蒼の死神と呼ばれた少年に祝福を!   作:洟魔

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1位 累
2位 零余子
3位 魘夢


この蒼の死神に魔剣使いを

〈ギルド〉

 

「おはよ、ルナさん」

 

「えぇ、おはようユウ君」

 

「受付の掃除してるの?手伝おうか?」

 

「いいの?じゃあお願いね」

 

「任せてよ!」

 

ベルディアさんの襲撃から一週間後、あれから何事もなく日々は過ぎていった。僕はルナさんにあいさつをして、受付の掃除を手伝っていると。

 

「もう限界!借金に追われる生活!クエストよ!あのデュラハンのせいで、きついクエストしかないけど受けましょう。お金が欲しいの!!」

 

というアクアの声が聴こえてきた。まだ借金あったんだ、アクアって。そう思っているとまた声が聞こえてきた。

 

「わ、私は構わないが」

 

「お、お願いよおおお!もう商店街のバイトは嫌なのよ!コロッケが売れ残ると店長が怒るの!頑張るから!今回は私全力で頑張るからぁぁぁ!!」

 

「俺の金もいずれ無くなるだろうし。良さそうなクエスト、見つけてこいよ」

 

「分かったわ!」

 

そう言ってアクアが、クエストが貼ってある掲示板に向かっていった。大丈夫かな……?

 

大丈夫かなと思っていると、カズマがアクアに近づいていた。やっぱり不安なんだね。

 

アクアの方を見てみると、真剣な顔でクエストを選んでいた。そして、その中の1枚を剥がして手にとった。

 

「………よし」

 

「よしじゃねぇ!お前なに受けようとしてんだよ!?マンティコアとグリフォンが縄張り争いをしている場所があります。2匹まとめて討伐して下さい。報酬は50万エリス。……ってアホか!!」

 

確かに、そのクエストはカズマ達にはまだ早いね。するとアクアが

 

「ちょっと、これこれ!街の湖の水質が悪くなり、ブルータルアリゲーターが住み着き始めたので、水の浄化を依頼したい。湖の浄化が出来れば、モンスターは生息地を他に移すため、討伐はしなくてもいい。報酬30万エリス。私にピッタリのクエストじゃない!」

 

 

と、大きな声で言っていたので、僕と一緒に掃除をしていたルナさんもアクアがいる掲示板の方を見ていた。

 

「ルナさん、早く掃除終わらせないと遅くなっちゃうよ」

 

「あ、ごめんねユウ君。そうね、早く終わらせましょうか」

 

そう言って、僕たちは掃除を再開させ、数分後にようやく終わった。するとまだ、カズマとアクアが話していた。

 

「そもそも、お前水の浄化なんて出来るのか?」

 

「バカね、私を誰だと思っているの?名前や外見のイメージで、私が何を司る女神か分かるでしょ!」

 

アクアという名前や、外見のイメージでねぇ…。てか、自分のことを女神だと思っていたんだアクアって。うわぁーこれはちょっとな〜。するとカズマが

 

「宴会芸の神様だろ?」

 

「違うわよヒキニート!水よ!この美しい水色の瞳と、この髪が見えないの?」

 

確かに、アクアっていつも宴会芸を披露してるから、宴会芸の神様の方が納得できるね。でも、アクアは水の神様だと言ってる。そんなことを考えていると、カズマが僕にも質問してきた。

 

「なぁユウ、アクアってなんの神様に見える?」

 

「宴会芸の神様か、借金の神様じゃないの?」

 

「わああああああああっー!!私は宴会芸や借金の神様なんかじゃないわよっ!水を司る女神よ!水を!水なのにいいいいいい!!」

 

カズマの質問に答えたらアクアが泣いてしまった。からかうのもこれぐらいにしておくかな。

 

「カズマ、そのクエストなら戦闘もしなくていいし、大丈夫そうだから僕は別行動でいいかな?」

 

「えっ?ユウ何か用事か?」

 

「まぁね、試しに請けてみたいクエストがあるんだ」

 

「分かった。気をつけろよ」

 

そう言って僕は、掲示板の中の実験関係のクエストで、比較的安全そうなものを選んで、ギルドを出た。

 

 

 

 

「クエストを請けた者です」

 

「よくいらっしゃいました。さぁこちらへ」

 

建物から出てきたのは、僕よりも少し年上そうな女の人だった。その女の人に案内してもらって椅子に座った。

 

「今回はクエストを請けていただきありがとうございます」

 

「お礼はいりませんよ。それより、今回の実験は魔法薬の検証実験ですよね。どんな薬を使うんですか?」

 

「はい、今回の薬は傷を回復させるだけでなく、身体能力を上げる効果の薬を3品ほど用意しましたので、それを飲んでいただき、その後に身体能力テストをしてもらいます」

 

