<Infinite Dendrogram>-Lord of the Netherworld- 冥府の主 作:GOD竹山
<ヴァレイラ大砂漠>
ひとまずコルタナから逃げてきましたがこれからどうしましょう?
コルタナでのあの騒動で私の立ち位置は危うくなってきますし、かといってあのままあそこに留まっていたら理由をつけられて指名手配にもなってしまいますし。
……考えてると頭が痛くなってきますね。
ひとまずコルタナのことは忘れて先ほど入手した特典武具の性能でも見ておきましょう。
【潜毒纏衣 ネミタル】
<逸話級武具>
砂の中に潜み、自身の毒で相手を仕留める鼠の概念を具現化した逸品
装着者へ毒に抗う心得と、何人にも見つかることの無いような潜伏技術を刻む
※譲渡売却不可アイテム
※装備レベル制限無し
・装備補正
AGI +10%
・装備スキル
《毒抗体》
《潜隠鼠外》
この性能ですが、今私が身につけている服よりも性能が高いですね。後何気にこのスキルの欄に書かれているこのスキルの効果がやばくないですか?
《毒抗体》のほうはどうやら自信に毒耐性のスキルレベルを+1するとというもので、これも地味にすごい役割を有しているように見えます。
しかしこれよりも明らかにすごいスキルがあります。それは《潜隠鼠外》で、このスキル確認してみるとその説明には自身のSPを使用している間“姿を消す“というもので、文を見るだけでも明らかに強いことがわかります。
よくよく考えてみてください、これを使っているとSPを消費している間姿を消すというものですよ。これを持っているのだったら不意打ちとかがしやすくなってますし、逃げる時とかにも便利じゃないですか?
大変便利で強力な外套ですが入手経路がちょっとわからないですよね…
まぁとりあえず私が原因で倒したようなものですし別にいいですかね?
特典武具の性能は確認しましたし、これからのことでも考えましょう。
まず大前提として、コルタナに戻ることはできませんし今は砂漠の真っ只中ですし、これってほぼほぼ詰みじゃないですかね?
砂漠であてもなく彷徨い続ける→モンスターに襲われる→バトルに勝ったとしてもそれを何度も繰り返す→最終的にデスペナルティになる、という循環が生まれています。こんな積んでいる状況で助かる道は(私が考えつく中で)ただ1つ!
1つの方角に直線的に向かい続けるのみ!ぶっちゃけそうでもなきゃ、あまり考えずに衝動的に飛び出したこの状況の中で生き残れませんし、この方法でいけば最終的に他の街に行くこともできるでしょう。
「でもマスター……それだと他の街に着く前に……モンスターに襲われない?……」
そうなのです。この考えの欠点といえば先程の循環の中でのモンスターに襲われるという部分ですが、これはあてもなく彷徨い続けなくても襲われる可能性が高いんですよね。
「一応対策としては西に向かう予定で、その進行方向にモンスター……ここら辺で言えばあのでかいミミズですがあのミミズは接近する時に砂をかき分けていく音が聞こえます。前回死んでしまった理由としましては4体同時に出てきたミミズとの戦闘によって死亡してしまったから、これを解決する方法として囮を使います。」
そうです。あのミミズ達と正面から戦うとなると200%の確率でこちらが死んでしまいます。そのため出くわしたら1体でも消耗が多いため逃げるという選択肢を取りますが、私のMPの最大値は500弱で残っているMPの量は300強あります。今のレベルになると1レベルアップするごとのMP上昇量が50とか行きますのでレベルアップさえすればMPの量の心配は入りませんね。
そして肝心の囮ですが、先程生み出した【スケルトンキメラ】や【スケルトン・デミドラゴン】をミミズにぶつければある程度時間稼ぎができるでしょう。そうやってそのまま正面突破、もしくは北か南の方向へ一時的に向かった後に西の方向に向かえば目的を達成できます。
「【スケルトンキメラ】貴方にはモンスター複数出てきた場合には囮になってもらいます。貴方を生み出した使命は私たちの命をコルタナ以外の街までたどりつかせるということです。わかりましたか?」
少し真面目に【スケルトンキメラ】に向かって話すと【スケルトンキメラ】は理解したのか私の前に首を垂れました。まるで姫への忠誠を誓う騎士みたいですね。絵面はかなり正反対ですが
とまぁこれからの方針が決まりましたのでいざ西へ向かって出発を!
