東方安楽記   作:ムマ・N

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その後の紅の生活

本当に僕自身何故だか分からないが、僕の体は吸血鬼として適しているようだった。

レミリア様に噛まれてまだ数日しかたってないけど、僕は吸血鬼として能力を覚醒させていた。

まず人間の時にはなかった体力や力がついた。

確かに僕は人間の時から鍛えていたけど、それが良かったのか、急激に力を付けていた。

日の光は勿論苦手だけど、一瞬で消えるわけじゃないし、日傘で何とかならないわけじゃない。

魔法も前より楽に使えるようになった。

こんな言い方は少し嫌だけど、レミリア様に眷属にしてもらってから良いことしかないんだよなぁ。

やっぱりこの言い方やめた。

これじゃまるで僕が自分の力が欲しくてレミリア様に眷属にしてもらったみたいじゃないか。

僕はレミリア様と同じ時を生きたかったから眷属にしてもらったんだから。

 

「あ、牙生えてる。 また吸血鬼に一歩近付いたんだなぁ」

 

朝いつものように起床。

顔を洗う。

いや少し水が痛いけど仕方ない。

そこで鏡を見た時に気付いた。

僕の歯の一部分がレミリア様と同じように牙になってる。

ここから血を吸うんだよな。

まぁ僕が吸うことはないだろうけど。

 

「良し、今日も仕事を頑張るか」

 

執事服に乱れなし。

む、ネクタイが曲がってるな……良し直った。

 

 

 

 

 

 

「おはようございます、咲夜さん」

 

「紅鷹。 お嬢様の眷属になったんだから少しくらい寝てても良いのよ? 朝日は危ないんじゃ……」

 

「大丈夫です。 僕は吸血鬼である前にこの館の執事ですから」

 

咲夜さんの心遣いは嬉しいけど僕には関係ない。

眷属になったのを理由でサボりたくはないからね。

 

「……まぁ良いけど。 じゃあ今日の仕事もよろしく頼むわね」

 

「はい。 今日もよろしくお願いします」

 

咲夜さんと別れてから僕の仕事は始まる。

僕の仕事は、まず妖精メイドさん達に指示を出す所から。

本来これはメイド長である咲夜さんの仕事なんだけど、僕にはどうやら人を使う才能があるらしい。

僕の指示を受けた妖精メイドさん達は上手く仕事をこなしているらしく、レミリア様からこの任を受けたのだ。

咲夜さんも了承してくれたし。

僕としてはレミリア様や咲夜さんの役に立てて嬉しいから良いか。

 

「じゃあよろしく」

 

「はいっ!」

 

指示が終わると妖精メイドさん達は返事をして散っていく。

さて僕自身も掃除に入るとするか。

僕の仕事は主に館の中を掃除しながらこまめに妖精メイドさん達に指示を出すこと。

と言っても掃除をしてるのは僕が決めたことだけど。

どうせ館の全体を見回ることになるんだから、掃除をしながらの方が効率が良い。

まぁ昨日忘れてて窓の拭き掃除をして、消えそうになったのは忘れよう。

 

「あっ紅鷹さんじゃないですか。 こんな時間から起きているのですか?」

 

「おはようございます、小悪魔さん。 まぁ吸血鬼になっても生活を変えるつもりはないですから」

 

この時間に会う人物の中ではかなり珍しい分類に入る小悪魔さんが珍しいことに廊下を歩いていた。

無論、むこうも同じみたいだけど。

 

「ん~」

 

と何故か小悪魔さんは少し納得のいかなそうな顔をしてこっちを見ていた。

何か変なこと言ったかな?

 

「その小悪魔さんって言うのと、敬語は少し変じゃないですか? というかむずかゆいですよ」

 

あぁそういうことか。

後半は少し苦笑混じりになってたけど、小悪魔さんの言いたいことはわかった。

多分小悪魔さんは立場の関係を言っているのだろう。

小悪魔さんと僕の立場は、同じくらいか僕の方が上かと言うくらい。

確かに敬語やさん付けを変に思われても仕方ないか。

 

「でも敬語は癖みたいなものですから……」

 

「じゃあせめて小悪魔って呼び捨てにしてもらえますか? みんなそうしてますし」

 

まぁその位なら良いか。

特に反対する理由はないしな。

 

「じゃあこれからは小悪魔と呼ばせてもらいますね」

 

