<Infinite Dendrogram>-Lord of the Netherworld- 冥府の主 作:GOD竹山
<ギデオン伯爵領近辺>
ギデオン伯爵領とクルエラ山岳地帯の間に位置する場所にてそれは目覚めた。
「目標確認……化身反応微弱……否定……劣化化身反応複数確認…………殲滅へ移行シマス……」
あたりに存在するモンスターを次々と撃ち砕きながら歩みを止めず、劣化化身……それが存在していた当時からは反応がなかった化身の反応を有する存在、すなわちマスターが存在する場所へと動き始める。
「兵装、<オプション・ウィング>」
飛んだ
自身の背から生えた機械の翼による飛翔、それと同時に周囲の自然物がまるで塵に変換されていくかのように崩れ落ちていき、それの周辺だけ木々がなくなり、モンスターからのドロップアイテムが散乱しているという奇妙な事態に陥った。
「………微弱ナ化身反応ヲ確認、対象ノ撃破ニ移リマス………」
空にてそれと合間みるは偶然そこを飛行していた天竜種のドラゴン、天竜種の中でも上位の力を持つドラゴンはそれの危険性を本能で理解したかすぐさま攻撃体制へと移行する。
しかしそれよりも早く、それがドラゴンに向かって自身に組み込まれた攻撃的な武具を撃ち放つ。それが持つ銃芯から放たれるは、物質を穿つ光線。ドラゴンはすぐさま回避行動を取り反撃とばかりかそれに向かってブレスを放つ。
「兵装、<ロゥト・アタック>」
直撃したブレスは本来ならば生物を焼き焦がすはずであったが、ドラゴンがブレスを終えそれを見るとそこには、大して被害を受けておらずこちらを見つめ返しているそれが佇むだけであった。
「貴様……我がブレスを受けて何故そうも平然としておる。」
喋った
ドラゴン……人々の名前では【炎竜王 ドラグフレイム】の名で呼ばれているドラゴンはそれに問いを投げた。
それはなんの返答もしない。ただ次の攻撃に写ろうと次の攻撃を行おうとしている。その刹那、<炎竜王>はそれに向かって先ほどよりも強大なブレスを放った。
「答えぬか……我を攻撃し、我の攻撃を受けてもダメージを受けておらぬということは貴様も<UBM>であろう。我に歯向かったというのはどういうことか、身をもって教えてやろう!」
それは<炎竜王>の予想通り<UBM>であった。ただしただの<UBM>ではない。その名は<学習戦機 リィーリエス>先々期文明時代に作られた兵器である。
「分析結果……学習システム起動……データ……クリア…命名………<オプション・レンヴィ・フレイム>」
今ここで先々期文明産の<UBM>と竜王の<UBM>の戦いが始まった………
<アルター王国 決闘都市ギデオン>
アリシアとフレンド登録をし別れた後にセーブポイントの登録を済ませました。そして時間もいい頃なので1度ログアウトをし、時間を確認。予定がないことを確かめると、もう1度ログインしなおします。
「ここを………拠点にする……?」
「ひとまずそうしますか。それにしてもとっても活気がある場所ですね。」
辺りを見渡してみるとさまざまな武具を着込んだマスタと思わしき人や、そのマスター相手にものを売る商人や町人たちの光景が広がります。
ここにはコルタナと違った活気があり、人々の賑わいが常であるかのようです。
「さて、セーブポイントも登録しましたしあたりでレベルを上げますかね。」
ギデオンの街を出て数十分、あたりに人がいないことを確認すると私はスキルを発動させてアンデッドを召喚しました。選択制で、【スケルトン・デミ・ドラゴン】を1体召喚し、モンスターを探し回ります。
「あまりモンスターと出くわしませんね……」
私たちがあたりを見渡して歩いていても、モンスターの姿があまり見えません。ここはあまりレベル上げには向いていないのかも…そんな風に思った瞬間、轟音が聞こえてきました。
「クハハハハハハ!良いぞ!良いぞ!わが攻撃をあれほど受けて尚、その身に傷をつけることすら敵わぬか!」
「……起動…リソース回収プログラム<リコール・エネルギー>……リソース回収……兵装<ロゥト・アタック>」
轟音が聞こえた刹那、私の頭上を何かが通り過ぎていくのを感じました。
通り過ぎて行ったものを見ると、御伽噺に出てくるような大きなドラゴンと私の身長と変わらないぐらいの機械でできているような者が争っていました。
「あれって明らかに通常のモンスターじゃありませんよね……、しかもあのドラゴンの方なんて思いっきりしゃべっていましたよね?」
「あれは…………多分<UBM>……じゃない………?」
あれが<UBM>、私が手に入れた得点武具の死ぬ前の姿ですか………
え?今私が纏っているこれも生前はあんな怪獣大戦争みたいな見た目だったんですか?
