長く空きましたが、また読んでいただけると幸いです。
GW明け、どこの高校も普通に授業を行っていた。青葉青果も同様。1年3組の海野は真面目に授業を受けていた。チャイムがなる。休み時間になり、次の授業に向けてみんなが動き出す。海野は後ろの席で寝ている水木を叩く。
「起きろ。次、体育。」
「んにゃ…?おぉー、体育か!行こ行こ!」
「まずは着替えだろ。」
男子が教室で着替えるため、クラスの女子は出ていく。着替え終わり、海野と水木は一緒に体育館に向かいだした。水木が口を開く。
「今日の体育なんだっけ?」
「バスケだったと思うよ、4組と合同。隣で女子がバレーやるんじゃなかったけ?だから2面でひたすら試合回すんじゃない?」
青葉青果高校は新設でありながら体育館が広い。バスケコート、バレーコートは合わせて3面、地下のコートで1面。予定ではもう少し狭かったが、桑田が金を出したらしい。
クラスごとにチーム分けを行った。1クラス20人、合計で8チーム作られた。当然であるが、水木と海野は別のチーム。隣コートでやっている女子は自由らしく、半分ぐらいが男子のバスケを見に来ていた。水木のチームと4組のひとチームが最初の試合。美和と川田も見に来ていた。周りの女子はどっちが勝つかを話していた。川田が美和に話しかける。
「美和ちゃんはどっちだと思う?」
「んー、うちのクラスには悪いけど3組かな。蒼いるし。」
ジャンプボールを3組がとり、水木にボールが回った。
「行っちまえ水木!」
クラスメイトの1人が声をかける。水木はその言葉に笑う。
「じゃ、特訓の成果をっ!」
水木はドリブルで1人、2人と抜き、シュートの体勢に入る。1人の生徒がブロックしようとする。
「こっちだ!」
その股にボールを通し、ゴール下にいる生徒に渡す。その生徒がゴール下から確実にゴールを決めた。
美和と川田はその姿を見て驚く。川田は思わず笑いながら口を開く。
「上手くなったね、蒼くん。」
「まっ、私が教えてんだからね。当然よ。」
美和は自慢げにしていた。
「確かにな。」
「うへぇっ?!」
その後ろから突然声がし、美和は変な声を出してしまう。その声は海野であった。
「武則、脅かさないでよ。あんた試合は?」
「次だよ、8チームあるんだから全員が同時に試合できるわけないだろ。本当に上手くなったな蒼は。」
「武則くんもそう思う?」
川田は嬉しそうに聞く。海野は真剣な目でコートを見たまま口を開いた。
「まっ、勝敗は別だ。」
「え?」
コート上ではある生徒がボールを運んでいた。その手つきは経験者のそれであった。水木が立ち塞がる。
「もしかして、経験者?」
「そういう君は本当にバスケ部?やけに初心者臭かったけど。」
「高校から始めたからね。」
「それであれか。中々センス良いんだね。」
水木は3Pはないと思い、距離を開けていた。しかし、その生徒はシュートフォームに入った。水木が急いで腕を伸ばす。
「えっ…?!」
水木がブロックしたはずの手の横をボールが通り、3Pが決まる。
「(何今の…?!面白いなこいつ。)名前は?」
「朝泡駆。」
「水木蒼だ、よろしく!」
見ていた美和と川田は驚く。
「朝泡ってバスケうまかったの!?」
「というか、武則くん、知ってたような感じだよね。」
「俺もさっき気づいたばっかだけど、今試合に出てる朝泡 駆、昭栄中の元4番だ。」
美和が学校名に驚く。
「昭栄中!?しかも4番って、それ相当強くない?」
「あぁ、少なくとも蒼が止められるレベルじゃない。」
川田はそれを聞いて首を傾げる。
「なんでバスケ部入んないのかな?」
「それは知らん。けど、入ってくれれば…」
海野の言葉に美和が頷く。
「うん、弱点が解消できるかも。」
その後、水木は朝泡に翻弄されて負けた。海野はそれを見てコートに入っていく。水木は朝泡に話しかけていた。
「そんな上手いんだったらバスケ部入ってくれよぉ!」
「バスケ部?もうやりたくないよ、あいつらも凄かったし、あいつらに勝ったキセキの世代はどうやっても勝てる気しない。勝てる気しないゲームなんかやりたくないだろ?」
「へ?キセキの世代っていうやつならこの前勝ったよ、一人一人だけど。」
朝泡はその言葉に驚く。
「は?!お前のレベルで勝てるはずないだろ。」
「いや、俺らのバスケも通用はしたけど。勝った要因は…、今から試合するやつ、あれ含めた3人!」
水木はコートで準備をする海野を指した。それを見て朝泡はさらに驚く。
