【急募】女の子から変化した武器の手入れの方法【戻して】 作:ぴんころ
ランキングまた載ってたらしいですね、ありがとうございます(20日21:00時点)。
乗るしかない、このビッグウェーブに!(2回目、瀕死、書き溜め0です)
530:名無しのエターナル
緊急事態! 緊急事態はっせーい!!
531:名無しの転生者
どうしたイッチ
532:名無しの転生者
エターナルでも出てきたんか?
533:名無しの転生者
エターナル出てきたならこっち見てる余裕ないだろ
そういう時こそ掲示板で助言をもらうべきなんだけどな
534:名無しの転生者
で、今度は何をしてユーフォリアちゃんを怒らせたん?
535:名無しの転生者
ユーフォリアちゃんを怒らせたって決めつけてて草
536:名無しの転生者
でもイッチのいう緊急事態ってだいたいユーフォリアちゃんとのすれ違いとかそんな感じでは……?
537:名無しのユーフォリア
おにーさんがお風呂に入れてくれないんです!
538:名無しの転生者
あ、ユーフォリアちゃん
539:名無しの転生者
女の子にとっては緊急事態で間違い無いけど……なぜそんなことに……?
540:名無しの転生者
イッチがユーフォリアちゃんをお風呂に入れてあげればそれで済むことでは?
541:名無しの転生者
ユーフォリアちゃんがイッチにお願いをできるようになって俺も嬉しいよ
542:名無しの転生者
後方謎面やめろ
お前は一体どういう立ち位置なんだ
543:名無しの転生者
あ、でもユーフォリアちゃんって今鞘なんだっけ
あまりにもいつものことだから忘れてたわ
544:名無しの転生者
なるほど、一人では入れないからイッチが入れるしか無いわけだな
そりゃ緊急事態だわ
545:名無しの転生者
イッチ、よくユーフォリアちゃんをそのまま入れずにこっちに相談に来たな
ユーフォリアちゃんが入ってる映像をこっちにも送るんだ
546:名無しの転生者
だから鞘だって言ってるだろ
>>545は武器に欲情できるのか
547:名無しの転生者
それがユーフォリアちゃんだってわかってるなら武器でもできるわ
548:名無しの転生者
うわ……
549:名無しの転生者
まじかこいつ……
550:名無しの転生者
でも、鞘状態のまま入れるとユーフォリアちゃんが服を着たままお風呂に入っているような状況になるぞ
551:名無しの転生者
本体、鞘なのか剣なのか未だに謎
中の剣が本体なら鞘から抜かないと服を脱いで無い状態で逆だと剣はなんなんだよって話になる
552:名無しの転生者
鞘から抜くとイッチは手を間違えて斬ったりしないようにしないとな
553:名無しの転生者
鞘か剣を問わず、浴槽に武器が沈んでるのってちょっとシュールな光景すぎない?
554:名無しの転生者
まあそりゃそうだけど……そこはもう諦めるしか無いでしょ
555:名無しの転生者
イッチがユーフォリアちゃんを戻せないのが悪い
556:名無しの転生者
時深さんが任務ついでにナルカナさんとやらを見つけてくれてることを祈ろう
557:名無しの転生者
できることないイッチは、今はとりあえず俺たちにユーフォリアちゃんのあられもない姿送って
558:名無しの転生者
イッチ、ユーフォリアちゃんを洗うのを躊躇ってるならいい手段があるぞ
559:名無しの転生者
有能
560:名無しの転生者
有能
561:名無しの転生者
俺たちもユーフォリアちゃんの入浴を見られるんですね!
562:名無しの転生者
誰が見せるか阿呆!
で、>>558は一体何を思いついたんだ?
563:名無しの転生者
いや女の子を入浴させるのが嫌なら、前言ってた概念情報をいじるやつで女の子になってから入浴させればいいのでは……?
564:名無しの転生者
なるほど!
