Zodiac 学園記   作:羽桜千夜丸

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 唐突に野外実習編です。当然ひと悶着あります。


第6話 ガーネット・スター

 

 

 

 本校生徒その他人員の移動のため、ゾディアックは以下の乗り物を保有する。

 

 種別:バス(定員45名)

 設備:トランクルーム、トイレ、書架(30冊)

 台数:8

 名称:アルゴ1〜8号車

 

 魔術に関する本を備え、バスそのものにも魔術による仕掛けが施されている。

 

 ゾディアックガイドブック 受験生向け 設備等の項より抜粋

 

 

 野外実習当日の朝。

 生徒たちは正門の近くの広場に集まっていた。皆体操服を着て、大きなリュックを背負っている。

 

 学園長の見送りの挨拶が終わると、1組の生徒から順に、リュックをトランクルームに収めつつ、アルゴと名付けられたバスに乗り込んで行く。

 

 アレクたち2組の生徒は2号車に乗って、指定された席に着く。アレクとジャック、エマとマリーが隣同士で、同じ列に座っている。

 

「隣の者が座っていることは確認できたか?全員トイレには行ったな?よし!それでは出発だ!!」

 

 マイクを持ち、バスガイドが立つ位置に陣取ったアイラは、ワクワクした様子で声を上げた。それを聴いた運転手が「発車しまーす」と言ってアクセルを踏む。

 

 

 バスはゾディアックの構内を抜けて、競技場の横を通り西門から外に出る。

 

 その間に、アイラが予定表を手に確認を行う。

 

「キャンプ場の入り口に着いたら、諸君には班毎に決められたコースで登山道を通って貰う。今、自分と同じ横列に座っている者たちが仲間だ。念のため言っておくが、安全には十分に注意しろ。何か問題があればすぐに私に連絡すること。良いな?」

 

 全員が頷き、それを見た彼女は一安心といった顔になる。

 

「よし。では、到着までの3時間、友と語らうなり寝ながら過ごすなり好きにしろ」

 

 そう言うと、彼女は最前列にある自分の席に座った。その後彼女がどうしたかはアレクの席からは見えなかったが、近場に座った生徒に絡んでいると思われる。

 

 車内が話し声に満たされる中、アレクとジャックも会話を始めた。

 

「柔らかい椅子の広いバス。空調からは心地いい風。快適な旅になりそうだ」

 

「ああ」

 

「楽しみだな。俺、大自然との触れ合いって久しぶりなんだよ」

 

「そういえば俺もだな。ベルガを身につけに行った時以来か」

 

「しかし、なんでこの4人なんだろうな?」

 

 アレクは窓の外から車内に目を向ける。カノーネの件以来それなりに仲良くなった4人組が、偶然にも今回の登山で同じグループになったのだ。

 

「出席番号で男女に分けた結果だろう。先生はこれを見越して、俺に君たちの仲を取り持つように言ったのかもしれないな」

 

「考え過ぎじゃないか?」

 

 通路を挟んだ反対側の席でも、エマとマリーが会話していた。

 

「不安そうね、マリー。体力的に、リュックを背負って山に登れないとか考えているでしょう」

 

「あ…それもあります…が、一番の問題は今夜…。メールを見た彼が、ちゃんと来てくれるかどうかが気になっていて…」

 

 そう言って、マリーはチラリと横を見る。アレクと談笑するジャックは、その視線に気付いていない。

 

「大丈夫よ。告白する場所も、時間も決めてあるんだから、心配する必要はないわ」

 

「そう…でしょうか…」

 

 マリーは自信無さ気に呟きながら、エマが差し出したキャンディを口にする。

 

「ええ。登山道を歩いている間は、2人が並んで行けるようアレクに言ってあるから。頑張って絆を深めなさい」

 

「へぇ?!べ…別にそんなこと…」

 

「いいじゃない。貴女たちのこと、応援してるわ」

 

「あ…ありがとうございます…」

 

 彼女は色白の顔を赤く染めながらエマに礼をいう。

 

 

 そうこうしている間にバスはアステリオン市内の道を走り、高速道路に入る。

 街を抜けると目に入るのは牧歌的な田舎の風景。羊や牛が集う野原、広い麦畑、ゆったりと流れる河……。

 

 風情溢れる地域を貫きながら、ゾディアックの生徒たちを乗せたバスが目指すのは、国内有数の山岳地帯である。

 

 標高1000から2000メートルのなだらかな山々が東西に連なり、昔は貴族の避暑地や山狩りの名所、現在はキャンプといったレジャーのための施設が集まる場所として知られている。

 

 

 一度休憩を取った4台のバスは、高速道路を降りて田舎道を走り、やがて広い駐車場に停まった。ぞろぞろと生徒が降りてくる。

 アレクたち4人も集まり、彼が広げた地図を見る。

 