「分かりました」

 

「では、こちらの書類に名前をお願いします。私は薬を用意いたしますので」

 

そう言って女の人は奥に行った。今のうちに書類をくわしく読んでおこう。

 

「内容は比較的普通だね。効果内容も書いてあるし問題ないかな、注意点も細かく書いてあるし大丈夫そうだね。確かこれで三百万エリスだったよね?楽だね」

 

そう思い、僕は書類に名前を書いてさっきの女の人を待っていたけど、いつまでたっても来る様子がなかったから僕は、女の人が入っていった奥の方に行ってみた。

 

「すいませーん。書類を書き終わったので早く……?」

 

奥の方で女の人をみつけたが、薬を選んでいる真っ最中だったのか声が聞こえてきた。その声をよく聴いてみると。

 

「まさか最強のルーンナイトが来てくださるなんて私はツイている。じゃあこの赤い薬を飲ませてみよう。この薬を飲んだらどうなるか、ふふふ、楽しみだなぁ。かといってこっちの青い薬も、ふふふ、そしてこの紫の薬は、飲んだらそれはもう凄いことに、ふふふふ。おっといけない、興奮してしまってよだれが、ああっ!早く試したい!あーハッハッハ!!」

 

「……………」

 

僕は何も言わずに椅子に戻った。大丈夫だよね?ホントに大丈夫だよね?死んだりシないよね!?

 

「お待たせしました」

 

奥に行っていた女の人が戻ってきた。さっきの事があるのでついビクッっとしてしまった。

 

「では、お願いしますね。まずはこの紫の薬から飲んでください。一気にグッっとお願いしますね」

 

そう言って飲んだらそれはもう凄いことになるらしい紫の薬を渡された。だ、大丈夫だ!しょせんはただの薬、死ぬことはないはずだ!そう思い、僕は紫の薬を一気に飲んだ………。

 

 

ドクン!!!

 

 

 

 

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

「じゃあ、これがクエストの達成報酬の三百万エリスだよ。ユウ君、確認を……。ってユウ君大丈夫?」

 

「………うん、大丈夫」

 

今回のクエストで学んだコトは、これからは絶対に実験関係のクエストは受けないという事だ。もう絶対に受けたくない、うっ……。

 

「でも、凄く顔色が悪いし……よし、ユウ君ちょっとこっち来て」

 

そうルナさんが呼んだのでそこに行くと、いきなり正面から抱きついてきた。

 

「え?ちょっ!ルナさん?」

 

「いきなりごめんね?でもユウ君の顔色がすごく悪かったから癒やしてあげようと思って。どう?少しは気分良くなった?」

 

そう言われて僕は、心配かけちゃったなと感じて、ルナさんの背中の背中に腕を回して抱きついた。そして同時に、そんなに顔色が悪かったのかと思い二度と今回のようなクエストはやらないと心に誓った。

 

「うん、もう大丈夫。ありがとうルナさんおかげで元気出たよ」

 

「そう?なら良かったわ」

 

「じゃあ、また後でね」

 

そう言って僕はルナさんから離れた後、ギルドから出た。

 

 

ギルドから出て、しばらく街を歩いているとカズマ達の声が聞こえた。

 

「おい、いい加減その手を放せ。礼儀知らずにもほどがあるだろう」

 

「ちょっと撃ちたくなってきました」

 

「それはやめろ。俺も死ぬ」

 

「君たちは…クルセイダーにアークウィザードか、なるほど、パーティーメンバーには恵まれているんだね。君はこんな優秀そうな人たちがいるのに、アクア様を馬小屋で寝泊まりさせて、恥ずかしいと思わないのか?」

 

どうやら誰かと揉めているらしい。相手は……あーあの人か……。とりあえず止めようと僕はそこに向かった。

 

「そこまでだよ。キョウヤさん」

 

「なっ!ユウ!」

 

「カズマ、どうしてキョウヤさんと言い争ってるの?」

 

「こいつがいきなり絡んできて」

 

「ユウはそいつと知り合いなのか?」

 

「今入ってるパーティーの仲間だよ」

 

「なに!?」

 

そう言ってなぜか固まってしまったキョウヤさん。この人は最近冒険者になった人なんだけど、初めから高レベルのソードマスターになった、俗にいう天才というべき人だ。そう思っているとキョウヤさんが騒ぎ出した。

 

「なぜだ!僕の誘いは断って何でこんなやつのパーティーに!」

 

「えーと、あの時も言ったと思いますがもう一度言いますね。僕から見てあなたはつまらないと思ったから、あなたの誘いは断ったんです。それに、パーティー入りの試合も僕は勝ちましたからあなたにどうこう言われる筋合いはありません」

