<Infinite Dendrogram>-Lord of the Netherworld- 冥府の主   作:GOD竹山

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あけましておめでとうございます

今年も拙作をよろしくお願いします。


10話 UBM特典の使い道

<アルター王国 決闘都市ギデオン近辺>

 

 

 

 

 

【<UBM>【学習戦機 リィーリエス】が討伐されました】

 

 

 

【MVPを選出します】

 

 

 

【【ヨミ】がMVPに選出されました】

 

 

 

【【ヨミ】にMVP特典【学習戦機完全機骸 リィーリエス】を贈与します】

 

 

どうやら両者ともに、削りあっていて瀕死だったので倒しきることが可能でしたね。

 

 

しかし、瀕死だと思ったのですがあそこから火炎放射をこちらにしてくるとは、しかも攻撃を仕掛けている【スケルトン・デミ・ドラゴン】ではなく私自身に向けて。

 

 

あの<UBM>、かなり賢いですね。あそこで生み出した【スケルトン・デミ・ドラゴン】ではなく生み出した張本人の私を倒すようにしていましたし。

 

 

ですが死んでしまったら意味はありません。あの場面だったら攻撃してくる【スケルトン・デミ・ドラゴン】を狙い倒して、そのまま戦闘時に飛んでいたように逃げればよかったものを

 

 

「なにはともあれ、<UBM>を倒したことですし戦利品の得点武具でも見ましょうか」

 

 

私は、早速手に入れたアイテムを拝もうと取り出しました。

 

 

取り出したものは武具と呼ぶにはあからさまに大きく、そして先ほどまで見ていたリィーリエスの彫像の様でした。

 

 

「なんですかこれ?」

 

 

説明をよく見てみるとこれはどうやら生産素材らしく加工なりなんなりしないと効果を発揮しなさそうです。

 

 

「生産素材を加工できる人脈なんて持ってませんよ……あれ?」

 

 

私はふと自分の考えが正しいのか確かめるためにウィンドウを確認し始めました。

 

 

「生産素材……アイテムとMPを使用して……!?」

 

 

これってヘルの第2スキルでアンデッド化ができるんじゃないですか!?説明的には出来そうですし、できるとすれば<UBM>の特典がこのような形でアジャストしたのも納得がいきます。

 

 

「物は試しです、早速試してみましょ……」

 

 

「マスター……生み出しても…ジュエルに入れないと………町に入れない……」

 

 

た、確かに!?私としたことがすっかり失念していました。確かにモンスターを連れて町にそのまま入れそうにありません。それにそんな人ギデオンでもコルタナでもいませんでした。

 

 

「危ないところでした、ありがとうございますヘル。」

 

 

「どうってこと……なし……」

 

 

では先に町へ戻ってジュエルを買ってから、試してみますか。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……少し手間がかかりましたね」

 

 

ジュエルを買うために町へ戻りましたが買う途中で所持金がないことに気づいて慌ててアイテムを売りに行くことになるとは。

 

 

 

「ですが目的のものは買えましたし早速町から出て試しましょうか。」

 

 

「おー………」

 

 

それにしてもこの町はマスターと思わしき人たちが多いですね。多分コルタナよりは少ないと思いますが、コルタナと比べ装備やら装飾品やらが整っている人たちが多いですね。

 

 

「コルタナは初心者っぽい人たちがほとんどを占めていましたし、ここはレトロゲームなどでいう第2の町のような扱いでしょうかね。」

 

 

初心者以外が多いのでもしかしたら私が狩りをしているときに鉢合わせしてゾンビたちが狩られてしまうんでしょうか?そうなると私にとってはデメリットしかありませんね。

 

 

このあたりでレベリングするときは少し遠くまで……それこそあの竜たちがいたところ付近まで行きますか。

 

 

 

 

 

 

 

「さて元の場所に帰ってきました。ここならほかのマスターは居ませんし戦いの余波か知りませんがモンスターもいなさそうです。」

 

 

「もし…モンスターが出ても……ここなら思う存分……生み出せる……」

 

 

「では、始めましょうか。《代償払いし固有の屍》……」

 

 

私がスキルを発動させると手持ちのUBM特典にスキルの魔法陣が重なっていきそのまま私の手から離れ地面に落ちていきました。

 

 

魔法陣の上にあるUBM特典はだんだん光の粒となり魔法陣へと溶け込んでいきました。そこから数秒もたたないうちに魔法陣から一体のモンスターが出てきました。

 

 

