では、どうぞ。
青葉青果VS桐皇の第4Q、89対76で青葉青果がリードしていた。桐皇ボールで始まる。今吉はすぐに青峰に渡す。青峰の前には沼咲が立つ。沼咲は青峰の変化に気づいていた。
「…まじか!?」
沼咲は青峰にあっさりと抜かれた。それには青葉青果メンバー全員が驚く。ゴールに飛ぶ青峰に合わせて川崎が飛び上がる。
「やらせない!」
青峰はボールを一旦下げ、回転し、川崎を躱してダンクを決めた。
「マジか…(本当に人間!?)」
青峰が戻っていく。その姿を見て、沼咲は確信した。
「(ゾーンねぇ、まさかあいつ自力で入ったのか。)厄介だねぇ。」
海野がボールを運ぶ。今吉が立ち塞がる。海野は急加速して、今吉を抜き去る。
「遅いですよ?」
「くっ…(ワシじゃ止められん!)」
諏佐がカバーに入る。しかし、それもターンで一瞬で躱す。海野はそのまま飛び上がる。すると青峰が飛び上がってきた。海野はその速さに驚く。
「流石だな…(これは入れ替えても止められるか…、なら)こっちだ。」
海野は身体の向きを横に流しながら後ろにボールを投げた。
「ナイス!」
沼咲が受け取り、2人が着地する横でダンクを決めに入る。
「やらせねぇよっ!」
若松が飛び上がって、その先を塞いだ。
「あぁ、そっちもか。」
その後ろから青峰が飛ぼうとしていた。
「じゃあ、これなら?」
沼咲はボールを後ろに回しながら逆肘で突いた。そのボールは若松と青峰、ゴールリングの上を通った。
「うっ…るぁ!」
川崎がそれを空中で取り、ダンクを決めた。若松は沼咲が何をしたのか一切わからなかった。
「なんだ今の!?青峰と同じ曲芸か?!」
今吉が口を開く。
「いや、今のは青峰のとはちゃう。後ろにまわしたボールを肘で前に突き上げたんや…曲芸より神業やで…ほんまバケモンやろ…。」
桐皇はすぐリスタートし、青峰にボールが渡る。沼咲が立ち塞がる。
「1人がダメなら3人でってか?その考えじゃ俺を止められねーよっ!」
青峰が抜きにかかる。沼咲はギリギリで追いつこうとしたが、青峰は切り返しで沼咲を振り切った。
「傑!」
「おう!」
シュート体勢に入る青峰を川崎がブロックに入る。青峰は急に横っ飛びをし、川崎のブロックを避ける。
「それは読んでた!」
海野がそれのブロックに飛ぶ。青峰は更に体勢を崩してボールを下からぶん投げた。
「ビンゴっ!」
沼咲がそれを横から叩く。
「くそっ!」
ルーズボールを水木がとり、海野がボールを運び始めた。今吉が海野につく。今吉は驚いていた、青峰の本気と、青葉青果の3人の恐ろしい連携に。
「(青峰はたぶんゾーンに入っとる…その青峰にいくら3人とは言え、止められるもんか?!)つくづく、今年の1年生は怖いのう…。」
「そうですかね?」
海野は今吉を左右に降って抜き去った。今吉はバランスを崩して転ぶ。
「(くそっ…ここまで差があるんか!?)カバー!」
桜井が急いでカバーに入る。海野は空いた水木にボールを繋げる。水木はそのボールをワンタッチでゴールへ放った。ボールは綺麗にリングをくぐった。
「よっし!」
「ナイス蒼!」
桐皇は冷静を装いながらリスタートをした。青峰が1人ドリブルで攻め上がる。沼咲が急いでつく。
「今のお前じゃ止められねーよ!」
「くっ…どうしようもないなこりゃ。」
青峰の変則ドリブルに振られ、沼咲が抜かれる。水木と舟木が立ち塞がる。
「お前らじゃ相手になんねーよ!」
「はやっ!?」
「…!?」
2人はあっさり抜かれた。ゴール前に海野と川崎が立ち塞がる。青峰が飛び上がる。2人もブロックするために飛び上がった。青峰は横に飛び、2人のブロックの横からボールを投げる。そのボールはバックボードに当たり、ゴールに吸い込まれた。青峰が戻りながら5人を見る。
「もっと本気で来いよお前ら。」
「言うねぇ…。」
そこからは点の取り合いになった。桐皇は青峰、青葉青果は3人を中心に全員で、どちらも守備に決め手がなく、激しい攻撃のやり合いになった。残り2分、123対116、青葉青果リードであったが、第4Qの最初より差が縮まっていた。青峰が5人を躱してダンクを決めた。青葉青果はすぐにリスタートする。海野がどこから攻めるか考えていると、沼咲の視線に気づいた。
「(あいつ…また無茶する気か。でも、今回に関してはそれをやらなきゃ危険すぎる。)茂樹!」
沼咲にボールが渡る。青峰が立ち塞がる。今吉は青葉青果メンバーの動きに気づく。
「(アイソレーション…?!さっきから青峰を5人で相手してる状態やのに…)そこは鬼門やと思うなぁ、賭けに出るんか?」
「賭け?いや、悪いですけど、もう賭けはやんないですよ…茂樹が勝ちます。」
