真祖の吸血鬼、エヴァンジェリンと対決して敗北を喫した翌日、ネギは勇気を振り絞って学校に姿を現した。わざわざ勇気を振り絞らなければ出勤できないと言うのは何と言うか少々情けないが、それでも彼は頑張って出て来たのである。まあ、子供であると言う事を考慮すれば、褒められてもいい事かも知れない。
職員室で雑務をこなした後、ネギは朝の
だが教室へやって来ると、ネギは拍子抜けする。エヴァンジェリンの席が空席だったのだ。
「あれ? エヴァンジェリンさんいない……? 欠席かな?」
「……マスターは学校には来ています。すなわちサボタージュです」
「わあっ!?」
後ろから声をかけた茶々丸の台詞に、ネギは飛び上がる。昨夜ネギはこの茶々丸の体術に、手も無く捻られていたのだ。茶々丸はそんなネギの様子に、動ぜずに言葉を続ける。
「……お呼びしますか、先生?」
「い、いやとんでもない!……じゃなかった。ええと……いえ、
「はい、わかりました。マスターは屋上にいらっしゃいます」
ネギはやや腰が引けつつも、それでも冷静に応対する。腰は引けていたが。彼は悲壮な覚悟を決めた顔で、ぎくしゃくとした足取りで屋上へ向かう。
その様子を見つめる、一対の視線があった。千雨である。彼女は独り言ちた。
「やれやれ、大丈夫かよあのガキゃ……」
ネギは屋上へと出ると、周囲を見回してエヴァンジェリンを探した。エヴァンジェリンはすぐに見つかる。彼女は屋上の端に据え付けられた物置きの陰で、それに背を凭せ掛けて、足を投げ出した形で座っていた。
彼女の方へ歩み寄りつつ、ネギは彼女に声を掛ける。
「エヴァンジェリンさん! もうすぐ
「!」
エヴァンジェリンは一瞬驚いた様な顔をする。だがすぐににやりと笑うと、ゆったりと座り直す。
「ふ……。大した立派な先生ぶりじゃないか、ネギ先生?昨晩マジ泣きしていた子供と同一人物とは、とても思えないぞ」
「……正直な話、やせ我慢ですよ。今も脚が震えるのを抑えるので、精一杯です」
「いや、抑えられてないぞ。ぷるぷる震えてるが」
「ええっ!? あ、いや今はそれは関係ないですっ! もうすぐ始業ですから教室へ戻ってください!」
ネギは顔を紅潮させて、叫ぶように言った。それを眺め遣り、エヴァンジェリンは疲れた口調で言葉を発する。
「やれやれ、大した勇気だな。あれだけやられたならば、恐怖にかられて逃げ回るかと思っていたんだが」
「……だからやせ我慢の空元気ですよ。怖いからって仕事を放り出すわけには行きませんからね。さあ、教室へ……」
「……行って、どうなる?」
「え?」
エヴァンジェリンは鼻で笑って、続ける。
「どうせこの呪いが解けない限り、私は卒業できん。いくら真面目に出席した所でな。それどころかこの呪いは、学外に出る事は修学旅行すらも許してはくれないのだぞ? 歴とした学業の一部である修学旅行にさえも、な。
そんな状況下で、真面目に授業に出ようと言う気になれるか?そしてもしも呪いが解けたとするならば、私が中学校などに通う意味もない。どちらにせよ、私が出席しない事でのマイナスは、私自身には無い。あるとすれば、貴様の教師としての評価程度だろうよ。そして私に貴様の評価など、気にする必要があると思うか?」
「……」
「ほれ、もう朝の
「あ……」
言い負かされたネギが、それでも何か言おうとした瞬間、突然何者かが割り込んで来た。
「エヴァンジェリンさん! ネギ先生になんてことおっしゃるんですの!?」
「うわ!」
「わぁ!?」
それは麻帆良学園本校女子中等部3-Aの委員長、雪広あやかその人であった。その後ろには、神楽坂明日菜、近衛木乃香、佐々木まき絵、宮崎のどか、綾瀬夕映、長瀬楓、古菲、椎名桜子、鳴滝姉妹などがぞろぞろと付いて来ている。その最後尾には、千雨ががっくりと肩を落として立っていた。