「よ〜し、確認するぞ。俺たちは太い道を通って、2つ目の分かれ目で他のグループと別行動になる。そこから渓流に沿って登り、道を間違えなければそのまま集合場所だ」

 

 地図に描かれた道を指でなぞり、道順を示していると、横から覗いていたエマが感想を口にした。

 

「凄いわね。登山道がこんなにあるなんて」

 

「広いキャンプ場だからな。足を滑らせて川に落ちるなよ」

 

「誰がそんな!」

 

 アレクが地図をポケットに入れ、エマと他愛のない会話をしながら先頭に立って歩き出した。エマの後ろにジャックとマリーが並び、他のグループに混じってキャンプ場を目指す。

 

 

 クラスメイトたちと別れ、彼ら4人は細い道に出た。川のせせらぎが聞こえて来る中、マリーは隣で歩くジャックに話しかけようか悩んでいた。

 

(どうしましょう…。せっかくお二人に気を遣っていただいたのですから、何か話題を…ああ、でも…)

 

 考えを巡らすうちに、彼女の顔がだんだん赤くなっていく。

 

「おい、マリー」

 

「ひゃあ!!?」

 

 彼女の変化に気づいたジャックに話しかけられ、思わず悲鳴をあげる。

 

「顔が赤いが…疲れているのか?」

 

「そ、そんなことない…です」

 

「それならいいんだがな、疲れたら早めに伝えてくれ」

 

「は…はい…。そうします…」

 

 ジャックがかけてくるのは無理をしないようにとの言葉である。

 そのため、マリーは彼に助けを求められなかった、冬の日々を思い出してしまう。

 

(やっぱり、気にしますよね…あの時期のこと……。これでは、告白しても……。私は、今もまだ、空回りしているんでしょうか……?)

 

 俯き、少ししゅんとするマリー。

 元気がなくなっている事にジャックが気付かないはずはなかった。

 

「そんな暗い顔するな。ほら、いい景色だ」

 

 細い川に沿って進んでいるとはいえ、視界が開けている場所がないわけではない。

 

 今彼らが渡っている橋の上もその1つだ。

 ジャックが指差した先では、岩に溜まった水が何段にも重なって流れ、滝となっている。それが清らかな音を奏でていた。

 滝の向こうには遠くの山、そして澄んだ秋の空が見える。自分たちを囲む森はだんだんと色づき始めていた。足下の川で赤い落ち葉が流れて行く。

 

「わあ…本当に綺麗です……」

 

「………」

 

 マリーとジャックは足を止めて、その光景を満足そうに見ていた。すると、先に行っていたエマとアレクが声を上げる。

 

「2人とも〜!」

 

「ん?」

 

「滝の上に休憩所があるから、もう少し頑張ったらそこでちょっとのんびりしようぜ〜!」

 

「あ、わかりました!」

 

「行くぞ」

 

「はい!」

 

 一行はまた歩き始めた。穏やかな笑顔を浮かべて、マリーはジャックの隣で進む。

 

(そうです。あの時のことも、あの方のこともしっかりと話して……その上で告白しなくては!)

 

 彼女は未だに正体がわからない、赤い髪の背が高い女子生徒を思い出していた。

 

 

 

 4人は休憩所のベンチに腰掛け、リュックから取り出した水筒を開けて水分補給をする。

 

 彼らの頭上では、葉が落ち始めた枝を風が揺らし、時折ザワザワと音を立てる。

 他にはただ、渓流から水音が響いて来るのみだ。

 

「ふぅ。静かね……」

 

 水を飲み込んだエマがポツリと漏らした声に、アレクが同意を示す。

 

「ああ。静か過ぎる。……不気味なくらい」

 

 彼のあまりに真剣な顔と不穏な言葉に、真っ先にマリーが反応した。

 

「含みのある言い方ですが…」

 

 彼女はアレクの発言の真意を汲み取れていない。それはジャックも同じで、釈然としないと言った顔だ。

 彼らに向けて、アレクが説明を始める。

 

 

「2人は違和感がないか?ここは木が生茂る山の中だ。なのにどうして……鳥とかの動物が、姿や鳴き声どころか気配さえ見せないんだ?」

 

 

「「!!」」

 

 

 2人は息を飲む。

 アレクの言う通り、山を登り始めたその時から、鳥たちの囀りは元より、羽ばたきの音も、他の動物の気配も感じないのだ。

 

 彼と同じく違和感を抱いていたエマも口を開く。

 

「ここはかつての山狩りの名所。いろんな種類の動物が観察できる点が、このキャンプ場の売りの1つよ。それくらい、野生動物と遭遇しやすい土地のはずなのに……」

 

 ジャックとマリーも意識を切り替え、警戒し始めた。

 

「言われてみれば、だな。この静けさの理由は…まさか」

 

 左手の袖を捲り妖精の封印を外に出すジャックに、エマが説明を始める。

 

