まちカドまぞくRTA シャミ子√周回データ使用チャート 作:hook arm
Q.なんでこんなに時間がかかったん?
A.やることが……やることが多い!!!
まあ、それは置いといていずも先生が復活なさられたそうなので初投稿です。
乗っ取られるまで
閑散とした部屋に響く衝撃音。
「余……俺をこんな気持ちにさせるシャミ子が悪い」
シャミ子の顔のすぐ隣にあてられた手。いつにもなく真剣な眼差しをした睦月。慌てて、いろんなところに目を動かすものの彼の視線からは逃れられない。
少し長めのボブカットの髪形も額から伸びる角もいつも着用している彼の衣類も何も変わらないハズなのに。
そもそも、彼女がここに来たのは借りていた漫画を返しに来ただけだ。それがいきなり、玄関から部屋に引き込まれて無理やりこんなことになっている。
こんなしっかりと彼の顔を見たのはもしかしたら初めてかもしれない。少年としても青年としても見える彼の表情には迷いはない。
もしかしたら―――今日は関係が進んで――
一瞬、考えていた時に睦月の背後にあるはずのないものが見えた。紐……のように見えるが違う。尾てい骨から伸びる電気機器のコードのよう見えるあれはしっぽだ。一般的に悪魔を思わせるような形状のそれは本来であれば睦月にはないものだ。さらに先端の逆さまのハートが3つ連なったようなのも見たことがある。
「……ごせんぞ?睦月君の中にいるんですか?」
もしやと思った疑問を彼にぶつける。すると、彼は狼狽し始め、
「な、なにをぅ!お、俺は睦月だぞ!」
答える彼はますます───怪しい。というかもうすでにボロが出かかっている。目が泳ぎまくっていることから彼の中には睦月が入っているということで間違いないだろう。
そんなやり取りの背後で聞こえたドアの開閉音。そちらに目を向けると……桃が立っていた。彼女からすればこの光景はきっと自身が立ち入っていい空間じゃないと察することは容易に想像できた。
────あ、これ厄介なことになるパターンじゃあ……
それできっと後々、何かしら事件の予感を感じ取って────
「……二人とももうそんな仲になったんだねじゃあ私もうすぐ立ち去るから」
「ち、違うんです!!桃ぉ!!」
誤解を解くために大声で桃を呼び止めた。
余談だが早口でものすごく高速で目が泳ぎまくっている桃は面白かった。
♦
場所は変わって、ばんだ荘の敷地内。アパートを見渡せるスペースに睦月とシャミ子、桃にミカン。それから先日新たにこの場で生誕したウガルルが集まっていた。
最も今の睦月はリリスが中に入っていることで通常とは異なる状態ではあるが。
「ハッハッハッ!!よくぞ集まったな!皆の衆!」
みんなを横一列に並べて高笑いを浮かべるリリス。
「集まったってか……集めさせられたというか……」
「ハラ、へっタ」
「もうちょっと待っててね」
突然始まったリリス主催の集会に困惑する一同。
「此度、余はポットの不在の隙に睦月の肉体を乗っ取り最強の体を手に入れることに成功した!」
その演説にシャミ子、ウガルルを除いてやれやれといった顔で呆れ混じりで耳を傾ける。最もウガルルも空腹で話を聞いていない。まともに聞いているのは元々リリスを慕っているシャミ子だけだ。
「でも、その身体って睦月のものだよね?リリスさんの力じゃなくて」
桃の指摘に一瞬、うぐッ、と図星の声を挙げるものの即座に気を取り直す。
「だが、余の力で睦月を手中に収めたからこれは余の力だ!どこぞのガキ大将も言っていただろう、お前のものは俺のもの!と」
ハッハッハッと再び高笑いをするリリスにミカンが尋ねた。
「そう言えばポット君は?」
「あ奴なら小倉のところへ向かったぞ」
今回彼女が体を乗っ取ることができたのはポットがいなくなったからだろう。
「空き巣……」
「人聞きの悪いことを言うな!!────そんなことよりも、今から余の力見せてやるからな!」
そう言って、リリスは右腕を前方へ伸ばす。人差し指は桃に向けて不敵に笑いだす。
「クックックッ……今から桃!貴様を遠くまで吹っ飛ばす!」
「……あ、テレポーテーションか」
──最近、使ってなかったから一瞬分からなかったと心の中でつぶやく。
「くらうがよい!!」
大きく右手を開いてイメージを解き放つ。そして、その瞬間。一人の人間がこの場から姿を消した。
「えっと……リリス……さん?」
────姿が消えたのは桃ではなくリリスの方だった。
