お゛れ゛の゛あ゛い゛は゛か゛っ!!(号泣
ーおっと、そこの君
そうそう、券売機の前にいる君のことだよ
今日はレースがないのに何を買おうってんだい?
俺と同じように散歩かい?
…散歩じゃない?…ふむ、君は何故ここへきたんだい?
知りたい馬がいる…とな
君はなんの馬に興味があるんだい?
あん?知らないかもしれないって?
俺は昔から競馬見てんだぜ?
しらねぇ馬なんていねぇよ
…ふぅん、時間はあるかい?青年
ここであったのも何かの縁だ
おじさんが馬について教えてあげよう
ほれ、その気になる馬とやらをおじさんに言ってみな
………「ハレバレ」…か、ずいぶん古いの知ってるじゃないの
君もずいぶんな通じゃないか……ん?
…まぁそりゃそうか
通じゃなくとも聞いたことぐらいあるか
有名中の有名だもんな
……ん?なんであいつが有名に成れたか?
あー……君は何歳だい?
‥ほう、24歳
若いね!でもじゃあ知らないんだろうな
かぁーっ!今の若いのは勿体ねぇなぁ‥今はあーんな薄っぺらい板一枚に執着してよォ…
画面越しにしか競馬を見ねぇもんな
…え?早く話せって?感傷に浸んなって?おめぇさん案外辛辣だな……
まぁまぁ慌てなさんな
ゆっくりと話たほうが伝わるからよ
…その前に一本吸ってもいいか?
……フゥー…おーんどっからはなしゃいいんだか……今の競馬ってよォどちらかというと育成に重きを置いてるだろ?
なんつーか昔は各々の個性で攻めてるような、そんな競馬だったんだよ
確かに調教やら、育成やらは大事だけどよ、なーんか後付けで作られた才能なような気がしてよ、今じゃ唯の見せモンに感じちまうんだ
…まぁ早い話『本物の賭け』って感じだったんだよ…誰もわからない、パラメーターも見えないしない、だから全霊でかけれる
それこそゴールドシップみたいのがな
あいつだって記憶に残ってるだろ?
それと同じようにクセが強いとそれだけ記憶に残るってこった
人間も同じようなモンだろ?
目立つやつは何かしら持ってんだよ
当然ハレバレもその目立つ名馬の中の一頭だったってワケだ
…あいつはよぉ…嘶くんだ
あぁ、もちろん平常時じゃないぞ?走ってる最中のスパートかける時によ
まるで気合入れるみたいにさ……途中で…だぜ?
おかしいだろ?笑っちゃうだろ?その反応は普通だ
なんてたってレース中だぜ?諦めたかなんかだと思うだろ?
なのになんでだろうな、他の馬がそうすると笑っちまうのにハレバレだけはなんかこう…なんつうんだ
……‥…あーもういいやめだやめ…ありゃー言葉では表せれねぇや
……歓声とかもよ全部静まり返っちまったんだ
人間ってのは極度に感情が高まると喋れなくなるってその時実感したよ
一挙一動目が離せなかったんだ
全てが神懸かってたぜ
感動というかなんというか…なんも考えられなかった
ただただ目にその姿が焼き付いてるぜ…今でもな
ま、それほど凄いってことだ
…あ?あー…今も世界レコードと一緒に映像が残ってると思うぜ
………あーだからここきたのか
まぁ見てみな
ここでうだうだ言ってても見ねーと分からんもんもあるってことさ
現代馬ですら太刀打ちできないと思わせるようなすげーもん見れんぞ
昔の馬は現代じゃ勝てないって言われてるけどよォ…
全く誰が言い出したのかねぇ…
じゃあな、俺はいくぜ
タバコが切れちまったからな…補充しなくちゃなんねぇ
お前さんも気をつけてな
……今の若いもんは新しいモノばっか見てるけどよォ
今の話を聞いてわかっただろ?
古いモンだって同じ、いや…それ以上に需要があるんだぜ?
じゃ、いくぜ
…あん?まだ聞きたいこと残ってたか?
………はっ、お礼なんて気にすんなや
…ただあの景色がよォ…後世で語り継がれれば
それでいいからよ
「くしゅんっ!」
…誰ですかね、私の噂をするのは。
あ、どーもどもハレバレです。
最近は暖かくなってきて大変走りやすい季節になってきましたね。
半袖でも出かけられそうなくらい寒さの姿を見ませんよ。
こんな日には……皆さんは何をしているのかな?
はいはい、音楽を聴いている
ほうほう、テレビを見ている
あ〜いいですね〜。
まぁこの季節ですもんね。
何にしろゆっくりしたいですもんね。
……ん?お前は何をしているかって?