「魔物学の授業で先生が言っていたわね。普通の生き物が騒がし過ぎる場合は、そこに魔物が近づいているか、去った直後。逆に静かな時は……すぐ側に留まっているのよ」

 

「つまり、ここは…」

 

 苦い顔に冷や汗を流すマリー。彼女が途切れさせた言葉を、アレクが繋ぐ。

 

「獲物を探す魔物のテリトリーだ。それでもって俺たちは、そんな場所にノコノコやって来た、格好の餌に見えるだろうな」

 

 澄み切った空に深い森。周囲に満ちる川の流れと風の音が不意に恐ろしい物に変貌を遂げた。

 危険な何者かは確実にいる。

 しかし、どこに隠れているのかはわからない。

 

 大きな不安感は、逆に彼らを冷静にさせた。アレクが3人に問い掛ける。

 

「さて…何からすればいいんだ?」

 

 真っ先に答えたのはエマだった。

 

「ラリス先生は、まず自分に連絡するように言っていたわね。皆、携帯持って来てるかしら?」

 

 4人は携帯電話を取り出して起動する。もっとも、この山の中では電波は使えないが。全員の携帯電話のスクリーンには、圏外(NO SIGNAL)と表示されている。

 

「やはりな。先生に連絡はつかない」

 

 ボヤくアレクに合わせて、全員が携帯電話を仕舞う。

 

「ルーン石を使った通信魔術なら……」

 

「先生に届くとは思うが、俺たちの魔力を魔物に感づかれる危険とどっちを採るかだな」

 

「困ったわね…」

 

「なあ不測の事態に備えてたレグルさんよ。あんたの一際デカい荷物が飾りだなんて言うなよ?」

 

 エマが背負っていたリュックは、他3人と比べて一回り大きい。アレクの指摘を受け、彼女は渋々といった具合で荷物を開け始める。

 

「飾りとは言わないわ。ただ…魔物が出ることまでは流石に想定していないわよ」

 

 休憩所に備えられたテーブルに、彼女が購入した緊急時用品の数々を並べた。

 それらを全員で検める。

 

「えーと、持ち込みの指示があった物以外で緊急時に使う物は……。笛の付いたサバイバルナイフが1つ。照明弾が1発、発煙筒が1本。水中でも煙が出るタイプか。それにケミカルライトが20個、カーボン繊維のロープが5本。全て1メートル。こっちは折り畳み式の携帯ヘルメット、手袋、アルミシートがそれぞれ4人分ずつに、多めの非常食。そしてこれは、サバイバル術が書かれた本」

 

 ざっと広げられた諸々を、ジャックが慣れた様子で手に取り、その名前を当てて見せる。

 アレクとマリーがぽかんとする中、エマが更にジャックに見せた物があった。

 

「あとはこれね。リュックの横に付けておいたのよ」

 

 彼女は手にした円筒形の器械をジャックに渡した。チューブとレバーの付いたそれを見て、アレクが一言問う。

 

「まさか自転車の空気入れか?」

 

 円筒の後部にあるレバーを出し入れしたジャックが静かに答える。

 

「いや、携帯式の浄水器だ。泥の微粒子、細菌、ウィルスを濾過し、消毒までしてくれる優れ物だ。あそこに流れてる川の水も、これで汲み上げれば飲める品質になる」

 

 そう言いながらジャックが渓流を指差す。説明を聞いたアレクとマリーは、ただ感心するだけであった。

 

「これでエマは歩く災害対策本部だな。電力の心配もないとは驚きだ」

 

他人(ひと)の魔術を発電機呼ばわりしないで。それにしてもずいぶん詳しいのね。私はお店で見て始めて知った物ばかりだったわ」

 

 エマの発言に、ジャックは涼しい顔で返した。

 

「冒険好きの父親に教え込まれたからな」

 

「そう。……良いお父さんね」

 

「ああ。じゃあ早速準備するか。人数分ある物は全員が持って出発だ」

 

 4人はヘルメットと手袋を装着し、アルミシートをポケットに、分けた非常食をリュックに入れて休憩所を後にした。4方向の様子を見ながら、足音を抑えて進む。

 

 

 やがて、川辺の景色が岩から砂や土に変わった。歩いた距離は直線にして数百メートルだ。静かに進んできたエマが口を開く。

 

「これだけ歩いてもまだ周りは静かね。小型の魔物なら、もう縄張りを抜けてもおかしくないはずだけれど…」

 

「ってことはカノーネみたいな大物が来てるのか?勘弁してほしいな」

 

「まあ警戒するに越したことは………!!」

 

 

 ジャックが声を出した瞬間、彼ら4人の頭上を何かの影が掠めた。

 

 ほんの短い間、日光が遮られた事を全員が知覚したのだ。

 