(ったく……。何でこう言う事になったんだ。私はこっそり物陰から様子を窺うだけのつもりだったのに……)
千雨はネギが屋上へ向かった直後、それとなくそっと自席を離れて、こっそりと屋上へ向かった。そう、そのつもりだったのだ。
だがネギがわざわざエヴァンジェリンを探しに行ったと言う事で、昨夜の事件の事情を知っている明日菜がネギを心配して、千雨とは別に動いた。そしてそれを追って木乃香が、更にそれに釣られるかの様にいいんちょ以下若干名が、屋上へと走ったのである。
結果として千雨は屋上へと向かっている所を見つかり、彼女ら一同と一緒くたになって屋上出口で隠れて様子を窺う破目になった。そして今、ネギの窮地? に思わず飛び出したいいんちょを追って、屋上に出て来る事になってしまったのだ。
エヴァンジェリンとネギは、慌てる。呪い云々の話を聞かれていたら、魔法を秘匿する上で大事だからである。
「き、貴様ら一体どこらへんから話を聞いていた!」
「えー?そこの屋上出口からだよー。」
「意味が違うわ、バカピンクがッ!」
「そんな事はどうでもいいですわ! さ、
「ちょ、ちょっと待て貴様! 放せ! ええい放さんか、やめろ……」
エヴァンジェリンは、あやかを始めとしてまき絵、古、桜子、鳴滝姉妹などに引っ掴まれ、教室へと引っ立てられて行く。ネギは唖然としてそれを見送った。そこへ夕映に促されたのどかが声をかける。
「あ、あのー、ネギせんせー」
「は、はいっ!?」
「昨晩の吸血鬼騒ぎの時には、また助けていただいたそーで、どーも有難う御座います」
「あ、いえ、はいっ!あ、でも僕だけじゃないんですよ。長谷川さんもです」
「え゛う゛っ!?」
千雨は妙な声を上げる。
「あ、はい。長谷川さん、どーも有難うございました」
「い、いや。一番頑張ったのはネギ先生だからな。ネギ先生の方、優先しろよ。私はいいから。……あ、それより今は始業時間だ。マクダウェルを呼びに来ておいて、その教師の方が
「あ、そ、そうですね。じゃあ皆さん、行きましょう!」
周囲の女生徒達が、一斉に頷く。彼等は急ぎ足――校内で走るのは禁止――で、3-Aの教室に向かった。
階段を下りる途中、楓が千雨に話しかけて来る。
「長谷川殿も、吸血鬼騒ぎに関わっていたでござるか?」
「ん?あー、まあ、な」
「大変だったでござろ?」
「ん。ただ、『だった』じゃなくて、現在進行形で大変だな。もっとも私じゃなくネギ先生が」
「で、ござるか……。もし何かあったら、拙者にも言って欲しいでござる」
千雨は横を向き、楓の顔を見た。楓は何時も通りの糸目で、笑顔を崩さない。千雨は溜息を吐いて、楓に応える。
「ふう……。まあ、機会があれば……。タイミングとか合えば、な。そんときは何か頼むかも知れん」
楓はにんにん、と呟く。千雨はなんとなく、にやりと笑ってみせた。
その日の朝の
居場所を口止めされたらしく、茶々丸も沈黙を守る。そのためエヴァンジェリンの行方を突き止める方法は、ネギおよびクラスメート達には無かった。
そしてそのまま数日が過ぎる。その間、女子寮の大浴場で下着ドロのネズミらしき小動物が出たり、ネギがオコジョをペットとして飼ったりと言った小事件は起こったものの、エヴァンジェリン関連の事件そのものに、大した進展は無かった。
そんなある日の放課後、千雨は寮へ帰ろうとする途中、不審な行動を取るネギ達を見つけた。
(……ありゃネギ先生に神楽坂?何やってんだ、あいつら……)
彼等は植え込みや物陰に隠れてこそこそと移動し、何やらその先の様子を窺っていた。どうやら誰かを尾行しているらしい。千雨は彼等の視線の先を見遣る。そこには1人? の人影? があった。
(……絡繰じゃねぇか)
