どう頑張っても一話では収まらなかったので二つに分けさせていただきました。
何とか駆逐艦の子達を言いくるめることのできた私は今現在海の上にいる。
天龍が体調不良故に来ることができないため、かわりに来たことを伝えた時の第六駆逐隊の子達の心配そうな表情は天龍へ対する嫉妬と同時に深い罪悪感をもたらしたが、これもこの子達のためと思いそっと何とも言い難い感情を胸の奥へとしまいこんだのであった。
「今回の偵察、何も出てこないといいのです......」
「何がてできてもこの私にかかれば問題なんてないんだから!」
「どんな任務でも華麗にこなしてこそ一人前のレディーと言うやつなのよ!」
「ハラショー」
うん、可愛い。
とてつもない尊みに溢れている......
気を抜いたら鼻から尊みが溢れ出てきてしまいそうだ。そんな役得を味わいつつ深海棲艦の目撃場所へと向かっていたのだが......
ガゴオォオオオオン!!
突如として船体に何かを撃ち込まれた様な強い衝撃が走った。
自分はこの衝撃の正体を知っている。
戦場で幾度と無く味わってきたこの衝撃は間違いなく、
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次の瞬間海底から浮上してくる影が見えた。
照準を合わせる隙すら、あたえない速度をもってして急速浮上してくる亡霊の艦隊。
深海棲艦だ---------
私ははっきり言って焦っていた。
手前の無数の駆逐、軽巡の群れは刺し違える事さえ覚悟すれば何とかこの子達が鎮守府へと逃げる時間くらいは稼ぐ事ができただろうが、その後ろに控える相手が分が悪いとしか言いようが無かった。重巡リ級、戦艦ル級そして......
戦艦棲姫だ。
何故よりによってコイツがいるんだ。
戦艦棲姫と言えば姫級の一体で、
精鋭の艦娘が艦隊を組んでやっと討伐できるような相手だ。
そんな奴がどうしてここにいる?
確かに浮上してきた深海棲艦からの奇襲を受けたと言うのはよくある話なのだがそれはあくまでも深海棲艦の占領海域内の話であって潜水艦娘や潜水装備を着用した艤装妖精が哨戒を行う人間の領域内ではほぼ不可能に近い行為なのだ。
などと考えていてもこの海域内に深海棲艦、それも姫級がいるという事実に変わりはないし、先程から逃げ続けてはいるものの一向に逃げ切る事ができないと言うのも事実だ。
どうやら、覚悟を決めるしか無いようだな。
「私が殿を務める。
ここは任せて先に行け」
「長門さん?!」
「あんた何言ってんのよ!!」
「おいていけるわけないでしょ?!」
「うるさい!!!
とっとと行け!!!!!」
...あぁ、やってしまった。
咄嗟の事で怒鳴りつけてしまった。
......だが、
「わかった、けど死んだらしょうちしないんだからね!」
「長門さん、死んじゃダメなのです......」
「必ず助けを呼んでくるのよ...!」
「助けを連れて来るまで頑張っててくれ!」
あぁ、本当にこの子達はいい子達だと思う。
そんなことを言われてしまったら生き残るしか無いじゃないか。
そうして私は船体を180度反転させた。
これから絶望的な勝負を挑むというのに不思議と心は軽い。
艦内の艤装妖精達もやる気充分といったところだ。
そうして覚悟を決め砲弾の装填を行っていると不意に空から聞き覚えの無い音が聞こえてきた。
キイィイイ---------
キイィイイィイ---------
その音の主はどんどん近づいてくる。
キイィイイィイイイ---------
キイィイイィイイイイイイン
その音ははっきりと聞こえるようになった。
耳障りな低い音が聞こえた瞬間電探担当の艤装妖精から報告が入った。
『上空より、飛翔体接近中その数
六十四 』
キイィイイィイイイイイイン!!!
次の瞬間分厚い雲をかき分け飛来した音の主は、目の前に立ちはだかる無数の駆逐、軽巡クラスの深海棲艦達に、圧倒的なまでの破壊の暴力を叩きつけた。
(なんだ?なんなんだコレは?!)
先程までその膨大な数によって存在感を放っていた駆逐、軽巡クラスの深海棲艦達は船体に大穴を開けられ炎上し、今正に沈みゆく真っ最中であった。
さらに再び追加で降ってきた飛翔体によって重巡、戦艦そして姫級までもが大破にまで追い込まれていっている。
そんな状況に唖然とした長門をよそに事態は更に動き出した。上空から飛翔体とはまた違った、
人間の目では小さすぎて見えないそれも、
艦娘の目でははっきりととらえることができた、あれは---------(人?いや、違う あの気配は、艤装妖精?!)
空から降ってきたのは武装した艤装妖精だったのだ。
(危ない!!)
パラシュートもつけていない艤装妖精がこのまま海面に叩きつけられる。そう思っていたのだが---------
スタッ
何事もなかったかのように一人また一人と海面へと着地した艤装妖精達は大破炎上し混乱の渦中にいる敵艦へと侵入し瞬く間に制圧してみせた。
瞬時に混乱から立ち直った長門は思考をめぐらせる。
(私には彼女らが何者なのか解らない。
......何者なのか解らないが、彼女らが何であるかは知っている。
全て彼女らの腕章が示していた。
いまだ世界で忌み嫌われ続け、ドイツ艦娘達からは信仰対象の様な扱いを受ける存在、
だとしたら何故彼女らが日本近海に......?
そう考えをめぐらせていた長門の耳に新たな
先程の飛翔体の様な低く耳障りな音ではなく零戦等の艦載機に積まれているエンジンの様な音。
分厚い雲の少し向こう側が無数の光に照らされている。
最初に雲から顔を出したのは無数の鉄骨であった。
絡み合いワイヤーでつなぎ止められたそれ
(あれは電探?)
続けて出てきたのは客船上半分をひっくり返した様な異様な
そして最後に出てきたのは赤と黒に塗装され戦艦さながらの装甲を付与されたツートンカラーの気球であった。
雲を割って現れたのは、絶望的な戦力差を瞬く間にひっくり返した怪物の正体は------------------
(な、こんな巨大な?!)
たった三隻の飛行船であった。
長門が覚悟を決めるシーンで、ベルナドットと愉快な仲間たちを思い出したのは私だけであろうか......
(現在公開可能な情報)
艤装妖精
この世界の艤装妖精は基本的に標準サイズ
(人間)サイズである。
次回お楽しみに!