 その影は雲の物にしては小さく素早い。が、生物ならばかなりの巨体だ。

 

「あの…今のは…」

 

 マリーの細い声と共に、4人は影が過ぎ去った方を見る。

 

「あ…!」

 

「何て事だ……」

 

 目に映った物に対し、エマとジャックが驚きの声を漏らす。

 アレクもまた愕然としていた。

 

「森と川ばっかり警戒してたが……空にいたのかよ……!」

 

 彼らの視線の先にいるのは1羽の鳥だった。

 幅広い翼と鋭い嘴、独特な顔立ちは猛禽類を思わせる。

 だが、他の猛禽とは違う点がいくつもある鳥だ。猛禽にしては尾羽が異様に長く、全身はカラスよりも深く純粋な漆黒。

 

 そして最も目を引くのはそのサイズだ。

 周囲の木々と比べると、翼を広げた幅は15メートルはあるだろうか。

 

 

 4人が呆気に取られる中、怪鳥はゆったりと旋回し、彼ら目掛けて滑空を開始した。

 

 

 

 

 

 名称:パッシオ

 種別:鳥類型II種魔物

 体長:1〜10メートル

 最大個体:12メートル

 翼開長:7〜10メートル

 被害想定:第V種

 特記事項

 肉食。魔物の能力として火炎魔術を体に内蔵しており、口からの炎を攻撃や狩に、全身に纏う炎を防御に使用する。

 炎の温度の正確な測定は行われていないが、鉄板を融解させた記録がある事から、摂氏1600度以上、3000度未満と推測される。

 外観が似ている通常の猛禽類同様、優れた感覚と視界を有し、人間、特に魔術師を獲物として襲うことも多い。ただ、武器は火炎のみであるため、水を操作する魔術や特殊な耐熱装備を使用すれば、逃げ切ることも十分可能である。

 その危険性から乱獲が進み、現在は絶滅危惧種。国内ではオールト山脈にある自然保護区にのみ繫殖が確認されている。

 

 ナオキ・バイエル主監『魔物図録』第2巻(南十字社)「鳥類型種」の項より抜粋

 

 

「こ、こっちを狙っています!どうしましょう?!」

 

 近づいて来る怪鳥を認識したマリーが悲鳴に似た声を上げる。

 

「ヤツは小回りが効かない。逃げ回りながら罠を張って、足止めできたら一気に集合場所へ行くってのはどうだ?」

 

 アレクの提案に対して、すかさずエマがある役を買って出る。

 

「わかったわ。じゃあ逃げ回るのは私に任せて」

 

「え?!」

 

「おいおい、こんな時に一匹狼気取ろうってんじゃないよな?!」

 

 マリーが驚き、アレクは反対するが、エマは譲らない。

 

「貴方は1人になったら身を守れないでしょう?なら、この4人の中で一番素早く動ける私が鳥を引きつけるべきよ」

 

 言い出したことは決して曲げない。そんな彼女の性格を理解している3人は、これ以上の反論はしなかった。それに彼女の発言はいつも的を得ている。

 

「……わかった。でも怪我したら承知しないからな!!」

 

「行って!」

 

 彼女の荷物を預かり、捨て台詞を残したアレクと、ジャック、マリーが駆け出す。もう怪鳥はすぐそこまで迫っていた。

 

「エクシード!」

 

 3人が集合場所の方向へ向かった事を確認したエマは、一瞬で身体強化魔術を起動。

 後ろ向きにジャンプすると、彼女が元いた場所を巨大な爪が掠める。そのまま彼女は渓流へ飛び込み、水面から飛び出した岩に着地した。

 

『■?』

 

 相手が予想外の速さで自らの攻撃を躱した。

 そこでこの相手を侮れないと悟った怪鳥は、一度羽ばたいて上昇。

 

 翼と長い尾羽を巧みに操って、やや強引に、そして素早く方向転換する。

 

『■■!』

 

 この間に、エマは辺りに転がる岩から岩へと跳び移っていた。しかし、川から道へ戻る直前に怪鳥が眼前に戻って来る。

 

 彼女の予想を上回る速度だ。

 

「うわっ?!」

 

『■!』

 

 エマは咄嗟に横向きに跳ねる。

 怪鳥の爪が、彼女が立っていた岩を砕くのと、彼女が川に落ちるのは同時だった。

 

「ぷはっ!…あら?」

 

 水面から顔を出すと、怪鳥が再び高度を上げているのが見えた。

 

「……なるほど。地の利はこちらにあるようね」

 

 彼女がいるのはいわば谷底。V字の地形だ。長い翼を持つ怪鳥は、それ故にこの場所に留まって攻撃を続ける事ができないのだ。

 

 もっとも、怪鳥自身そんな事は百も承知。

 自らの体内に眠る炉に魔力という名の燃料を投入しながら、見つけた獲物を必ず狩ると決意した。

 

 

