Ravens lane ─鴉達の未来─ 作:ダイヤモンド傭兵
ケンタウルスは1人の少年を愛した。
しかし、もしもその愛が成就していたとしたら···
DLCです。本編(番外編と外伝も含む)を読み終わってない方は読み終わってから来てください。
※ifルートなので本編とは関係ありません。
祭りの後の宴会でケンタウルスは楽しむヒロを微笑みながら見ていた···
ケンタウルス(ヒロ···お前を想うようになったのは、いつからだろう?)
ケンタウルスの脳裏には銀治がヒロに設計図をプレゼントした日の事が思い浮かぶ。
長い間保管され、忘れ去られていた設計図を銀治が「いらないなら貰うぞ」と言って持ち出し、設計図のケンタウルスは箱に入れられる。
当時のケンタウルス
(もう、不要な私なんぞ···何の役に立つ?)
そしてしばらくして箱を開けたのは1人の少年だった。その少年こそヒロであり、設計図を見るなり目を輝かせ···
ヒロ「カッコいい···!」
当時のケンタウルス
(今、何と言った···?)
ケンタウルスはその言葉がにわかには信じられなかった。開発者が研究の末に辿り着いた設計図、それを他の者達は認めずに一蹴した。そして設計図を保管する時の開発者の涙を今でも覚えている。
しかし、ヒロは笑顔で目を輝かせ「カッコいい」と言った。それはケンタウルスが開発者以外で初めて誉められた瞬間だった。
ヒロはケンタウルスの良い所を見つけ出し、本当に造られたらと想像し、大事に保管した。
それだけでなく、寝る前には必ず設計図を眺める。
それがケンタウルスにとって、堪らなく嬉しかったのだ。
そして、銀治は他の設計図も集めてはヒロに渡し、その度にヒロは目を輝かせていた。
自分達を認め、目を輝かせてくれる···そんなヒロに対し、当時はまだ設計図だった秘匿KAN-SEN達はヒロに忠誠を誓った。
ケンタウルス(あの後、私達の保管箱を耐火性に優れるものに変えたその日に、あの放火があったな···)
ケンタウルスだけでなく、ヒロの持っていた設計図達は気分転換しようと設計図を見たヒロの···堪えきれずに流した涙を覚えている。泣こうとも声が出ず、静かに流した涙を···
ケンタウルス(もしかしたら、最初に「カッコいい」と言われたその時に、私はもう惚れていたのかもな···)
ケンタウルスは1つの決心をし、ヒロを外へ連れ出す。
海辺までヒロを連れて行くと、月明かりが2人を照らし出している。
ケンタウルス「ヒロ、お前に伝えたい事がある」
ヒロ「なに?」
ケンタウルス「ヒロ、私は···その、お前を···」
赤城「水を差すようで悪いですが、待ってもらえます?」
2人が振り向くと、赤城が演習用の槍と薙刀を持って立っていた。
赤城「ケンタウルス、この私とこの場で勝負してくださいまし」
ケンタウルス「急だな」
赤城「ええ」
赤城の目には確かな闘志が見えており、まるで燃えているかのようだった。
赤城「ちょうどこの位置なら、宴会の会場からは見えませんわ」
赤城は槍を差し出し、ケンタウルスは受け取ってヒロの方を向く。
ケンタウルス「ヒロ、待っていてくれ」
ヒロ「うん。2人とも応援してるよ!」
2人は海へ出て対峙する。
推奨BGM『Silent Line Ⅲ』(ACSLより)
戦闘が始まると、ケンタウルスは槍を構え、赤城は艦載機を発艦させつつそれぞれ突撃する。
ケンタウルスは爆撃と魚雷を避けつつ赤城に突撃し、槍の範囲内まで接近する。ケンタウルスはそのパワーと突進力を活かし、赤城はケンタウルスより利く小回りを活かしながら艦載機による絡め手も使ってくる。
ケンタウルス(流石は空母、艦載機を絡めてきたな···)
赤城「どうしました?そんなものですの?」
ケンタウルスは左右にステップをしながら接近し、槍を突き出すが赤城はギリギリで躱し、鍔迫り合いとなる。すると赤城はケンタウルスにしか聞こえない音量で話し出す。
赤城「ケンタウルス···あなたがヒロを愛しているように、私もヒロを愛しているのよ」
ケンタウルス「なっ!?」
赤城「私はヒロを見ているだけで、火傷どころか火達磨になりそうな気分ですわ···しかし、私はあなたを試したいのです···あなたの、愛を!」
2人は同時に距離を取り、再び突進し鍔迫り合いとなる。
赤城「見せてみなさい、あなたの愛を···ただし、私の愛に敵うかしら!?」
ケンタウルス「上等だ!」
2人の戦いは激しさを増していく。しかしそれはどこか美しく、華やかですらあった。
赤城が薙刀で足払いをするがケンタウルスはそれを回避し、ケンタウルスは赤城に槍を突き立てようとする。しかし赤城は槍を踊るように回転しながら回避し薙刀を振るう。
ケンタウルスは薙刀を義手で受け止め、赤城の腹に突きを繰り出すが躱される。
赤城「良い···実に良いですわ!」
互いに、ヒロを愛する者同士···
ケンタウルス「おおおおおおおおっ!」
だがヒロはこの戦いが自身への愛であることを知らず···
そして、戦いの終わりは突然に···
赤城「そこっ!」
赤城の渾身の突きをケンタウルスは義手で掴み、槍を赤城の喉に突き立てる。
ケンタウルス「勝負あり、だな」
ヒロ「ケンタウルスの勝ちだよ~!」
赤城「ふう···なら、私は戻って宴会の片付けを手伝うことにしますわ···急なことで悪かったですわ」
ケンタウルス「いや、お前には感謝しなければならない。おかげで改めて覚悟が決まった」
赤城「なら良かったですわ」
赤城は去っていき、ケンタウルスはヒロに向き直る。
ケンタウルス「ヒロ···改めて、お前に伝えたい事がある」
ヒロ「うん、今度はちゃんと聞けるよ」
ケンタウルス「私は···ヒロ、おま、あなたを···愛している。だから、私と結婚してくれ」
ヒロ「え?」
ケンタウルス「今は指輪は無いが、明日にでも入手はできるだろう。それに、いつ死ぬか判らない今のうちにこの気持ちを伝えたかったんだ」
ケンタウルスはヒロの手を握る。
ケンタウルス「私と···結婚してくれ」
ヒロはポカンとした表情を浮かべた後、あたふたし始める。
ヒロ「えと···その···ぼ、僕で良いの?」
ケンタウルス「ああ。あなたでなければいけないんだ」
ヒロは顔を赤くする。
ヒロ「あ···えと···その···なんで、僕なの?」
ケンタウルスは右手を自身の胸にあてながら話し始める。
ケンタウルス「私がまだ、設計図だった頃にあなたが言ってくれた「カッコいい」という言葉、あの時に私はもう惚れていたのだ。そして共に過ごすうちにその想いは強くなっていった···そして今、ようやく決心が着いたんだ」
月明かりが、2人を照らす。
ケンタウルス「今ではもう、あなたの全てが愛おしい。だから改めて···私と、結婚してくれ」
ヒロは深呼吸をする。
ヒロ「スゥー、ハァー···ぼ、僕で良いなら」
ケンタウルスの目から涙が溢れ、ケンタウルスはヒロを抱き締める。
余談だが、その後結婚式のためのウェディングドレスの製作がかなり難航したのであった···
読んでくださり、ありがとうございます!
今回はifルートでケンタウルスの愛の成就を書きましたが、いかがだったでしょうか?