そのモンスターの見た目は人間と何ら変わらず背中に目立つ機械の羽が生えています。見る限り身長の方は私と同じか少し高いぐらいで、裸のままです。

 

 

っと…どうやら見続けていたため種族名が表示されています。種族名は……《ハイ・メカニカル・アンデッド》、要するに機械のアンデッドだそうです。

 

 

機械のアンデッド……昔やったゲームの中に機械の部分を持つゾンビが登場するゲームがありましたね。名前はなんでしたっけ?確か、バイオ………

 

 

「マスター……裸だし…何か着せないと……」

 

 

考えに夢中になっているとヘルに呼ばれ、意識を呼び戻されました。

 

 

「服…ですか、ですが今は都合よく服なんて持っていませんしここはジュエルの中に入ってもらうしか……」

 

 

私が生み出したモンスターですからジュエルの中に入ることはできるはずです。ひとまずはジュエルの中に入ってから服などを買っていろいろ検証をしていきましょう。

 

 

「それにしても、行ったり来たりと忙しいですね。」

 

 

「マスター……気づいたことがある……」

 

 

「どうしましたヘル?」

 

 

「彼女のスキル……私は把握できる………」

 

 

ヘル曰く、UBM特典で生み出した影響なのかどうかはわかりませんが生み出したばかりの彼女のスキルがわかるそうで、内容は以下の通りです。

 

 

 

・《縫合拡張》:アイテムを必要数リソースに変え吸収することでアイテムに応じたスキルをランダムで獲得することができる。

 

 

このスキル一つのみですが少し聞いただけでもとても有用そうなスキルということがわかります。ただ懸念としては必要になるアイテムの数が不明なところですね。アイテムによっては何十個、何百個と必要になりそうです。

 

 

「ひとまず、町に戻って彼女のための服を買いに行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

「服も買いましたし、結構な量のジェムも買いました。さぁ検証しますよ!」

 

 

買ったジェムは《ファイアーボール》のジェムで、ほかのジェムと比べ少し安い値段だったため多く買うことができました。

 

 

「では呼び出してみましょう。《喚起》!」

 

 

ジュエルのスキルである《喚起》を使用し出てきたのは先ほど見た姿と同じ《ハイ・メカニカル・アンデッド》

 

 

「では早速検証していきましょう。」

 

 

まずはアイテムボックスからジェムを取り出し、掌にのせます。

 

 

「えーと、言葉は通じますかね?スキルを発動してほしいんですけど……」

 

 

わたしが頼み込むように言うと彼女は私の掌においてあったジェムを取りました。すると、手から取ったジェムが光のチリとなり彼女に吸収されていきました。

 

 

しかしそれ以降は特に変化はなく。無言の沈黙が流れていきます。

 

 

「……多分必要数に達していないのでしょうね。でしたら残っているジェムをすべて与えれば!」

 

 

持ってきたジェムをすべて彼女の手に渡し光のチリへと変えられていく様を見届けます。

 

 

1個、また1個と減っていき、用意したジェム20個はすべて吸収されましたが何ら変化はありませんでした。

 

 

「20個でも足りないとは………、仕方がありません。検証はあきらめて辺りのモンスターを狩りましょうか。

 

 

検証も成果はありませんでしたし、今はモンスターを狩って戦闘能力を確かめてみましょう。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…、ようやく街に帰ってきましたね。」

 

 

あの後、あたりを探し回り【ティール・ウルフ】などのモンスターを狩ることができました。しかし……

 

 

「まさか、攻撃方法が殴る、蹴るなどの物理系だけとは思いませんでした。」

 

 

<UBM>の時に見たような魔法などは一切覚えておらず、スキルもヘルが確認した《縫合拡張》だけでしたので当然といえば当然ですが。

 

 

それにしてもこれであのスキル、《縫合拡張》という名前と性能からしてもしかしてUBM特典も吸収することができるのではないでしょうか?

 

 

だとしたら、他のスキルを覚えていないのも納得がいきますね。《縫合拡張》を使っていけば彼女はほかの<UBM>も簡単に倒すことができるようになります。

 

 

そんなスペックを持っているのに、他の……例えばあのドラゴンとの戦いで最後に見せたあの技を持っていたらそれこそバランスが壊れてしまうというものです。

 

 

そう考えると、今の現状は育成ゲームでの序盤といったところでしょうか?

