スペ「すぺしゃるうぃーく、さんさいです」   作:にゃるまる

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4月6日21時追記 書き直しました。お騒がせてすみませんでした…
前半部分はそのままで後半がかなり変わっているので既に読んでいたと言う方はそこから読んでくれると助かります。


第3話

 

――スペシャルウィーク記憶喪失事件から一夜が明けた。

閉じたカーテンの隙間から差し込む太陽の光、その眩しさでグラスワンダーはまだ眠気を感じながらも目を覚ました。

 

「ん…んん…んー!……と」

 

昨日の疲れ、そして急な部屋移動による慣れないベッドでの睡眠。

あまりぐっすりとは寝付けなかったですね、そう思いながら起き上がろうとして――腰の辺りに重みがあるのを感じた。

 

「…あら?」

 

もしや、と布団をめくってみるとそこには予想通りと言った具合にスペシャルウィークが安心しきった表情でグラスワンダーに抱き着いて眠っていた。

微笑ましい光景に思わず笑みを浮かべてしまう。

 

昨日のお風呂場の騒ぎの後、グラスワンダーの活躍で何とか入浴を済ませた2人は時間も遅いと言うのもあって部屋に戻るとすぐに眠る事にした。

だがその際にスペシャルウィークが寝る直前まで何かを言いたげな感じだったのを思い出す。

 

恐らく、1人で眠るのが怖かったのだろう。

けれど恥ずかしいのか、それを言い出す事なく彼女は自分のベットで眠り――そして夜中に目覚めてしまい、怖くなってグラスワンダーのベットに入ってきた、と言った具合だろう。

 

「もう、スぺちゃんったら。言ってくれたら一緒に寝たのに」

 

安心した寝顔を見ながら優しく頭を撫でてあげようとして――もう1つ、気付いてしまう。

グラスワンダーからすれば足の先辺り、スペシャルウィークからすればちょうど腰辺りに位置するベットの端。

そこが――濡れている事に。

 

「……あらまぁまぁ」

 

それがなんであるのかをグラスワンダーはすぐに理解した。

昨日眠る前に牛乳をたくさん飲んでましたからね、と色々と諦めた面持ちでカーテンの隙間から見える太陽を見つめると――

 

「…さて、今日も頑張りましょう」

 

――1日の始まりを感じながら、まずはシーツを替える事を決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良く来てくれたグラスワンダー。スぺは…どうしたんだ?」

 

スピカのトレーナーから呼び出しを受けたグラスワンダーはスペシャルウィークと共に彼の下へと訪れたのだが、グラスワンダーの手を握っているスペシャルウィークの目元は赤く腫れていた。

まるで先程まで泣いていたかの様なその姿に思わずトレーナーが質問してしまう。

質問されたのならば答えなければならず、その原因を知っているグラスワンダーはどこか言い難そうにしながらも、トレーナーからの質問に答えた。

 

「えっと……実はスぺちゃんお漏らしをしちゃって…それで朝から泣きじゃくってしまいまして…」

 

「やぁぁ!!ぐらちゃ!!いわないでぇぇ!!」

 

ーー戻るは少し前。 

お漏らしした、そう気づいたスペシャルウィークは見事に泣きじゃくっていた。

お漏らししてしまったと言う罪悪感、びしょ濡れになってしまった寝間着の気持ち悪さ。

そしてグラスワンダーに抱き着いたままでお漏らししてしまった事により、彼女の寝間着もまたお漏らしの被害にあい、その事でグラスワンダーに怒られるのではないかと言う恐怖心。

それら3つがスペシャルウィークの感情を追い込んでいき、爆発直前と言う段階へと至らせていた。

 

そんなスペシャルウィークに対し、グラスワンダーは怒る事なく優しく接した。

シーツを手早く変えて、寮長に許可をもらってお風呂場で肌がかぶれない様にしっかりと洗い流してあげて、びしょ濡れになった寝間着を脱がせて着替えさせた。

その上で優しく今後はお漏らししない様に寝る前の飲み物は多く飲み過ぎない事と眠る前にトイレに行く事を約束させたのだ。

 

「…何というか、まあ…1日で随分と慣れたもんだな……」

 