 

 一方、アレクたちは罠の準備に入っていた。土の川岸で、ジャックがアレクに話しかけている。反対の岸では、マリーが2人と同じ作業をしていた。

 

「手筈の確認だ。俺たちが種を植え終わったらアレクが照明弾を撃ち、撹乱の役をエマと交代。ここまで来たら植物で鳥を拘束し、マリーの巨人が1撃拳を打ち込む。それで怯んだら全員で一目散に逃げる。以上だな?」

 

 地面にしゃがんで種を埋めていくジャックが、怪鳥から逃げる手段を確認していった。

 パーシアスとスラストブーツを鋼鉄演舞(IRON WALTZ)で装備したアレクが、照明弾を手に不安そうな顔をしている。

 

「まぁ成功の見込みがあるのはそれくらいだろ。でもジャック、あの巨体を拘束できるくらいの植物を、一瞬で成長させるなんてできるのか?」

 

 質問を聞いたジャックは、涼しい顔で答えた。

 

「種は完全に俺の魔術の支配下にある。エマの浄水器を使って得た、高品質の水のおかげでな。フルパワーを出せば十分できると思う。もっとも、俺の魔力はこの1回で空になるだろうが」

 

「相当無茶だな……」

 

「こっちは準備完了だ。そっちはどうだ?」

 

 アレクの心配を他所に、ジャックが対岸のマリーに確認を取る。

 

「こちらもできましたー!」

 

 威勢の良い返事が聞こえた。彼女も種を植え終わったのだ。

 

「よし、アレク、頼む!」

 

「了解……え?」

 

 振り向き、照明弾が入ったピストル型の点火装置を掲げたアレクは言葉を失った。

 

 

 数十メートル先の川の一角が、突如として炎に包まれたのだ。

 

 

 

 頭上で旋回する怪鳥を目で追っていたエマは、その眼が橙の光を放ち始めた事に気づいた。それは炎のように揺らめいている。

 

「あれは……?」

 

 彼女が疑問を抱いた次の瞬間、怪鳥の顔の周囲に、眼と同じく橙に輝く模様が現れた。

 カノーネの時と同じ、魔物が持つ魔術の光だ。

 

 そのまま怪鳥はエマの正面に陣取り、降下を開始。くわっと開いた嘴の中に彼女は見た。

 

 奥の喉で生み出されつつある、灼熱の爆炎を。

 

 

「……っ!くっ!!」

 

 

『■■■!!』

 

 一瞬だけ硬直した彼女だったが、すぐに身を翻し、手近な岩の影に回ると、できるだけ水の中深くに潜り込んだ。

 

 川底に手を突いたまさにその時、背後が橙に照らされた。水蒸気の泡が弾ける音が聞こえ、彼女が潜んでいる場所の水までも一瞬で温度が上がる。

 

 おそらく40度ほどだろうか。茹で上がりはしないが、しかし怪鳥の炎がかなりの威力を持っている事は容易く理解できた。

 川であるが故に、熱い湯は速やかに冷水によって流されていく。

 

 エマが水面から顔を出すと、怪鳥は湯煙を引き裂いて再び上昇していった。

 

 

 

 その光景を目の当たりにしたアレクが感想を漏らす。

 

「爆撃機かあいつは?!」

 

 ジャックとマリーも苦い顔になった。

 

「不味いな…。相手は炎だ。植物で拘束するのはかなり難しくなった」

 

「それにあの火力だと、巨人さんの体が溶かされるかもしれません…。どうしましょう…」

 

 アレクが2人にヤジを飛ばす。

 

「手詰まりみたいな顔するなよ!エマの雷でなんとかできない相手なのか?!」

 

 ジャックが首を振りながら答えた。

 

「雷は炎と相性が悪い。攻撃をぶつけ合わせても、互いに素通りしてしまうからな。それに炎は放射状に攻撃できるが、雷での攻撃は直線的に、あらかじめ決めたようにしか撃てない。躱されたらエマが、ほとんど一方的にダメージを受ける」

 

 ショックを受けたアレクが珍しく慌て始める。

 

「そ…それじゃあ本当に打つ手が無いのか?!」

 

 そんな彼を、両側からジャックとマリーがじっと見つめ始めた。

 

「ん……?!な、なんだよ…」

 

「何かないかアレク。遠距離からあれの動きを封じられる魔動機が」

 

「出してください。私たちが見ていますから」

 

 2人の期待を押し付けられたアレクは、やはり珍しく困り顔になった。慌てながら両手を突き出して振る。

 

「ち、ちょっと待ってくれ!あんたらが期待してるのはジャンクパーツとネイルドライバーのコンボだろ?でもな、ネイルドライバーはカノーネに壊されてから修理してないんだよ!あれと同じ試作機で魔物捕縛用のヤツが1つあるが…」

 

「よし、それを出すんだ、早く!」

 