その人影? は、エヴァンジェリンの従者、絡繰茶々丸であった。彼女は人間ではなくロボット――正確にはガイノイドと言うらしい――だから、人影ではなくロボ影とでも言うべきだろうか? 千雨は茶々丸を尾行するネギ達を、更に尾行する。
千雨の耳に、ネギ達の声が聞こえて来た。
「茶々丸って奴の方が一人になった! チャンスだぜ兄貴!! 一気にボコっちまおう!」
「だ、だけどカモ君……。やっぱりこう言うのは卑怯って言うか……」
「ひきょーじゃねーよ!! 兄貴だって殺されかけたんだろ!? 命の危険がある時に、甘い事なんざ言ってられねぇってばよ!」
「ま、まあ……あんたやまきちゃんを襲った悪い奴らなんだしね。なんとかしなくちゃ……」
千雨は眉を顰める。どうやら彼等は茶々丸を奇襲して、倒してしまうつもりらしい。千雨はなんとなくだが不快感を感じる。まあ各個撃破は、戦術としては普通だろう。それに先に仕掛けて来たのはエヴァンジェリン側だと言うのも本当だ。
だがその行為が万人の共感を得られるかと言うと、怪しい物があるのは確かだろう。
(……にしても、声からするとあのガキと神楽坂の他に第三者がいるみてえだが?……まさかガキの肩にいる、あのイタチか!?……ったく、なんてファンタジーだよ)
アルベール・カモミール……略称カモはイタチではなくオコジョ妖精である。まあイタチ科である事は間違い無いのだが。とりあえずネギ達は、まだ人目があるために、今ここで茶々丸を襲撃する事は断念した様だ。
茶々丸に目を遣れば、彼女はレジ袋に何やら荷物を入れて歩いている。と、その先に幼稚園児程度の少女が泣いているのが目に入った。
「うえーん、うえーん! あたしのフーセン、あたしのフーセン!」
見ると、少女の立っている傍らの桜並木の枝に、真っ赤な風船が引っ掛かっている。茶々丸は、しばし何事か考えていた様だった。だが突然その背中から、スラスターの噴射口がせり出す。そして茶々丸は背中と両脚のスラスターを吹かして、空中へと飛び上がった。ネギ達は、唖然としてそれを物陰から見守る。
そして茶々丸は、桜に引っ掛かった風船の糸を手にすると、少女の所まで降りて来る。少女は茶々丸に礼を言った。
「わーーー! お姉ちゃんありがとー!」
ネギ達は呆然としていた。どうやらネギ達は、茶々丸がロボットだと漸くの事で気付いた様だ。
「さすが日本だよなー。ロボが学校通ってるなんてよう」
「じゃ、じゃあ人間じゃないの!? 茶々丸さんって! へ、変な耳飾りだなーとは思ってたけど!」
「え゛え゛え゛っ!?」
「ぅおおい!! 見りゃわかんだろぉ!?」
その様子を見て、思わず千雨は頭を抱える。
(……今さらだろーが。それに尾行してるんなら、もうちっと静かにしろよ。って言うか、唯一絡繰がロボだって気付いてた常識人? が、一番非常識な喋るイタチだってのがまた……)
その後も茶々丸は、歩道橋を苦労して登っている老婆を背負って渡してあげるなどの良い人っぷりを披露したり、小さな子供達に纏わりつかれるなど街の人気者っぷりを見せつけたりしていた。ネギ達、特にネギはその光景に、茶々丸を襲撃するのをためらう様子を見せる。
「カモ君……。もうやめない?」
「な、何を言ってるんだよ兄貴ぃっ!? 情に絆されたのかよ!? いいか!? 奴は悪者! 兄貴を殺そうとしたんだろっ!?」
「う……」
「だ、だけどこの2年間クラスメートだったんだし……。それに滅茶苦茶いい奴じゃないのよ」
「うおおぃ! 姐さんまでっ!」
その様子を見遣りつつ、千雨は何回目になるかわからない溜息を吐いた。
(はぁ……。まあ、揺らいじまうのは仕方ねーよな。ガキだもんな。……けど、気持ちが揺らいでるんなら、やめといた方がいいと思うんだが……。
ん?何の騒ぎだ?)
