The Rising Of The Primis -プリミス達の成り上がり- 作:トモヤムクン9
世界が元素115と呼ばれる物質によってゾンビで蔓延し、宇宙を元ある形に直すために旅をしていた四人の軍人、タンク・デンプシー、ニコライ・ベリンスキー、正樹武雄、エドワード・リヒトーフェンはついに全ての元凶であるアポシコンとその親玉であるシャドウマンを討ち倒すことに成功した。
しかし、宇宙全体を元に戻してほしいと依頼した張本人であるドクターモンティは、彼ら4人が存在し続けていることがパラドックスとなり、ゾンビが存在しないこの平和な世界を壊してしまうと考えた。
そして、モンティは4人をはるか古の時代へ送ったのだった。
・・・そして過去の世界に飛ばされた4人はアポシコンとの大戦争の後、とある城の大図書館に来ていた。
4人の男たちは図書館に隠された階段を下りていき地下の研究室に入っていった。彼らの格好は鎖帷子の鎧と布製のチュニックに、赤と白の円、そして太陽のシンボルが描かれていた。手には茶色の革製のガントレットがはめられていた。
「リヒトーフェン、そいつは間違いないのか?」 一人の男がアメリカ訛りで尋ねた。
彼の名前はタンク・デンプシー。白人で、明るい茶色の髪に口ひげを生やしていた。顔には多少の汚れと乾いた血の他に傷跡はなかった。
「そうだデンプシー。これでやっと元の生活ができるようになる。だが、まだやるべきことがある。そのための装置を取りに来たのじゃ」と、ドイツ語訛りの男が答えた。
彼の名前はエドワード・リヒトーフェン。白人で髪は黒く小さな口ひげを生やしていた。右頬には大きな傷があり、乾いた血と泥が付いていて青い目をしている。
「何と言おうとドイツ野郎、お前のことを信用したわけじゃねえからな」
3人目の男 ニコライ・ベリンスキーが、ロシア語を強調した声で言った。彼もまた白人で青い目をしており、ドワーフの様な茶色の濃いあごひげと口ひげを生やし、刈り上げの髪型をしていた。
「心配するなニコライ。リヒトーフェンは過去に嘘をついたことがあるが、それは我らにやるべきことをやらせるためだった。この世界に来て以来、彼は真実を語ってたではないか」
最後の男、正樹武雄は日本語で答えた。彼はアジア系で、黒髪を束ねていた。小さなあごひげと口ひげを生やしていて茶色の目をしている。
ロシア人のニコライは、「わかってるっての武雄」と答えた。
ドイツ人のリヒトーフェンは、研究室の中を歩き回り自身の発明品を探していた。他の3人は、入り口を気にしながら周囲を見回していた。
そしてデンプシーは待つのが退屈だったため周りを散策し始めた。
本棚周辺を見ていると、突然デンプシーの頭上に何かが落ちてきた。
頭をさすりながら落ちた物を見ると以前リヒトーフェンが持っていたクロノリウムに似た革製の本がそこにあった。
「おい、リヒトーフェン」
しばらくするとデンプシーが大きな革製の本を持ってリヒトーフェンに向かってきた。
「コイツは以前話してたあの
「見せてみろ」
リヒトーフェンは本を受け取り、彼はその本を見ながら目を細めた。
「四聖武器書?クロノリウムとは違うな。手に入れた覚えもない。ワシが装置を探している間にお前たちが読んでくれないか」
と言ってから、その場にいるデンプシーと武雄を見た。
「武雄、代わりに頼む」
と言って、武雄に本を渡した。彼はタイトルを見て目を細めた。
「貴殿が題名を読めたことに驚いたぞ。日本語をこんなに流暢に読めるとはな」
武雄は冗談半分で言うと。
「何を言っているんじゃ武雄?それはドイツ語で書かれておるだろ?」
とリヒトーフェンが答え、彼は武雄に歩み寄った。
デンプシーも2人の肩越しに「俺にも見せてくれ」と言った。