「お願いします!!」

 

 最後まで話を聞かず、2人が催促し始める。怪鳥が次なる爆炎をエマに放とうとしているからだ。

 

「聞けよ!そいつは形だけの未完成品だぞ!効果の保証はどこにもないんだって!」

 

「そんなことを言っている場合か?」

 

 時間がない事はアレク自身良く理解しているため、決断を下すのは早かった。すなわち、ヤケである。

 

「だああもう!どうなっても知らないからな!マリー!すぐに巨人を使えるようにしとけ!」

 

「はい!」

 

 マリーに指示を出したアレクは照明弾を懐に仕舞うと、怪鳥の近くに移動を始める。その間、ジャックとマリーは彼から目を離さない。

 

『……■?』

 

 岩陰に留まるエマに向かって降下する怪鳥がアレクに気づいた瞬間、彼は魔術を起動した。

 

「見ればわかるから説明は省かせて貰うぜ!鋼鉄演舞(IRON WALTZ)……」

 

 彼の右手に浮き上がった白い光を放つ魔術陣。

 そこから長い円筒形の装置が姿を表す。両端にはポッカリと穴が開いており、筒の中ほどにはスコープと引き金が、後ろの方には魔力コンデンサーが付いている。

 見た目の形はバズーカ砲だ。

 

「出来たばかりの試作品、ネットランチャーだ!しっかり支えてろよパーシアス!!」

 

 引き金に手をかけたアレクは、スコープの中に怪鳥を捉えた。目標までの距離が算出される。それを見ながら、パーシアスの腕で砲身を固定した。

 

「喰らええ!!」

 

『■■■?!』

 

 引き金を引くと、筒の後ろから杭の付いたワイヤーが飛び出し、地面に突き刺さる。

 同時に前からは、先端に何かの塊が付いたワイヤーが発射された。そして怪鳥の手前で塊が炸裂。

 

 大きな網が広がり、それが怪鳥の首や嘴、足の爪、そして翼に絡み着く。広がった網は開いた手を閉じるように、それぞれの端が再び集結した。怪鳥は網の袋に閉じ込められる形になり、飛行姿勢を維持できなくなって墜落を始める。

 

「今だマリー!ワイヤー掴んで振り回せ!」

 

「『はい!!』」

 

 アレクの後ろで巨人を纏っていたマリーが飛び出して、地面に固定されたワイヤーを握り締める。

 

 

「『うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!』」

 

 

『■■!!?』

 

「え…?!」

 

 彼女は怪鳥が入った網を大きくスイングし、驚くエマの頭上を通過させて近くの大岩に激突させた。

 

「『これで!!』」

 

 次いで川の中から手近な岩を持ち上げ、自ら握っていたワイヤーの上に置く。

 

「体にくっついてるワイヤーを全部切らないと抜け出せないってわけか。なかなかいいな」

 

 アレクがマリーの行動に感心していると、渓流の中にいるエマが彼を見上げた。

 

「ちょっとアレク!あんなにいい物があるなら最初から使うって言いなさいよ!」

 

 半ば呆れながら、アレクが理由を説明する。

 

「あの2人にも言ったが、このランチャーは未完成で不備があるんだよ!使う上で不安しかなくてな!良いから戻って来い!」

 

 川岸に向けてエマが歩き始めた瞬間……怪鳥が叫び声を上げると同時に、水蒸気が爆発的に発生した。

 辺りに莫大な湯気が満ちる。

 

『■■■■!!!』

 

「な…何よ一体?!」

 

 状況を理解したアレクの顔が青ざめていく。

 

「あああ不味い…!早く川から出ろエマ!」

 

「え……?」

 

 エマも彼が慌てている理由を眼前に見出した。

 怪鳥の全身が赤々と燃え上がり始めていたのだ。橙の光の筋が怪鳥の体を包み込むように広がり、そこから炎が噴き出している。

 

 それが流れ来る水を次から次へと蒸発させていた。

 

「ねぇ……アレク……」

 

「何だよ!?」

 

「あの網に不備があるって言っていたけれど……どんな……?」

 

 恐る恐る質問したエマ。アレクは嫌々といった具合に答え始める。

 

「……その、使ってるワイヤーの素材が、ただのアルミ線でな…。魔術に対する強度とか耐熱性なんて物がまるでないんだよ…。デモ用の試作品だからな…」

 

 エマも青ざめて、怪鳥の方を振り返った。

 

「じゃあまさか…」

 

 彼女の予感が悪い方向に的中する。

 怪鳥が体から噴き出している炎は、絡み付いているワイヤーを呆気なく溶した。

 

 炎の塊となった怪鳥は網から解放され、体勢を立て直すと嘲笑うような声を発した。

 

『■■■!!』

 

「『ぐああっ!』」

 

「熱っ!!」

 

