城はヒロに尋ねる。

 

赤城「ヒロ···もしかして、あのがい、この鼠屋は···過去にヒロをいじめていた人の1人ですか?」

 

ヒロは頷く。

 

ヒロ「うん···それも、いちばんたくさんやってきたひと···」

 

赤城はヒロを抱き締める。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、鼠屋は怒鳴り散らしていた。

 

鼠屋「おいテメェ!なんで"俺のオモチャ"を隠したんだよ!?あぁ!?」

 

雪羅「怒鳴り散らすのは話し合いにおいて無駄な行為ですのでやめてください。それに···私の主をオモチャ呼ばわりするのもやめてください」

 

鼠屋「はぁ?お前頭おかしいのか?"あれ"はな、1人じゃ何もできなくて、障がい者で、世の中のゴミなんだよ!それを俺がオモチャとして扱ってやってたんだからありがたく思えっての!」

 

雪羅が鼠屋を撃ち殺そうとした瞬間、雪羅に通信が入り、鼠屋には緊急の電話が入る。

 

雪羅「···なんです?今、ヒロを過去にいじめ、今侮辱したゴミにも満たないものを排除しようとしたというのに」

 

銀治《赤城とヒロから話は聞いた。奴がいじめの主犯だということも調べはついている···そこでだ、演習で決着をつけようというわけだ》

 

雪羅「それはそれは···」

 

銀治《だから今は待ってくれ。儂も奴を殺したいぐらいには思っとる》

 

雪羅「まあ良いでしょう···」

 

しかし鼠屋は相変わらず怒鳴り散らしていた。

 

鼠屋「何でだよ!?なんで負けたら軍をやめさせられて、しかも逮捕されんだよ!?」

 

軍人《あなたが過去にしてきたことの結果です。では後程鴉間さんの艦隊が到着しますので》

 

電話は一方的に切られてしまい、鼠屋は電話機を壁に投げつけ、電話機は壊れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演習は3回行われ、1回戦と2回戦は艦隊演習、最後はヒロと鼠屋とのタイマンである。

また、1回戦と2回戦で負けていた場合、最後の演習で勝てば勝ちとなるルールである。

 

そして1回戦目の編成は···

 

ヒロ陣営:三笠、赤城、加賀、時雨、オイゲン、綾波

 

鼠屋陣営:翔鶴、伊勢、比叡、衣笠、那智、加古

 

 

 

鼠屋「あれが組んだ艦隊に、俺の艦隊が負けるわけねぇだろ!」

 

三笠「総員、進め!」

 

1回戦目の演習が始まり、赤城と加賀は艦載機を発艦させる。鼠屋の艦隊は応戦するが、前衛の艦隊は時雨と綾波のスピードに翻弄され、回避しきれずに攻撃を連続で受けてしまう。

 

鼠屋「なんでだよ···なんでだよ!?」

 

鼠屋は狼狽えているが、観客席にいるヒロに横からビスマルクが解説する。

 

ビスマルク「鼠屋の艦隊は火力ばかり重視して前衛を重巡だけで構成している。これでは全体的な動きが遅くなり、敵に駆逐艦がいた場合は簡単に翻弄されてしまう。

でもヒロの編成はとても良い。防御はオイゲンに任せて時雨と綾波による機動戦を行い、赤城と加賀の艦載機で支援、そして三笠の砲撃···あなた、作戦指揮は苦手と聞いたけど編成は上手いみたいね」

 

そしてヒロの艦隊により鼠屋の艦隊は結局圧倒されてしまい、鼠屋の惨敗となる。

 

 

 

 

 

2回戦目の艦隊は···

 

ヒロ陣営:長門、大蛇、ゴア、ベルファスト、ドイッチュラント、ケルン

 

鼠屋陣営:駿河、瑞鶴、飛龍、鈴谷、那珂、朝潮

 

 

 

鼠屋「なんで···長門が···!?」

 

長門「皆の者···行くぞ!」

 

2回戦が始まると、開幕から大蛇とドイッチュラントが砲撃し、ゴアは大量の艦載機を発艦させて瑞鶴と飛龍の艦載機を防ぎにかかる。

更にベルファストの使った煙幕に紛れてケルンとベルファストは砲雷撃を仕掛ける。

 