その時、ちょうど茶々丸がいる少し先の辺りで、何やら騒ぎが起こっているのが見えた。切れ切れに声が聞こえて来る。
「大変、どうしましょう」
「警察に連絡をー」
「仔猫がドブ川の真ん中にー……」
見ると、ボール紙の箱に入った仔猫が、ドブ川の真ん中を流されて行く。千雨は思わず飛び出そうとして、その自分の気持ちに一瞬唖然とする。
以前の彼女の立ち位置は、あの仔猫が流れて行くのを遠巻きに見ている人々と同じでは無かっただろうか。あの仔猫を哀れには思っても、自分で手を出そうとはしなかったのでは無いだろうか。
(光一さんに感化されちまった、かな。いや、単に心理的なハードルが下がっただけって考えもあるな。前だったら、そう簡単には助けられない。けど今なら、ちょっと手を伸ばせば簡単に助けられるだけの力がある……)
だが千雨より一瞬先に動いた者がいた。ネギである。
「大変だ! こ、仔猫が!」
「おおおい! ちょっと待て兄貴ぃっ! 今尾行中だってばよ! って兄貴ぃっ!!」
ネギは隠れていた植え込みの陰から飛び出した。魔力で走力を強化しているのだろう、その速度は異様に速い。見ると、茶々丸がブロックで組まれた川岸から、ドブ川の中に入ろうとしている。ネギはその横を通り抜けざまに、茶々丸に自分の持っていた杖を押し付けた。
「茶々丸さん、これ持っててください!」
「えっ……」
ドブンと音を立てて、ネギはドブ川に浸かる。水深はけっこう深い。だが必死のネギは、上手くバランスを取ってドブ川の中を進んで行く。そして彼は流れるボール紙の箱から仔猫を抱き上げた。
ネギは180度後ろを向くと、岸の方へと戻って行く。だが冷たい流水の中を歩いて、疲労が激しい。下手をすると、流れに足を取られてひっくり返ってしまいそうだ。その危うい様子は、傍からも見て取れる。それを見ていた人々からも、心配そうな声が上がった。
その時、ドブ川の真ん中、ネギの後ろ側に飛び込んだ者がいた。飛沫が撥ねてネギの背を濡らす。その者はネギにすっと近付くと、さっとネギを抱き上げ、高く跳躍した。
「うわっ!?」
「じっとしてろっ!」
誰あろう、戦闘形態になった千雨である。千雨は岸に着地すると、ネギを降ろした。見守っていた人達から、安堵の声が上がる。
「よかったー」
「あの子が飛び込んだ時は驚いたけど……」
「……ねえ、アレって『8マン・ネオ』じゃないの!?」
「あ、ホントだ。ソレっぽいな。……あれ?だけどアレは女の子っぽいぞ?」
「たしか『8マン・ネオ』って、男……だよな?」
(ハァ……。光一さん、随分有名になってやがる……)
千雨は内心溜息を吐いた。そこへカモを肩に乗せた明日菜が駆け寄って来る。
「ネギ!無茶してんじゃないわよっ! あんたが流されたら、どーすんのよ!」
「あ、ご、ごめんなさい」
「……ネギ先生、ご無事ですか?」
茶々丸がネギに訊ねる。ほとんど無表情であるのに、何故か心配そうな様子が見て取れた。ネギは応える。
「あ、だ、大丈夫です茶々丸さん。それと……どうもありがとうございました、『ディー・エイト』さん」
「いや、別にいいよ……。それより少年、いくらなんでもあんたの体格じゃ、この川に入るのは無茶だ。この程度の川でも、溺れないとは限らないんだぜ?勇気と無謀を履き違えちゃ駄目だぜ」
「はい……」
ネギはすっかりしょげてしまう。千雨はそんなネギの頭に手を置いて、わしゃわしゃと撫で摩った。
「ま、だけどその猫を助けようって気持ちは、間違いじゃねぇと思うぞ」
「!」
