バスケットボールは経験がないので、技術的な名前などは知らないので、そこらへんは御容赦を。
キセキの世代、無冠の五将、そして幻の6人目。輝かしく目立つ同世代の影に隠れた天才3人がいた。
「あーあ、今日で中学バスケ終わりかー。」
「いやでも、全国来れたんだから凄くね?」
「うるさい、遅刻してるんだから急ぐよ。」
上から沼咲、川崎、海野。彼らは全国中学バスケットボール大会の会場にいた。チームと歩いているわけではなく、3人で歩いていた。会場ではもうアップが始まっている。それは準々決勝、帝光中VS青葉中。海野の言葉に2人が反応する。
「「おめぇのせいだよ!!??」」
そう海野のシューズが壊れ、それを買いに行っていたのだ。それに付き合った2人も巻き添えをくらっていた。コートに着くと、アップも終盤であった。青葉中の監督が3人に気づく。
「遅いぞお前ら!靴は買えたのか?」
「はい、同じ型買えました。走りながら来たのですぐアップは平気です。」
海野は平然と嘘をつく。川崎と沼咲はその嘘に少し引きながらも頷いた。アップの時間が終わり、両校の選手が並ぶ。帝光中は赤司{4番}、緑間{7番}、黄瀬{8番}、青峰{6番}、紫原{5番}。青葉中は海野{4番}、田中(中2){9番}、佐藤(中2){12番}、沼咲{5番}、川崎{6番}。海野、沼咲、川崎はそれぞれの相手に話しかける。
「よろしく、赤司くん。」
「よろしく、海野くんだったかな?」
「よろ〜、青峰くん。」
「あぁ…(お前らも同じだろ。)」
「よろしく、紫原くん。デカいねぇ。」
「そっちが小さいんじゃない?」
青葉中の残りの2人はキセキの世代を相手に圧倒されていた。
──────ピーッ
ジャンプボールから試合が始まった。紫原と川崎の到達点の高さは競っていたが、紫原がとり、赤司にパスが回る。沼咲が川崎を煽る。
「負けてんじゃん、老化現象ですかぁ?」
「アップしてないんだから無理、高すぎるもん紫原くん。」
その会話にキセキの世代は少し違和感を感じていた。赤司の前に海野が立ち、口を開く。
「来い、キセキの世代の司令塔!」
赤司は無視して緑間にパスを回し、緑間があっさりとスリーを決める。田中は反応は出来たが、高さが足りなかった。緑間が声をかける。
「反応は良い、それだけだ。」
「くっ…。」
沼咲が田中に声をかけに行く。
「弱ぇー、言われてんじゃんwww」
「無理ですよ、俺にキセキの世代止めるのは!」
「…で、どうだった?」
「高さはあります。モーションも無駄がないです。ただスピードはそんなにないです。」
「了解。」
第1Q、帝光中有利で進み、32対6で終わった。青葉中はベンチで情報を交換していた。審判の呼び戻しがかかったところで、海野がまとめる。
「じゃあ、次は川崎を中心に攻めよう。田中と佐藤はなるべく頑張ってもらって、沼咲は2人のカバーしてやって。」
「俺の相手青峰よ?」
「へーき、あいつはやる気ないから必要以上に攻めてこない。今までの試合も20点とったらそれよりはあんま攻めてこない。」
「ほう、OK。」
青葉中のボールから始まる。海野がドリブルをついている前には赤司がいた。赤司が口を開く。
「何を考えている、君たちの力はそんなものではないだろう。」
「よくわかったね。」
そう言いながら、川崎にパスを繋ぐ。川崎はスリーポイントラインでパスを貰っていた。紫原が口を開く。
「何考えてんの?あんま動きたくないんだけど。」
「そうだねっ!」
クイックリリースでシュートを放つ。その速さに紫原は反応しきれなかった。綺麗な弧を描いて、スリーが決まる。
「紫原くん、弱いね?」
「あ?!」
紫原はキレかけていた。
「赤ちーん、ボール頂戴。」
「珍しいな、わかった。」
その言葉通り、紫原にボールが渡る。紫原はパワーでゴール下に移動していく。川崎はそのパワーに押されていた。
「重戦車かい。」
紫原は川崎を吹き飛ばしながらダンクを決めた。
「そんなもん?才能ないならやめたら?」
紫原の言葉にベンチの黒子が少し反応する。だが、川崎は何も表情を変えずに返す。
「相撲の才能はあるねぇ、バスケの才能はまだ全然分からない。」
「あぁ!!?」
「紫原!」
赤司に連れられて自陣コートに戻っていく。沼咲が海野にパスをして川崎に近づく。
「重戦車ぐらいならどうにかなるでしょ?」
「いや、超重戦車だから問題なのよ。でも、どうにかなるよ。」
海野から川崎にパスが渡る。今度もスリーポイントラインであった。紫原は距離を詰めた。
「2度も易々と打たせるわけないでしょ。」
「そっか…。」
川崎は左右にフェイントを入れ、紫原をドライブで抜いた。アンクルブレイクが決まり、紫原が転ける。黄瀬が急いでカバーに入る。
「何やってんすか、紫原っち。」
「チャラ男?っていうんだっけ。」
黄瀬はあっさりとターンで躱される。
「あー!!」
川崎はあっさりとダンクを決め、自陣に戻って行った。赤司が紫原と黄瀬に近づく。黄瀬はそれにビビりながらも口を開く。
「違うんすよ、あれはたまたまっていうか。」
「あんなん次は止められるしー。」
赤司は2人の様子を見て口を開く。