「はいっ」

 

僕が呼び捨てにすると、小悪魔は少しだけ嬉しそうに笑ってくれた。

これくらいで笑ってくれるなら、僕も嬉しい限りだな。

 

「それで小悪魔、こんな所でどうしたんですか?」

 

「あ~パチュリー様が寝てしまっていて……整理して起こしてしまったら悪いですから」

 

「そういうことか。 パチュリー様は良い部下を持っているんですね」

 

「そんなことありませんよー」

 

僕は素直な気持ちで言ったのに、小悪魔は恐縮したように縮こまっていた。

褒めただけなんだけど。

 

「私よりも紅鷹さんの方が凄いですよ~。 ただの人間だったのが、結局お嬢様の眷属にまでなっちゃいますし」

 

「そうですかね? 僕はレミリア様に必死に尽くしてただけなんですけど」

 

「それが凄いんですよ」

 

僕の返答に小悪魔は少しだけ苦笑するように笑っていた。

小悪魔とこれだけ長く話すのも珍しいかもな。

最近は僕も余裕が持ててきたってことか。

 

「……ん?」

 

今の爆発音は、まさか。

僕の懸念はどうやら当たっていたらしく、焦った様子で妖精メイドが走ってきた。

 

「紅鷹様! 黒白魔法使いの襲撃です! 現在門にて美鈴様と交戦中!」

 

「……やっぱり魔理沙か。 小悪魔、図書館の方の防御をお願いします。 パチュリー様を起こさないように」

 

「あ、はいっ」

 

僕の言葉で小悪魔は急いで図書館に飛んでいった。

さて、魔理沙には悪いけど、通すわけにはいかなくなったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう紅鷹! 元気そうじゃないか!」

 

「あぁお蔭様でね魔理沙。 それよりも今日は通さないよ」

 

「押し通らせてもらうぜ?」

 

僕が妖精メイドさん達の部隊を連れてくると魔理沙は既に美鈴さんを突破して紅魔館に侵入していた。

どうやら止まる気はないみたいだね。

僕は魔理沙に比べれば弱いし、実力不足だけど、それでも僕はこの紅魔館の執事だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く始めからパチュリーは寝てるって言ってくれれば良かったのによー」

 

「訓練になるから、魔理沙が来たらメイド隊を率いて戦えって言われてるんですよ」

 

結局僕は魔理沙にパチュリー様は寝てることを伝えて戦闘を終わらせた。

今、魔理沙は僕の淹れた紅茶を飲んでパチュリーが起きるのを待っている。

被害はメイド隊に多少、紅魔館自体にはかなり。

魔理沙にも多少の被害を与えて、僕自体の被害はなかったから、上々かな。

 

「しかし紅鷹、なかなかやるじゃないか」

 

「僕は強くないよ魔理沙。 妖精メイドさん達が頑張ってくれるだけ」

 

後ろに控えてる妖精メイドさん達。

彼女達を指揮することによって魔理沙とは戦えた。

その言葉で多少妖精メイドさん達が頬を染めていることを僕は知らなかったわけなんだけど。

 

「でもお前自体は、弾幕張らないのか?」

 

「僕はまぁ……まだまだ弱いし」

 

いつか魔理沙とかとも戦えるようになりたい。

でも僕はまだまだ弱くて、勝負になりはしないんだ。

 

「ただの人間にしちゃあやると思うけどな。 まぁ私こそが普通の魔法使いだけどな」

 

「あぁ魔理沙、僕はもう……」

 

「紅鷹」

 

「咲夜さん?」

 

「少し良いかしら? 頼みたいことがあるのだけど……」

 

咲夜さんから頼みごとは珍しいな。

魔理沙には悪いけど、ここで終わりだな。

 

「じゃあ魔理沙悪いけど……」

 

「おう。 またな紅鷹!」

 

魔理沙を残して僕は咲夜さんと一緒に部屋を出る。

妖精メイドさん達に任しておけば大丈夫だろ。

 

「それで咲夜さん頼みって……」

 

「あぁちょっとこれから私は人里に買い物に行かないといけないのよ。 それでちょっと遅くなるからその間の館の管理をお願いしたいんだけど」

 

「はい、わかりました」

 

少し悪そうな表情をしてる咲夜さんだったけど、僕の返答で安心したように息を吐いた。

 

「今までは私が出てる間任せられる人がいなくて……紅鷹がいてくれて助かるわ」

 

「いえ、僕も咲夜さんのお役に立てるなら嬉しい限りですよ」

 

「そ、そう? じゃあ行ってくるわね……」

 

咲夜さんは少しだけ赤くなると、足早に出かけていった。

どうかしたのかな?