彼の使うテレポートの正式名称はクォンタム・ジャンプと呼ばれるものだ。その名の通り自らの体を量子化させ、「移動した結果」を作り上げているに過ぎない。そのため、ほかの人間の体を飛ばすと言った芸当は睦月の体に触れていないと基本不可能だ。
そんな知識もなくリリスは自らの体をどこかへ飛ばしてしまったのだ。
取り残された一同がその結果に唖然として、立ち尽くす。
「今の……何!?」
信じられないものを見たようなミカンが疑問をぶつける。
「テレポーテーションだって」
「いや、だって。じゃなくて……」
彼女からしてみれば、いきなり睦月が消えたのだ。この町がいくら変な人々が集まるからと言って目の前から急に姿を消したら驚く。
「解散……しようか?」
「え!?ごせんぞと睦月君はどうするんですか?」
「でも……いつ帰ってくるか分からないし……」
なんて話し合いをしていると、姿を消した地点からズレることなく再びリリスが現れた。なにやら息を切らし冷や汗を浮かべている。
「ど、どういうことだ……なぜ、余の方が飛ばされた……?」
「お、お帰りなさい、どこまで行ってきたんですか?」
「なんか知らん山の奥まで飛ばされた……」
ぜーぜー息を切らしながら語るリリス。
「これ以上、あなたに睦月を操作させたら睦月が痛みます」
「この流れ、なんか前にも……」
一連の行動を見た桃はこれ以上厄介なことを起こすまいとリリスを拘束しようとする。身体能力はほぼ一般人と変わらない睦月の体は力で簡単におせるとにらんだ桃は腕を押さえつけようと肉薄するが直前、半透明の壁に阻まれた。
「フッフッフッ……シャミ子とは違うこの体!今の余は最強だ!!」
「私のことさらっと馬鹿にしてません!?」
「はぁ……めんど」
展開されたバリアが接近させまいと桃の腕を弾いた。しかし、そんなことであきらめる彼女ではない。手刀にした右手をバリアに突き立て続けてそこに左手を合わせ────
「フ……ッ!!」
ジャッキの要領でこじ開けようと試みる。バリアからメキ……メキ……と少しずつ音を立てていく。これがバリアが瓦解していく音なのかは不明だが、これを割れる音と解釈したごせんぞは冷汗を流す。
「こ、こうなったら……」
最後の手段を使う。────ニヤリ、と笑みを浮かべ、
「これが睦月の体なら、
「まさか……」
「そう──────『アクセス』がな!」
声高らかに叫んで、位相次元から魔人を引き寄せるコード。いくつかの残像が睦月の体に重なって、圧倒的な力をもつ魔人が降臨。
「………………………………アレ?」
────しなかった。
「アクセス!……アクセス!!」
なんども連呼し続けるものの、結果は同じ。
「アクセスなら使えないよ。だって────」
『変身コード不承認:脳波パターン不一致。』
ふいにリリスの背後から響く合成音声。抑揚のない声ではあるが怒りを感じるのは気のせいだろうか?リリスが後ろを振り向くと……
球体に近いボディを宙に浮かせているポットがいた。その姿を見て顔が真っ青になっていくリリス。
『リリス』
「ひゃいっ!!」
これから何が起こるのか?それを想像していた彼女は上ずった声で、返事を返す。身体はガチガチとぎこちない動きを見せ、その場に固まった。
『精神体への.zip方式での圧縮凍結を提案』
「……」
『反対意見を募集する』
周囲に意見を求めるポット。しかし誰よりも早く口を開いたのはリリスだった。
「ず…………ずみまぜんでじだ……」
────なんかこのやり取り前にもやった気がするな。涙ぐみながらポットに謝罪している彼女を見てなんだか哀れに思った桃だった。
♦
まず感じたのは光。その感覚に思わず目を開ける。ぼんやりする頭で状況を把握しようとする。
寝かされているのは、畳の上で────それから彼女、シャミ子が見えた。
「あ、目が覚めましたか?睦月君」
「……えっと、どうして───」
睦月の記憶では確か最後に見たのは、ごせんぞだったハズだ。それから……それから?
「何やってたんだっけ?俺」
「そ、そのことについてはいろいろあって……」
そう言いながら顔を赤らめるシャミ子。一体自分が寝ている間に何があったのか、首を傾げながら上体を起こしてゆっくりと立ち上がる。
「その……覚えていないんですか?さっきの────こと」
「さっき?……ってなに?」
「覚えていないなら……別に……いい、です」
真っ赤な顔のまま、俯く。彼女の頭の中にあの光景が焼き付く。顔は、どんな感じだった?服装は?伸びてくる手は?
ひとつひとつを思い出すたびに胸の中が熱くなって、こういう感覚をなんと呼ぶのだろうか?
(───俺、マジで何やった!?)