ネギの顔がぱっと明るくなった。千雨はその顔を見て、思わず人知れず照れてしまう。
「……あー、んじゃ私はこの辺で失礼する。んじゃな、少年」
「あ……」
千雨は高速転移してその場から姿を消した。残されたネギ達はしばし呆然としていたが、やがて自分を取り戻す。
「あ……っと。それじゃ茶々丸さん、僕はもう行きますので、この仔猫をお願いします。あと杖、どうもありがとうございました」
「あ、はい……。どうぞ、先生の杖です」
ネギと茶々丸は、仔猫と杖を交換する。ネギは杖を受け取ると、茶々丸に別れの挨拶をする。
「茶々丸さん、それじゃ失礼します。また学校で」
「はい、先生。……お気を付けて」
「あー、茶々丸さん、また」
「はい神楽坂さん。また」
明日菜も茶々丸と挨拶を交わす。彼等はやや急ぎ足で、その場を離れた。周囲に人がいなくなると、カモが文句を言う。
「兄貴、なんで飛び出しちまったんですか!? これじゃあ、あの茶々丸ってロボを不意打ちしてやっつけちまう計画が台無しじゃないかよ!」
「いや、これで良かったんだよカモ君」
「何がいいってんだよ!」
ネギは明日菜の肩に乗っているカモを、じっと見据える。カモは思わず息を飲む。
「あのままもし仮に茶々丸さんをやっつける事ができたとしても、僕は絶対後悔したと思う。もし勝てたとしても、卑怯な手で生徒をやっつけたらその瞬間、僕は先生として失格だよ。
そうしたら僕の修行はそこで終わり。いや、修行とか関係なく、僕が僕を許せなくなるよ」
「……でもよ兄貴。負けたら死ぬまで血を吸われちまうんだろ? 死んだら全部終わりじゃねーか」
「そうだね。でもここは曲げられない。前回は負けたけど、それでも誇れる物が残った。だから、なんて言うのか……踏み止まれた。でも勝っても誇れる物が無いんじゃ、きっと何かを踏み外しちゃう。だから……。
……心配してくれてるのに、ごめんねカモ君」
ネギの真摯な言葉に、カモは沈黙する。入れ替わりに、それまで沈黙を守っていた明日菜が、あえて明るく声を上げた。
「……さて、難しい話は終わりにしましょ。ネギ! あんたずぶ濡れじゃない。ドブ川だったから臭いし! 早く帰ってお風呂に入んなさい! それとその背広、急いでクリーニングに出さないと完全に駄目になっちゃうわよ!」
「そうですね。それじゃ……は、は、ふぁ……」
「ギクッ!?」
「ハクション!!」
「きゃあああぁぁぁっ!!」
「うひょーーーっ!?」
ネギのくしゃみで彼の魔力が暴走し、明日菜の制服とカモを吹き飛ばした。幸いな事に人通りは無かったが、明日菜は下着姿でその場に座り込む。
「やだあ! もう! こんの馬鹿ネギー!!」
「ご、ごめんなさーい!」
2人と1匹のそんな様子を、桜並木の樹上から眺めている者がいた。黒を基調としたボディ、その身体に走る赤いライン、随所に見られるメカニカルな意匠、そして少女らしい身体つき……。『ディー・エイト』こと、千雨の戦闘形態である。
千雨は小さく呟く。
「最後はしまらなかったけど……。いっぱしの事言うじゃねぇか、ネギ先生。……ま、頑張れ」
そして彼女は高速転移すると、今度こそその場から疾走り去って行った。
茶々丸襲撃ですが、ネギ君は自分で思いとどまりました。他人から何か言われてとか、襲撃したところに割り込まれてとかじゃなく、自分で思いとどまりました。前話での千雨の叱咤が効いてたためなんですけどね。
他にも、逃げ回らないで頑張って学校来たりとか。ほんのちょっと、原作から微妙に変えてます。
わたしの作品だと、ネギ君を