混色の水   作:とて 

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先週は遅れてしまい申し訳ございませんでした。引き続き、毎週投稿していきます。
では、どうぞ。


13話

青葉青果VS桐皇の第4Q、89対76で青葉青果がリードしていた。桐皇ボールで始まる。今吉はすぐに青峰に渡す。青峰の前には沼咲が立つ。沼咲は青峰の変化に気づいていた。

 

「…まじか!?」

 

沼咲は青峰にあっさりと抜かれた。それには青葉青果メンバー全員が驚く。ゴールに飛ぶ青峰に合わせて川崎が飛び上がる。

 

「やらせない!」

 

青峰はボールを一旦下げ、回転し、川崎を躱してダンクを決めた。

 

「マジか…(本当に人間!?)」

 

青峰が戻っていく。その姿を見て、沼咲は確信した。

 

「(ゾーンねぇ、まさかあいつ自力で入ったのか。)厄介だねぇ。」

 

海野がボールを運ぶ。今吉が立ち塞がる。海野は急加速して、今吉を抜き去る。

 

「遅いですよ?」

 

「くっ…(ワシじゃ止められん!)」

 

諏佐がカバーに入る。しかし、それもターンで一瞬で躱す。海野はそのまま飛び上がる。すると青峰が飛び上がってきた。海野はその速さに驚く。

 

「流石だな…(これは入れ替えても止められるか…、なら)こっちだ。」

 

海野は身体の向きを横に流しながら後ろにボールを投げた。

 

「ナイス!」

 

沼咲が受け取り、2人が着地する横でダンクを決めに入る。

 

「やらせねぇよっ!」

 

若松が飛び上がって、その先を塞いだ。

 

「あぁ、そっちもか。」

 

その後ろから青峰が飛ぼうとしていた。

 

「じゃあ、これなら?」

 

沼咲はボールを後ろに回しながら逆肘で突いた。そのボールは若松と青峰、ゴールリングの上を通った。

 

「うっ…るぁ!」

 

川崎がそれを空中で取り、ダンクを決めた。若松は沼咲が何をしたのか一切わからなかった。

 

「なんだ今の!?青峰と同じ曲芸か?!」

 

今吉が口を開く。

 

「いや、今のは青峰のとはちゃう。後ろにまわしたボールを肘で前に突き上げたんや…曲芸より神業やで…ほんまバケモンやろ…。」

 

桐皇はすぐリスタートし、青峰にボールが渡る。沼咲が立ち塞がる。

 

「1人がダメなら3人でってか?その考えじゃ俺を止められねーよっ!」

 

青峰が抜きにかかる。沼咲はギリギリで追いつこうとしたが、青峰は切り返しで沼咲を振り切った。

 

「傑!」

 

「おう!」

 

シュート体勢に入る青峰を川崎がブロックに入る。青峰は急に横っ飛びをし、川崎のブロックを避ける。

 

「それは読んでた!」

 

海野がそれのブロックに飛ぶ。青峰は更に体勢を崩してボールを下からぶん投げた。

 

「ビンゴっ!」

 

沼咲がそれを横から叩く。

 

「くそっ!」

 

ルーズボールを水木がとり、海野がボールを運び始めた。今吉が海野につく。今吉は驚いていた、青峰の本気と、青葉青果の3人の恐ろしい連携に。

 

「(青峰はたぶんゾーンに入っとる…その青峰にいくら3人とは言え、止められるもんか?!)つくづく、今年の1年生は怖いのう…。」

 

「そうですかね?」

 

海野は今吉を左右に降って抜き去った。今吉はバランスを崩して転ぶ。

 

「(くそっ…ここまで差があるんか!?)カバー!」

 

桜井が急いでカバーに入る。海野は空いた水木にボールを繋げる。水木はそのボールをワンタッチでゴールへ放った。ボールは綺麗にリングをくぐった。

 

「よっし!」

 

「ナイス蒼!」

 

桐皇は冷静を装いながらリスタートをした。青峰が1人ドリブルで攻め上がる。沼咲が急いでつく。

 

「今のお前じゃ止められねーよ!」

 

「くっ…どうしようもないなこりゃ。」

 

青峰の変則ドリブルに振られ、沼咲が抜かれる。水木と舟木が立ち塞がる。

 

「お前らじゃ相手になんねーよ!」

 

「はやっ!?」

 

「…!?」

 

2人はあっさり抜かれた。ゴール前に海野と川崎が立ち塞がる。青峰が飛び上がる。2人もブロックするために飛び上がった。青峰は横に飛び、2人のブロックの横からボールを投げる。そのボールはバックボードに当たり、ゴールに吸い込まれた。青峰が戻りながら5人を見る。

 

「もっと本気で来いよお前ら。」

 

「言うねぇ…。」

 

 

 

そこからは点の取り合いになった。桐皇は青峰、青葉青果は3人を中心に全員で、どちらも守備に決め手がなく、激しい攻撃のやり合いになった。残り2分、123対116、青葉青果リードであったが、第4Qの最初より差が縮まっていた。青峰が5人を躱してダンクを決めた。青葉青果はすぐにリスタートする。海野がどこから攻めるか考えていると、沼咲の視線に気づいた。

 

「(あいつ…また無茶する気か。でも、今回に関してはそれをやらなきゃ危険すぎる。)茂樹!」

 

沼咲にボールが渡る。青峰が立ち塞がる。今吉は青葉青果メンバーの動きに気づく。

 