 

「紅鷹様?」

 

「あぁ咲夜さんは出かけたから今日は僕が指揮を全面的に取るよ。 とりあえず小悪魔に防御体勢を解くように伝えてきてくれないかな?」

 

「了解しました」

 

妖精メイドさんは僕の指示に従って図書館に飛んでいく。

さて今日はこれから大変だな。

咲夜さんがいない分だけ必死に働かなきゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅鷹、小悪魔から聞いたわ。 今日はご苦労様ね」

 

「いえ良いんですよパチュリー様。 たまには疲れを取るために睡眠は取るべきですよ」

 

起きたパチュリー様にお茶を指示され、図書館に着くと僕はまずお礼を言われた。

魔理沙はどうやら目的の本を持ってもう帰ったようだ。

 

「……まぁたまにはね。 今日は少し不覚だったけど」

 

「確かに本を読んだまま寝てしまうなんて珍しいですねぇ」

 

「っ!? み、見たの……?」

 

「えぇ。 まだ寝ていらっしゃったか確認しに。 可愛い寝顔でしたよ?」

 

何かボンという音が聞こえたような気がした。

一瞬で顔を真っ赤にしたパチュリー様を見たからだろうか?

やっぱりパチュリー様も、レミリア様のお友達だなぁ。

 

「レ、レミィの恋人なら不用意にそういう発言をしない!」

 

「え? でも可愛かったから言っただけでして……」

 

「だから……はぁ……レミィも苦労するわね」

 

「??」

 

何を言ってるんだろパチュリー様。

僕はただ思ってることを言ってるだけなのに疲れたようにため息を吐いて。

まだお疲れなのかな?

 

「まだお疲れのようなのでハーブティーでもお持ちしましょうか?」

 

「……いや別に良いわ。 それよりそろそろレミィが起きてくる時間よ」

 

「おっともうそんな時間でしたか。 ありがとうございますパチュリー様」

 

主人の起床に立ち会わなければいけないからな。

パチュリー様にはまた感謝しないと。

 

 

 

 

 

 

「むきゅー……紅鷹はレミィの恋人……紅鷹はレミィの恋人……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ……もうこんな時間。 少し寝すぎたかしら」

 

「おはようございます、レミリア様」

 

レミリア様の部屋に入り、咲夜さんのように挨拶をする。

今は咲夜さんの代わりなんだからしっかりやらないと。

 

「おはよう咲……紅鷹?」

 

「はい。 咲夜さんは多分そろそろ帰ってくると思いますけど……」

 

「…………」

 

何故だか良くわからないけどレミリア様は僕の顔を見たまま固まっている。

あ~そんな顔も可愛らしいなぁ。

 

「紅鷹! なんで私の部屋に……」

 

「咲夜さんに館の管理を任されまして。 レミリア様の起床にも立ち会うべきかと」

 

レミリア様は急に動き出すと、布団で自分の体を隠すように口の上まで上げてしまった。

何か顔が赤いな?

吸血鬼が風邪?

いやそんなはずないか。

 

「う~紅鷹、少し部屋を出てなさい」

 

「しかし着替えの手伝いを……」

 

「良いから出てなさい!」

 

必死な様子のレミリア様に言われて僕は仕方なく部屋を出た。

すると向こうから焦った様子の咲夜さんが走ってきた。

 

「紅鷹! まさかお嬢様の起床に……」

 

「おかえりなさい、咲夜さん」

 

「え、えぇただいま……じゃなくてお嬢様の起床に立ち会ったの!?」

 

「え、はい。 咲夜さんの役目は果たさないといけないと思いまして……」

 

疲れたようにため息をつく咲夜さん。

疲れたというか呆れたような表情だな。

 

「……言わなかった私が悪かったわね。 とりあえずあなたはロビーで待ってなさい」

 

「はい」

 

僕は良くわからなかったが、とりあえずロビーに向かった。

何故かその日一日レミリア様はまともに話してくれなかったけど、なんでか顔が赤くて凄く可愛かった。

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