といってから数十分が経ったと思いますが、前回と違ってモンスターと全く出くわしません。前回来たときは普通にいたはずなんですがなぜ今回はいないのでしょう?ちなみに移動ではずっと西へ向かって歩いていくのは精神的に辛いということで余っているMPを使用して【スケルトン・デミドラゴン】を召喚しました。これも《無より生まれし屍》のレベルが2に上がったおかげで召喚時間が伸びているので幸いです。
こうして召喚した【スケルトン・デミドラゴン】の背に乗って辺りを見回しながら西へ進んでいきます。ですが【スケルトンキメラ】は【スケルトン・デミドラゴン】の背に乗ることは体積的に無理だったので仕方なく歩いてもらっています。
そうして平和的に夜の砂漠を歩いているとふと、異音が聞こえてきます。その音は前にも聞いた音でこちら側に向かってきています。
「マスター……これって……」
「えぇ……やっぱりきちゃいましたね…」
私たちの後方から砂をかき分ける音とけたたましい音を出しながら、私を4匹がかりでリンチにして殺したミミズ…もとい【亜竜甲蟲】が出てきました。
数を確認してみますがどうやら1匹だけの様子です。
「1匹だけですか…少し安心しましたね」
前回は【亜竜甲蟲】と同格であるはずの【スケルトン・デミドラゴン】よ【ウーンド・ゾンビ】を複数体人柱にしてようやく勝ったという結果でしたが今回は一味違います。今回は明らかに【ウーンド・ゾンビ】よりも核が高いであろう【スケルトンキメラ】もいますし、何より私自身のレベルも上がっています。《付与術士》が覚えるアシスト系のスキルを使えば前よりも楽に倒せるはずですよ。
「《パワー・エンチャント》!!【スケルトンキメラ】、【スケルトン・デミドラゴン】あのミミズへ攻撃を加えてください。」
対象のSTRを上昇させるバフを贈る《パワー・エンチャント》を唱えて2匹を【亜竜甲蟲】へ向かわせます。まずは【スケルトンキメラ】の爪が【亜竜甲蟲】の胴体に裂傷を与えます。そこへたたみかけるように【スケルトン・デミドラゴン】が胴体に噛みつき手傷を負わせます。
しかし【亜竜甲蟲】も柔なモンスターではありません。その身を使った突進で【スケルトン・デミドラゴン】の噛みつきを脱し、その勢いのまま【スケルトンキメラ】に突撃します。この影響で【スケルトン・デミドラゴン】の牙は数本が折れ、顎の骨にもヒビが入っています。
また【スケルトンキメラ】の幾重にもなっている胴体の骨にもいくつかのヒビが入っています。この様子では重傷を負ってこちら側が不利に近づきます。なのでここはせっかく入手したUBM特典を利用してこっそりバフを贈りましょう。
「……《潜隠鼠外》……」
これであのミミズには見つかっていないはずですが……!?
「《ガード・エンチャント》!!……」
スキルを2匹にかけた後すぐさま戦闘範囲から離れました。
私がこんなにも焦りながら退いた理由……それはUBM特典に原因がありました。
「SPがほとんどなくなってる……」
そうです。先程UBM特典のスキルを使った瞬間からSPがみるみるうちになくなっていきました。使っていた時間が大体10秒ほどですがその間に私のSPのほとんどが消えていきました。私の今のSPがおよそ100前後ですから秒間約10ほど消費されていく計算になります。姿を消すにしてはコストが重いのか軽いのか?でも序盤はきついですけど後々になってもこのままだったら低コストで便利そうですね。
そんなことを考えている間にどうやら【亜竜甲蟲】を倒すことに成功したようです。今回は前回と違って多少余裕はあった方でしたが【スケルトン・デミドラゴン】の方は傷が多いです。しかし私の今のジョブは《死霊術士》ではなく《付与術士》でして、アンデッドへの専用バフの《ネクロ・オーラ》などが使えません。やはり変えない方が良かったかもしれません……
何はともああれひとまず無事にモンスターも倒しましたしこのまま西へ向かっていきましょう。
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