まるで保母さんみたいだなとグラスワンダーの面倒見の良さを素直に評価しながらも、その適応力の凄さに僅かに引いてしまいそうになりながらも、呼び出した本題を切り出した。

 

昨夜、学園へ戻ると同時にトレーナーはそのままの脚でこの学園のトップである理事長の所へと赴いた。

夜中であると言うのに歓迎してくれた理事長に感謝しながらも、スペシャルウィークに起きた出来事を説明すると、理事長は学園上層部を始めとする主だった面々を緊急招集し、スペシャルウィークについての緊急会議を実施してくれた。

 

ウマ娘の記憶喪失、過去に事例の無い事態を前に会議は長引き、終わった時にはもう朝を迎えていた。

当然トレーナーもスペシャルウィークの担当者として参加していたのだろう、目の下にクマが出来ていた。

だがそれだけ頑張った価値は十分にあったとトレーナーは語り始めた。

 

「今後だがスぺの記憶が戻るまでの間、学園からは全面的協力を受けられる様になった。限度はあるがある程度の要望は応えてくれるし、単位や成績に関しては記憶が戻るまでの間は免除となった。これで今後の学園生活に関しては問題ない。ただ…」

 

問題はスペシャルウィークの今後だ。

スペシャルウィークに起きた事態の説明、そして今後についての話し合い等も含めて彼女の家族と連絡を取り、向こう側の意見を取り入れて決める事となった。

恐らく今日中に連絡が行き、数日以内にスペシャルウィークの家族の方と直接会っての話し合いとなるだろう。

そこでスペシャルウィークの今後が決まるのだが……

ただ学園、そしてトレーナーの個人の意見としては可能であれば学園での生活を継続させたいと言うのが本音だ。

 

レースに関しては暫く参加せずの様子見となったのだが、下手に身体を休め続けてしまうと彼女の記憶が戻った際に身体に不具合が起きてしまう可能性が高い。

なので無理のない範囲で練習の継続だけはしておきたいと考えており、その為に適した設備と人員があるのは間違いなく此処トレセン学園だ。

それに地方の病院よりも最先端治療が受けられる都市部の病院の方が今後の治療にも何かと有利である面もある。

なので出来れば今後も学園での生活継続が望ましい状態ではあるが……

 

「これに関しちゃ無理は言えないからなぁ。向こうが帰省を望んだら学園としても受け入れる考えだ。当然帰省している間も特別休暇扱いで成績等には問題なしとするつもりだ」

 

話を聞いたグラスワンダーは率直に妥当な話だと思った。

向こうからすれば家族が遠方で事故にあったのだ。

心配して呼び戻すのは必然であり、それを拒否する権利は此方にはない。

だから帰省する事が決まっても仕方がない、そう理解はするけれど………

 

「と言ってもこればっかりはすぐには決まらないだろう。とりあえず決定するまでの間はさっきも言った通り無理のない範囲でスぺにも練習に参加してもらうつもりだ……そこで、だ。グラスワンダー、君に1つお願いがあるんだが…」

 

はて?とこの流れでいったいどのようなお願いがあるんでしょうか?と首を傾げながらトレーナーの言うお願いを聴き、そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし!お前ら集まったな!!」

 

チームスピカの部室に集まるのはスピカのいつもの面々。

ただその中にスペシャルウィークの姿はなく、昨日の事を知っている面々は恐る恐ると言った感じにトレーナーに質問をする。

スペシャルウィークはどうなったのか、と。

 

「それについては今から説明をするが…それを説明する前にお前達に伝える事がある」

 

「…伝える事?なんなのさいきなり?」

 

トウカイテイオーの疑問にトレーナーは驚くぞぉと前振りをしてから外へ向けて入って良いぞ!と声を掛ける。

するとスピカの部室の扉が開き、2人の人物が中へと入ってくる。

1人は全員がどうなったのかと気にしていたスペシャルウィーク。

身に付けたジャージがお気に召していないのかどこか不満そうにしながらも隣に歩く人物の手を握りながらスピカの面々の前へと立つ。

 

そしてもう1人はそんなスペシャルウィークの手を握ったままで全員の前に立つと静かに丁寧なお辞儀をしてから―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チームリギルからスぺちゃんのサポートとして特別移籍してきましたグラスワンダーです。皆さんよろしくお願いいたします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――まさかの発言をかました。

 

 

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