そして、鼠屋の艦隊は1回戦の時と比べて連携が取れていないだけでなく、より疲労していた。

 

ビスマルク「なるほど。おそらく1回戦目の艦隊が最高戦力で、あの艦隊は整備や休息を取らせていたのに対し、こっちは全然させてなかったようね。だから疲労による動きの鈍さ、連携の遅れが目立ってしまう」

 

そして2回戦目もヒロ陣営の勝利となったが、鼠屋は喚いている。

 

鼠屋「なんでテメェら負けてんだよ!?あんな···あんな···!」

 

ドイッチュラント「黙りなさい下等生物!」

 

 

 

 

 

そして、最後のタイマンの前に基地に電話がかかってきた。どうやらヒロに変われと言っているようだが、雪羅が出ることにした。

 

雪羅「ヒロは現在手が離せませんので、私が変わりに要件を聞きます」

 

女性《まあ!こんな時に手が離せないですって!?親の顔が見たいわ!》

 

雪羅「(拳を握り締める)···早く要件をどうぞ」

 

女性《私は実の母です!では単刀直入に申し上げます!今すぐ演習を中止なさい!》

 

雪羅「中止することはできませんが、どういう事です?」

 

鼠屋母《鴉間 ヒロは身勝手な根も葉も無い事を根に持っての復讐をしたいに決まってますわ!》

 

雪羅「根も葉も無い···?」

 

鼠屋母《そうです!私の子に限っていじめなんて事はしないに決まってますわ!それに復讐は何も生みませんわ!即刻演習を中止なさい!》

 

雪羅「···根も葉も無い?こちらは既に証拠を押さえてあるので言い逃れはできません。それに復讐はどうこうと言ってますが、そんなものはただの綺麗事であり、してしまったことは何かしらの"落とし前"をつけなければならないのです。

ですので、演習を中止することはこれらの観点からもできません。それでは」

 

雪羅は電話を切り、深呼吸をしたがその目は酷く冷たく、周囲が凍りつくかのようである。

 

天「抑えろ。その顔でヒロの前に出るつもりか?」

 

雪羅「···そうでした。私としたことが」

 

天「気にするでない。さぁ見に行こう、ヒロの決着を」

 

 

 

 

 

 

3回戦目のタイマンは木刀1本を使っての戦いであるが、実戦で死亡の判定になった時点で負けである。

 

エリザベス「では···初め!」

 

エリザベスの合図と同時に鼠屋は木刀を振り上げてヒロに突撃し、木刀を振り下ろす。

しかしヒロは鼠屋の木刀が脳天に当たる瞬間に左手で受け流しながら懐に潜り込み、鳩尾に突きを直撃させる。

 

ヒロ「これはおとうさんの分!」

 

鼠屋が倒れる前にヒロは鼠屋の腰に横薙ぎに一撃を当てる。

 

ヒロ「これはおかあさんの分!」

 

そして前のめりに傾いた鼠屋の顔面に下から木刀で斬り上げるように一撃を当てる。

 

ヒロ「これは···僕の分!」

 

エリザベス「勝負あり!勝者、鴉間 ヒロ!」

 

戦いを見ていた者達からは歓声と拍手が上がる。

 

銀治「さて、お前は儂の手で逮捕させてもらおう」

 

冴「もう逃げられないわよ?」

 

銀治が手錠を持って近づくが、鼠屋は逃げようとする。しかしその前に清魅が立ち塞がった。

 

清魅「よう、久しぶりだな」

 

鼠屋「お、お前は···!」

 

清魅「ああ。鴉間 清魅だよ···セイレーンになって地獄から戻ってきたんだよ!」

 

清魅は鼠屋の顔面に回し蹴りを直撃させ、鼠屋はそのまま拘束される。

 

清魅「今のは私の分!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ヒロのいじめや放火に関与した者達は次々と逮捕されていき、その全ては牢獄行きとなった。

 

清魅「兄貴、終わったか?」

 

ヒロ「うん!」

 

銀治「清魅は?」

 

清魅「最高にスッキリしたよ!」

 

銀治「そっかそっか!なら、今夜は2人に儂がラーメンを作ってやろう!」

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

今回で、ヒロを縛りつけてきたものに決着が着きました!
さて、次章はどんな展開が待っているのでしょうか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。