「ドク、それに武雄、二人とも間違えてるぜ。どうみても英語で書かれているぞ」
「そんなバカな…。おーい、ニコライ!」
リヒトーフェンが声をかけると角を曲がった所からニコライが顔を出した。
「この本のタイトルは何語で書いてある?」リヒトーフェン人が本を手渡して質問した。ニコライはタイトルを見てから返した。
「ロシア語だなこりゃ。どういうことだ?」 ニコライが質問する。
「ワシにもわからない。見る者によって文字が変わるなどと…この本にはその答えが書いてあるかもしれない」
「じゃあ、開けてみるとするか」とデンプシーは答えた。
「ちょ待てよ、リヒトーフェンが言っていた装置を探さなくていいのか」
「そんなに急がなくても大丈夫じゃ。せいぜい気晴らし程度に読むとしよう」
ニコライの疑問に対してリヒトーフェンはそう答え、本を開いた。
『【終末の災厄をもたらすの波 】に襲われた世界で、4人の勇者が召喚され、それぞれが伝説の武器を振るう。剣、弓、槍、そして盾だ』とリヒトーフェンは読み始めた。
「待て、盾だと?盾が武器なのか?」 デンプシーが尋ねた。
「静かにしろデンプシー!」
リヒトーフェンは言った。
「ではあらためて」
リヒトーフェンがページをめくり読み続けると突然手を止めてしまった。
「どうした、リヒトーフェン?」
武雄は、ドイツ人の肩越しに聞いた。
「なんだ、これはどういうことなんだ?」
他の2人は、リヒトーフェンが開いているページを見た。
「ありえない」
「何かの間違いじゃねえのか?」
そのページには、4人の英雄が丘の上に立ち、応援する騎士たちに囲まれている様子が描かれていた。それぞれが鎖帷子の鎧を身につけ、胸にはシンボルマークが描かれている。それぞれの手には大きな杖が握られていた。絵の四隅には顔が描かれていてた。そう、自分たち四人の顔がそこに描かれていたのだ。そしてページの題名にはこう書かれていた
【
「どういうことだ?」
ニコライは尋ねた。
「なぜワシらのことが書かれているのだ 」
リヒトーフェンが驚く。
「おいおい俺たちがやったことがもう本になってんのか?どう考えたっておかしいだろ…」
デンプシーは半信半疑な感じで言った。
「読めば何かわかるやもしれない」
武雄が言い、リヒトーフェンから本を取った、リヒトーフェンは抵抗することなく手放した。
『しかし、もし世界が本当に危険な事態に面したら、4人の勇者の召喚されると同時に、4人の英雄が呼ばれることになる。彼らはそれぞれエレメンタルクリスタルと呼ばれる遺物を使い、四聖勇者を助け、災厄の波に立ち向かうだろう・・・』
そう言いながらページをめくっていき、勇者に関する話が終わったあたりでおかしなことが起こった。続くページが
ニコライ「なんだこれ。手抜きじゃねえか」
すると突然本が光輝き、電気を帯び始め4人の周りに風が吹き荒れ始めた。
「何だ!この光は!」
「あ…何かデジャヴを感じる…」
「オイオイマジかよ!またどっかに飛ばされて上空から落とされるんじゃねえだろうな!」
「早くここから立ち去れねば!」
リヒトーフェン達は声を上げ、急いで研究所を出ようとしたが、見えない壁に阻まれ4人は足を止めてしまう。
そして4人はそれぞれのポケットの中で何かが光っていることに気がつき、その中から光るクリスタルを取り出した。
これはアポシコン大戦の時に使用した武器『エレメンタルスタッフ』の動力になる結晶であり、今後何かあった時のためにそれぞれが持っていたものだ。
デンプシーの水晶は紫に、ニコライの水晶は赤に、タケオの水晶は青に。そして、リヒトーフェンのクリスタルは、緑色に光っていた。
「なぜだ、ワシらは...」とが言いかけたところで、本から突然光が放たれ遮られた。4人を包み込んだ光が消えると、そこには4人の軍人の姿はなかった。