Ravens lane ─鴉達の未来─   作:ダイヤモンド傭兵

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ユニオンの視察にて、新たな可能性を見出だした銀治達の次の視察先はロイヤルとなった。

銀治には知り合いがいるらしいが果たして···


第8話 剣と盾

ロイヤルの軍港に到着すると、出迎えていたのはメイド服を着たKAN-SENだった。

 

ベルファスト「お待ちしておりました。ロイヤルのメイド隊隊長を務めております『ベルファスト』と申します。お見知りおきを···では、早速ですがこちらに」

 

この軍港は優雅さを重視した造形であり、ヒロもあまり見たことのないものが多く、興味津々である。

そして庭園を通りかかった際、1匹のミツバチがヒロの頭に止まるが、ヒロはニコニコしながらミツバチを頭に乗せたままにしている。三笠は心配していたが、しばらくしてミツバチは飛んでいき、ヒロはミツバチに手を振っていた。

 

そして視察の途中、茶会に誘われたため、せっかくなので参加してみることに。すると···

 

老人「やはり来たか···」

 

銀治「このタイミングで儂を誘うなどお前しかおらんだろ···『エルデア』」

 

エルデア「そうだな···さて、座るがよい。銀治、お前には儂自ら淹れてやる」

 

紳士服を着たエルデアと呼ばれた老人は手慣れた手付きで銀治に紅茶を注ぐ。

 

銀治「(紅茶を飲む)···ふう、やはりお前の紅茶は旨いな」

 

エルデア「今度そっちに視察に行こう。その時はお前のラーメンを食わせてもらおう」

 

銀治「任せとけ!」

 

エルデア「む、紹介が遅れてすまんな。儂はこの基地の指揮官のエルデア·リーダスだ」

 

ヒロはペコリと頭を下げる。

 

三笠「ということは、あなたはあの『策士のエルデア』か?」

 

エルデア「重桜のKAN-SENにも知られているとは光栄だ。そして、この茶会は席にいるそこの2人のKAN-SENは『クイーン·エリザベス』と『ウォースパイト』だ」

 

エリザベス「初めまして、私がクイーン·エリザベスよ!こうしてわざわざお茶会開いてあげてるんだから、感謝しないさいよ!この下僕達!」

 

ウォースパイト「初めまして、私はウォースパイト」

 

エルデア「銀治···積もる話もある。少し2人で話さないか?君達はゆっくり茶会を楽しんでくれ」

 

三笠「いえ、視察は···」

 

エルデア「まだ時間はある。ゆっくりしていけ」

 

エルデアは優しい笑みを浮かべ、銀治と共に庭園の奥に進んでいった···

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀治「話ってなんだ?」

 

エルデア「···これを見ろ」

 

銀治「これは···」

 

庭園の最奥には1つの墓があった。

 

エルデア「『エーデル』先生の墓だ···この場所が特に気に入っていたようでな、ここに埋葬した」

 

銀治「そうか···」

 

エルデア「···儂がここの指揮官になったのは、ここを守るためでもある。近年、ここの土地開発を目論む者が多くてな···潰していくのも面倒なのだよ」

 

銀治「よりにもよって先生の墓をか···」

 

エルデア「銀治···『エーデルの剣』とも呼ばれたお前に、1つ頼みがある」

 

銀治「『エーデルの盾』とも呼ばれたお前がか?珍しいな」

 

エルデア「儂ももう長くはない···儂はひと目であのヒロという男の有用性が判ったぞ···儂がこの世から去った時は、エリザベスをヒロの元へ配属させろ。その手はずは整っている」

 

銀治「随分と強引な···まあ、お前らしいが···それになんでヒロの所なんだ?アイツは指揮には向かないぞ?」

 

エルデア「それは判っている···儂が見抜いたのは···"危険性"だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリザベス「ふ~ん、あなたはヒロっていうのね!しゃべれるかどうかは関係なく、私の下僕に相応しいわ!」

 

三笠「下僕?」

 

するとヒロはメモ用紙に何かを書いてエリザベスに渡す。

 

エリザベス「この私に直接渡すなんて···いいわ、今回は特別に読んであげる···『下僕というより友達で良い?』ですって···」

 

ウォースパイト「陛下···」

 

エリザベス「·····いいわ、あなたは随分と度胸があるようだし、友達でも良いわ!···けど、いつか下僕にしてみせるから、待ってなさいよ!」

 

ヒロは"やってみろ"とばかりに得意気な顔をする。

 

三笠「では我も···」

 

エリザベス「あなたは下僕よ」

 

三笠「···」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀治「ヒロのどこに危険性が?」

 

エルデア「やはり脳筋、いや子煩悩のお前には解らんか···」

 

銀治「悪かったな」

 

エルデア「お前の事だ、この世界の残酷さと考え方は教えているだろうが、この世界の"本当の残酷さ"は教えていないだろう?」

 

銀治「·····」

 

エルデア「やはりな···まあ、それはそれで良いだろう···ヒロには本当の残酷さは知らなくても良い···だがな、おそらくヒロの内面には"獣"が住んでいるだろう···もし本当の残酷さを知れば"力"を手にしようとし、手にすれば世界を破滅に導くだろう」

 

銀治「お前···」

 

エルデア「だが、力を手にしなければ良いのだ···ヒロの目の輝きは素晴らしい。あれを曇らせるのは儂も嫌になる···だからこそ、多少強引なれども、"友"が必要なのだ。その友が力を手にするのを阻止してくれれば、後は自然に"獣"は消え行くだろう」

 

銀治「はぁ···お前の"策"には驚かされるよ···」

 

エルデア「よく言う···儂はお前の戦闘面にいつも脅かされていたがな」

 

2人はそう言って笑い合い、茶会の場所に戻った。

 

 

 

そこではエリザベスが自慢話をヒロに聞かせており、ヒロは興味津々で聞いていた。

 

エリザベス「そこで私はそいつに言ってやったのよ!」

 

エルデア「エリザベス、後は手紙でも良いだろう。そろそろ時間だ」

 

エリザベス「もう···ヒロ!また会いましょう!次に会うときこそは下僕にしてみせるわ!」

 

 

 

 

その後視察は無事に終わり、翌日に再び次の視察先へと向かうことになった。

 

銀治「さて、次の視察先は···鉄血か」

 

銀治はふとヒロの方を見る。良い夢でも見ているのか、寝ながらニコニコしている。

 

銀治「ヒロ···」

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます!

ヒロはかなりの危険性を持っていますが、どうなんでしょうね?
まあ、それはともかく···エリザベスと友達になりましたが、予想していた方はいたでしょうか?···え?してた?···orz

●エルデア·リーダス
身長168cm、白髪のセミロングで72歳。
『策士のエルデア』とも呼ばれている男であり、指揮能力は世界トップレベルであり、銀治とは親友でありライバルでもあった。
セイレーンが出現した初期の頃はその策によって2度もセイレーン艦隊を退けた唯一の指揮官でもある。

●エーデル·フォルン
身長170cm、白髪の短髪で享年80歳。
多国籍海軍部隊の教官を務めていた男性。銀治とエルデアの潜在能力を見抜き、それを最大限活かす事を教えた結果、2人を『エーデルの剣』『エーデルの盾』と呼ばれるまで成長させる。
銀治はその戦闘力の高さを伸ばし、エルデアは策士としての腕を伸ばしたため、教官としての能力は世界トップレベルである。
80歳半ば、病により死亡。
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