 

 

ひとまず次の目標は彼女の…せっかくですし名前を付けましょうか。

 

 

「せっかく新しい仲間になったのですし、彼女に名前を付けましょう?今までのように種族名だけで呼ぶのもあれですし」

 

 

「うん……いいと思うよ……どんな名前にするの………?」

 

 

そうですね………羽……女性………戦う羽をもつ女性…

 

 

「ヴァルキリア……なんてどうでしょう?」

 

 

「マスターがいいと思うなら……いいと思う」

 

 

「ヴァルキリア……ヴァル、これからよろしくお願いしますね。」

 

 

これからの目標は、ヴァルを育てていくことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻<アルター王国のとある森林>

 

 

 

「なんだあのモンスター!体から剣が生えてやがる!」

 

 

「しかもあそこで戦っているのってここらで恐れられている【ブラッディ・ドラグタイガー】じゃねぇか!」

 

 

「お、おい…もしかしてあいつって<UBM>ってやつじゃ…」

 

 

3人組のマスターと思わしきパーティーはいつものように一緒に同じ場所で狩りをしていた。自分たちのエンブリオを育てるため、そして金銭を集めるためにモンスターの素材を集めていた。

 

 

しかし、いつもとは違い日頃狩っているモンスターが現れず、少し奥まで潜っていたところようやく2匹のモンスターと遭遇した。

 

 

しかし、2匹のモンスターは2匹とも種族が違うのか大きく争っていた。

 

 

1匹は彼らが知っているこの森の恐怖の象徴、森の奥に生息しており音速に近い速度でふるってくる爪牙と獰猛な気性で恐れられている純竜級のモンスター【ブラッディ・ドラグタイガー】

 

 

その【ブラッディ・ドラグタイガー】の爪牙を体から生やした剣で捌き、逆に爪と牙を破壊しているモンスターは彼等が初めて見る見た目をしていた。

 

 

その体格は【ブラッディ・ドラグタイガー】よりも大きく、体から生えている剣は自分たちが使っている武器よりも質が高く見えている。また生えている剣の数も、見えているだけで8本以上あり口からは獲物を引き裂くように生えそろっている牙がある。その風貌は幼いころ見た、図鑑に載っていたトラに近い見た目をしていた。

 

 

彼等が戦闘を見始めてから10分もたたずとして【ブラッディ・ドラグタイガー】が死亡した。死亡して光のチリへと変わっていくのを見ていたそのモンスターは今度は戦闘を見ていた3人組の方へと振り向いた。

 

 

「おい……なんかこっち見てるぞ…」

 

 

「まさか、俺らを殺そうとしてるんじゃあ……」

 

 

「こっちに来るぞ!逃げr」

 

 

一瞬だった。ほかの2人より先に逃亡の姿勢を図った1人は瞬く間に頭を嚙み砕かれ光のチリに変わった。

 

 

「ひぃぃぃぃ!!!!!!」

 

 

「こうなったらやるしかねぇ!死ねぇぇぇ!」

 

 

1人は怯えその場で尻もちをつき、1人は覚悟を決めたのか仲間を殺したモンスターに向かって勇敢に自分の武器、剣の形をしたエンブリオを斬りつけた。

 

 

しかし斬りつけると同時に違和感を覚えた。

 

 

(あれ?俺のエンブリオってこんなに軽かったか?)

 

 

確かめるように自分のエンブリオを確かめると刃の部分が根元から破壊されていた。

 

 

それがこの男の最後の動作であった。彼は確認すると同時に頭を切り裂かれ先ほどの男と同じように光のチリに変わっていった。

 

 

残った男は目の前で今まで戦ってきた仲間が一瞬で殺されたことで戦意が喪失しており涙目でモンスターのことを見ている。

 

 

モンスターはそんな彼を死なない程度に腕を、体を、脚を斬り裂いていく。斬られていくたびに彼は泣き喚き挙句の果て、モンスターに向かってやめてくれと懇願する始末である。

 

 

モンスターは死なないように丁寧に丁寧に男を斬っていき、3人組が戦闘を見始めてから20分が経ったころ、男は痛みに耐えきれなくなったのか自害することを選択した。

 

 

モンスターは自害した男から興味を無くすと、森の奥へと歩み始めた。

 

 

 

 

 

 




3人組のうちの1人の数十分前



「俺、今設定で痛覚ONにしてみたwww」

「まじかよwwなんでそんなことしてんだよwww」

「こっちのほうが面白そうじゃねwww」

「おい、おまえら。今日もあの森林でモンスター狩るぞ、あとおまえは痛覚ONにしていいことなんてないだろ……」

「大丈夫大丈夫wwwなんかあったら痛覚OFFにすっからwwww」

「本当に大丈夫か?……」

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