565:名無しの転生者
天才現る
566:名無しの転生者
これからイッチには男としての肉体を捨ててもろて、女として生きてもらおうか?
567:名無しの転生者
がたっ!
568:名無しの転生者
中身がイッチだってわかってても外見がユーフォリアちゃんなら多分ヌける
569:名無しの転生者
しかもユーフォリアちゃんがその肉体を完全支配してしまえば実質ユーフォリアちゃんやろ?
やらない理由がない
570:名無しのエターナル
ユーフィーが怒るのでやりません
571:名無しの転生者
怒ってくれるとかご褒美や!
572:名無しの転生者
むしろなんでそれを聞いてやらないという選択肢が出てくるのか、それが謎
573:名無しの転生者
お前、いずれはユーフォリアちゃんときゃっきゃうふふしながら裸の付き合いができるようになるんだぞ!
しかも百合の花が周囲に幻視できるような! 怒られることも含めてやらない理由がないぞ!
574:名無しの転生者
男がユーフォリアちゃんと一緒にいるとか解釈違いなのでまずは女になってもらってから話をしましょう?
575:名無しのエターナル
まあ怒られるのがご褒美っていうのは言いたいことはわからんわけではない
泣かれると罪悪感半端ないけど怒ってる姿は可愛くてしょうがないので
576:名無しの転生者
……イッチが俺たちに同意する?
577:名無しの転生者
やべえ……このイッチ偽物だ!
578:名無しの転生者
どうやって潜り込みやがった!
579:名無しの転生者
この掲示板は俺たちみたいな転生者以外には使えないはずだぞ!
580:名無しの転生者
あ、待て……まさかこいつ!
581:名無しのエターナル
いえーす
実は既に怒られてまーす!
582:名無しの転生者
草
583:名無しの転生者
は?
その日、逢夢の家を包んだのは重苦しいほどの沈黙だった。
リビングには二人、あるいは一人と一本。会話を行うための最小単位が揃っていながらも、会話の一切がない。
一度空間を包んだ静寂はある種の神聖さすら宿していて、言の葉を発することを躊躇われる。
普段二人が行う余人には聞き取れない形での会話も含めて、口を開くには覚悟が必要だった。
「ユーフィーがお風呂に入りたいっていうのはわかるけどなぁ……」
『やっぱりダメですか?』
「そりゃ、まあね。さすがに俺が君をお風呂に入れるのはちょっとどうかと思うんだよ」
沈黙を切り裂いたのは逢夢の困ったような声。心なしか眼前に鎮座する鞘も悲しそうに見える。
地球の時間で四日間、彼らの体感時間でだいたい一週間。ユーフォリアが鞘になってから既にそれだけの時間が経った。
鞘ゆえに仕方がないといえば仕方ないのだが、さすがにそれだけの期間風呂に入れていないというのは女の子として思うところがあるのだろう。
「ユーフィーがお嫁にいけない体になっちゃうのはダメだと思います」
『お嫁さんに行く予定はないですよ? 掲示板の方でも、あたしたちが一生涯一緒なパートナーだって言ってたじゃないですか』
「そりゃ俺が死ぬかユーフィーが死ぬまでは契約が解除されないんだからそうだろうけどさ」
ユーフォリアが死んでも少年は死ぬが、少年は死んでもユーフォリアが死ぬとは限らない。
エターナルと永遠神剣の契約関係というのはそういうこと。
自分が弱く、殺されやすいことを自覚している少年としては、どうしても死んだ後に遺されるユーフォリアのことを考えたくなくても考えざるを得ない。
『むぅ……おにーさんが死んだ後に誰かと契約するつもりなんてないですよ。エターナルとしてのあたしのパートナーはゆーくんですけど、永遠神剣としてのパートナーはおにーさんです!』
「あはは……うん、ありがとう。そう思ってくれるのはありがたいよ、本当に」
『というわけで、おにーさんはパートナーをもうちょっと大事にしてもいいと思いますよ!』