あっはっはっはっは、確かにゆっくりはしてませんね。
だからと言って急いでもいませんよ?
そういう私の背に怒号。
「ハレバレ!!やる気はあるのか!?」
………嘘ですよ!!!!ピンチなうだわ!!!!やる気はあります!エアグルーヴさん!!
現在、私ハレバレは後方集団から七馬身という世紀の遅れっぷりを見せています…。
対照的な先頭は栗毛の外ハネが特徴的な髪質の子が。
あの頭の上にある王冠は邪魔じゃないんだろうか?ピアスって痛くないのかな?
ちな私の髪飾りはおっきい簪。
あーヤベェっすわ〜(他人事
もう先頭はだいよんこぉなぁ?曲がり始めてるらしいですね。
私は頑張って今やっと向正面を抜け出したぞ!
やばいやばいやばい!!!現実逃避してる場合じゃない!
脚は……うげっ…さっき準備運動するんだった…!いきなりのレースで驚いちゃってるよ。
足はウマ娘にとって資本なのに……。
でも弱音なんて吐けないよな……!
◇◆◇◆
「では今日より以下三名テイエムオペラオー、タイキシャトル、グラスワンダーをチームリギルの一員として迎え入れる。これからは厳しくなるぞ。」
「「「はい!よろしくお願いします!」」」」
なんかこれ入部試験だったらしいですね。
あんのションボリルドルフめ!騙しやがったな!何が体力測定だよ!
結果は第四コーナーで先頭だったテイエムオペラオーって子が一着で、二着目はタイキシャトルって子、三着にグラスワンダーって子。
ここまでが入部可能な範囲だったらしいです。
私?私はですね………なんの成果も…得られませんでしたっ…!!
言葉の額面通り四着と言うもののイマイチパッとしない順位でレースを終えました。
周りではそのレースに参加した選手たちはチームリギル?に入れた三人を囲んで何やらお疲れやらがんばれやらの言葉が聞こえてきます。
私の周りには誰もいない…落ち込むぜ…。
若干居心地の悪い私はターフをさろうと足を校舎へ向けたのですが、背に一言かけられました。
「ハレバレ、なんだあの走りは?」
一人孤立していた私の元に二人ほどやってくるのが視界に収まる。
だってさ…なんも説明ないとわかんないじゃん…。
そんな心中を察したのかルドルフふくかいちょーは言葉を紡ぎます。
「確かに君には悪いことをした。…そしてそれゆえかスタートも失敗してしまったことも謝る…が、あの走りは何かな。それを我々は聞きたい。」
うぐっ……スタートも私が悪いのに謝んないでくださいよふくかいちょー…。
それに追い上げした時に謳っちまったのがバレてるし……。
それでいて結果四位とか…恥ずかしいっ!絶対舐めプして負けてやんのザマァwwwって思われてるやんっ。
黒歴史だ…!そんなの改めて事実確認したくないよっ!癖なんだよっ!悪かったなっ!
自己暗示の一種だよ!
そして…副会長に話しかけられてから気になってたんだけど、…どなた?さっきから私をずっとみてるあのふくかいちょーの隣にいるウマ娘さんは。
なんというか…カリスマとかじゃあまりにチープすぎて形容する言葉が見つからないんですけど。
神々しさが体から溢れ出てるし後光差しまくりだし。
「………ハレバレ。責めているわけではないんだ。」
「……。」
隣の人もなんも言わないのがもっと怖いし……。
私が渋って返答しないうちに痺れを切らしたのだろう。
はぁ…と目の前のふくかいちょーはため息をついた。
おまけに頭を左右に振ってるし。
……ヤッベェ!!!怒ってるやん!!!めちゃおこやん!!!激おこやん!!!
あれやろ!怒らないから言ってみなさいっていざ言ったらめちゃ怒るやつやろ!!!
しかもさ!なんで周りも静まって静観してるのさっ!もうさっさと主役三人の祝賀会でもしてろっつーの!!!うぐっ…自分で言っといてなんだけどクリティカルヒットした…。
どうせ私は参加者としてはみなされず抜きですよ…。
極めて無言が苦手な私は弁解の意を話します。
「……私は決して舐めていたわけではない。……それだけは信じてほしい。」
これだけは信じてもらわないと…。
その言葉をどう解釈したのかはわからないがルドルフふくかいちょーの隣にいた人が口を開いた。
「そうか、時間を取らせたな。では学園生活を楽しんでくれ。」
そう去っていった背中を見て……えっ何?人って話すだけで金縛りに合わすことできんの?