いや…ライオンとか虫とかもいろんな個体差があるからあれと一緒にしないほうがよさそうですね。
ひとまずこの話題は置いといて。
「ヘル、私の案を聞いてくれますか?」
「なに?……マスター………」
「このままいけばあの2体のうちどちらかが死んで決着がつくはずです。しかし、決着がつくにしろどちらかは少なくない手傷を負うはずですよ。」
「つまり……そこを狙うってこと……?」
「そうです。こうすれば手傷を負った相手を倒して得点武具を得ることができるはずです。」
ただ、可能性としては少ないと思うのですが万が一どちらかが手傷を負わずに相手を倒してしまったらかなりピンチです。
「では、あの2体を追いますか。」
「ふむ、貴様はどうやら周りから何らかの形で力を得ているようだな。」
「リソース回収……<オプション・レンヴィ・フレイム>」
リィーリエスは学習する兵機である。戦闘をするごとに相手の技や魔法を学習し、周囲のリソースを回収し今までに学習してきた技を相手にぶつける有効打を探し最終的に撃破する。これは、長期的に見れば化身をも妥当することができる考えられ作られた先々期文明の兵機であった。そのため今回の戦闘においても相手の技を学習し、有効打を探すべく相手へとぶつけた。
しかし炎竜王にその攻撃は効かない。元々天竜種のドラゴンの中でもとりわけ炎に関する攻撃を主だって使うため故、炎による攻撃に高い耐性を持つ。
さらには竜王特有の竜王気により、物理攻撃、魔法攻撃問わず威力を減衰させていく。そのため<UBM>の攻撃を直に受けた割に、炎竜王はその身を焦がすことも鱗に傷をつけることもなかった。
これが炎竜王でなく通常のモンスターであれば、あいてはたちまち炎に包まれその命を落としていたほどの威力であった。
炎竜王の攻撃もあまり意味をなさず、リィーリエスの攻撃も決定打たり得ない。そうして両者がにらみ合っていると、この均衡を破るように炎竜王が先に仕掛けた。
「このままではお互い少しずつ削っていく形となり、我も貴様も体力、もしくはエネルギーの内残量による勝負になるだろう。だがそのようなちまちまとした削り合いは好かん!ならばこそ、わが全身全霊の一撃をもって貴様を打ち倒そう!」
炎竜王としても自身の竜王気による威力減衰などを含めてみてもこのままでは泥沼化すると察したのか一撃にて決着を決めると宣言した。
リィーリエスは演算する。このままでいけば周囲のリソースを回収し尽くし、自身の内残するリソースを持って戦うことを。そしてリィーリエスはその主だった特殊能力の影響か、自身の内残リソース量は低い。そのために組み込まれた周囲のリソースを回収するプログラム<リコール・エネルギー>であったが周囲からリソースを回収できなくなった瞬間、兵装も起動できずに目前のドラゴンに敗れてしまうことを。そこから出したリィーリエスの結論としては……
「リソース回収……化身撃破兵装<グラビウス・コレイル>起動……」
「貴様も一撃による決着を図るか…ならば我はその一撃を破り勝利の栄光をこの身に、授けよう!」
「<グラビウス・コレイル>……!!!!!」
「《エターナル・フレイム》!!!!!!!!!!」