 羽ばたきによって巻き起こるのは熱風であった。

 ある程度離れていたジャックは一瞬体が焼かれる感覚を味わった。至近距離にいたマリーはさらに翼で叩かれる。

 翼が触れた巨人の肩が少し形を変えた。青銅製の装甲、その一部が融解したのだ。それは火傷の刺激として憑依しているマリーの体に伝わる。

 彼女の体を取り巻く蒼色の光のリボン、その肩の部分が赤に変わった。彼女自身は無傷なのがせめてもの救いだ。

 

 飛び上がった怪鳥は辺りの空気を焼き焦がしながら、再度空中へ。

 旋回しながら嘶くと、燃え上がる隕石の如く一気にエマへ肉迫する。

 

 当のエマはただ呆然と、炎の塊を見つめるのみだった。

 

 

「くそっ!ボサっとするなよ!!」

 

 

 アレクも渓流に入り、パーシアスの右腕で彼女の肩を掴むと、瞬間的に加速した。怪鳥の突撃をどうにか躱し、ジャックたちがいる方へ後退する。

 後には熱湯の飛沫が残った。

 

 岩に引っかかっているのか、怪鳥は何やら動きを止めている。これを好機と見たアレクは近くの岩場に着地し、指示を飛ばす。

 

「ジャック!発煙筒準備しろ!」

 

 マリーの元に駆け寄っていたジャックは、すぐ側にアレクが置いて行ったエマのリュックを見つけた。中から発煙筒を取り出す。

 

「点火したら俺が言ったタイミングで鳥に向けて投げてくれ!」

 

 そう言ったアレクが振り返ると、怪鳥が川底から顔を引き抜くのが見えた。

 

「また来るわよ!」

 

「わかってるさ!!」

 

 掴まれたまま声を上げるエマに答えつつ、懐から照明弾を取り出す。時を同じくして、ジャックが発煙筒に点火した。

 

「ちょうど良い所で光ってくれよ……!」

 

 照明弾は発射された瞬間には光を発しない。ある程度の距離を進んでから発光を始めるのだ。

 怪鳥までの距離を見計らい、飛び立つために前に出た瞬間を狙う……と、それはすぐさま訪れる。

 

 怪鳥が翼を広げて、川底を蹴り出した。

 

「今だ!」

 

 怪鳥より少し上にむけて発射装置の引き金を引いた。パシュ、と軽やかな音が鳴り、煙の尾を引きながら弾丸が放物軌道を描く。

 

 そして怪鳥の頭上に達した正にその時、弾丸が眩く輝いた。

 

『■??!』

 

「よぉっしゃビンゴォ!」

 

 アレクの狙い通り、怪鳥は瞬間的に視界を奪われた。身に纏っていた火炎を消失させるなど、誰が見てもわかるほど動揺している。

 再び後退を始めた彼は指示の声を上げた。

 

「ジャック!投げろぉ!!」

 

「フン!」

 

 ジャックが掛け声と共に投げた発煙筒はアレクの頭上を通り過ぎ、怪鳥の眼前にザブンと落下した。

 水中からでも煙を出せるため、たちまち怪鳥と四人の間に緑の煙幕が出来上がった。

 

 その頃にはアレクはジャックの下に着地していた。エマを地面に降ろし、彼女のリュックからサバイバルナイフを取り出す。

 

「それをどうするのよ?」

 

「ちょっと借りる。笛、使わせてもらうぞ」

 

 エマの質問をあしらって、笛を展開すると再び飛び上がった。位置はちょうど、ジャックとマリーが罠を張った場所の後ろ。

 

「ジャック、妖精魔術を最大出力で頼む。当初のプラン通り行くから、マリーにも頼むぞ。行けるよな?」

 

「『は…はい。なんとか…』」

 

「任せてくれ」

 

 ジャックが左手を伸ばす。するとその手首に、濃い緑に輝く魔術陣が出現した。

 

「久しぶりにやるぞ……ベルガ!」

 

 

 

 視界を取り戻した怪鳥はまた動揺する。

 

 今度は光ではなく、不自然な色の煙で視界が塞がれているからだ。同時にこの煙は嗅覚も撹乱している。

 

 獲物はどこだ?近くにいるはず…。そんな事を考えていると……。

 

 ピーーーーーーーッ! 