「は?!」
沼咲の雰囲気が変わったことに青峰は気づいていた。沼咲は笑っていた、それを見て青峰が冷や汗をかく。沼咲が動く、それに合わせて青峰も動く。沼咲が体勢を低くして、抜きにかかる。青峰はそれに間に合いきれず、後ろからスティールを狙った。
「…あん?!」
沼咲の手からボールが消えていた。沼咲はそのまま青峰を振り切る。青峰と沼咲の上をボールが舞っていた。そして、上から落ちてきたボールをとって、そのままゴールへ飛んだ。若松が急いでブロックに入る。
「やらせねぇよ!」
「暑苦しいねぇ。」
沼咲は姿勢をコートと平行にしながら、手首を返してボールを放った。
「なっ…(なんつー姿勢から放ってんだよこのガキャ!?)」
そのボールはバックボードに当たり、放った方向とは逆に跳ねて、ゴールに真っ直ぐ落ちた。着地して、すぐ戻って行った。桐皇はすぐにリスタートし、青峰にボールを繋げる。青峰の前には沼咲。青峰は変則ドリブルから沼咲を抜きにかかる。だが、抜くと同時に沼咲の手によってボールが弾かれた。
「なん…だ…と?!」
「楽しかったよ大輝。」
沼咲はルーズボールをとって攻め上がっていく。桐皇のほか4人は虚をつかれ、反応出来ずに見送ってしまった。青峰はすぐに追いかけ、沼咲がセンターラインを越える所で前に立ち塞がった。
「行かせるかよ!」
「…。」
沼咲は青峰が前に出てきた瞬間に、ボールをゴール目掛けてぶん投げた。
「は…?!」
驚く青峰の横を沼咲が駆け抜ける。ボールはバックボードにあたり跳ね返る…はずだったが、低く、少し上に跳ねた。
「よっ。」
沼咲が飛び上がり、それをとる。そして、そのままダンクを決めた。沼咲は戻りながら青峰の横を通り、2人にしか聞こえない声で
「また次やろう。」
と言い、戻って行った。
青峰対沼咲、その勝負は沼咲が圧倒した。最後にはもう青峰のゾーンが切れていた。結果は151対120。青葉青果の勝利。終了の笛がなり、青峰は呆然としていた。
「負けた…のか、俺は。」
その目からは涙が流れていた。沼咲がそれ見て声をかける。
「なに練習試合で負けたぐらいで泣いてんだよ。また次やろうって言ったろ?1人で勝てるほど、俺らは甘くねーよ。」
「まぁ、ぶっちゃけ俺1人は青峰に食らいつくので精一杯だったしねぇ。」
川崎がタオルで汗を拭きながら口を開いた。海野も頷く。
「そうか…そこかよ。」
青峰は少し笑いながら下を向いた。肩に手を置かれて、青峰は顔を上げた。すると沼咲が満面の笑みで青峰を見ていた。
「まっ、どうせ俺らが勝つから辞めるのも手だと思うよんっ!」
「うっせ!次こそ勝ってやんよ!」
4人は笑っていた。笑う青峰を見て桃井は安心していた。
片付けが終わり、挨拶を済ませ、青葉青果のメンバーは帰り始めていた。原澤と桑田が握手しながら話していた。
「いや、負けましたよ。流石ですね。」
「私の力じゃないですよ、彼らの力です。それに…。」
原澤は桑田が少し暗い表情をしたことに気づく。
「問題は層の薄さですね。」
「はい。」
「結果から見ても私の目から見ても彼らは全国で勝てるチームです。しかし、勝ち進めるチームとは言えません。体力は一石二鳥では身につきませんからねぇ。」
「これが2試合目だったら負けてたと思います…が、それは現状です。IHでまたやりましょう。」
「はい、リベンジさせてもらいます。」
駅のトイレの個室、沼咲はそこで膝をついていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…。やべぇな、こりゃ。」
膝を抑えて座り込んで、痛みを我慢しようとしていた。その時、個室のドアがノックされる。
「茂樹、もう少しで電車くるぞ。」
水木の声であった。沼咲は急いで立ち上がり、水を流して、個室を出る。
「すまんすまん、うんこがなかなか出なくてさ…。」
「あー、俺もたまにある。時間ない時焦るよなぁー。」
2人は仲良さそうに電車の来ているホームに走ってきた。美和が電車の外で待っていた。
「遅いよ茂樹!蒼、呼んできてくれてありがとう。」
「はいはーい。」
水木は元気そうに電車に入っていく。沼咲もその後に続く。美和はその歩き方に違和感を感じた。
「もしかして…。」
「ん?」
沼咲が何かを言いかけた美和の方を見る。
「なんでもない、はやくはやく!」
美和は気にしないことにして、沼咲を押しながら電車に入っていった。
いかがだったでしょうか。
最近色々立て込んでおりまして、バタバタしていますが、ストックが尽きない限りはこのまま投稿していきます。
次回の投稿は6月13日 日曜日 18:00です。
どうぞ、お楽しみに。