 

そう僕は前に、キョウヤさんのパーティーに勧誘されていた。だけど僕はそれを断った。理由は、一目見てつまらないと思ったからだ。それに、キョウヤさんは初めからソードマスターになっていたが、僕にはそんな凄そうな人には見えなかった。せいぜい一般人よりも少し上ぐらいの強さしか感じなかった。

 

だが、それで納得しなかったのか、何回もパーティーに勧誘してきてさすがにしつこいと思い、僕とキョウヤさんで試合をした。僕が勝ったらパーティー入りを諦めてもらい、キョウヤさんが勝ったら僕がパーティーに入るという条件で。結果は僕の勝ち。予想通りキョウヤさんはそこまで強くなく、剣の振り方も素人で、体幹もブレブレだった。ただ、キョウヤさんが持っていた剣は何か特別な感じがした。

 

その事を思い出していると、まるで同情でもするようにカズマ以外の僕達に笑いかけてきた。何なんだ?

 

「君たち、これからはソードマスターの僕と一緒に来るといい。高級な装備品も買い揃えてあげよう。ユウも、もう一度パーティー入りを考えてみてくれないか?」

 

「ちょっと、ヤバいんですけど。あの人本気でひくぐらいヤバいんですけど。ナルシストも入ってる系で怖いんですけど」

 

「どうしよう…あの男は生理的に受け付けない。攻めるより受けるのが好きな私だが、あいつだけはむしょうに殴りたいのだが」

 

「撃っていいですか?撃っていいですか?」

 

「僕も、パーティー入りは無しという事で」

 

「えーと。俺の仲間は満場一致であなたのパーティーには行きたくないようです。じゃあこれで……」

 

そう言って僕たちは立ち去ろうとする。だが、キョウヤさんが立ち塞がった。しつこいなぁ………。

 

「どいてくれます?」

 

「悪いが、アクア様をこんな境遇においておけない。だから勝負をしないか?僕が勝ったら、アクア様を譲ってくれ。君が勝ったら何でも一つ言うことを聞こうじゃないか」

 

何でこんな勝負を思いつくんだろう…。

 

「どうするカズマ、僕がやってもいいけど」

 

「いや、俺がやるよ。行くぞ!」

 

そう言ってカズマが奇襲を行う。キョウヤさんは急いで魔剣を抜くが……。

 

「『スティール』!」

 

カズマのスティールが発動してキョウヤさんが持っていた魔剣を奪い、その魔剣でキョウヤさんの頭を強打した。頭を強打されたキョウヤさんは気絶した。やっぱりカズマはスキルの使い方が上手いな。

 

「ひ、卑怯者。卑怯者卑怯者卑怯者!」

 

「この最低男!卑怯者!」

 

と思っていると、キョウヤさんのパーティーの女の子達がカズマのことを卑怯者と叫んでいた。僕からすればソードマスターのキョウヤさんが、ただの冒険者のカズマに勝負を挑むこと自体が卑怯だと思うんだけどなぁ……。

 

そう思っているとカズマが魔剣を持っていこうとしていたが、キョウヤさんのパーティーの女の子達はあの勝ち方を認めてない様だった。するとカズマが右手をワキワキさせながら女の子達に

 

「真の男女平等主義者な俺は、女の子相手でもドロップキックをくらわせられる男。手加減して貰えると思うなよ?公衆の面前で俺のスティールが炸裂するぞ」

 

と言うと、女の子達は悲鳴を上げながら逃げていった。そして僕たちはそれぞれ帰って行った。はぁ………疲れたな。

 

 

〈ルナの家〉

 

「ルナさん、もう一回抱きしめてくれないかな?」

 

「ふふっ、いいわよ」

 

ルナさんの家に来た僕は、ルナさんに抱きしめてもらっていた。はぁ……気持ちいい…。

 

そして十分に満足したところで離れて、お互いに見つめあい………。

 

「ルナさん……」

 

「ユウ君……」

 

名前を呼び合い、どちらからともなくキスをした。

 

「んっ……」

 

「んちゅ……ちゅう」

 

そしてお互いに唇を離し、離れた唇から唾の糸が作られる。

 

「はぁ…はぁ…ルナさん、愛してるよ」

 

「はぁ……はぁ…私も、愛してるわ。ユウ君」

 

そうして、もう一度二人は唇を重ねた。

 

 




R18書こうか迷ってます。

下弦の鬼は誰を出すか

  • 下弦の壱 魘夢
  • 下弦の弐 轆轤
  • 下弦の参 病葉
  • 下弦の肆 零余子
  • 下弦の伍 累
  • 下弦の陸 釜鵺

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