 

 突如甲高い音が煙の向こうから響いて来た。それが発せられた場所は容易に特定できる。

 

 そこだ!と勇んで、煙に頭を突っ込んだ。

 

 

 怪鳥が煙から顔を出し、アレクと目を合わせた瞬間だった。

 

「おおおぉぉぉ!!」

 

 雄叫びと共にジャックの左手首から光の蔓が伸び、それと同時に()()()が出現。蔓の根元から飛び出し、着地する。

 

 

「え?!」

 

「『あああ??!』」

 

「はぁ?!」

 

 他3人が現れた者を見て驚く。それと同時に、ジャックが種に掛けた魔術を起動した。

 

 怪鳥を挟む川岸の土の表面に、緑の光点が瞬く。そこから轟音を上げ、蔓の群れが急成長を開始した。縦横無尽に伸びる蔓はあっと言う間に怪鳥を囲み、巻き付き、動きを封じ込める。

 

『?!??!』

 

「留めだマリー!」

 

「『あ…はい!!』」

 

 ジャックの声により、呆気に取られている場合ではないと気持ちを切り替え、彼女は岩に足をかけてジャンプした。

 怪鳥は自らに絡みつく蔓を焼き始めるが、既に手遅れだ。

 

「『うああああああああああ!!』」

 

『!!』

 

 重力による加速に、巨人の全体重が乗った肘鉄が、怪鳥の頭に打ち下ろされた。

 その衝撃は、屈強な魔物であろうとも容易く昏倒させてしまう。怪鳥の思考は迫り来る蒼い腕を境目に途切れた。

 

 

 水飛沫を上げ、巨人と怪鳥が川に落ちる。

 マリーはどうにかバランスを取ったが、すでに意識がない怪鳥はぐったりと岩に引っかかった。

 無数の長大な蔓はすぐに力尽き、枯れ果てて川に流れて行く。

 

 巨人の騎士がしゃがみ込み、中のマリーが魔術を解除する。半透明の巨大が虚空へ還る中、その内にいた彼女は川岸の道に降り立った。

 アレクも隣に着地して魔術を解除。ジャックとエマが立っている場所に歩く。

 

「ふぅ。どうにかなったようだな」

 

 アレクが呟くと、エマが3人に向けて謝罪した。

 

「ごめんなさい。今回は動転してしまって……あんまり役に立てなかったわ」

 

「過ぎた事だし気にしなくても良いって。それより…」

 

「はい…」

 

 アレク、エマ、マリーの3人は、ジャックが魔術を最大出力で使った時に出現させた()を見る。

 

 

 マリーがおずおずと挨拶した。

 

 

「あの……どちら様ですか?」

 

 

 今3人の目の前にいるのは、ゾディアックの女子生徒……にしか見えない何者かなのだ。

 

 彼女は制服を着用しており、足にはストッキングを履いている。

 髪と瞳は花のように淡い赤。背は長身のジャックを僅かに下回る程度とかなり高い。

 

 3人は確信した。

 マリーがいつか見た謎の女子生徒が、今、目の前に立っているのだと。

 

 彼女の質問に、ジャックが答える。

 

「誰も何も、俺が契約している妖精のベルガで……そうか、実体化させたのを見せたのは初めてだったな。ベルガ、俺の友人達だ。挨拶を」

 

 ベルガはスカートの裾を軽く持ち上げ、ぺこりと礼をする。

 

「ど、どうも……。妖精さん…ですか…」

 

「ああ。人の言葉はわかるが、喋ることはできない。俺とは意思のやり取りができるがな」

 

 確かに、彼女……ベルガの顔はどこか無機質な白色で、アルビノのマリーよりも血が通っているように見えない。

 何より、瞳の虹彩はC字に欠けた紅い円輪になっているのだ。

 これはつまり、実体のない妖精が自らの依代として作り出した、仮の肉体だということを示している。

 

「妖精には色々なサイズがあるから、実体化させてみたら人間と同じってこともあるわけだ」

 

「なるほど…です」

 

「で…」

 

 エマとアレクが声を揃えて問い質す。

 

 

「「なんで妖精がゾディアックの制服を着てるのよ?!」んだ?!」

 

 

 ジャックは困ったという顔になった。

 

「なんで…か。いや、話し辛いな…」

 

 その答えに対して、3人は集まってヒソヒソと意見を出し合う。

 

「答えにくいだと?ということは……」

「ジャックにはもしかして……ああいう趣味があるのかも知れないわ」

「や、やめてください…!そんなのないはずです……たぶん…」

 

 ジャックは少し冷や汗を流した。

 

「んん…。変に答えを渋っていると有らぬ噂が立ちそうだ…。正直に話した方がいいと思うか?」

 

 そう問いかけられたベルガは、笑顔で頷いた。

 

「はぁ…」

 

 溜息と共に、ジャックは密談を続ける3人に手を伸ばす。

 

「ちょっと待ってくれ。誰にも言わないで欲しいんだが、これは俺の趣味ではないんだ…」

 

 それを聞いたエマは更に勘ぐる。

 

「貴方の趣味じゃない…という事は……無理矢理?!」

 

「違う!これはだな……」

 

 

 学園内での社会的地位が危うくなって来たので、ジャックはベルガが制服を着ている理由を、順を追って説明し始めた。

 

 

 

 時はアレクが入学する1週間前に遡る。




 投稿するたびに文字数が減っている……。
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