リィーリエスが放つは化身を葬り去るべく作られた兵装<グラビウス・コレイル>。重力により圧縮された神話級金属塊を電磁運動による超音速による射出、つまりレールガンに近い機構による兵装である。またこれはリィーリエスが今まで学習した技や魔法などのオプションを自身で組み込み改良していく形となる。つまりこの技は学習すればするほど威力が高くなっていき理論上、化身を撃破することも可能であった。ただし、これを使用するには演算機構や兵装などをオーバーヒートさせ無理やり行っているもの。また、神話級金属塊を溜め込む特徴故、自力で打てる回数は限られている現状であった。
対する炎竜王が繰り出すのは<エターナル・フレイム>。自身に与えられた<UBM>の特性である炎による延焼効果を最大限に込めたまさしく最大の一撃。相手に当たりさえすればそこから相手を燃やし尽くし、灰すら残さぬほどの威力を持つ。
両者の全身全霊、最大の一撃を放つ。
先々期文明の兵機が放つ、化身を倒す目的で作られた最大の一撃。
竜王が繰り出す、万象を焼き尽くす全霊の一撃。
両者の技を見届けたのは相対する2体の他にただ一人だけ存在していた……
決着というものは全体の勝負から考えれば存外あっさり決まるものである。
両者の命運を分けたのは,ひとえに一撃が決まる速さであった。火炎放射とレールガン、何方のほうが早いかと問われれば、大多数の者がレールガンと答えるであろう。
今回はまさしくその結果が出た。
炎竜王の胴体の半分ほどは消えてなくなり、断面からは摩擦による影響か肉が焼けている音とともに煙が少し立っていた。
対するリィーリエスの方も無傷とはいかず、その身を炎に包まれ兵装が焼け落ちていく。
「クハハ…ハハ、我が命もここまでか……だがしかし貴様の命も…ここまでだ…その炎は我が死んでも残り続ける…永劫の炎だ…そう考えるとこれは…相打ちとなるのか……」
リィーリエスは答えない。否、答えすべを持たないからだ。先ほどの一撃により演算機構がオーバーヒートし、冷却も追いつかない状況。さらには炎竜王の一撃により発声機構すらも壊れてしまっていた。
つまりは瀕死、炎竜王を倒したリィーリエスであったが自身も終わりを迎えようとしていた。
そんな中、この戦いを見ていた者は動き出す。
「【スケルトン・デミ・ドラゴン】達、全員でのこった機械の方を攻撃して」
自身の持つMPで生み出した亜竜級のドラゴンである【スケルトン・デミ・ドラゴン】が合計3体、繰り出される攻撃にリィーリエスはすぐさま瀕死の機体で反撃に出る。
「(兵装……<オプション・エンヴィ・フレイム>)」
燃える機体から放たれるドラゴンは放つブレスのような一撃。それは狙いを【スケルトン・デミ・ドラゴン】ではなく、召喚者であろう人物……ヨミに向かって放たれた。
「その身を挺して守ってね、【スケルトン・デミ・ドラゴン】」
しかし、ヨミは目の前にいる機械がこちらを向いた瞬間にもう一度【スケルトン・デミ・ドラゴン】を生み出し自身の命を脅かす炎から身を守った。炎をその身に浴びた【スケルトン・デミ・ドラゴン】は炎に包まれながら自分を」生み出した主人を守るべく立ちふさがる。
その間に【スケルトン・デミ・ドラゴン】3体の攻撃がその身に浴びせられる。元々瀕死であった機体にさらなるダメージが加わりすぐさま死のうとしている。
そんな中、リィーリエスとともに死闘を繰り広げた炎竜王…【炎竜王 ドラグフレイム】が先にその命を終わらせた。
そして、すぐさま【学習戦機 リィーリエス】も役目を果たせずに、命を終わらせた。
こうして<UBM>同士の戦いの場にて最後に残ったのは、1人のマスターとそのエンブリオであった。
作者が調べたのでもしかしたら違うかもしれないのですが、火炎放射とレールガンってレールガンの方が早く目的地に着きますよね?