「だからお風呂に入れてって?」
『はいっ。おにーさんが毎日お手入れしてくれるのは嬉しいですけど、ちょっとだけお風呂も恋しいです』
「うん、気持ちはわかる」
やっぱりそこに帰結するんだ、と苦笑しながら、それでも願いを叶えるために真っ先に頼ったのは掲示板の叡智。
並んでいるのは変態的なコメントばかりではあるが、逢夢にもユーフォリアにも思いつけないような発想が大量に眠っているのもまた事実。
目をつけたのは、その中の一つだった。
「俺が女になればユーフィーのお嫁に行ける体は保たれるのでは……?」
『もうっ! そんなことのために概念情報を書き換えようとしないでください!』
「いや、でもやれることは一旦試しておいたほうがいいかなって」
『そういうのは時深さんがいるときにしましょう。もしも何かあってもすぐに対処してくれますから』
「……はい」
そして、結局話は戻ってくる。
ユーフォリアのお風呂問題は何一つとして解決していない。
さてどうしたものかと考えたところで、もう一つ掲示板のとあるコメント群が目に止まった。
「そういえばさ。お風呂に入れて欲しいっていうけど」
『はい、どうかしたんですか?』
「浴槽に鞘ごと入れちゃってもいいの? ユーフィー、服ごと永遠神剣になってるわけだけど」
『あー、どうなんでしょう? 多分本体が鞘だと思うので問題はない気がしますけど……』
「これで万が一にもお風呂に入れると戻りました、なんてパターンだったりすると、戻ったときに服がびしょびしょになるのか……。とりあえず、俺の服を用意しておくよ」
『ありがとうございますっ』
『ふにゅぅ……生き返ります〜』
「うーん、日本人的な言動」
袖をまくり、お風呂に鞘を突っ込むと脳裏に響いた言葉はあまりにも日本人的だった。
こういうところ父親譲りなのかな、などとどうでもいいことを考えながら、ちゃぷちゃぷとお湯を弾ませる。
浴槽に立てかけ、滑って全体が湯船に沈まないように見守りながら、時折湯に浸かっていない部分も沈めたり。
『おにーさんは入らなくていいんですか?』
「これは介護と割り切ったけど、一緒に入るのはまた話が別。俺はまた後で入るよ」
『えー』
いくら鞘だとは言っても、女の子であることは変わりない。
この状況ですら彼女の父親に知られればギルティ判定が出ることはまず間違い無いだろう。
けれど、少女も思うところがあるのか不満そうな声音を醸し出す。
「その間一人にしちゃうのは悪いと思うけど、さすがにそれはね」
『こうなってから、ゆーくんの声も聞こえないんですよね。パパの言ってた、あたしとゆーくんが融合してるっていうのが本当ならしょうがないって言えばしょうがないんですけど』
「こう聞くと、あの時俺がユーフィーを連れて逃げようとしたのは全部裏目に出てるんだなぁ……」
『おにーさんは悪くないですよ。あたしのことを助けようとしてくれただけじゃないですか。この事態はともかく、おにーさんと会えたのは良かったことだ思ってます』
「そう言ってくれるのは嬉し──」
つるっ。
音にすればそんな表現が似合う形で、鞘が滑り落ちた。
『わぷっ』
「うぉぉっ!? 大丈夫!?」
『は、はい。びっくりしました……』
「そろそろ上がらないと危険かも……?」
すぐに救出したけれど、少々の冷や汗が浮かんでいる。
ユーフォリアの方も表面を流れ落ちるお湯が汗に見えなくもない。
『ですね。楽しむのはまた今度にしましょう』
「じゃ、俺もパパッとお風呂に入ってしまおうかな」
『上がったらお話ししましょうねー』
「はいはい」
ユーフォリアをお風呂から取り出し、きゅっきゅとタオルで水滴を払う。
彼女が零す気持ち良さそうな声を聞いて、一人で何もできないという今のユーフォリアの状況を早くなんとかしたいな、と逢夢は強く思った。