体、動かせなかったんだけど。
スーツを着たトレーナーと呼ばれる人に声をかけルドルフふくかいちょーと共に帰ってったけど。
いやー残されたわけですが……きっまず。
さっきまで生徒を代表する凄い人+オーラぱナイ人に絡まれてたらまぁそうなるわなと、予想はできてましたけど。
……あー、私も帰ろ。
視線すごいし。
それだけで体に無数の穴が開きそうだし。
ぷへー、レースは最悪だし、人付き合いもままならなそうだし、さっさとお風呂に入ってのんびりテレビでもみて寝よっと。
不貞腐れた私は案内された道順を逆にたどり寮の扉を開けようとする途中で気づいた。
……まだ寮の部屋とかクラスとか説明されてないんですけど。
反転、私はダッシュで生徒会室に向かった。
この後ちゃんと説明聞けた。
◇◆◇◆
凄い勢いで生徒会室のドアを開け、話が終わると嵐のように去っていったハレバレを見送りルドルフはドアを閉めた。
「……あれはなんだい?」
「…私もわかりません…。」
ハレバレの走りをわざわざ二人揃ってバ場までみに行った二人は思わずため息を吐いてしまう。
「…私もあんな選手は…見たことがない。今までとは色々ベクトルが違いすぎている。」
「おハナさん…あなたにもわからなければ誰にもわからんよ…。」
グレーのパンツスーツを着こなすトレーナーと呼ばれた彼女はトレセン学園が誇る敏腕トレーナーの東条ハナ。
徹底した指示を厳守を求める厳格さがあり冷静沈着である彼女は数多くの優駿な選手たちを輩出してきた。
しかしそんな彼女にもあのウマ娘はわからないと言わせるほどにハレバレは異常だった。
「…最後方からのスタート時、すでに七馬身。それでいてゴール時にはタイキシャトルと三分の四馬身差…か、全くもってわからないな。」
「……途中に見せた謳いながらの加速、最高潮に達した時の速さ、加速といい速度といいあれはウマ娘の範疇を脱しているっ……!」
「あれはいずれ世界が挑戦する側に回されるだろうな…無論、私たちもだ。」
シンボリルドルフは頭を抱え、東条は興奮気味に話し、シンザンは感慨深く感じていた。
三者三様であれどその根本は同じであった。
もし彼女がスタートに遅れていなかったら?
イフでしか過去は語れないがそれでも期待に胸を膨らませてしまう。
「…おハナさん、2300mの世界レコードは?」
思わず口に出してしまった言葉にシンザンは笑いをこぼす。
「……2:17.64…だ。」
記録がないことに酷く落ち込む東条とシンザン。
しかし、それ反するようにシンボリルドルフは思い出したようにシンザンに告げる。
「……あくまで参考までに…ですが、彼女がスタート時からゴールまでの時間を数えていました。」
その言葉に二人は面白いくらいに動転し始める。
人は自分より慌てふためいている人を見ると落ち着くのはほんとらしい、とどこか場違いな感想を心の中で思うシンボリルドルフは努めて冷静にそして二人を精神安定剤に平静さを自身に説く。
いくら彼女が正確に測れてもせいぜい秒数程度までしか測れないだろう。
コンマの世界でも記録は更新できるがそれでもあくまでも計測機ありきの話であり、人力では証明はできないのが世の常だ。
しかしそれでも、それでさえも結果がシンボリルドルフに現実を教えてしまう。
告げたいのに、歴史的瞬間を今、言葉にだすことにより確然たるものにに昇華してしまう、そんな緊張がシンボリルドルフを支配していた。
「………にっ……2分…………17秒……でした……!!」
しどろもどろになってまったシンボリルドルフをよそに二人は青天の霹靂とばかりにその身に余る衝撃を、静かに、それでいて烈火のごとく喰らっていた。
静かになったはずの生徒会室は音はさえないが、惨憺たる有り様に性質を変化し、三人の脳内は冷静とは真反対の状態にさせていた。
万斛の情報が目まぐるしく脳内を蹂躙する中、今自分が呼吸しているのかさえ曖昧なそんな中で、確かに一つ、確固たるものが三人の脳内の根底を共通に至らしめる。
ちっぽけな部屋に、三人だけ。
たったのそれだけではあるがその有様に反するように、今、その瞬間、そこはまさしく世界が変わろうとしていた。
三人だけしか知らない伝説。
それが大々的になるまでの軌跡を、この学園で。
テ゛イ゛オ゛ーお゛め゛て゛と゛う゛!!!!!!!!!!
シンザンは私のイメージで書いてあります。加えて史実とは異なる場合が多くありますのでご注意ください。