「(アイソレーション…?!さっきから青峰を5人で相手してる状態やのに…)そこは鬼門やと思うなぁ、賭けに出るんか?」

 

「賭け?いや、悪いですけど、もう賭けはやんないですよ…茂樹が勝ちます。」

 

「は?!」

 

沼咲の雰囲気が変わったことに青峰は気づいていた。沼咲は笑っていた、それを見て青峰が冷や汗をかく。沼咲が動く、それに合わせて青峰も動く。沼咲が体勢を低くして、抜きにかかる。青峰はそれに間に合いきれず、後ろからスティールを狙った。

 

「…あん?!」

 

沼咲の手からボールが消えていた。沼咲はそのまま青峰を振り切る。青峰と沼咲の上をボールが舞っていた。そして、上から落ちてきたボールをとって、そのままゴールへ飛んだ。若松が急いでブロックに入る。

 

「やらせねぇよ!」

 

「暑苦しいねぇ。」

 

沼咲は姿勢をコートと平行にしながら、手首を返してボールを放った。

 

「なっ…(なんつー姿勢から放ってんだよこのガキャ!?)」

 

そのボールはバックボードに当たり、放った方向とは逆に跳ねて、ゴールに真っ直ぐ落ちた。着地して、すぐ戻って行った。桐皇はすぐにリスタートし、青峰にボールを繋げる。青峰の前には沼咲。青峰は変則ドリブルから沼咲を抜きにかかる。だが、抜くと同時に沼咲の手によってボールが弾かれた。

 

「なん…だ…と?!」

 

「楽しかったよ大輝。」

 

沼咲はルーズボールをとって攻め上がっていく。桐皇のほか4人は虚をつかれ、反応出来ずに見送ってしまった。青峰はすぐに追いかけ、沼咲がセンターラインを越える所で前に立ち塞がった。

 

「行かせるかよ!」

 

「…。」

 

沼咲は青峰が前に出てきた瞬間に、ボールをゴール目掛けてぶん投げた。

 

「は…?!」

 

驚く青峰の横を沼咲が駆け抜ける。ボールはバックボードにあたり跳ね返る…はずだったが、低く、少し上に跳ねた。

 

「よっ。」

 

沼咲が飛び上がり、それをとる。そして、そのままダンクを決めた。沼咲は戻りながら青峰の横を通り、2人にしか聞こえない声で

 

「また次やろう。」

 

と言い、戻って行った。

 

青峰対沼咲、その勝負は沼咲が圧倒した。最後にはもう青峰のゾーンが切れていた。結果は151対120。青葉青果の勝利。終了の笛がなり、青峰は呆然としていた。

 

「負けた…のか、俺は。」

 

その目からは涙が流れていた。沼咲がそれ見て声をかける。

 

「なに練習試合で負けたぐらいで泣いてんだよ。また次やろうって言ったろ?1人で勝てるほど、俺らは甘くねーよ。」

 

「まぁ、ぶっちゃけ俺1人は青峰に食らいつくので精一杯だったしねぇ。」

 

川崎がタオルで汗を拭きながら口を開いた。海野も頷く。

 

「そうか…そこかよ。」

 

青峰は少し笑いながら下を向いた。肩に手を置かれて、青峰は顔を上げた。すると沼咲が満面の笑みで青峰を見ていた。

 

「まっ、どうせ俺らが勝つから辞めるのも手だと思うよんっ!」

 

「うっせ!次こそ勝ってやんよ!」

 

4人は笑っていた。笑う青峰を見て桃井は安心していた。

 

 

 

片付けが終わり、挨拶を済ませ、青葉青果のメンバーは帰り始めていた。原澤と桑田が握手しながら話していた。

 

「いや、負けましたよ。流石ですね。」

 

「私の力じゃないですよ、彼らの力です。それに…。」

 

原澤は桑田が少し暗い表情をしたことに気づく。

 

「問題は層の薄さですね。」

 

「はい。」

 

「結果から見ても私の目から見ても彼らは全国で勝てるチームです。しかし、勝ち進めるチームとは言えません。体力は一石二鳥では身につきませんからねぇ。」

 

「これが2試合目だったら負けてたと思います…が、それは現状です。IHでまたやりましょう。」

 

「はい、リベンジさせてもらいます。」

 

 

 

駅のトイレの個室、沼咲はそこで膝をついていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…。やべぇな、こりゃ。」

 

膝を抑えて座り込んで、痛みを我慢しようとしていた。その時、個室のドアがノックされる。

 

「茂樹、もう少しで電車くるぞ。」

 

水木の声であった。沼咲は急いで立ち上がり、水を流して、個室を出る。

 

「すまんすまん、うんこがなかなか出なくてさ…。」

 

「あー、俺もたまにある。時間ない時焦るよなぁー。」

 

2人は仲良さそうに電車の来ているホームに走ってきた。美和が電車の外で待っていた。

 

「遅いよ茂樹!蒼、呼んできてくれてありがとう。」

 

「はいはーい。」

 

水木は元気そうに電車に入っていく。沼咲もその後に続く。美和はその歩き方に違和感を感じた。

 

「もしかして…。」

 

「ん?」

 

沼咲が何かを言いかけた美和の方を見る。

 

「なんでもない、はやくはやく!」

 

美和は気にしないことにして、沼咲を押しながら電車に入っていった。




いかがだったでしょうか。
最近色々立て込んでおりまして、バタバタしていますが、ストックが尽きない限りはこのまま投稿していきます。
次回の投稿は6月13日 日曜日 18:00です。
どうぞ、お楽しみに。
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