また、若干男尊女卑のように感じられる部分もありますが、筆者は性別で差別されてはならないと本気で思っております。男の勝手な勘違いなのかもしれませんが、優しさの表現と思っていただけたら幸いです。
「胡蝶…」義勇は、しのぶに声をかけていた。
「何でしょう、冨岡さん…」しのぶは珍しく緊張して答えた。
「…俺は、お前が欲しい…」
「…私が欲しいとおっしゃるなら名前で呼んでください…」
「しのぶ…」
「…義勇さん、私でいいのですか?」
「…ああ、お前でなければダメだ…」義勇はしのぶの肩を抱きかかえると顔をしのぶに近づけた。
「…ありがとう」義勇はしのぶが拒否しないことを確認した上で唇を交わした。
「…『いいのか』とは聞かないのですね…」
「それでは、しのぶに責任が生じてしまう。こういったことは男の俺が全ての責任を負うべきだ」
「お優しいのですね…」
「好いた
……………
「義勇さん、やっぱり、初めてだったのですね…」しのぶは、隣に寝ている義勇に声をかけた。
「…」
「義勇さんが女を知らないまま死んでしまうのは、あまりにかわいそうだと思って一晩過ごしてあげたのに、あんなにがっついてはダメです。女は繊細なんですから。もっと大切に扱ってください」
「…しのぶは、俺のことを好いてくれたわけではなかったのか?」
「誰でもいいというわけではありませんが、女にとっても、殿方の初めての相手をつとめるのは名誉なことなので、お相手したまでです」
「しのぶも初めてでなかったのか?」
「アハハ、あんな簡単な仕掛けに騙されるなんて、本当にウブなんですね。単純にもほどがありますよ」
「…そうか。…俺は本気だった。だが、至らなかった点は詫びるしかない…」
「気にしないでください。最初からうまくいく人なんていないんですから…」
「…」義勇は、何も言うこともなくその場を去っていった。
義勇の姿が完全に消えた後、しのぶは膝を落としていた。
「義勇さん…私は、これでこの世に思い残すことは何もありません。…初めてはただ痛いだけと聞いていて、覚悟の上で臨んだのですが、あなたは自らの欲望を必死に抑えて、私を大切に扱ってくださって…女の悦びまで与えてくださいました。…義勇さん、あなたはどこまでもお優しい。私が戦いに
「しのぶ…俺を突き放したつもりなのだろうが、それなら『誰でもいいわけでない』と言うべきでなかった…いくら俺が鈍いといっても気づいてしまうではないか。それにうまくごまかしてはいたが、お前の体から、かすかに藤の香りがした。…自らを姉の仇に食わせて
お互いを大切に思っているからこそ一芝居をうったしのぶ、そしてそれに気づきながらも騙されたふりをした義勇…この2人をどうしてもこの世で結ばせてあげたかったのです。