「あいつ…そういうことか。」
そこに美和と川田も来る。美和が話しかける。
「おつかれ、蒼。」
「おつかれー、女子は自由?」
「うん、先生いないから、バレーやりたい人はやって、他は男子見ててもいいって。だから紀子ちゃんと見に来た。」
「さっきの試合見てたのかー。」
「ボロ負けだったね。」
美和は朝泡の方に視線を移す。
「朝泡くんだよね、バスケ部興味ない?君なら即戦力って言っても言い過ぎじゃないと思うんだけど。」
「バスケ部か。」
朝泡は海野を見ながら続けた。
「考えとく。」
「うん。」
黙っていた川田がコートの方を見て口を開く。
「あの人、背高くない?」
3人とも川田の指す人物を見る。1人、マスクをして、背が高く目立っていた。
「優馬くんと同じくらいあるんじゃないかな?」
「あれ?あんな人いたっけ?」
美和と川田は同じクラスのはずだが、わからなかった。朝泡が口を開く。
「銀波 飛鳥、よく保健室に運ばれるやつだよ。」
2人はそれで思い出す。美和が口を開く。
「普段猫背で暗そうだからわからなかった!」
「あいつもバスケ経験者、元帝光中。」
3人はそれを聞いて驚く。水木が口を開く。
「ってことはあいつもキセキの世代?!」
美和は自分の記憶のキセキの世代と違い、驚く。
「私、茂樹たちが帝光中とやってた時見てたけど、あんな人試合に出てなかったよ!?」
朝泡が口を開く。
「あいつは一軍の補欠だ。公式戦は序盤しか出てないし、青葉中とやったあたりからはキセキの世代の連中以外試合出てない。俺は練習試合でやったことあるから見たことある。」
「強いの?!」
水木が目をキラキラしながら聞く。
「見てればわかる。」
試合始まる直前、海野は銀波の背の高さに驚いていた。
「大きいね、よろしく。」
「青葉中、海野…。」
「あれ、俺名前言ったけ?」
銀波は何も答えずに自分の位置に歩いていった。試合が始まり、海野はパスに徹していた。銀波も特に動きを見せなかった。試合中盤になり、互いの点が均衡していた。3組の1人が海野に駆け寄る。
「頼む、本気でやってくれ。」
「…、わかった。」
海野は本気ではやらず、初心者ならば止められないぐらいのドリブルで敵を躱していった。そのままフリーでレイアップしようとする。すると急に腕が伸びてきた。
「…!?」
海野は咄嗟にボールを持ち替えてそのブロックの横からボールを放った。しかし、それをも叩き落とされる。ボールはコート外に飛んでいった。海野は驚きながらブロックした人物を見る。それは銀波であった。
「すごいね、止められるとは思わなかった。」
銀波は海野を見下ろしながら口を開く。
「そんなもんだったけ?青葉中のPGだよね?」
「なんで俺のこと知ってるんだ?」
3組は再びボールを海野に回す。海野は先程とは段違いのドリブルで銀波を振る。そして、ダンクを決めた。体育館が沸く。
「すげぇ!!」
「流石バスケ部!」
4組が攻め上がる。銀波がパスを要求した。その前には海野が立ち塞がる。
(この身長ならインサイドプレーヤーか。傑みたいなパターンもあるが…)
銀波は貰ったボールをそのままシュートフォームに入った。海野は反応してブロックのため飛ぶ。しかし、銀波はそこからドリブルで中に切り込んでいった。
「傑パターンじゃないのか!?」
海野はすぐに銀波に追いつく。銀波はゴールから離れた位置でレイアップの体勢で飛んだ。
「ここから?!まさか!」
銀波の放ったボールは綺麗な弧を描いてバックボードを跳ねてゴールに入った。海野はそれに驚く。
「スクープショット…。」
着地とともに銀波のマスクが外れた。銀波はマスクを拾いながら口を開く。
「これで同じだ…あっ。」
「このやろ…!?」
銀波は突然倒れた。
「まただ!先生、銀波くん倒れましたー!」
「銀波ー!また貧血か、おい、誰か手伝え、保健室連れてくぞ!」
銀波は担架に乗せられ、保健室へ運ばれて行った。海野はそれを見て呆然としていた。
美和が口を開く。
「あ…体弱いんだったね。」
「あれがなきゃあいつもキセキの世代って呼ばれてたのにな。」
朝泡は呆れながら言った。驚きながらも美和は笑っていた。
「うん、理想に近い形のチームが出来るよ!」
その後、海野の活躍により3組が勝った。銀波は戻ってこなかった。
いかがだったでしょうか?
毎週日曜18:00に更新します。
いつ止まるかは私もわかりませんが、ストックは出来ているので、行ける所まで毎週投稿します。
次回は11月21日18:00です。