一方で、顔を赤らめているシャミ子を見ていた睦月は内心激しく動揺していた。
(もしかして寝ぼけて何か……とんでもないことをしでかしてしまったのか!?)
身に覚えのない行為に狼狽し、さらに何か口にするのも憚られるようなことをしてしまったと思い、もしやの可能性として……考えただけでも頭の中が煮えそうな感覚に陥り、その熱が顔まで伝わる。そんな顔を彼女に見られたくない一心で顔を背けた。
お互いに直視できない───そんな空間が場に流れる。
「優子ー!そろそろ……」
その空間を打ち破ったのは二人ではなくシャミ子の母、清子だった。
「あら、ごめんなさい……もうちょっと空気読むべきでしたか?」
「い、いえ!清子さん!大丈夫です!」
「そ、そうです!平気です!おかーさん!!」
傍から見れば部屋に男女が二人っきり。しかもお互いに顔を赤らめてそっぽを向き合っている。明らかに何かあったように見えるだろう。しかし、実際はなにも起こっていない。
そんな空気を察したのか察してないのか、清子は話を切り出す。
「睦月君、今日は久しぶりに晩御飯をうちで食べていきませんか?」
「えっ、ああ……でも……」
赤くなった顔が元に戻った睦月はその誘いに戸惑う。その迷いを押し出すようにシャミ子が口を開く。
「わ、私……睦月君さえよければ、一緒に……食べ……たい、です」
そういう彼女は体をもじもじと揺らし睦月の反応を伺う。彼女のしぐさに目を奪われつつ、返答を返そう。
「じゃ、じゃあご一緒させてもらってもよろしいでしょうか?」
「フフッ、そんなにかしこまらなくてもいいんですよ。もしかしたら────」
────家族になるかもしれませんから
「かっ……ッ!!かッ……カゾッ!?」
「おっ、おっ、おかーさん!!」
清子のとんでもない発言に二人の声がばんだ荘に響き渡る。
今日もばんだ荘は平穏な一日だったということだ。
♦
加速する電子の光と情報が行き交う空間。そこに一体の宙に浮くロボット、ポットと今回の騒動の張本人であるリリスがいた。しかし、リリスの方は正座でポットの前に座っている。ばつの悪そうな顔のままポットとは視線を合わせないように、何を言い渡されるのか恐怖と不安が今の彼女の心境だった。
『リリス』
「ひゃいっ!!」
『弁明を許可する』
冷徹な合成音声がリリスの耳に届き、小さな悲鳴を上げた。果たして弁明したところで、彼からの判決は覆るだろうか?そればかりを気にしてリリスは震えるような声で語りだした。
「だ、だって!ウガルルのことがうらやましいぞ!余は……余はあの間抜けな像に封印されて!だから、睦月の体で最強になって……」
『……』
「それに!ちゃんとシャミ子と睦月の仲だって取り持ったぞ!」
リリスの言っていることは嘘ではない。事実、二人の距離が縮まったのは彼女のおかげであることには間違いない。しかし、その手段が問題だ。
ポットの電子頭脳がリリスの強行手段を咎めるべきかそれとも契約に基づいて目的を達成したとこの件について目をつむるか?しばし考えたのちに出された結論は……
『────リリス、今回の件における独断行動を不問とする』
「ヤッタァァァァァァ!!」
無罪に喚起を上げるリリス。
『忠告:今後、越権行為を行った場合.zip形式での────』
「うむうむ!分かっておる!」
────ホントに分かってるのかコイツ。人間ならそう思っているであろう言葉を口に出さない。そもそも、多分何回やっても懲りないだろう。数千年も封印されていた影響で精神力はちょっとやそっとじゃ折れない……だろう。
今後、彼女が自身の肉体を持ち現実に干渉することができるようになれば行動力が半端ではないことが予想できる。仮に彼女を受肉させるとすれば……ウガルルを動かすために用意した時のシュミレーションデータと各関節部の可動域の設計図面は残っている。ウガルルと同レベルのボディを作成することが可能ではある。リリスに肉体を与えれば確実に調子に乗ることは火を見るよりも明らかだ。
「で、ポットよ今回協力した謝礼ぐらいは用意してくれてもよいのではないか?」
……こういう風に。
好感度は今回はボーナスシナリオなのであえて表示しません。たまにはこういうのも多少はね?
次→こいつらK2の一也と宮坂さんレベルでくっつかねぇな?
※おま〇け
知っておこう!リリスin睦月!
Q.リリスinシャミ子とはどう違うの?
A.超能力と一般人よりかは若干高めの身体能力があるためイージー!(なんてことは)ないです。操作性が激悪、超能力の制御が難しい、性差ゆえにバランスがとりにくいと壊滅的な状況だったのでああなった。