「いや、今のはしょうがない。確実に相手が1枚上手だ。タイムアウトを取ろう。」
その言葉通り、海野が赤司のボールを取ろうとし、ボールが外に出て、タイムにとった。
「んー、すぐやり返させてよ。」
「そうっすよ、やられたままは嫌っす!」
紫原と黄瀬は文句を言っていた。赤司が制しながら、口を開く。
「今回の相手はどうやら、この大会で初めて同格以上の相手だ。」
桃井がその言葉に驚く。自分の調べた限りではそれはなかったからだ。
「今までの試合は上手く隠していたらしい、少なくともPGの海野、PFの沼咲、Cの川崎は俺たちと同格だろう。このQは敦を中心に当てる。負けは許されないぞ。」
「負けないしー。」
「えぇ!俺は!?」
黄瀬がブーブーうるさい。赤司は無視して進める。
「大輝、今回は手を抜くな。負けるぞ。」
「負けねーよ…。」
青峰は自分の相手が強いことに気づいていた。だが、何も動いてこないことにイラつきを感じていた。
『タイムアウト終了です。』
10人がコートに戻ってくる。帝光中のボールから始まり、赤司の前に海野が立ち塞がる。
「ここからは全力で守ることを勧めよう。点は取れないと思え。」
「そうっすか。」
赤司がパスモーションに入った瞬間にボールが消え、赤司の後ろにドリブル体勢に入る海野がいた。
「全力で守らせてもらうよっ!」
帝光中の選手は急いで自陣へ戻る。赤司が直ぐに海野の前に立ち塞がる。
「行かせるか!」
「必死だね。」
赤司のやる気を無視して、川崎にボールが渡る。紫原がマークに着く。先程より距離を取り、シュートを打たれてもすぐに反応できる間隔を開けていた。川崎は左右にフェイントをかけ、紫原を抜きにかかる。
「それさっき見たし!」
川崎の目の前に立ち塞がり、ボールを取りに行く。しかし、ターンで紫原を躱していく。黄瀬がまたカバーに入る。
「勝負っす!」
「なんないよ。」
あっさりとアンクルブレイクを決め、黄瀬を抜き去りダンクの体勢に入る。
「強ぇじゃねぇか、お前ら!」
青峰がブロックして、ボールが外に出る。
「やる気出すの速かったな、どうしようもならん。」
海野がすぐボールを戻し、沼咲にボールが渡る。青峰が立ち塞がる。その目は試合が始まった頃より、生き生きとしていた。しかし、ボールをつかずにパスのモーションに入る。青峰はそれに反応し、手を出そうとするが、すぐに抜きにかかってくることに気づき、抜こうとした沼咲の目の前に青峰が立ち塞がる。
「ハッ、面白ぇじゃねぇか…な!?」
沼咲の手元にボールはなかった。黄瀬が川崎に寄っていたところを見逃さず、佐藤にボールが渡っていた。緑間が急いでカバーに入ろうとした瞬間に、田中にパスがつながり、田中がスリーを決めた。ガッツポーズをしながら田中が戻っていく。沼咲が近寄る。
「やった!」
「ナイス田中!流石はシューターだ。佐藤もナイスパス!よく相手が離れてるの見てたな!いぇーい。」
2人とハイタッチする、その様子を海野と川崎は笑いながら見ていた。対照的に帝光中側は心中穏やかではなかった。青峰が振られ、川崎に集中しかけていた黄瀬の隙をつかれたという事実に。緑間が赤司に駆け寄る。
「すまん、シューターをフリーにしてしまった。」
「いや、今のは涼太のせいだ。」
「すんませーん、でも、易々とパス通させた青峰っちも悪いと思います!」
「あ?易々とじゃねぇよ!どっちにしろてめぇがフリーにさせたのが原因だろ!」
「俺もそう思うー。」
紫原もだるそうに頷いていた。
「紫原っちすぐ抜かれるじゃないすか!?」
「はぁ?抜かさせねーし。」
「どちらにせよ、涼太には6番を止めるのは無理だ。前半は一先ず、それぞれのマークに集中しろ。涼太の代わりに黒子を入れる。流れを変えるぞ!」
「「「「おう!」」」」
キセキの世代は中2から負けていない。そして、自分たちの代になってからは追い詰められることがなかった。その反動からか、心無しか全員が楽しそうだった。
黒子{15番}がコートに入る。最近の試合ではなかった『6人目』としての使われ方であった。赤司が声をかける。
「ここからはテツヤを軸に青峰、紫原を使う。緑間はいつでも打てるようにしろ。」
「はい!」
帝光中ベンチにいる大体のメンバーは不思議に思っていた。代が変わってから一軍に昇格したメンバーが大半なので、キセキの世代が楽しそうに試合を進めるのを見るのは初めてであった。桃井は懐かしそうに楽しそうに見ていた。戻ってきた黄瀬が話しかける。
「桃っち楽しそうっすね。」
「きーくんもじゃん!」
キセキの世代の変化をキセキの世代各々も感じていた。一方で青葉中の5人は黒子の存在に危機を感じていた。沼咲が口を開く。
「なんだあいつ、影うっす。」
「もしかして、幻の6人目じゃないか?」
川崎は前に聞いた噂を口にした。海野が2人の背中を叩きながら口を開く。
「15番自体は脅威じゃないはずだ。周りを活かすタイプだろ。佐藤、1回しっかり観察してくれ。そこから考える。」
前半残り5分、帝光中の反撃が始まろうとしていた。
更新は毎週日曜日18時、4週投稿したら4週制作期間とする予定です。